グリーンブックのレビュー・感想・評価
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最高に素敵なバディ物語
まずは、60年代のアメリカがまだこんな差別の国だったということに驚いた。60年代って、俺、生まれてるじゃん! これまでの自分は、こうした事実を、学生時代の授業でも、ニュースなどの一般常識としても、何度も何度も見聞きしたはずのこと。それなのに、映画を観てこんなに驚くとは、当時見聞きしたはずのものが、いかに身になっていないかということなのだろう。改めて、映画を観たり小説を読んだりして追体験することの価値を感じる。
さて、本編だが、「最強のふたり」もそうだが、バディムービーは、ふたりが大きく違っていることだけでなく、お互いが足りないものを補いあっていてこそ、素敵な映画となる。
この映画では、音楽家で紳士、黒人差別を無くすという目的を持つ黒人シャーリーに対して、無頼でガサツ、日々を暮らすだけのイタリア人トニーが補えるところなどあるのだろうか、全くないのでは、と思えるが… いや、是非観てください。
何を トニーが補うのか、何をシャーリーに気づかせるのか。もちろん腕っぷしもあるけれど、それだけではないですよ。
腕っぷしの点では、トニーはそれこそ文句なしだ。それは、前半から遺憾なく発揮される。
しかし、俺たちは後半で気付くことになる。俺たちは「差別?けしからん!ぶっ飛ばしちゃえ!」というシーンを、いかに好んで観て、爽快な気持ちになっていることか。 だが、この映画の中で、トニーや我々観客は、シャーリーがトニーに語る言葉で、差別を撤廃しようという活動にとって、そんな痛快シーンが、いかに無駄で、逆効果なのか、を気づかされる。
そして、この映画のもうひとつの見どころは、今でも愛に満ちているトニーの家庭だが、"手紙(文字)によって、さらに幸せを深めることができるんだよ" とトニーに気づかせてくれるシャーリー。
こういった全てのシーンが、押し付けではなく基本的にはコメディで語られる。あくまでも気づくのは観客である俺たちだよ、という押しつけない作りは、たしかにこの作品を作品賞として評価したくなる!
こういう映画をもっともっと観たい!
最後のシーンに、もちろん文句はない。素晴らしいと思う。一方で、その少し前の、トニーが「そんな呼び方をするなよ」と言うシーンがある。このシーンで終わっていたとしても、それはそれでかっこよかっただろうなあ、と思いながら、劇場を出た。
お互いが補いあう面について自分が感じたことは、公開中の今は書かないでおきます。公開終了した頃にいずれまた。
2020/4/20追記
しばらく経ったので、トニーがシャーリーを補った点について書いておきます。ここから以降、ネタバレなので、未見の方はご注意ください。
ケネディ司法長官とも友人なのに、その力を借りて留置所を出た際に、"力" による差別をなくそうとしている自分が、牢獄から出るためとは言え、"力" を行使したことを悔いてしまうほどストイックなシャーリー。彼は、そんな性格から、「ピアノを弾いていないときは、白人に取っては私はただの黒人。でも黒人たちにも受け入れてもらえない」といったように、つい孤高の立場になってしまう。そんなシャーリーに対して、明確に口に出して言うわけではないが、「そんなの関係あるか、俺たちは友達じゃないか」「迷ったら、まずやってみろや」と行動で伝えてくるトニー。二人で旅する中で、変わっていったのは、トニーだけではない。シャーリーもまた、トニーによって大きく変わった。それが、ラストシーン、つまり、"シャーリーがトニーの家を訪れる" に繋がっていったのですね。
素敵な映画だった!
