「生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかある内の一つはこの作品に出会えた事です♪」男はつらいよ お帰り 寅さん マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかある内の一つはこの作品に出会えた事です♪
男はつらいよの新作が発表されてからずっと公開を楽しみにしてました。
奇しくも今年の2月にたまたま寄った柴又の「寅さん記念館」で今回の新作の撮影をされていたのに出逢う事が出来、山田洋次監督やスタッフの皆様、倍賞千恵子さん、前田吟さん、桜田ひよりさん達の撮影風景を傍らで見学させて頂いたのはラッキーかつ良い思い出です。
先行上映会の申し込みも外れて、早く観る機会が少なくなってきてますが、それでもその日が近づくにつれ、ワクワクとドキドキが大きくなってくる。
リバイバル上映で過去作を観ると余計にその期待感が膨らむ。早く寅さんにスクリーンで逢いたいなぁと言う思いが募る。
流行る気持ちを押さえながら、そして、何処で観ようかと考えたけど、やはり地元の葛飾のMOVIX亀有で鑑賞しました。
で、感想はと言うと、大感動。
ものすごく良かった♪
人それぞれに感想があるかと思いますが、個人的にベストに近いまとめ方かと。観ていて万感の思いが胸にギュンと来ます。
今までの作品のシーンとの構成はかなり練り込まれている感じでこの手のありがちの安易な回想作品ではなく、山田洋次監督の並々ならぬ寅さんへの思いと熱意が詰まっています。
甥の満男の物語が中心ではある事から、渥美清さんの体調不良からの満男を主軸にした第42作からの完結編でもあります。
なので、今までの寅さんを観ていないと正直分からない所がかなりある事やちょっと楽しめ難いのではないかと思います。
だからこそ、今まで寅さんを応援してきた人や寅さんが大好きな人へのプレゼントとしてと解釈。
集大成的な側面と番外編的な側面を持っています。
先に細かい事を書くと、正直余計かなぁと思える演出描写がなきにしもあらず。
出版社のトイレでの出川哲朗さんやサイン会での濱田マリさん。泉の前にサイン会に並んでいたオタク風なファン。
老人ホームでの立川志らく師匠の出番とかなんて、豪華と言えば豪華ではあるけど、正直要るのかな?と思えてしまう。
また橋爪功さん演じる泉の父の演出も正直やり過ぎな感じに思えます。泉の父親の一男は寺尾聰さんが演じられていたのですが、寺尾聰さんを起用出来なかった理由があるにしても名優 橋爪功さんの使い方としてはどうなんでしょうか?と感じます。
桑田佳祐さんが歌う「男はつらいよ」もいろんな宣伝を兼ねてと言うのは分かるけど、それでも違和感は感じます。
またエンディングで渥美清さんの歌うオリジナルが流れますが、そこにグッと来る分、桑田さんが露払い的になってるのはどうなんでしょうか?
かなり豪華な露払いですw
寅さんが大好きで男はつらいよに出演したい!と言う芸能人の方の思いもあっての出演の場面を増やしての大人の事情はそれなりに分かりますし、今までのファンだけでなく、新規のファン拡大を含み寅さんを観て頂こうとの配慮を考慮したとしても、ちょっとむず痒い感じがしなくはないのですが、如何でしょうか?
本当は細かい事を気にせずに楽しめばいいんですが、すいません。書いてしまいましたw
それでも寅さんをスクリーンで観れた事の幸せに胸が熱くなります。
おいちゃんもおばちゃんも御前様もタコ社長も亡くなってる。
くるまや(とらや)もカフェに変わってる。
裏の印刷工場はやってないっぽい。
さくらさん、博さん、源ちゃん、三平ちゃんは健在でタコ社長の娘役の美保純さんの出演が嬉しい♪
満男が小説家になってると言うのは「ALWAYS 三丁目の夕日」の茶川さんかい!と思いましたが、サラリーマンを辞めて小説家になる辺りは自由人の寅さんの血筋だなぁと解釈。
満男の娘のユリ役の桜田ひよりさんも健気で良い感じ。
編集者の高野役の池脇千鶴さんがとても可愛らしくて良い♪
満男の永遠のマドンナ、後藤久美子さん演じる泉との恋愛の行方も、このまとめ方が良いのではないかと。ベストではないけどベター。
互いを思いやりながらも結ばれないのは男はつらいよと言う作品の宿命でw、寅さんへのリスペクトと解釈。
リリー役の浅丘ルリ子役の出演はやっぱり嬉しい♪
寅さんへの思いや名場面が随所に出てくる。
泉の母親の夏木マリさんはある意味ボーナストラック。だからこそ寺尾聰さんを父親役として起用して欲しかった。
泉が母親の礼子と車で言い争うシーンから、礼子が癇癪起こして一人で帰ろうとしても満男が“お母さんを一人にしてはいけない。伯父さんならこう言うと思う!”と言う台詞は寅さんの思いを代弁してます。
一番気になっていたのは劇中で寅さんはどうなっているのか?と言う事。
亡くなっているのか?、それとも死んだと言う報せが無いまま、多分何処かで生きているのではないか?と言う事。
多分正解は後者で、死んだと言う報せは無いままに、またひょっこり突然帰ってくるかと皆思っている。今度は長い長い旅に出ているだけ。
劇中では寅さんの思い出は語られても、その事には触れられていない。優しい配慮です。
いろんな名場面も盛り込まれて、特に「メロン騒動」のシーンは今観ても笑えるし、劇場内でも盛り上がる♪
特に第13作目の「寅次郎恋やつれ」の回想シーンで吉永小百合さん演じる、未亡人になった歌子がとらやを訪ねてくる際に歌子への過剰な気遣いから“博!お前は死ね!!”と発し、それを止めようとするさくらに“黙れ!未亡人!!”と暴言連発w
