グリーンブックのレビュー・感想・評価
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とても良かった、感動作品。
アカデミー賞受賞作品に疑問があり、あまり期待しないでの観賞。
笑い有り涙有り、人種差別問題を考えさせられる、分かりやすく誰もが感動させられる作品。
紳士な黒人天才ピアニストと腕っぷしが強くガサツなイタリア系用心棒との友情物語。痛快でスッキリする感動の実話。
タイトルの「グリーンブック」は黒人用の旅行ガイドブックのことだった。
あ~ケンタッキー・フライド・チキンが食べたい!そして、旧友と会って話がしたい!
人生の旅に希望をもらえた。
そこまでの
グリーンブックだから車もエメラルドグリーン?
人は互いに認め合える
本多勝一の「アメリカ合州国」で深南部の人種差別の現状が明らかにされたのは1960年代の終わり頃である。クリスチャンの黒人運動家キング牧師が暗殺されたのが1968年、イスラム教徒のマルコムXが暗殺されたのが1965年だ。本作品の舞台は1963年だから、二人の指導者による黒人公民権運動が盛んな頃だと思われる。運動が盛んであれば、それに反発するほうも盛んになる。多くの黒人は理不尽な差別に耐えていた。
本作品を観て解ったことは、個々の白人はそれほど黒人に対して差別感情を持っていないということである。差別を作り出すのは共同体の一部の人間だ。歴史的には主に綿花栽培の労働者としてアフリカから「輸入」された黒人たちは、奴隷売買という市場の商品として、人間的な扱いをされないできた。最初はアフリカの言葉しか話せなかった黒人たちも、英語を理解するようになると、次は英語で自分たちの権利を主張するようになる。しかしそれが気に入らない人間たちがいた。
人間の自尊感情は何らかの基準で自分よりも下の人間が存在することで担保される。本来は他人と比べることなく自尊感情を持てるようにしなければならない。なぜなら、この世界は自分が五感で感じているから存在するのであって、自分が存在しなければ世界も存在しないのだ。自分が死んだらどうなるかなどと考えるからいけない。自分が死んだら世界は終わる。人は自分だけの生を生き、自分だけの死を死ぬのだ。ゴータマ・ブッダが生まれてすぐに天上天下唯我独尊と言ったのは、そういう意味である。
しかし多くの人々はゴータマが説いた孤独な自尊感情を持てず、他人の評価によって承認欲求を満たす。その裏返しが差別である。権利を主張し始めた黒人を弾圧し、差別を固定化することで自分たちのレーゾンデートルを求める。差別は多くの場合、虚構によって作られる。嘘八百を並べて黒人たちを差別する理由にするのだ。そうやって作られた差別の虚構が蔓延して、あたかも本当であるかのような錯覚をさせてしまう。それが差別の実態だ。そして差別主義がその時代のパラダイムになっていく。自分で物事を考えない人はパラダイムに流される。それに、差別に加わらないと次は自分が差別されるという恐怖心もある。教室でのいじめと構造は同じなのだ。共同体に蔓延する差別という空気を一掃しない限り、民主的な社会は得られない。それには長い年月がかかる。人々の頭の中に充満した差別の感情は、簡単に取り払うことができない。場合によっては親から子供へ差別感情が受け継がれる。人類から差別がなくなる日は永遠に来ないかもしれない。
マハーシャラ・アリは、数日前に観た「アリータ バトルエンジェル」での肝の据わった悪役を演じた俳優と同一人物とは思えないほど、本作のドクター・シャーリーはストイックで落ち着き払った知識人であり芸術家であった。「暴力は敗北だ」という哲学が、彼の努力を支えてきた。