作品賞の影響
深い笑い
差別意識は、ぼくにもある。
例えば、黒人の男性と握手をしたとする。その時、どんな感じだろうか?それは差別というより、違和感といったほうがいいかもしれない。だけど、その違和感が差別につながっているともいえるだろう。
この映画、初めのうちはトニーの差別意識からはじまった。黒人労働者にサンキューの意味で飲んでもらったコップをトニーは汚いものだとしてゴミ箱に捨てた。そんな夫の姿に少し呆れた様に、でも、非難せずに元の位置に返した妻がいた。そんなトニーが黒人ピアニストと2ヶ月に渡って演奏旅行する。その間、彼はどう変わったのか?変わるのか?がこの映画のテーマでもあった。
例えば、トニーを雇ったドクターシャーリー。上流階級の観客の前で演奏するのが職業になっていることに対して、トニーは毒づく。「あんたはブラックなのか?それともセレブになりたいのか?」それに対して、どっちににもなれない自分の存在に悩んでいるシャーリーがいた。
トニー自身も自分の差別意識に疑問を持ち始める。
演奏を行ってもらうVIPのシャーリーに黒人というだけで、お客のいるテーブルで食事することは許されない。トニーそんなことがあるか!と怒る。私が言ってるんじゃない。レストランのしきたり、決まりなんです、と。レストランの支配人は言う。差別を受ける相手の立場に立つことで、こんなことはいかん、あってはならないことだと気づき始めるのだ。
今までの世界と違った人との出会いでお互いに新しい自分に出会う。新しい世界と出会う。そんなことができるのも違う文化と触れ合ったからだろう。出会いというものは刺激がある。違和感といってもいいかもしれない。そのあと、どう感じ、どう整理し、どう位置づけるのか。それが教育になんじゃないかと思う。ヘイトの方に行くのか?多様性の方向性に行くのか?
差別は本人の意志よりも、その場のしきたり、ならわし、きまりに左右される。雰囲気とか、場の空気といった漠然としたものに知らず知らずによってしまうのではではないか。
そういえば、いま勤めている保育園では「差別」は全くといっていいほどない。子供達は新しい人との出会いを楽しむ。新しい先生や新しい園児は大変な人気者になる。その違和感を楽しむ園児たちの姿がそこにはある。これは一つの答えじゃないだろうか?
この映画、最後のクリスマスの日、素敵な出会いがあった。
トニーの妻とシャーリーの抱擁。
妻はすごく視野の広い夫になって帰ってきたことへの感謝と、シャーリーは2ヶ月の間、自分に与えてくれたトニーの深い愛情への感謝を込めて。
それはクリスマスの夜にふさわしい光景だった。
一粒で何度もおいしい映画
何度もクスっと笑えて最後はウルっとくる大変な良作
と同時に、1960年代米国における人種差別の在り方を肌で感じ考えさせられる実話でもある
鑑賞後に特に思いを馳せたのは、ドン・シャーリーの孤独がいかなるものだったかということ
ヨーロッパ系アメリカ人富裕層を相手に商売しているにも関わらず、決して同じ人間とは認められずいたる所で差別にあう
一方で、同じ立場であるはずのアフリカ系アメリカ人からも好奇と嫉妬の入り混じった目で見られる始末
人種差別意識が色濃く残る当時の米国において、ある程度の地位を得たアフリカ系アメリカ人が感じるであろう本当の意味での孤独に胸が苦しくなる
だからこそ、性格や気質が正反対であるトニー・リップとの掛け合いの可笑しさや旅を通し友情が深まっていく様子に心を救われ温かい気持ちにさせられる
