グリーンブックのレビュー・感想・評価
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普遍的というかありがちなプロットでも完成度の高さは賞賛されるべき
差別が色濃く残る六十年代のアメリカで著名な黒人のピアニストがイタリア系アメリカ人の運転手と共に、更に差別が酷い南部にツアーの旅に出る物語。
ロードムービー・ふたりの男の友情物語・差別問題など取り上げられているプロットは普遍的でありつつ、散々取り上げられたものですが、心に暖かいものが残る秀作。
それは主演のふたりとその妻の3人の好演はもちろんのこと、手堅い演出や脚本によるものではないでしょうか。
ストーリー展開を思い返すと、ダメパターンを次々と回避していることがわかる。
例えば‥
・ふたりがけんかしても長びかない
・主人公が旅の途中で他の仕事に誘われても、運転手を続けることを早々に決意
・トリオの他のメンバーが裏切るなんてことはしない
・留守中に妻が浮気するなんてしない
・強盗に襲われてどっちかが死ぬとか重体なんてことは無い(この話のオチは秀逸)
数え上げたらキリがないが、これらの話しの1つ1つがすんなりと入ってくるからストレス無く感情移入できる。
簡単なようでみんなができない。だからこのような作品が賞賛を受けるのでは。
偏見との戦い
【実話】人種差別から学んでいく友情物語
人種差別が色濃く残る時代に黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手が出先で様々な問題にぶつかりながらも少しずつ友情を築いていく物語。
高級クラブで用心棒として雇われていたトニー・リップはクラブ改装を機にしばらく無職になり、黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手兼用心棒として雇われることになる。
出自も性格も全く異なる二人は、当初は衝突を繰り返すものの、出先で繰り返されるドクター・シャーリーに対する人種差別にトニーは自分事と考えるようになる。
揉め事を起こしたくないドクター・シャーリーは常に品よく振る舞おうとするが、トニーは人種差別を目の当たりにする度にいつしか彼を守ろうとする。
ラストはトニーの妻ドロレスがドクター・シャーリーを温かく迎えてくれたのがすごく嬉しかった。出先でトニーが書いたラブレターは彼の品の良さから来たものだと伝わり、人種差別を越えた深い繋がりを感じられた映画でした。
品格と人間性
暴力は敗北で、品格を保つことが完全な勝利と考える
世界的なピアニストでありながら黒人で、ゲイという二重のマイノリティを持つ主人公と、全てのことを100%で生きる、知識は浅く、教養も無い、イタリア出身の用心棒とのヒューマンドラマ
アメリカ南部を周るツアーにでて体験するのは、白人上流階級の教養人の完璧な品格と、差別的な人間性。対して用心棒は、教養の無い、お世辞にも品もないちょっと野蛮なイタリア人。
その狭間で思う、人となりの考え方。
世の中は、何をみて、何を思うか。これが全てであると思わされる。
理解することが人生を豊かにする
多くのレビューで類似作品として紹介されるフランス映画「最強のふたり」であるが、
構造こそにているが描いているものは全く違うものである。
本作「グリーンブック」と「最強のふたり」の類似点は、立場の違う黒人と白人が絆を深めていく構造である。
ただし、決定的に違うのは、「最強のふたり」は「不理解」がふたりの人生を豊かにしている事に対して、「グリーンブック」では「理解」が二人の人生を豊かにしているという点である。
「最強のふたり」の「不理解」というのは、「健常者」と「障害者」の不理解である。
主人公は首から下が神経麻痺により動かないが、周囲から障害者扱いされ気を使われることを疎ましく思っていた。
そこに、全く障害者であることに気をつかない男によって、人生の楽しさを取りもどしていく。
「グリーンブック」の「理解」とは、「黒人に対する差別」だ。
カーネギーホールに住む黒人の天才ピアニストであるシャーリーは、北米では白人と同等の扱いを受けていたが、差別が色濃く残る南部にイタリア系のトニーとともに公演ツアーを行う。
シャーリーが教養ある"白人"のような振る舞いであるのに対して、
粗暴でよりステレオタイプな"黒人"のようなトニーが黒人に対する差別と偏見の理解を深め、黒人/白人の立場を超えて友人としての絆を深めていく。
それぞれが立場を超えて絆を深める事で救われていくストーリーではあるが、「理解」と「不理解」と相反することが描かれていることが非常に興味深い。
米国の歴史がよくわかる
人種差別に過剰に気を使うと感じることがこれまでもあった人(自分もだが)その理由を痛感できる映画。
勝利は暴力ではなく品位によってのみ得られる。
心を動かすには才能だけでなく勇気も必要。
ドクの言葉が重く響く。
自分は品位を持ち続けられるか。
そう問う人が増えるといいなぁ。中高生のヤンキーにこそ見て欲しい映画。
なんで作品賞?