主人公を演じたビゴ・モーテンセンは微妙な表情を使い分けることのできる達者な役者である。ガサツで無教養だが、嘘はつかず、悪に染まらず、意外と実直で頑固なトニーを好演した。ケネディの言葉を自分に都合よく間違えて憶えているところは、陽気なイタリア人らしくて笑える。
人間が他人と完全に解り合えることはありえないが、互いの考え方を認め、性格を認め、存在を認め合うことはできる。そして同じ時間を過ごし、同じ星を眺めて美しいと言うこともできる。それは多分、しあわせなことである。
アレサ・フランクリンも知らないのか?ブルース・ブラザース見てみ
ロード・ムービーとかバディ・ムービーとか言われてオスカーも獲ったけど、完全に“音楽映画”とジャンル分けしたくなる作品でした。とにかく、人種差別が根強く残るアメリカ南部への演奏旅行に出た理由は?と、興味津々でストーリーに引き込まれてしまう。“Deer”じゃなくて“Dear”だ!と、中学生のための英語講座まで用意してくれてるし、辛辣な差別問題の裏で笑いどころも満載だった。
極端なレイシストもいるし、「規則だから」と黒人を入れないホテルやレストランもある。ドク・シャーリーはニューヨークを中心に演奏活動していれば優雅に暮らせているはずなのに、敢えて南部へのコンサートツアーへと向かう。カーネギーホールの上層階で成金趣味のごとく装飾された部屋には驚きだったが、既に成功しているピアニストなのだ。一方の雇われたトニー・リップも若干の差別主義者だったのだが、ドクの音楽に触れるうちに心を許すように変化していく。ガサツで大食いというトニーの性格も見ていて飽きないし、金持ち相手にお高くとまっているドクにしてもステージを降りると孤独を抱えている男なのだ。
昨年亡くなったアレサ・フランクリンを話題にする車の中。音楽魂に火がついたかのごとく、クラシックをモチーフにしたジャズ演奏に何かやってくれる気がした。冷静な顔をするドクにもロックンロール、ブルース、ほらメラメラと燃え上がってきた。それがいつ爆発するのかと、それだけが楽しみになってきます。スタインウェイにもこだわりを見せていたのに、場末のバーではオンボロピアノに向かってクラシック。そこでバンドのメンバーが・・・ここで涙腺決壊!
手紙、翡翠、銃、警察等々、伏線という伏線が全て生きてくる。二人の心が近づいてゆく過程も面白い映画ですし、ロバート・ケネディやナット・キング・コールなど見終わってからググりたくなること必至のウンチク満載映画でした。
人種差別がテーマでも、明るい映画(^o^)
アカデミー賞受賞作ということで、観ました。
観る前は人種差別かあ…暗いんだろうな…
って思っていましたが、明るい!!
所々はポロポロ泣けますが、観終わって暗い雰囲気にはならなかったです。良かった…
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以下、少し重たい感想になります
私は海外にホームステイした時に「イエロー」と言われたことがありましたが、黒人の方達はレストランに入れてもらえない、汚いトイレを案内されるなど、こんな時代があったのか、と思うと心が痛みました。
大好きなマイケルジャクソンもこういう苦痛を受けたのかもしれないと考えると、外見を変えたくなる理由がとてもよく理解できました。
私は現在アラサーで、黒人白人、ユダヤなどの人種差別は教科書でしか知らない世代です。
ただ、現代においてこれに近しいものとして、虐待やいじめがあると思いました。
そういう誰かを傷つけること、なくなって欲しい!
明るい映画からでも、社会問題について考えるよい機会になりました。
ハックルベリーフィンの冒険??
