峠 最後のサムライのレビュー・感想・評価
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新たな日本を誰より見たかった男の最後の悪あがき!!
侍の世が終わりを告げようとする時代。そんな空気感を誰よりも敏感に感じ、新たな日本の夜明けを見据えていた河井継之助。
そんなの継之助視点から描く、激変の日本。
西洋文化を柔軟に受け入れてきた男が、その想いとは裏腹に、自分の侍としての立場が邪魔をする。誰よりも新たな日本の姿を見たかった男が、それが叶わぬ方向に向かっていってしまうもどかしさと、葛藤をじわじわと描いた人間ドラマ。
そのため、侍のチャンバラ映画だと思って観ると失敗する作品だ。
日本を代表する新旧役者陣の緊迫感のある掛け合いという点においては、十分に見応えはあるのだが、チャンバラがないというのも合わせて、全体的に地味な画が続くため、エンターテイメントとしての見応えは全くない。
若い世代の心を打つような要素は皆無であるし、こういった時代劇でありながらチャンバラの少ないドラマ重視作品を好む層というのがいなくなっているのが現状。
そんな需要の変化が、皮肉なことにタイトル同様、最後に向かっているような気がしてならない……。
映画としての構成は破綻しているため、歴史好きという人が辛うじて楽しめるか……といったところだ。
役所広司は時代劇がよく似合う
2022年映画館鑑賞31作品目
7月15日(金)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
原作未読
原作は『梟の城』『御法度』『関ヶ原』『燃えよ剣』の司馬遼太郎
監督は『雨あがる』『博士の愛した数式』『蜩ノ記』の小泉堯史
脚本も『散り椿 』の小泉堯史
幕末
大政奉還
西軍にも東軍にもつかず藩を中立する形で和平の道を目指す夢を見た長岡藩家老河井継之助の物語
出だし序盤まあまあ
中盤まあまあ
戦のシーンも良い
だけど終盤なんだかなあ
雑に感じた
丁寧さに欠ける
モヤモヤした気分
古今和歌集に押し切られた形だ
城を奪い返すくだりはカッコよかった
役所広司の声が大きい
現代劇より時代劇の方が向いている
河井継之助に役所広司
継之助の妻・おすがに松たか子
継之助の母・お貞に香川京子
継之助の父・代右衛門に田中泯
徳川慶喜に東出昌大
長岡藩の旅籠屋の娘・むつに芳根京子
のちに洋画家になる絵描きが上手な長岡藩の若い藩士・小山正太郎に坂東龍汰
河井の幼馴染で長岡藩士の川島億次郎に榎木孝明
長岡藩軍事掛・花輪求馬に渡辺大
長岡藩軍事掛・山本帯刀にAKIRA
継之助に仕える従僕・松蔵に永山絢斗
継之助の友人で小山正太郎の父の長岡藩藩医・小山良雲に佐々木蔵之介
濁沢村の阿弥陀寺に住む月泉和尚に井川比佐志
戦火のなかで孫を抱える老人に山本學
土佐藩軍監・岩村精一郎に吉岡秀隆
前長岡藩藩主・牧野忠恭(雪堂)に仲代達矢
太陽に向かう烏
豪華出演陣による再現ドラマ
僕の故郷の有名人のお話。見ないわけにはいきません。かといって、本人のことを大して知らない不届き者の私は勉強のつもりで鑑賞です。
結果、がっかりしちゃいました。うーむ、カッコいいセリフと場面を繋げただけな気がするドラマなんですよね。「このエピソードいいよねぇ」をただ羅列したような・・・・・。河井継之助の人となりが全然見えてこないのです。人物像が全く薄味で・・・。なんだかなぁなんですよね。
あぁ、だからこう考えるのかぁ・・・ってのが皆無で「これやりました」「こうなりました」ばかりで、人間ドラマにすらなってないのです。最後のサムライ最後のサムライって・・・「一体どういう意味の最後なの?」って言いたくなります。言葉をフューチャーしすぎて一人歩きしすぎてない?不勉強な僕としては、「なぜ身分がなくなる世を予測していながら、見通し暗い判断をしたのか?」この理由を知りたかったなぁ・・・。
観賞後にネットで河井 継之助情報を見たレベルの僕がいうのもなんですが、民衆から反旗を翻されたこともあるはずですが特に語られずで。なんともやっぱり「美味しいとこだけお届けします」感が否めないんです。