人種問題を背景に二人の男の友情を描こうとしたのだろうけど、色々残念。
冒頭で黒人が飲んだグラスを捨てるほど差別意識が強かったトニーがどう変化したのか。シャーリーがどういう人なのか、結局伝わらない。
差別に直面するシーンもどうも白人の妄想のような感じで現実の厳しさには程遠い。
何より残念なのは、シャーリーのピアノが(個人的に)鳥肌が立つほどハートタッチングなものではないことだ。
スパイクリーのブラッククランズマンの方がよっぽどいいのに、こっちが作品賞を取るってことはやっぱりアカデミー賞は白人手動なのかな、
おじさんが可愛い
カーネギーホールに住んでるってどういうこと?
人を信頼したくなる、そんな暖かい気持ちにさせてくれる映画でした。差別をテーマにしていますが、これはいつの時代もなくなることはないでしょう。立場の弱い者に偏見を持ち、攻撃したり不当な扱いをするのは、人間の本性の一部ですから。自身は道義的によくないと思っていても、周りの状況に逆らえないのも人間の弱さです。そんな理不尽な状況に敢然と立ち向かうふたりのおじさんがとてつもなく愛らしくかっこいい。二人に共通するのは「勇気」と「正義感」だと思う。ドンは「静」のトニーは「動」の正反対の性格だが、「勇気」と「正義感」では次第にぴったりとあっていくのが面白い。
差別の根深さや、上流階級のいやらしさ、人間同士が本気で向き合うことの大切さなどいろいろなことを感じさせてくれる作品でした。翡翠と手紙のエピソードが個人的にはとても好きです。
笑えてライトなのにジーンと来る映画!
本年度の米アカデミー作品賞を受賞しただけに
観やすくて、解りやすくて、メッセージ性もあって
今の時代に求められるものがギュッと詰まった作品。
人種差別問題が大きなテーマですがエゲツない暴力シーンも無く
説教くさいシーンもなく、重たい話でもない
本当にどんな年代の人が観てもジーンと来るいい映画です!!
生きてゆく上で本当に必要な強さや勇気は
争うことではなく、
誠実に生きて、挙げるべき時には声を挙げる!
それが誰が観ても伝わって来る様に作られた映画です。
多くの人に観てもらいたいな。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
ドクター・シャーリーを演じたマハーシャラ・アリが良い!!
アカデミーの助演男優賞取ってるし当たり前だけどね〜
黒人というだけでなくいくつもの重いものを背負いながら
それでも黒人の地位向上のために「顔で笑って」ピアノを弾き続ける
それと、あの手元はかなり練習したのかな〜〜
見事なワンカットの演奏シーン!流石です。
主演のトニーを演じるビゴ・モーテンセン!
こんな親父いるわ〜と思わせる!
ガサツだけど結構小狡くて、でも子供や家族にとっては良い人。
今、トランプを支持してるアメリカの地方の親父って
実はみんなこんな感じではないのかな〜〜
人は良いんだけど、視野が狭い。
トニー自身もイタリア移民出身だけど、
すっかりアメリカ白人の気持ちに同化していて
異文化の人々を理解しようとしない。
よく知らないまま、偏った情報だけで異文化の人々を毛嫌いしてる。
この映画の様に、異文化の人に直接接してみたら
なんだ、結構皆んな良いやつじゃんか!と
割と素直に理解してくれるのじゃないだろうか?
人種差別と言うと大問題に聞こえるけれど
「人と人」と考えると案外簡単に解決するのかも??
ふさわしい言葉が日本にはある
「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ。」
それにしても
毎回思うけどXmas映画はXmasに観せて欲しかった!
まあ、興行的はアカデミーに絡んだ方が儲かるんだろうけど
Xmas映画には
「今年一年、人として胸張って生きて来ましたか?」みたいな
そんな問いかけを感じるので
できればやっぱり、年末に観たかったです。
@もう一度観るなら?
「年末に大人のXmas映画特集でどこかの映画館でやってくれないかな!