「黒人との旅」と聞くと真っ先に思い浮かぶのは文学的で有名な「ハックルベリーフィンの冒険。」内容は全く違うけれど、「旅、人種差別」という部分では同じ。だから「ハックルベリーフィンの冒険」を少し意識したのかなと思った。
やはりアカデミー賞作品賞を受賞してるだけあって本当に素晴らしかった。ストーリーも良いが、ドクの奏でるピアノの音から楽しさや怒りがとても伝わってきた。クラブで演奏している時は1番楽しそうだったな。。
また2人の成長の物語でもあって、互いの良いところを吸収し合う。勇気や暴力は負けだということや、諦めないよころ。最後のレストランのシーンでは互いの成長をとても感じた。ドクはいつもだったらあのように粘らないし、いつものトニーだったら金をもらって説得していた。
旅が終わり、トニーが「ニガーはやめろ。」と言った時に周りの皆はトニーがどのような旅をしてきて、どのような変化をしたのか少しは気付いたのだと思う。。だからドクを皆受け入れた。(「あのトニーがこんなことを言うなんて」)みたいな。そう考えると妻のドロレスは最初から最後まで素晴らしい人だなと思った。
最後のドクがトニーの家に来るシーン自分が監督だったらトニーが迎えに行き、そこからトニーの家でクリスマスパーティーに参加し、皆が受け入れるというシナリオにしたと思うけど、考えてみると、あのシーンでドクが自ら来た理由は自分で行動するという成長を表したかった変化を表したかったのでは?と思った。
納得の出来映え
心温まる話
むしろ孤独についての物語
ドク・シャーリーの立場が所謂アフロアメリカンな人たちが置かれている立場とあまりにも異なるために、苛烈な差別の現実を描かずに済んでおり、そういう意味で見やすい、刺激が強すぎない物語になっていることは否めない。一方でそのあまりにも独特な立ち位置から、むしろ彼特有のあまりにも深い孤独こそが物語を特徴付けている。
『最強の二人』との共通性を指摘する向きもあるが、この二人のいずれが差別される側なのかという点こそが大事な点なのでは?とも思う。
差別よりもむしろ孤独の現実と、それに対する救いの物語として、上手くまとまっているのでは?
しかし本作のマハーシャラ・アリはいつものマハーシャラ・アリではなくて、ちゃんとドク・シャーリーを演じていて素晴らしかった。初めて良い役者だと思わせられたよ…
シャーリーが求めたdignityは尊厳、トニーに欠けていたdignityは品性
なるべくちいさな幸せとなるべくちいさな不幸せ、なるべくいっぱい集めようそんな気持ちわかるでしょう♪
シャーリーが南部へのツアーを決めた理由はdignity(自尊心)
トニーが何度も言われていた、君に欠けているのはdignity(品性)
トニーが言う、
Dignity(自尊心)なんて、高い城の中に居ると見えてこない。
トニーが体現する、
日常生活の中で、あるようでないような不思議なものではないか。
拾ったら踏みつけられ、手に入れたと思ったら消えてしまう、そんな事の繰り返し。
トニーは言う、
ベートーベンやショパンを弾いていてもその実感は湧かない。
演奏している目の前の人と唄ったり踊ったりしないのか?
トニーは体現する、
フライドチキンも手で、骨や肉をつかんで、まずは手の味覚で味わう。(日本ではおにぎり、寿司だけになってしまった。手にも食感はある)
そんな互いのちいさなdignityを交換しながらクリスマスを迎える。
シャーリーはみつける、トニーも身につけていく、
それは、カーネギーホールやツアーにではなく、
意外な場所にあった。
人種差別の描き方に関しての観点は色々とあるようだが、
Dignityを這いつくばってひろっていく内容が本題。
(確かに、人種差別を扱っている作品としては、昭和はよかった的な消費をされてはいけないというスパイク・リーの言い分もわからないではないが、様々なメッセージを最大公約数のうまさで競うアカデミー賞なんか全く気にしない攻める作風がスパイク・リーのかっこいい所じゃないの~と思ってしまう、Do the right thing!)
類似作品としては
『スケアクロウ』や『真夜中のカウボーイ』や『オズの魔法使い』など
書ききれないほどある物語の王道。
そんな気持ちわかるでしょう。
ケンタッキーフライドチキンを食べながら、
みんなでトニーとシャーリーを応援しよう上映があったら絶対行く!