何はともあれ、オラが街の英雄映画にしすぎじゃない?新潟県が最大限支援しているようですが、あまりに「英雄にしてください!」って要望出しすぎたんじゃなぃ?なんだろう・・・もしかして観光戦略映画なのか?・・・だったらそれはそれでアリかもね。
こんな点数つけたくなかった
原作の大ファンです。
読みすぎて表紙はボロボロです。
なので、映画化が決まった時に本当に嬉しかったし、劇場で見られることを心待ちにしていました。
しかし、この内容は良くない。ガッカリを通り越して、怒りが湧いてくるレベルでした。
申し訳ないが、時代背景や河合継之助、そして原作への理解が全く足りていません。
ものすごく浅いところだけを描いているとしか言いようがなく、原作へのリスペクトが全く感じられなかったです。
自分は今まで見た映画でこんな点数をつけたことはありません。でも、今回は本当に許せないと思いました。
こんな作品にするなら映像化しないで欲しかったです。原作大ファンの自分からしたら、この作品は冒涜しているとしか言いようがない。
良質な映画、だからこそ多少難解か
地元長岡の数少ない有名人の映画ということで、数年前から、公開を楽しみにしてました!
コロナ影響の公開延期を経てついに。
役所広司、松たかこ、永山絢人などなど、演技が素晴らしかった!
河井継之助の先進性や公平性、忠義さ、視野の広さ、かなり優れた人物であったことも分かり、とても誇らしい。
まさにラストサムライの名にふさわしい英雄。
しかし、やはりこのご時世でもあり、戦争のシーンは見ていてツラい。しかも敗戦。
冒頭の徳永慶喜の独白シーンの長さに飽きてしまったが、あれはあれで演出上意味があるのでしょう。
ところどころ、何が言いたいシーンなのか考えねばならず、多少難解かもしれない。
それにしても映画館は満席であった。
いわば地味な日本映画にここまで人が集まるのは素晴らしい。
何目当てで観に来られたのか皆さまに聞いてみたい。
ありの〜ままで〜
数多くの映画が公開延期になった今日。
日本映画の中で最も延期を余儀なくされた作品が本作であろうし、公開延期になった日本映画も本作でラストではなかろうか。
役所広司×司馬遼太郎ということで割と楽しみにしていた作品。ようやく見ることが出来ました。映画館で公開することにこだわり、ここまでたどり着いてくれたことに感謝です。そして、恐れ入りました。この時代にここまでの本格時代劇が見れることに感激です。
あまり歴史に詳しくない私にとっては、少々難しい表現があったり、無名の人物を描くにしては尺が短かったり、色々な懸念点はありましたが、時代劇としての質はかなり高く、見応えもあって、やはり映画館で見れてよかったなと思えた作品でした。歴史は面白い!もっともっと知識を深めたい、そう思わせてくれた作品でもありました。一作一作、すごく長いですが、是非とも司馬遼太郎の原作も読んでみたいものです。
役所広司含め、豪華キャストが光っている。
小さな役でも華やか。同じく司馬遼太郎原作の、昨年公開された「燃えよ剣」では山田裕貴が演じていた徳川慶喜。本作では東出昌大が演じていますが、こちらもとても良かった。私の徳川慶喜イメージはまさにこんな感じ。気弱そうだけど、実は心がしっかりあって気品のある人物。山田裕貴の追い込まれて投げ出すような慶喜もいいけど、東出の自分を押し殺しながら大政奉還について語る慶喜もいい。とまぁ、こんなほんの数分しか登場していない人物にもしっかり焦点が当てられており、非常に上手く描けている。人物描写が長けています。
もちろん、主人公の河井継之助についても中々よく描けています。先程も言ったように、2時間だと少し物足りないなという印象を受けましたが、それでも2時間の中でしっかりと彼の魅力が伝わってきました。カラスのように、昇っていようと暮れていようと太陽に向かって突き進んでいく。その言葉通り、未来の日本を常に妄想しながら生きていた継之助に心打たれました。知られていない人物にもドラマがある。「大河への道」でも語られていたように、やはり表に立っている人だけが全てじゃないんだなと改めて感じさせられました。
