キックス
劇場公開日:2018年12月1日
解説
これが長編映画デビュー作となる新鋭ジャスティン・ティッピング監督が、ロサンゼルスを舞台に、奪われたスニーカーを取り戻そうと奮闘する少年の成長を、スラム生活の実態やスニーカーマニアのカルチャーを交えながら描いた。15歳の少年ブランドンは、クールなスニーカーさえあれば、現実から逃れられると信じている。しかし、必死に貯めたお小遣いで手に入れたお気に入りのスニーカーが逆に目立ってしまい、地元のチンピラたちに目を付けられてしまう。チンピラたちにスニーカーを奪われたブランドンは、2人の親友を連れてスニーカーを取り戻そうとするが……。主演は新人ジャーキング・ギロリー。共演に「ムーンライト」でアカデミー賞を受賞したマハーシャラ・アリ、ノートリアス・B.I.Gとフェイス・エバンスを両親に持つクリストファー・ジョーダン・ウォーレス。
2016年製作/87分/R15+/アメリカ
原題:Kicks
配給:SPACE SHOWER FILMS
スタッフ・キャスト
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2019年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
一見、女の子のような風貌の黒人の少年。それゆえに周囲から男らしくないと見られがちで悔しい思いをしている。だからこそ、かっこいいスニーカーをゲットして周囲を見返してやりたい。アメリカの黒人社会の男らしさに対するプレッシャーは日本よりもはるかに強い。強くなければ舐められる。スニーカーを奪われた少年は取り返し、男を上げてやると決意する。
しかし、そんな男らしさを求める、求められる社会は歪んでいる。殴ったり、物を盗んだりが男らしいのか。マハーシャラ・アリ演じる主人公の叔父の言葉に少年は逡巡する。
『ムーンライト』にも描かれたような、黒人社会のマッチョイズムに対する批判がこの映画にはある。スニーカーを取り戻すことで男として成長するのか、それとも人間として成長するのか。この通過儀礼が意味するのはなんだろう。
男は男らしくなければいけないのか。そもそも男らしさに暴力に必要だろうか。とても現代的な問いかけだ。
2021年5月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD
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ヒップホップが好きな人に向けて作られた感じがします。リリックが随所に散りばめられ、黒人社会のライフスタイルの描写も多いです。
話としては
主人公が貧しい中、やっとの思いで手に入れたスニーカーをギャングのフラコに取られ、それを取り返す過程でことが大きくなって事件が勃発していく話です。
軸はあくまで主人公なので、
人が死ぬ描写は結構アッサリ過ぎ去ってきます。
自分の中で結構良かったのは最後の場面で、
靴を取り返した主人公に
フラコがやり返しに行く描写で、
最後は主人公が一人で戦うんですが
フラコが息子の前で殺されてもおかしくない状況になっても
主人公は殺しはせず、立ち去ろうとして
結果主人公はフラコにボコボコにされて終わります。
フラコも息子の前で主人公を殺さず
カルマを終わらせて
スニーカーを取らずに立ち去る姿が
筋を通してる感じがして結構好きでした。
(実際はそうは終わらないと思いますが…)
あの宇宙服の存在がイマイチ
わからなかったんですが、視聴2回目で
スニーカーで自信を得たり、
銃、周りの友達や親戚に頼りっぱなしの主人公が、
フラコをスケボーでぶん殴ったら
宇宙服も倒れて消えてったので
主人公が自分のことを自分で尻拭いした事で大人になったこと、
自分ではない別のもので自信を持とうとしていた殻を破ったのを意味したのかなと思ってます。
自身はヒップホップが好きなこともあり、好きな映画の一つです。
限界が近いアメリカのダウンタウンと滅多に限界を超える事のない日本では、全く感覚が違うもんだけど、危険なほどカッコ良く見えるのが不思議だ。
2019年1月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
これは成長の痛みを感じる青春ものだった
主人公の少年ブランドンは、貯めていたお小遣いで、どうしても欲しかったジョーダンのスニーカーを買う
しかし、買ったばかりのスニーカーは町の不良に奪われてしまう
そこで、ブランドンは友達を連れてスニーカーを取り戻しに行くのだが…
たかがスニーカーの奪い合い
だけど、それがきっかけで、抗争になったり、銃が出てきたり、死者が出てくる話に発展していく
正直、そのすさみっぷりには、マジかよってビビってしまうけれど、それが、アメリカの貧困層の現実なんだなと思った
その中で、主人公のブランドンは少年から大人へと成長していくのだけど、そのためには、様々な痛みを伴うことになる
それが日本人だったら、社会へ出て、責任を負うことを知り、時に失敗しながら、大人へと成長していく
しかし、この映画に登場する少年たちは、それをストリートで学んでいく
奪われたものは、自分の力で奪い返すこととか
自分の身勝手で友達を巻き込んだら、その友達を傷つけられた落とし前は自分でつけるとか
そうして痛みを感じながら、彼らは大人になっていく
それは、まるでヤクザの世界に似ているけれど、彼らが暮らしているコミュニティが、そういう世界なのだ
だから、そんな社会で生き残っていくために、彼らはそうやって、自分の力を見せつけていくしかない
ヘタレの私は、絶対、そんな地域から抜け出したいと思ってしまうけど、彼らはそこ以外に住める場所がないのだ
そこから抜け出すには、バスケ選手や、ラッパーになって成功するしかない
そんな、アメリカのブラックコミュニティの現実を見せつけられた作品だった
追われても、痛めつけられても、這い上がる
そうやって、彼らは大人になっていくのだ