そんな気持ちわかるでしょう。
※余談
奥さんがドロレスだからオズの魔法使いのドロシーみたいで、知恵を求めるブリキマンがトニー、心を求めるかかしがシャーリーにみえた。
スケアクロウ(かかし)のライオン(アル・パチーノ)とジーン・ハックマンとか。
※もうひとつ余談(備忘の為の記録、読む必要なしですww)
ブレント・スコークロフト元(ジョージ・ブッシュ)大統領補佐官
が湾岸戦争を早々に撤退することを決めた理由。
クェートに協力する形だけですぐに撤退。
その理由は
イラクが求めているのは、managementでもなく、freedomでもなく、dignityだと。
Dignityを求めている国民に干渉してはいけない。
とスコークロフト。
第二次大戦の教訓で90年代前半くらいまでは建前だけでも世界中の常識かと思われていた。
が
息子ブッシュ以降の事はみなさんもご存知のとおり。
ブレント・スコークロフト、
ヘンリー・キッシンジャー、
後藤田正晴、
決して表舞台に出ないで、首相や大統領を国民ファースト風に演じさせた官房長官、大統領補佐官。
この人達の言動を思い出すと印象的。
後藤田正晴はあさま山荘事件の時に犯人たちを全員生きたまま逮捕しろと命じていた人。
理由は、犯人たちのdignityを失墜させるため。
いつの時代も、古今東西、
このdignityこそが人間である理由と同時に戦争の火種でもある。
古今東西の時空も超えて
『2001年宇宙の旅』のHALの反乱の理由もこれですわ。
デイジーデイジーそんな気持ちわかるでしょう
『最強のふたり』
最高に面白い!
みんなに観て欲しい映画
陽気な差別主義者
孤独な教養主義者
肌の色や性別、国籍や地域によって差別される
しかし2人ともどこか憎めない奴ら
仕事を通してやり取りする内に、お互いの良さを認め合い人間的に成長していくストーリー
本当は1人1人個々の違いであって、心の中に偏見はあるんだよね
ヴィゴ様が自で演じてるとも思えるくらい見事なハマり役で終始泣けてくる和やかさ👏🏻
マハーシャラの弾くピアノのシーンは音だけじゃなく、指の動きも芸術👏🏻
いや〜もうホントに最高に良かった!
2019 アカデミー賞
マハーシャラアリ助演男優賞 おめでとう🎉👍🏼
🤔しかし、あのピアノの演奏はマハーシャラアリがホントに弾いているのだろうか?(笑)
二人の友情に乾杯!
トニーとドクのコンビが絶妙で素晴らしい。
当時の黒人差別の色濃い時代に、このような”実話”があったのはとても感動だ。
時折、ハラハラするようなシーンもあったりなのだが、終始さわやかで、合間に差し込まれるナイスジョークには笑わずにはいられない。
トニーはイタリア系の白人で、黒人に対する差別も最初は持っているが、次第にドクの生き様に感化を受ける。そして、ドク自身も自らの孤独や差別と戦う中で、トニーの存在がかけがえのないものへと変わっていった。
二人が人種の壁を超えていき、最高の友情を築き上げていく様は、観ているものに温かい感情と、きっと、もっと人に対して優しくなろうと思える新しい自分を見つけさせてくれるのではないだろうか。
観て損のない映画であることは間違いないし、お友達とでも、カップルとでも、家族とでも、一人でも、最後まで楽しめる作品だ。
何かとても心が暖かくなる作品
このタイトルを聞いて何のことか分かる方がおられたら、現代アメリカ史に相当精通している方だと思います。1930年代から60年代に掛けて、アメリカで発行されていた黒人ドライバー向けの旅行ガイドブックのことで、「グリーン」は編纂者の名前に由来することをこの作品の鑑賞後初めて知りました。本作は、1960年代、ニューヨークの高名な黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー(愛称ドク)が、人種差別がまだ色濃く残る南部の各州への演奏旅行を計画、その道中を任せる運転手兼用心棒として雇われたイタリア系白人トニーとの友情を描いた作品。元々トニーも黒人を小馬鹿にしており、お金が目当てで已む無くこの仕事を引き受けた経緯もあるので、最初はドクと反りが合いません。しかし、旅行先で黒人差別の深刻さを実際に見るにつけ、そして差別を受けた時のドクの毅然とした応対を見るにつれて、彼に対する信頼感と尊敬の念が芽生え、二人の距離感がグッと縮まってきます。勿論、人種差別問題を意識した作品だとは思いますが、政治臭を極力抑え、黒人と白人の中年男二人の信頼と友情のヒューマンドラマを前面に押し出してくれている辺りが、この作品が多くの人に支持される理由ではないかと感じました。観終った時に何かホッとするような暖かい気持ちになれ、アカデミー賞に相応しい作品であると得心した次第です。久し振りにケンタッキー・チキンを頬張ってみたくなりました。
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