グリーンブックのレビュー・感想・評価
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文句無しの面白さ
率直な感想、これは面白かった。
アカデミー賞作品賞受賞は納得だ。
演技、脚本、映像、音楽も文句無し。
派手さも強烈なインパクトもない、むしろ地味に淡々と運ぶストーリーだが、身分も性格も住む世界もまるで違う2人の珍道中は、理不尽過ぎる人種差別に胸を締め付けられ、フライドチキンに大笑いさせられ、最後は心温まる素晴らしいものだった。
さらに、この作品は12月に観ていたら、もっと感動できたかもしれない。
できればクリスマスの近くなら最高だった。
激しく好みが分かれ、観る人を選ぶ『女王陛下のお気に入り』とは真逆の、万人受けする作品ではないだろうか。
もっとも、そういう人種差別はどこか他人事で、本当の辛さを経験してない人にはそう思えても、当事者達の眼にはどう映るか気になるところだ。
それにしても、何度となく映し出される、ピアノの演奏シーンが素晴らしい。
どう見てもドクター・シャーリーが弾いているようにしか見えないが、マハーシャラ・アリはこんなにもピアノが達者なのだろうか。
あとで調べてみよう。
余談だが、映画が終わったのがちょうど正午。
危うくケンタッキーフライドチキンに直行するところだった(笑)。
嘘ではなくデタラメ
ドロレスへの手紙
制作・脚本のニック・バレロンガ(トニーの長男)が、最初に付けようとしたタイトルは「ドロレスへの手紙」だったらしい。いや、それで良かったんじゃない?ってのが、まずはある。
イタリア移民としてさげすまれているトニーが、黒人を更に差別する姿は、映画の冒頭部。差別されたものが、更に誰かを差別すると言う、根深い差別の構図。共に何かを成し遂げる事で成立する本当の人間関係。互いを尊敬する事が出来る人間が持つ、内面の美しさ。
テンプレなんですけどね。
「結局は白人が黒人を救う話」だと言う指摘が、米国内にはあるのだと。映画をご覧になった方は、覚えておいてほしい。「差別が無くなると困る人達」はアメリカに溢れている。日本と同じ。「問題が解決すると困る人達」「与党が成果を上げると困る人達」「権力は悪でなければ困る人達」などなど。彼らの主張を鵜呑みにするのは自由ですが、それが正に「無知」ってヤツです。
「白人には成りきれない。黒人でも無くなってしまった私は、一体何者だと言うのか?」。ドン・シャーリーの悲痛なる叫び。でも彼は彼自身の口から答えを語ります。「ドン・シャーリーが弾けばドン・シャーリーだけのショパンになる」。人は皆、自分が何者かの答えを求めたがる。あなたの血液型はAだから几帳面です、と言われれば安心する。大切な事は「何モノなのか」ではなく「何をするモノか」。
メリポピでもあったよな。「本の表紙に騙されないで」。ドン・シャーリーは人の心を動かしてしまう力を持つ人で、ピアノを道具として使う。
トニーはドン・シャーリーを天才だと認め、彼の知性と孤独に触れた事で偏見を捨て去る。最愛のドロレスへの手紙は、同時にドン・シャーリーへの敬意でもあり。
ドン・シャーリーはトニーの純真を見抜いて好意を持ち始める。手癖は悪い、品は無い、悪食。だが酒に飲まれない。
アカデミー賞は芸術賞にあらず。最も多くの人のココロを動かし映画の発展に貢献した作品と人に贈られる。十分に資格あるでしょ。
感動と言う意味では、去年のリンクレーターの方が良かった。けど、涙交じりの笑顔で終わってくれた、このロードムービー、とても良かった。
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追記 3/4
自分自身の体験から感じた事を書いておきます。言いたいことは二つ。「欧州とアメリカの差別の構図を同質として見る事はできない」ことと、「オスカー授賞の意味」です。