ただ、中だるみがちょっとキツかった。動きにキレがなく、少し緩やかに話が進んでいくのには眠気を誘われてしまいました。全体的に静かなんですよね...そこが不満点。しかし、ラスト際にはいいセリフがたくさんあって。中でもお貞が言われた「愛するとは、一緒に同じ方向を見ること」という言葉が、私の胸をグッとしました。
でも、本当にいい時代劇でした。
自分の知識と理解力さえあれば、もっと評価は高くなったかもしれない。歴史好き、役所広司好きには大いにオススメしたい作品です。機会があればぜひ。
ラストサムライ
役所広司の気迫一本槍
原作未読で、主人公である河井継之助のことも全く知らなかったが、コロナによる度々の延期を経て、やっと公開されたこともあり、結構期待感を持って観た。
大政奉還後の混乱の時代に、官軍とも幕府軍とも異なる第三の道を目指す人物がいたことに、まず驚く。海外から最新兵器を輸入し、今で言うとスイスのような「武装中立」を目指したのだろう。しかし、「外交力」は弱かった。官軍への嘆願書の取り次ぎを頼んだが、断られ、結局は全面戦争に突入する。あれだけ、民のために戦を避けると言っておきながら。
一度は奇襲により城の奪還に成功したものの、戦力差には抗えず、敗走し、自身も傷を負う。それでも最期まで、後世の人たちに評価を委ねるとして、自ら信じる義を通す。
とにかく全編、役所広司の気迫がみなぎっている。気迫一本槍といった感じ。その分、人物像の深みや厚みには欠ける。河井の先駆的な発想の源となった洋学の修養や、西洋人との交流といったエピソードにもう少し触れられていれば、理解しやすかっただろう。
松たか子をはじめ、他の出演者は、どれも特別出演といった感じ。松たか子の踊りでの手さばきはきれいだった。
最後の方は駆け足で、ラストもあっけない感じ。もう少し余韻がほしかった。石川さゆりの歌はよかったけど。
越後長岡藩牧野家 河井 継之助の物語
ご家老。あなたはあなたの信念をこの藩に押し付けられますか?
その言葉を、この映画の製作陣にそのまま返したい。
いいのか、こんな時代劇作って。筋書きどころか、時代考証だって破綻してるでしょ?
この世代の映画人がよくやる、「現代の価値観の押し付け」に辟易している。だいたい、予告で継之助が「武士はもう、俺が死ぬが最後よ」なんて言ってる時点で、何自己陶酔してるのか?と冷めていた。でも、司馬遼太郎の原作をどう仕上げるのか興味はあった。
ようやく重い腰を上げて見に行ってみると、衝撃の駄作。だいたい何、画家になれとか、オルゴールとか、そいうのいらないでしょ。その伏線の回収さえ満足にされていないし。家老だったら月代は剃った方がいいんじゃない?とか、軍監岩村は土佐弁使わないと横柄さが伝わらないでしょ?とか、ガトリング砲の意味を伝えてくれとか、次から次へとイラつかせてくる。
継之助の人物造形にも不満が多い。だいたい、継之助享年42歳に対し、役所広司66歳。当時すでに老練な駆け引きができる年齢であったとしても20歳以上離れた役者をつかうのは、違うのではないか。それは、今の40代の役者には、重みのある役ができる人がいないとでも暗に言っているようなものだ。しかも、分別盛りの穏やかな人物で描いている。違うでしょ。言葉汚く言えば「武士の体面気にして領民を巻き添えにし、ガトリング砲なんて局地戦でしか使えないバカ高いもの勝手に買いこんで、実現性の乏しい武装中立なんて理想論掲げた、我の強い人」でしょ。「侍の道を忘れ、行うべきことをせねば後の世はどうなる」と部下に諭すなら、その言葉をさっさと逃げていった藩主に言ってほしい。玉体でもあるまいし、戦国の世なら戦場にいて鼓舞するのが藩主の役目でしょうが。会津中将を見習ってほしい。だいたいその会津の共闘依頼さえ、なあなあであやふやにし、気を持たせた罪な長岡藩じゃないか。
そして、継之助の青年期の諸国遊学を描かなければ彼の見識の高さも、なぜ慕われたのかも伝わってこない。そりゃあ理解の助けになるのなら、多少の創作性はあったほうがいい。だけど、あれを見た客が、また時代劇を見たいと思えるのか?大事なことがことごとく抜け落ちているこの映画は、時代劇の恥だ。
かたちこそ・・・・・
既に3年前に完成していた本作がコロナ禍により公開が延期され、漸く日の目を見ました。
良くも悪くも基本に忠実に、外連味なく誠にオーソドックスに作られた作品です。