素敵で微笑ましい凹凸コンビ
最後のシーンとエンドロールで涙がこぼれそうになるくらい(こぼれてはいない)にはのめり込んで観ていた
お薦めです
万人向け、分かりやすいですが。
その時代のアメリカで いかにマイノリティが窮屈な思いをして活きていたか、が描かれています。今の大統領の政策へのハリウッドの意思表示というか、本当にあったのかどうか疑わしい?LGBTの問題も絡めて。中途、二人を助けるのが民主党の某政治家なのも意味深ですね。
映画そのものは単純に愉しめるロードムービーです。脚本も及第点で・・・とはいえ、脚本賞をとるほどか、は疑問ですが(笑)。主役の二人の熱演もあり、丁々発止、二人の会話のリズムにも笑ってしまいました。
ただし 黒人ミュージシャンへの扱いのひどさは ちょうど60年代初めに来日したアートブレーキーなどのジャズミュージシャンがさんざん語ってきたことですし、一方でアメリカのショービジネス=ハリウッドも含めて・・・いかにイタリア移民が大きな力を持ってきたか、も有名な話です。この映画のラスト、クリスマスパーティーで流れてたのが やはりイタリア移民出のフランクシナトラですしね。
正直に云えば・・・この程度でアカデミー作品賞か、という憂いもあります。アカデミー賞候補の選出こそ、マイノリティへの差別だ、と喝破されたのが近日近年だったことも勘案したら。
たとえば 同じロードムービーでアカデミー作品賞を取った【真夜中のカーボーイ】とはとても比肩できないです。見終わった後の響き方が天と地ほど違います。
これは決して 映画少年だったその昔に名画座で独り心を震わせてみた頃と比べて 還暦近い今では心の琴線がさび付いてるわけではない、と思いますが。
複雑
日本人としては、ある意味単純に考えやすい映画だ。
かつてのアメリカの理不尽な人種差別に憤りを感じ、
その突破口となった2人の友情に胸を熱くする。
自らもイタリアからの移民でありながら黒人にマウントする主人公が、
雇用主と理解しあっていく姿には表面的には感動する。
一方、上流階級であるように見える黒人の主人公を慮る時、
その広がる深い闇に涙を禁じ得ない。
いい映画だったんだろうな、と思う。
この手の映画は数多い。
上記のように日本人としては単純な感想で済む。
当のアメリカ人はどのような感情で観ているのだろう。
トランプの如き大統領を誕生させておきながら、アカデミー賞?
素直に感動するだけでは済まず、複雑な感情が残る。
観たばかりだけどもう一度観たい
この映画に出てくるバディは、バディムービー史上かつてないほど凸凹の差が大きいコンビで、しかしそれを補いつつ、リスペクトしつつ関係を築いていく様子が、素直に良かった。
タイトルのわりに、この作品の中ではグリーンブックについて深く掘り下げたりしないが、そのようなガイドが存在し、必要だった、というだけで、充分ショッキングであった。
それと、ドクターの発した、「教養人ぶるために黒人の演奏を聴きにくる白人というセリフが、手厳しいけど、すごく良く分かりすぎてツラかった。
誰も本当に自分の演奏を聴きたくて聴きに来てるわけじゃない、そういうテイが欲しいだけ、というツラさにも共感したし、昨今のLGBTとかパラアスリートを取り巻く状況にも通じる所があって、ツラいです、、。
たとえ理解ある“フリ”だとしても、しないよりはマシなのか?
それは誠実じゃないから悪なのか?
じゃあ、そうと分かってそれに乗っかっている本人は…?