「最強のふたり」と比較する向きがありますが、根本的に「欧州」と「アメリカ」の差別の構図は異なると感じています。フランスやドイツなどで「肌の色が異なるカップル」を見掛けることは稀ではありません。肌の色が異なるグループが一緒に行動していることも珍しくありません。人種的な差別は厳然として存在します。私自身も、パスポートコントロールでパスポートを放り投げられたことがあります。英語が不自由なことを馬鹿にされることもありますが、北米のそれに比べれば、全く気になりません。肌で感じる段差は、階段の数段程度。むしろ今抱えている最大の問題は「多国籍化し過ぎたこと」じゃないかと思います。誰もが「ナショナリズム」の主張をしたいのにできないジレンマを抱えている様に思えるのです。いわゆる「差別」とは少し違うと思う。
アメリカは酷い。明確な差別意識を感じます。ガソリン・スタンド併設のコンビニやコーヒーショップで黒人店員に「英語が下手な事」を理由に差別的な態度を取られた経験は、一度や二度では済みません。飲食店で「アジア人に肉を食わすくらいならタダでホームレスにくれてやりたい」とか「Glasseeeeees(一緒に居たもの全員が眼鏡をかけていたことを揶揄された)」などと陰口をたたかれたこともあります。
アメリカの州によっては、ある規模以上の企業は、一定数のマイノリティを雇用するよう義務付けられています。それは良いのですが、驚かされるのは「マイノリティ専用のオフィス・休憩スペース・食堂・ロッカー」などを設けることも規定されている事です。グリーン・ブックをご覧になった方は、それがいかに不自然なものであるのか理解できるはずです。法律が「隔離」の存続を規定しているのは絶対におかしいと、私は思っています。なぜ、彼らとのコミュニケーションの機会を奪わなければならないのかが理解できない。
欧州で「友達を紹介するよ」と言われて、連れて来られたのがインド人だった、なんてのは普通。アメリカでは「友達を紹介するよ。インド人だけど、君は気にするか?」となる。
「差別を継続するにもエネルギーが要る。そんなことに労力を使うより、彼らの力を取り込む方が良い」。と言う現実的な判断を、遠い過去にしている欧州。現在、一挙に増えすぎたムスリム・ショックを社会が吸収できずに混乱していますが、時間が解決すると思う。100年単位の時間が必要だと思うけど。
「黒人は差別を受け続けているし、それは決してなくならない」と悲観視し、根本的な解決策を取ることを阻害する団体が利権をむさぼっているのがアメリカ。
(これが日本と同じだと思う。私が知らないだけで、欧州にもあるのかも知れませんが。)
最強の二人の構図は、「知性・年齢・経済力のギャップ」であり、グリーンブックは「弱い者が更に弱いものを蔑視する差別意識」です。この根本的な相違は、欧州(特にフランス)とアメリカの差別の構図が同質でないところから来ていると思う。
「人種問題はAwardへの近道」と揶揄する風潮について。私が審査員であっても、グリーンブックにしたかも知れない。「ともに何かを成し遂げることで差別を乗り越えたバディ達」と言う物語への称賛です。単に差別を取り上げただけではなく、「未来への提言」があるからです。人種問題への理解があるフリしてるだけの審査員も居るでしょう。仮にそうであったとしても、結果そのものを肯定します。普遍的なものとして後世に残したい。類似品が、過去・未来に溢れかえっていたとしてもです。普遍的で正しいメッセージを持つ作品に賞を与える。授賞者の意図は、そう言う事だと思います。
近年1位😳
悪意のないがさつさは可愛い
個人評価:4.3
ムーンライトとはうって変わったマハーシャラ・アリのエレガントな演技が心地よい。また粗野なトニーがとても可愛く描かれている。悪意の無いがさつさは可愛いのだと気付かされる。
この物語でとても良かったのは、ストーリー展開のリアルさ。この時代、どんな偉人が声を大にして訴えても差別の意識はかわらない。それは本作のモデルとなった人物も同じで、世の中を変える事はできない。
最後のステージの街でも志半ばで帰路につく。世の中を変える事が出来ないのは、彼も例外ではない。しかし唯一変える事が出来たのはトニーの心。その事を最後に丁寧に演出してくれ、心温まる気持ちになる。
