長いお別れのレビュー・感想・評価
全134件中、101~120件目を表示
山崎努の演技に支えられた作品
痴呆症が進む男性と、その家族の数年間の交流を綴った作品だけに館内は私を含め中高年の方が目立った。
痴呆により奇行をする老人、それにアタフタとする家族の姿は客観的にはコミカルで微笑ましくも見えますが、自身の将来に置き換えれば笑って良いものか考えさせられてしまいました。
徐々に記憶を失っていく老人を演じる山崎努の無表情な演技は、本当にボケたのではないかと思える見事なものでした。台詞の少ない山崎の心情は、妻や娘役の語りかける言葉で表現される構成は上手いが、それらは彼女達の言葉であり、父親の本音は我々が想像するしかないのでしょう。唯一心を通わせたかに見える反抗期の孫との交流が、もう少しきちんと描かれればもっと良い作品となったのではないでしょうか?
中野監督が魅せる家族愛
蒼井優と繋がりたい・・・
認知症患者数は高齢者の7人に1人とまで推計され、軽度まで含めると今や400万人を超える方が患っている。介護する人、家族まで含めるとほとんど全ての人が関係してくる問題とも言えます。そんな時代、『ばあばは、だいじょうぶ』のような入門編に加え、今作では大きな決断をも要求されるテーマを扱っています。誤嚥性肺炎とかも参考になったし、人工呼吸器に加え胃ろうの問題もあればもっと良かった。
「家に帰る」という意味。「繋がりたい」という思い。メインテーマとは別に、家族がそれぞれ抱える問題をも描き、笑いもあり、泣き所もあり、そして汚物処理などの介護の現実もグサッと胸に突き刺さりました。さらに病院におけるインフォームドコンセントが必要な時代なため、延命治療も重要なテーマ。病院から呼び出されて、処置を施してもいいかを尋ねられる経験をしているだけに胸が締め付けられるほどだった。そこを笑い飛ばす演出にしたのは賛否両論だと思いますが・・・
また、完成度の高さを感じる伏線の回収。遊園地の幼い姉妹、クッキー、紅葉の栞、漢字マスター、挙手など、あぁ使ってるなぁと感心するばかり。ちなみにネットでエリザベスを検索したら“易利薩伯”と出てきました。襟なんとかって、ちょっと変です。笑っていいのかどうかわからなかったのが、「上を向いて歩こう」を歌った直後に網膜剥離の手術後にずっと下を向いて歩いていた松原智恵子でした。
次女の麻里を演じた蒼井優は最高!もう日アカ女優賞は決まったかもしれません。そして山崎努も助演男優賞決定です。残念なのは、演技は問題ないのですが、竹内結子パート。アメリカに住んでいるという設定自体が不要。予算的なものもあるかもしれませんが、アメリカらしさを感じられませんでした。最後に出てきた左ハンドルのプリウスが最もアメリカらしかったほど。
やっぱり蒼井優の存在は大きい。宿題やって50円もらったエピソードもいいし、男運、仕事運に恵まれないところも。「なかなか繋がれないね」・・・そんなことはない!俺が繋がってやる~と叫びたくなる縁側での会話。それでもね、家族の繋がりだけじゃなく、認知症患者に対しては近所の人や旧友など、周りの人の優しさも大切なんだよ。道彦くんも良かったけど、彼も忘れっぽいから・・・
*家族が老いていくことの切なさといとおしさを描いた作品
現役時代は校長まで務めた知的な父親に少しずつ認知症の症状が現れる。その父親を世話する母と2人の娘たち。母、長女、次女が父との関わりの中でそれぞれが抱えている悩みや苦しみを織り交ぜながら、懐かしい思い出を辿り、そして気持ちを分かち合っていく。家族ならではの やるせなさ、温かさ、切なさをとても優しく描いた作品で、とても感動しました。
時折、クスッと笑える場面、静かに涙ぐむ場面、じーんと胸に迫る場面、、などなど細やかな描き方は中野量太監督の素晴らしさを感じます。
山崎務さんの言葉を必要としない表情だけの演技には圧巻です。松原智恵子さん扮する 品の良さの中にどこかズレたようなほわんとした母親が可愛らしく健気でした。夫をひたすら支え、尽くすという昭和の時代の典型例な理想の夫婦像が表現されていましたが、そのつながりに夫婦を超えた人と人との愛を感じました。
長女の息子(孫)との非言語の関わりにインターネットがそのつなぎ役をしているという今の時代らしい背景もうまく表現されていました。素晴らしかったです…!
