ゴッズ・オウン・カントリー
劇場公開日:2019年2月2日
解説
「神の恵みの地」と呼ばれるヨークシャーを舞台に、大自然の中で求め合う2人の孤独な青年の愛の行方を描き、ベルリン国際映画祭をはじめ世界各地の映画祭で高評価を獲得したラブストーリー。年老いた祖母や病気の父に代わり、家族経営の寂れた牧場を切り盛りする青年ジョニー。孤独な労働の日々を酒と行きずりのセックスで紛らわす彼のもとに、ルーマニア移民の季節労働者ゲオルゲが羊の出産シーズンを手伝いにやってくる。はじめのうちは衝突してばかりの2人だったが、羊に優しく接するゲオルゲに、ジョニーはこれまで感じたことのない恋心を抱きはじめる。ジョニー役に「ライオット・クラブ」のジョシュ・オコナー。18年11月3日からシネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催の特集企画「のむコレ」で上映され、19年2月2日から全国公開。
2017年製作/105分/R15+/イギリス
原題:God's Own Country
配給:ファインフィルムズ
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2020年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
"神の恵みの地"と呼ばれるイギリスのヨークシャーは、かつて牧畜業で栄えた地。しかし、今は斜陽の只中にある。そんな希望のない状況が、年老いた祖母や体が不自由な父に代わって、黙々と牛の世話をする主人公の青年、ジョニーの日常には現れている。また、ジョニーが恋に落ちる日雇い労働者のゲオルゲは、故郷のルーマニアでは高学歴のインテリだ。そんな彼が、わざわざヨークシャーまでやってきて牧畜の助けをしなくてはいけない状況には、ヨーロッパが抱える移民問題の根深さが伺える。共に出口のない日々を送るジョニーとゲオルゲが、一緒になって大地に根差し、愛を確かめ合う物語には、ヨークシャーを、またはヨーロッパ全体を、地球の大地を、再び"神の恵みの地"へ返そうとする明確な意思が感じられる。ラブストーリーとして秀逸である以上に、そこが、この映画を味わい深いものにしている。
2022年5月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD
■寂れた牧場をひとりで管理するジョニーは、身体の悪い父親の不在を補うべく、過酷な酪農作業をする日々を孤独を感じながら、酒と不毛な男性とのセックスで紛らわしていた。
ある日、羊の出産シーズンにゲオルゲという青年が雇われる。
2人は当初、衝突するが、羊に優しく接するゲオルゲにジョニーは感じたことのない恋心を抱き始ねる。
◆感想<というか、個人的経験と嗜好・・。>
・私が、ゲイ映画に嵌ったのは、学生時代に名画座で学友たちと鑑賞した「アナザー・カントリー」が切っ掛けである事は間違いない。
”一生、女は愛さない”という惹句に惹かれ、恐る恐る鑑賞したが、若きルパート・エヴェレットと、コリン・ファース(この方は、年齢を重ねても変わらない。凄いモノである。)の姿に一発でヤラレタ。
- で、おバカな男子大学生は”アナザー・カントリーごっこ”を始めたモノだ。ー
・だが、私には当時学友たちに言えない悩みがあった。
それは、高校時代の学友(男性)が私に好意を抱いてくれて、電車で数時間かけて私のアパートに頻繁に来ていた事である。
最初は、ビックリし”冗談は止めろ!”と言っていたのだが・・。(以下、自粛)
・だが、私はストレートだということは認識した。ケレドも、若き時の経験はその後の私の生活には影響を与えなかったが、映画ではゲイ映画に耽溺と言う程でもないが、グザヴィエ・ドラン監督や、トム・フォード監督作品他、数々のゲイ映画は欠かさず観賞して来た。
そして、どの作品も(一つだけ「性の劇薬」だけは除きたい・・。面白かったが。)面白く鑑賞した。
・今作が染みるのは、「神の恵みの地」(ゴッズ・オウン・カントリー)と称されるイギリス・ヨークシャーの荒涼たる大自然の中で、心を通わせていく青年たちジョニーと短期労働のためにルーマニアからやってきたゲオルグの姿に心を揺さぶられる事である。
最初は、馴染むことなかった二人が、羊に優しく接するゲオルグの姿を見たジョニーが彼に惹かれて行く過程である。
・そして、ジョニーが自らの牧場を去った、ゲオルグに再び、会いに行くシーン。
- ジョニーは、初めてゲオルグに真実の愛の言葉を伝えるのである、-
<私は、”BL”という言葉は余り好きではないのであるが、大自然の中、同性同士で愛を交わすのは分かる気がする。
(これは、私が30代後半まで、エクストリーム登山をしていた事も、寄与している気がする。)
そして、私にとっては近年で言えば「君の名前で僕を呼んで」を代表として、このジャンルの映画は、猥雑感は全くなく、素直に受け入れられるのである。
更に言えば近年、日本でも一部の都市で、同性婚を認めるようになってきた風潮。
日本の文化では受け入れられない地域も多数ある事は認識しているが、人間の生き方を許容する幅が徐々にではあるが、広がってきた事は、日本の文化成熟度が進化してきたのではないかと思うのである。>
<2019年3月 京都 新しく出来た出町座にて鑑賞>
<2022年5月 別媒体にて再鑑賞>
2022年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
主人公はイギリスで、寂れた牧場を一人で切り盛りしている。
羊の出産シーズンを迎え、季節労働者の男を雇い入れる。
二人は惹かれ合い・・・。
ちょっと苦手かな。
2021年4月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
あまりにアンモナイトの目覚めがよかったもので、ちょうど上映していたフランシス・リー監督作品を迷わず観賞。イギリスのヨークシャーの牧畜を営む家での話。アンモナイトの目覚めでは若い医者役で出ていたアレック・セカレアヌ。ルーマニア国籍だが、エキゾチックな容姿で、主人公のジョン(ジョシュ・オコナー)は初対面のゲオルゲ(英語だとジョージ)をジプシーか?と揶揄し、しつこく、ジプシーと呼ぶ。つい、ケイト・ブランシェットが愛を読むひとで演じたロマの人々を連想してしまいます。ゲオルゲは助っ人の季節労働者。飲んだくれで、なにをやっても適当で仕事に身が入らないジョンと半身麻痺の父親だけでは家畜の出産ラッシュの時期を乗りきれないと父親が判断したのでしょう。ゲオルゲは羊の出産立ち会いの技量が高く、命に対する細やかな心をもっていた。諦めずに蘇生し、仮死の子羊が息をし、すぐさま立ち上がるシーンは感動的だった。まるで獣医さんのよう。死産の子羊の皮を剥ぎ、別の子羊にそれを着せる。ちょっと残酷。プードルの冬の散歩?と思ってしまったが、おそらく、子羊の体温低下を防ぎ、産んだ母羊にも子供の匂いを嗅がせることが授乳に良い影響をもたらし、子羊の成育を促す効果があるのではないか?失った命も決して無駄にはしないルーマニア人の知恵なのではないかと思った。全くの想像ですけど。
羊のオマタに青いスプレー。何すんの? 「羊の薬買ったよ」って、ゲオルゲに嬉しそうに言うジョン。まさか、動物愛護団体の猛烈な抗議の的になるので、映像化できないアレ?
セリフが少なく、静かな映画。役者は細かい演技と思いきった演技の両方を要求されるので大変。対照的な二人を対峙させる脚本もアンモナイトの目覚めと良く似ていた。
お客さんはやはりご婦人が多かった。きっと、いくつになっても刺激的なボーイズラブ映画はやめられないんでしょうねぇ。わかる気がする。
おいらはもう一回、アンモナイト見よう!