黒人差別をストレートに描く作品だが、同ジャンル作品によくある立ち込めるような重く暗い空気は無い。エンターテイメント性に溢れ、多くの人を楽しませながら、大事なテーマをきちんと伝えてくれる。
難しいだけが作品賞じゃない!これが映画なんだ。
洗骨以上、ボヘミアン以下?良い映画
違いはあっても、友情は築くことができる
「グリーンブック」(原題:Green Book)。
7,902人(2019年)と言われる投票権をもつ会員が選んだ、今年のアカデミー賞作品賞である。"白すぎる"と言われたり、"MeToo"と訴えられた結果としての、痛くも痒くもない選択になってしまったのかなぁ・・・と。
むしろ、尖った魅力的な作品がネット配信ばかりになることと、必死に闘っているような気もする(笑)。あくまでも個人的な印象だ。
カンヌのように審査員の個人的見解が色濃く反映されるものとは違っていいとは思うが、バランスを気にしすぎると、なんら特徴のない結果しか生まれてこない。
パルム・ドールの「万引き家族」以外の選択肢なんてあるわけのない、日本アカデミー賞の茶番を見るにつけ、権威に弱い日本人らしさを象徴していて、微笑ましかったり・・・。
「グリーンブック」は悪くない。人種差別問題を取り上げつつも、その苦しさや怒りを強調することなく、コメディの形を取ることで、心やさしくなれる映画である。
1962年、人種差別が強く残るアメリカ南部へ演奏ツアーをする、黒人ジャズピアニストと、運転手兼・用心棒として雇われたイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を描く。"グリーンブック"は、黒人用旅行ガイドのこと。
国や宗教、人種や性別、LGBTQなど、劇中でも"実に複雑だ"と表現される諸事情を、あえて受け入れつつ、"暴力では解決できない"と諭す。
違いはあっても、友情は築くことができる。個々で分かってはいても、なかなか全体主義はままならない。
作品の随所で、多くの笑いが起きる。気の利いたセンス。
アカデミー賞脚本賞も受賞しているので、"今年のいちばん面白いストーリー"でもあるのだが、脚本を手掛けたニック・バレロンガが、主人公トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子だという事実に感動する。
黒人ジャズピアニストを演じたマハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)のピアノを含む演技力の高さ。まだ出演作品数は多くはないのに、「ムーンライト」(2016)に続いて、2年で2度目の助演男優賞も納得である。マハーシャラ・アリは、公開中の「アリータ:バトル・エンジェル」でも敵キャラ役で、不敵な笑みを浮かべているので、これからがますます楽しみだ。
近年、トム・クルーズ作品以外は、年2・3本しか翻訳をしない戸田奈津子が字幕を担当している(なので、英語セリフを聞いたほうがいい)。
(2019/3/1/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:戸田奈津子)
今年一番の映画、誰もが納得の作品
ケンタッキーが食べたくなる作品(?)
アカデミー賞作品賞&脚本賞受賞。
1番大事な2つの賞を獲ったので、そこそこ期待して観に行ったら、その期待値を大幅に超えてきた!
黒人の天才ピアニスト、シャーリーのツアーに運転手として同行したガサツで偏見の塊のようななイタリア系トニー。
最初は偏見丸出しだったトニーが、シャーリーの才能と勇気に心を動かされていく物語をユーモアを交えて描く。
舞台は、黒人差別渦巻く60年代。
黒人の主人公の命の危険を感じてヒヤヒヤしっぱなし。ホントに酷い時代だわ…
名作『最強のふたり』を思い出すような、笑って泣けて心が温まる新たな名作でした(^^)b
さて、監督はおバカ映画でおなじみのファレリー兄弟の兄の方ピーター。初めて1人で撮ったって、もしかして今まで弟の趣味でおバカ映画撮ってたのか!?
ってゆーか、ヴィゴ・モーテンセンがめっちゃ太っててびっくりΣ(゚д゚;)
期待どおり
人種差別があっての話だから日本人には?