もう大爆笑とそのテンポの良さに「これぞコメディの真骨頂!」を見ました。
他にもいろんな名場面が出てきて、知ってるシーンが写し出されると思わずニヤッとしてしまう。
「あー生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間生きてんじゃねえか?」
「好きだった態度で示せ!」
「困った事があったら、風に向かって俺の名前を呼べ。いつだって駆けつけてやるよ」
数々の名言に寅さんへの思い出が駆け巡り、いろんな思いが突き刺さるんですよね。
観る側のファン以上に共演した出演者の方はそれを感じている。そのシンクロが嬉しく、切なく、楽しい。
エンディングに近づくに連れて、この幸せな時間が終わらないで欲しい。
ずっと寅さんを観る時間が続けば良いのになぁと言う思いが強くなっていき、ラストで満男が外を眺めながら、寅さんを思い出し、涙を流すシーンはファンの気持ちを代弁したシーンかと思います。
今までのマドンナが登場し、いろんなシーンが写し出される。観る人それぞれに思い出はマドンナがいて、思い出の作品があるかと思います。
それを考えると涙腺が緩みます。
ある程度の歳になると昔を懐かしくなったり、古い物や味わい深い物に恋い焦がれるが、若い頃にはその良さが解らなかった。
それは未熟とも言えるけど、当時は振り返る程の経験も少なく、それ以上に未来は夢と可能性に溢れていた。
だから、いろんな経験が積み重なった今は昔を懐かしく思い、寅さんを思いやる気持ちが沸き立つ。それは人生の旅情に感じます。
現在の葛飾柴又の風景が写し出されても、昔と変わらない優しい風景でほっこりします。
いろんな思い出が優しく駆け巡る。
多分、これ以降の男はつらいよの続編は作られないと思うし、正直作らないで欲しい。
勿論、また寅さんを観れる事は嬉しかったりするけど、それでも今回の新作が集大成となり、幻となっていた完結編かと思います。
先日公開された「スター・ウォーズ:スカイウォーカーの夜明け」は「これぞ、大作映画!」と言う感じでしたが、この男はつらいよ お帰り寅さんは「これぞ、日本の映画!」と言う感じです。
一度は止まった筈の時間が再び動き出して、50年に渡る長期シリーズが完結する時をリアルタイムに目撃出来たなのが嬉しく思います。
「生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間生きてんじゃねえか?」
生まれてきて良かった。その何べんかの内の一つはこの作品に出会えた事です。
男はつらいよに関わられた全ての方に感謝。
亡くなられた渥美清さん、下條正巳さん、三崎千恵子さん、太宰久雄さん、笠智衆さん。
改めて御冥福をお祈りつつ、有り難うと言いたいです。
長文でまとまりの無い拙い文章ですが、50年の歴史を誇る男はつらいよの集大成。
お薦めです♪
またぞうさん
コメントありがとうございます。
お褒め頂きまして恐縮です。
いろんな感想があるかと思いますが、寅さんが大好きで、あの様な感想になりましたが一意見として捉えて頂ければ幸いです。
劇中での寅さんの生死に関しては、そこをハッキリと聞きたい訳ではないので、明らかにしてないのが個人的には優しい配慮で良いと思いました。
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
長文ながら読ませる感想ありがとうございます。言われる通り桑田佳祐や不要なゲストがマイナスですが、基礎点が高いので不問ですかね。
劇中での寅さん、当方も生死未確認なんだと思いました。
さくらや満男やリリーの言動から、おそらく…という感触もありながら、仏壇には写真がない。
確認はとれないけど確認もしたくない。そんなことかもしれないな、と思ってみていました。
masamiさん
コメントありがとうございます♪
二回目は亀有で鑑賞されてるんですね。
一階のポスターは4枚とも寅さんは自分も確認しました♪
柴又は自分も最近ご無沙汰ですが、今週中には久し振りに行こうかと思います。
鰻を食べに行かれて、休みは残念ですよね。
柴又は帝釈天の通り以外は普通の下町なので、他で食べるには味気無いのは分かります。
今年の正月は寅さん三昧してみようかと思います♪
また、お時間がありましたら、覗きに来て下さいね♪
マツマルさんこんにちは!
私も二回目は亀有で鑑賞しました。
電車3本、バス1本乗り継いで行きましたよ。一階の告知のポスター四つとも
寅さんじゃん!入場の時、寅さん記念館のチラシの配布!多分葛飾区民の誇りなんですね。
で、柴又へ!正月は激混みなんで12/30に行ったんです。鰻を食べに・・・
川千屋、川陣とも休み。まっ仕方ないですけど、長文ですみません。
近大さん。
コメントありがとうございます♪
また、お褒め頂きまして光栄です。
撮影風景を見学させて頂いたのは本当に偶然で、写真撮影なども迷惑がかかると思いしてないのと、公開されるまでは詳細の洩れになるかと思い、この事は誰にも言っておりませんでした。
倍賞千恵子さんが体調が優れない感じでおられたのですが、撮影が始まるとビシッとされてたのには流石だなぁと感動したのと、休憩の合間に寅さん記念館のいろんな催し物を楽しそうに眺めておられたのが印象的でした。
とにかく、同じ空間を共有させて頂いた事がとても嬉しかったです♪
またお時間がありましたら、覗きに来て下さいね♪