前作より
心温まる作品だが
見なくても内容が分かる
個人的な上半期1番です
すばらしかったです!おそらく個人的な上半期1番になるかと!
キーヴィジュアルではあまり惹かれるものがなかったのですが、監督の前作もキーヴィジュアルも予告もいまいち惹かれなかったのに映画が最高に感動したので!今回もそれでした。
山崎さんが本当にたまりません!難しい役どころを自然に生きて、素敵でした。
夫婦、娘、孫、三世代との関係が丁寧に描かれていて、問題を抱えつつ不器用に活きる家族の様子がいとおしく、切なく、時々くすりと笑えて、本当に素敵な映画でした。
個人的には予告にもあったメリーゴーランドのシーンは、お父さんの視点というか情?が唯一見て取れて泣いてしまいました。
やさしい涙を流すことができて、家族に会いたくなる、本当に素敵な時間をいただきました。
家族を大切にしよう、そんな気持ちにさせられます。
名優の名演技光る
家族映画の傑作
愛される父親
誰かの為に。
父親の70歳の誕生日に母親からの呼びかけで姉妹共に約1年ぶりに実家に帰ったら、半年前から父親が認知症を患っていると知り、そこから巻き起こって行く話。
自分達の生活やそれに関する問題を抱えつつも、気にかけて行く姉妹に意に介さずな当の本人と当たり前に世話をする母親。
予告編やCMの通り、すっとぼけた笑いを交えつつ認知症患者と家族達を明るく楽しくみせて行く判りやすいドラマで、コテコテだし奇麗事だけど、温かく優しく日本映画らしくて面白かった。
とぼけているのか寝ぼけているのかということや、失念しているのかという様な出来事をたまーに感じるところから始まって行く認知症。
もっと軽度だったし期間も短かったものの自分も身内の認知症を経験したことがあるけれど…こればっかりはねぇ…。
現実はこんなキレイなものでもこんな気楽なものでもないし、本当に奇麗事だけれど、こういう優しさや温かさや愛情は忘れないでいたい、少なくともたまには思い出したいと思うよね。
笑い泣き、泣き笑い
予告通り、お父さんが痴呆になっていく話。
これだけで、ある程度はストーリーが予想できると思います。
私も母を亡くし、祖母は大往生でしたが、痴呆と延命治療の有無など経験しました。この経験は誰にでも当たり前に起こることなので、ちょっとしたシーンで涙が出ます。
さらに、家族の物語があります。
明るく淡々と当たり前のように介護しても存在も忘れられていく妻。
旦那と息子との関係に悩む長女。
仕事も恋愛も上手くいかない次女。
これもよくある当たり前の話ですが、どの目線にも共感できるので、涙が出ます。
ココ最近で最も泣けてしまいました。映画館で嗚咽寸前です。
が、、、暗い映画ではありません。
同時に、とても明るく楽しい映画でもあります。
映画館でも何度も笑い声がおきるので、ある意味コメディ要素もあると言えます。
最後のシーンにも笑いが起きました。
笑っていると急に泣けたり、泣いていると急に笑わせられたり。感情崩壊です。
とても気持ちのいい、後味のいい映画でした。
所々、昭和のの演出もありましたが、4人の俳優さんの熱演が良かった。また、セリフ無しで笑顔や手を挙げるだけで泣けてしまう演出には脱帽です。
全134件中、101~120件目を表示