会話シーンはBGMなく静寂の中に声音を画面中に響かせます。あるワンカットを除いて寄せの顔アップのカットは一切なく、観客の目線の高さからの引いたカットで終始します。奇を衒ったローアングルや俯瞰ショットもなく、最近よく見かける手持ちカメラも一切使われていません。
カットは殆どがフィックスで引いた長回しが多用されていて、BGMのない無伴奏の自然のままの、室内での二人だけの抑揚のない会話シーンが、特に前半は非常に多く使われます。
本作は本来的に対話劇ではないので、残念ながら個々の会話に含蓄や凝った伏線もなく、またサスペンス性もなく、主役の河井継之助が相手を変えながらも淡々とした会話のやり取りが繰り返されます。
官軍が襲来して愈々戦さのシーンが始まり物語に大きな変化が出て来るまでに1時間弱の尺を使っていて、観客には退屈で倦怠感が募ってしまいます。
司馬遼太郎原作小説は、独特の司馬史観に基づき、主人公とその取り巻き連の数名から十数名の人となりや生い立ちや成長話を、長期間に亘って丁寧に緻密に描き込んでいき、時には各々のエピソードの膨らみが独立した物語にもなるような、その時々の歴史を、時空も行き来しつつ様々な視点を駆使して描き出しています。
そのために、2時間程度の映像に仕上げるには、よほど大胆で独断的な切り口で脚本化しないと、結果的にテーマが不明確で中途半端な作品になってしまいます。
本作の主人公、越後の譜代大名:牧野家が統べる小藩・長岡藩家老・河井継之助は、幕末動乱の中、佐幕でも勤皇でもない第三の道を模索し目指そうとしながらも、結局力の差で挫折し、哀れにも歴史から消されていった、ある意味で天才的策略家ともいえる一方、時勢を見極めきれなかった愚か者ともいえます。無名の人だけに描き方しだいで如何ようにも捌ける作り手にとっては垂涎の素材です。
原作のように正気と狂気の狭間で沈思し懊悩し熟慮し苦悩する孤高の人に仕立てても良し、巨大な歴史のうねりに大胆に棹差そうとした無謀なギャンブラーとしても良いでしょう。
前述のように、前半があまりにも悠長なテンポで捉えどころなく進行しただけに、後半一気に戦闘シーンばかりが展開し、そのままエンディングになってしまうと、観客は何だか消化不良の印象だけが残ったように思います。
私は、難解ながらも、継之助と妻のおすがによる、倫理を弁えた男と女の、蒼白くも静かに煌々と燃える夫婦愛の物語であろうと思えます。激動の時代の流れに翻弄されなければ、穏やかに睦まじく全うしたであろう男と女の本質が見えてくるのは、ラストに詠われる和歌でした。
「かたちこそ 深山かくれの 朽木なれ 心は花に なさばなりなむ」
悲哀と悔恨が根底にありつつ、気高い覚悟による悟性に満ち、不思議な幸福感が漂う気がします。
満足に出来ないなら映画化するなって。
司馬作品でもベスト3に入れたい愛読書であり、好きな歴史上の人物ベスト3に入る河井継之助。それをよくもまぁこんな駄作に仕上げたもんですわ。
平和でもなんでもなく彼は長岡藩が生き残るために行動しただけに過ぎない。それを現代の価値観に押し込めるなんてのは歴史学のもっともやってはいけないタブー。
今までこの禁忌を犯した映画がほとんどやったけど、今作品もやはりか、とタメ息しか出ない。司馬遼太郎の全作品にも現代の価値観は一切触れていないのに、勝手にテーマを変えないで頂きたい。我々は原作を熟知した上で映像作品を見に行くのだが、いくら小説と映画は別物と申しても、こうまでテーマを変えられるとタイトルを別のものにすればいい。安易に司馬遼太郎や峠とか出さないでほしい。
そして河井継之助という人物、幕末という時代、その時代その時代による価値観というものをもう一度しっかり勉強しなさい。元々商業的にヒットするような大衆娯楽映画じゃない、興味ある人だけ見て下さい的な映画やねんから、万人受けすることしか考えないこれまでの映画とは違う撮り方をすればいいのにな。
期待して
司馬遼太郎さん原作映画に、アマチュア アルバイト脚本家を起用した監督・製作サイドの冒険心と勇気に感銘した。
今年封切映画では、1or2の期待作で、楽しみに鑑賞したせいか? 僕のハードルが高かったのか?