…いつの時代も答えの出ない問いです。
ヴィゴ・モーテンセンが、誰これ??レベルのキャラチェンを果たしていて、そのレンジの広さに猛烈にファンになった。オスカー獲って欲しかった。(けど相手がボラプのラミ・マレックならどうしようもない…)
コメディー的な間も素晴らしく、編集の良さもあるとは思うが、ケンタッキー州でのくだりは最高だった。🍗
ヴィゴの今後は追っていくことに決定。
人種問題を扱った映画としては、笑いがふんだんに盛り込まれていて軽く見えたり、2人がうまく行きすぎのようにも見えるかも知れないが、実話なのだからしょうがない。
気づきもあり、考えさせられもするが、幸せな気持ちになれる作品だった。
残念に思った点としては、音楽が時々スタートが早すぎて、直後の展開が読め読めになってしまう所があった。ベタを狙っての手法としてはあるのかも知れないが、おかげで時々興ざめしてしまった。
後から知ったけどピーター・ファレリー監督は『メリーに首ったけ』の監督だった。あの作品では死ぬほど笑わせてもらった。
とはいえ、『グリーンブック』という人種問題を扱った作品を作るのに、ピーター・ファレリー監督が最適だったのか私にはよく分からない。もっと良く作れた監督もいたかも知れないし、いなかったかも知れない。
でも他の監督であれば、このように軽妙でキャッチーなものにはなってなかっただろうと思う。好みの分かれるところかも知れない。
余談だけど、グリーンブックを作った人(グリーンさん)の物語もきっと様々な山あり谷ありだったことが想像できるので、映画になったら良いのではないかと思った。
さらにどうでもいい余談だが、訳が戸田奈津子さんだったのだけど、油断したころにお約束の「〜なので?」が出てきて噴きそうになった。そんな戸田さんが好きです。
俳優さんの演技を抜いたら普通
主演ふたりがメッッッッッチャ良かった。
アリータも最近見たのでそれでペラッペラの悪役を演じたマハーシャラアリと同一人物かと思わせるほど、教養があり思慮深く、背景に色々なものを背負ったドクター・シャーリーの演技が素晴らしかった。
そしてキャストを見るまで全然気付かんくらいゴツいおっさんになったヴィゴに衝撃を受けた…
始めはエー!って感じだったけどトニーの善人さがヴィゴの笑顔に滲んでてやっぱヴィゴめっちゃ好きやわ〜〜演技上手いわ〜〜ってなりました。
アカデミー賞の時のヴィゴは知ってるヴィゴになってましたね。
それ以外はあんまり印象に残らなかったな。
ちょいちょい面白いシーンもあったしいい映画だったな〜って感じなんだけど1週間したら忘れそう。
すごくサラッとしてて見やすかった。
最後のクリスマスのシーンがほんわかして良かったです。
骨の投げ捨て方
ヒラリと華麗に捨てる。後部座席でウトウトしてもお洒落な出で立ちを崩さない。酒に酔ったり、この映画の肝にあたる独白などでそれは崩れる。崩れるときのサマにならない居心地の悪さ。マハーシャルアリの真骨頂、見事である。
群れから外れた人の孤独は人種のみならず普遍的なテーマ。活躍する女性にも置き換えることはできる。この映画において、異種から仕打ちについては明確な行動として描かれるが、同種からの行動は控えめ。しかし、無言の眼差しは浴び、拒絶感に戸惑う。他方、異種は、興味は持つが、所詮異種としか認知しない。バーにて同種と和解したのかもしれない。しかし、ラストで、彼は同種への回帰ではなく、種の壁を超越する。
フライドチキンのくだりはこの映画のテーマを汲み取る名シーンでもある。よくできた本であるし、コメディ要素も多い。最後に連発する伏線の回収は少し技巧的かもしれないが。
観て良かった!
満点付けるのはどうかと…
テーマは重そうだが…
アラゴルンがステキな役者だった
扱ってる題材は重いのにとても観やすい映画だった。ここを見てくれぇーーー!的な演出が多い昨今。過剰な演出がなく役者の演技が光った。
アラゴルン大好きだった私ですが、ヴィゴモーテンセンの映画はあまり観たことなく、すごく良かった。トニーにしかみえない。
ピアノ弾いてるのでこういう作品には甘めですが単純に好きです。教養のないトニーが演奏を聴いて素直に感動するのも、心がある、て力説するのも。人間てハートなんだよな、て。
どうしようもない心の葛藤を吐き出した時に、かける言葉が見つからなくて何も言えないのは、リアルで良かった。お涙頂戴は冷める。
最後の公演最高だったと思う。ラストも涙と笑顔が出た。
6勤の最後の土曜日に見ても良かったと思える映画でした📽
「人生は単純じゃない」
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