絶対行くのに〜〜。」
じわじわと心温まる
画用紙に水彩絵の具を垂らしたようにジワジワ幸福感が広がっていく映画。
教養ある黒人とがさつなイタリアの白人という組み合わせが面白い。
シャーリーはどこまで黒人が受け入れられる世界になったかを確かめるため、また、芸術の担い手は肌の色に関係ないと証明するように、南部を旅する。
黒人のピアニストの音楽を聴きにくるのに、その音楽家にはレストランもトイレもまともな楽屋も使わせない。個人的には差別していないと嘘をつき、地域の慣習だからと言い逃れする白人オーナーたちに、憤りを感じていくトニー。
最後の白人警官のくだりは権力者が登場するなかでも唯一ホッとする場面だが、結局、誰でも人を色眼鏡で観てしまう危険性があることを示唆している。
観客のほとんどは「またシャーリーが差別される!」と身構えたのではないだろうか。「人を見た目で判断してはいけない」というシャーリーの台詞を思い出し、思わず身がつまされる。
とはいえ、この映画は【それでも夜は明ける】のように差別を重苦しいトーンで描くものではなく、あくまでシャーリーとトニーの心温まるロードムービー。
ケンタッキーフライドチキンを初めて食べ、黒人専用バーで笑顔を見せるシャーリー。
黒人の才能を妬まず素直に誉め、ゲイへの理解を示すトニー。
放埒だけど根はいい彼と接することで、孤独なシャーリーの「城」が崩されていく様子が微笑ましい。
互いに理解できないことを無理して理解する必要もなければ、それを押し付ける必要もないんですよね。そういう対等であることの難しさと大切さを、この二人は教えてくれます。
トニーが戻すと見せかけてくすねたのか、シャーリーがわざわざ買い戻したのかわからない翡翠の石。
それを握りしめながら「寂しくなったら自分から動くんだ」というトニーの言葉を実行したシャーリーと、奥さんの最後の台詞に温かな涙が流れた。
それにしても、ヴィゴ・モーテンセンがもう60歳なことに驚いた。
【ロード・オブ・ザ・リング】のアラゴルンが未だ鮮烈に記憶に残っているので、この映画のおでぶっぷりは強烈(笑)役作りだろうけど。
今まで割とハードボイルドな役が多かった印象だが、ケンタッキーではしゃぐシーンなどコミカルな演技もイケますね。煙草を吸う仕草もかっこいい。
マハーシャラ・アリはドラマ「4400」を観ていたとき、その個性的な顔立ちから記憶に残る俳優でした。最近の活躍ぶりに感慨深いものがあります。
友情物語として良作な作品賞
今年のアカデミー賞の作品賞ですね!
とは言え、元々ジャズピアニストの話で好きな俳優(マハーシャラ・アリ)も出ていたので前々から注目はしていました。
ただこの作品は色々批判も多くあって、アカデミー賞が社会風刺のためのものだという事も結構言われていましたが、作品自体は観てみないと解らないので、観てきました!
結果、
普通に良い映画じゃないですか!
黒人等の人種差別を描いた社会派の側面もありますが、メインはイタリア系の主人公トニーと黒人ピアニスト、シャーリーの友情物語といった内容であったので心暖まりました。
淡々としてはいましたが、好きなシーンも多いです。
主人公を演じた俳優は二人とも素晴らしかったです。
運転手のトニー役のヴィゴ・モーテンセンはロードオブザリングのアラゴルンを演じてたくらいしか知らなかったのですが、がさつだけど腰が強い運転手が見事にはまっていたと思います。
そして、ピアニスト役のマハーシャラ・アリは本当に素晴らしかったです。
この前観た「アリータ」では全然印象に残らなかったのですが、この映画を観て改めて素晴らしい俳優だということを証明されたと思っています。
好きなシーンとしては、
フライドチキンを車の中で二人で食べるシーンやシャーリーと一緒にトニーの妻への手紙を書くシーンは友情が深まっていく印象的な場面ですし、ラストシーンも、二人がどれだけ絆が深まったかを印象づける良い場面でした。
ただ、一部でのバッシングも分からなくもないです。
というのも、人種差別の部分は表面的過ぎたと思っています。
例えば、トニーも最初は黒人に対して差別的に扱っていましたが、何故そういった事をするのかがあまりよく描かれてなかったし理解が出来なかったです。
なお、僕がこの映画を観たのは投稿の5日前なのですが、観た直後は凄く良かったと思ったのですが、今は覚えてない場面も多いです。
それが何故かを考えたのですが、少し単調なのだと思います。
淡々と映したヒューマンドラマ作品でも「グッド・ウィル・ハンティング」とかだと名シーンもあって感動しました。
「グリーンブック」も感動的なシーンはあるのですが、残念ながら涙が出る程の感動が伝わって来ませんでした。
なので、めっちゃくちゃ好きだと言うわけではありませんが、観ていて心暖まる「友情物語」として楽しむ事が出来ました。
ただ、ほぼ同時期に公開された「運び屋」の方が良かったです。
のっけから最後まで
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