予告から気になっていましたが、アカデミー賞受賞なのでさっそく。
予告通り、人種差別と友情のお話です。
とてもいい話。実話ということで感動もひとしお。
が、日本人には根本的な人種差別を理解できないと思うので本当に理解出来ているか不安。
人種差別は、単にかわいそうとか、人種差別反対と簡単には言えないと思います。大坂なおみの時も、どっちが人種差別してるんだよ思いました。
私も、アトランタオリンピックの年に南部のジョージア州アトランタ郊外にホームステイしていたことがあります。
ホストファミリーは白人のおじいさんと、同居人の日本人のおじさん。この2人はとても仲良し。
南部の街には未だに南北戦争の南軍の旗が沢山あって、不勉強な私は何かと聞いてビックリしました。
近所のスーパーに行った時に、白人のおじいさんが、このスーパーはcolored=有色人種のお店だから行かない方がいいと言われました。
「私は行ってもいいのか?」
と聞くと、「オフコース」と笑顔で言われて、ん?ん?今差別されたのか?と不思議に思いました。
この映画を観て、それがどういう意味なのかようやくわかった気がします。
この白人のおじいさんはとてもいい人で、日本人と一緒に暮らしていたり、日本人の私をホームステイて迎え入れたり、とってもいい人で、今でも感謝しています。
が、人種差別が普通の世界だと、悪意の無い差別もあるのかと思いました。私も、日本人として、韓国人や中国人差別しますしね。
「個人としては好きだけど、まとまると嫌い」
ということですね。
差別する側とされる側の両方を理解しないといけないと、心から思いました。
そういう意味で、日本人は本当に差別を体験することは無いので、この話を理解出来ているのか?と思います。
単純に映画として面白いです。
礼儀正しい黒人ミュージシャンと、イタリア系のマフィアみたいな話し方と態度の白人(厳密にはラテン系なので差別もされています)が、徐々にに通じあっていく。
いい映画だといい話だと思いました。
残念な話だけではなく、声が出そうに笑ってしまうシーンも多い。
ただ、ストーリーは予想通りだし、終わり方も予想の範囲内かな?実話だからしょうがないけど。
いい話だなあとは思うけど、感動とか、涙とかはないかな。
あとアメリカ人は差別とかマイノリティが好きですね。差別の話とか、マイノリティの話が人気があるのは、そういうことが多いからなのでしょうね。
エンドロールを眺めながら
考えてみたこと
この映画は、楽しくもあり、滑稽ででもあり、そして怒りに震える場面もあれば、その辛さをや悲しみが、自分の理解を超えていて、胸が押しつぶされそうにもなる。
まるで、自分が映画の中にいるようだ。
「教養のある人間は、自分のピアノを聴きに足を運んでくれる。でも、それ以外は、自分は黒人としてしか扱われない。自分は白人なのか、黒人なのか、そして人間なのか分からなくなって、孤独に生きているんだ」
ドクターが土砂降りの雨の中で振り絞る言葉だ。
僕たちは、多様性を理解しているふりをしてるだけじゃないだろうか。
いつも、どこかに怒りを抱えて、それを無関係な人や、弱いものに向けてはいないだろうか。
そんな問いが頭の中を廻る。
そして、この映画のもう一つの重要なテーマは、自分からもう一歩、歩み寄っては、踏み出してはどうかと、語りかけるところだと思う。
勇気とか、優しさとか、そのようなものだろうか。
トニーが、ドクターに、自分の方からお兄さんに便りを書いてはどうだとお節介をやく。
ドクターのように、理路整然と話してるわけではないが、ドクターには妙に説得力を持って響いていた筈だ。
また、色々な事を僕たちに語りかける。
人種差別は当然ダメだ。
感情的になって暴力に訴えるのだって良くない。
暴力は暴力的な対応を招くようからだ。
でも、不正や不正義にはちゃんと抵抗すれば良い。
僕は、ちょっとくらい、偉い人を利用してインチキしてでも、懲らしめても良いんじゃないかと思う(笑)が、出来るだけ、キチンと話し合う方がよりベターだ。
僕たちは人間だからだ。
本当の友人の言葉は金言だ。但し、いつもじゃないけど(笑)。
この二人のやり取りは、いちいち聞き入ってしまうくらい、今の僕たちにも色々語りかけてくるような気がするのは、僕だけじゃないと思う。
品位を保ち続けることが勝利につながる
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