原作は中学生時に読んだが、
本作脚本家は原作を1度だけ流し読みしただけで、
気の利いた"セリフ"を幾つか、メモをした程度なのだろう。
原作を少しも 読み説いてはおらず、"司馬遼太郎さんらしい点"は表面的なセリフでのみ点在しているだけで、
塩を塗しただけのモノは、料理の味にはなっていない。
武士をテーマとする映画なのに、端役の数人以外
家老という重鎮:主人公ほか、すべての主要人物に月代(さかやき)がないのは驚きだ。
その内、茶髪や赤い髪の毛が,登場するのではないかと期待したが、それは無かった。
それもこれも 桂を買う金も、床山さんやメイクさんを入れるお金さえもない、
学芸会インディーズ映画なのだから、しょうがないと思うしかないのだろう。
"時代考証"という概念を知らない製作者側は登場人物をみな西洋人の様に、手を振って歩かせているし
河井継之助と妻の顔が近づくと。。。キスでもしでかすのではないかと
ハラハラしたが、デコピン!
江戸時代にデコピンは坂本龍馬でもあり得ません。
もちろん、男女が手を握って歩くこともありません。
巨匠:黒沢監督が残した"黒沢組"
どの人も どの人も 凡才ばかり。。。
師匠が巨匠過ぎたので、当時は何も考えずに、言われたままだけの動きをしていたのだろう。
残念ながら、世界の巨匠遺伝子を継ぐ者はどこにもいない。
時代劇に必修である"自然を綺麗"に映そうとしている試みは理解できたが、
NHKの4K,8K映像を見過ぎてしまったせいか?
色の深みを感じられない。 カメラは絞って撮影して欲しかった。
唯一観るべきものは 光と影の扱い方だ。
和室に影の陰影は重要だ。 観るに堪えがたい映画の中で、一矢報いて、芸術的な面を魅せてくれた。
また"わだち"が写り込んでいなかったのも、もうひとつの良い点だった。
この映画を観たら、寅さんでも観れば、満足してもらえて、良いのではないだろうか。
「サムライの美徳」とは?
少し前までの幕末から明治維新に対する認識と言えば、薩長土の開明的な勢力が旧幕府側の保守的な勢力を打倒して成し遂げた正義の革命とするのが常識であった。しかしその後、薩長の横暴さが広く知れ渡り、決して明治維新は正義の革命などではなく、旧幕府側に同情する見方も多くなってきたと思える。この「峠 最後のサムライ」は、そんな旧幕府側の視点で幕末の動乱を描いたものだ。河井継之助は道理を弁え、時代の趨勢を把握している。こんな人物が新しい時代の主役であったら良かったのにと思ってしまう。しかし時代は薩長軍に味方した。平和を追求する河井に対して、薩長軍は横暴な武力統一を目指す。誰が見ても薩長軍に道理はなく、朝廷の威を借りた悪党共にしか見えない。歴史は勝者が作るものだと言うが、その通りである。万策尽きてやむを得ず戦争に突入した河井の無念さがよく伝わる。
「最後のサムライ」という副題が、この作品の性格を良く表している。確かに武士=サムライは江戸時代と共に滅んだ。しかしその精神には、現代では薄れてしまった多くの美徳がある。河井継之助の名言がいくつも出てくるが、その意味を考えながら「サムライ」の美徳を学びたいと思わせてくれる作品でした。
全181件中、61~80件目を表示














