誰がために憲法はあるのレビュー・感想・評価
全8件を表示
想像力
新元号が令和となり万葉集からの出典と聞かされても最初に感じた個人的な印象は未だにぬぐえない どうしてもダブル ミーニング的なものを感じてしまう それを思うと言葉のもつ字面や響きはとても大切なものだと思わされる 令和の中で暮らしていると平成の時とは違いどこか緊張を覚える 何も変わってないはずなんだけどな···
憲法改正に注目が集まっている最中 一体どれ程の人達が危機感を持ち得ているのだろうと思わされる選挙率の低さ所詮他人事だと思っているのか諦めなのか取り返しのつかないことになってからは遅い そんなところにこの映画
「誰がために憲法はある」を観た
朗読劇による戦争の惨禍を断片的に捉えたドキュメンタリーと憲法を擬人化した語りで話は進められる 原爆投下による惨状の様子を語る声はどこまでも悲痛だ 人間の皮膚が失われて内蔵がポロリと落ちるなんて···想像してみても追いつかない それでもできる限りの想像をすることはとても大切なことであり この想像力が今の時代は本当に失われてきている気がしている 戦争が始まったら自分以外の誰かが戦ってくれると思ってる 言い方は悪いけど平和ボケしている世代が増えているわけで 何故まず自分が戦いに行くという想像が働かないのか みんなそう自分のこととして捉えなくては他人事ではないんだと そしたら自ずと答は見えてくる とても単純な話が国を交えると とても複雑になってくる 憲法くんが日本人にとって如何に守りの要となっているのか今一度よく考えてもらう意味でもこの映画は大きな役割を持つ
私ももちろん平和ボケしてるんです
偉そうなことは言えないことは重々承知の上で
終戦の日 日本に還ることもなく一度も会うこともできなかった亡き祖父のことを思う 二度と繰り返してはならない出来事 痛みを胸に切なる祈りが恒久に続きますよう
映画としては不十分
憲法の前文は素晴らしい。そして、シニア世代が9条死守に込める執念は伝わる。その部分に何も言うことはない。
しかし、映画としては、ぶつ切り過ぎて、あまり良い出来ではないと思う。まとまった流れがあるのは、渡辺美佐子へのインタビューだけだ。
せっかく映画の形態をとっているのに、なぜ朗読劇をもっと長回しで、しっかりと映さなかったのだろうか? 貴重な映像遺産になったはずなのだが。各女優へのインタビューも中途半端で、逆に冗長な感じさえする。
これでは、Nスペのようなテレビ番組と何も変わらない。ドキュメンタリー映画なら、あまり恣意的に編集することは控えて、じっくりと対象の生の姿を浮かび上がらせて欲しい。
体験者の左派的な作品
戦争体験者の渡辺さんが朗読 解説 当時の体験談を語る作品だがこの憲法は我々が先の大戦を反省し自ら描いたものではなく日本側が中々旧憲法の一部を変えた物しか作らなかっので米国が日本を一時的に無力化させるために呈示したものを左派勢力が守ってる矛盾 登場者はいかにも体験者やその娘世代の年配者で男性人や若い人達は一切登場しない 昔の武器 兵士は侵攻 戦争をするためのもの 今の兵器 兵士は防衛 戦争を抑止 しないようにするためのもの状況は異なるのだが!?
全ては憲法の全文に。
【日本国憲法】と聞くと誰もが一瞬身を怯んでしまいがち。
しかし、渡辺美佐子さんが【憲法くん】となり、一人語りで語りだす内容は非常に理解しやすく胸を打たれた。
そして【憲法全文】を読む限り、今の日本国家は【憲法違反だらけの国】になっていることに気付かされた。
小学校・中学校・高校の
【観賞教育】で上映されるべき作品だ!
これだけ立派な日本国憲法が押し付けでは無く、寧ろ全ての世界に通用する素晴らしいものなのだと今更ながらに教えられました。
作品と出演者、スタッフ
【憲法くん】に感謝だ
日本国憲法の精神
日本国憲法を押し付けられた憲法と言う人がいる。しかしピタゴラスの原理やアインシュタインの一般相対性理論を、押し付けられた原理だとか、押し付けられた理論だとか言う人はいない。日本人が考えたことだけが正しい訳でもないし、日本人にあっている訳でもないのだ。
日本国憲法のもとになったのはポツダム宣言である。ポツダム宣言は、ナチスドイツが降伏したあとで、その後どのように戦争を集結させるかについて宣言したものだ。そこには、最新兵器を用いた近代戦争である第二次世界大戦が世界中に大きな被害をもたらしたことに対する反省があり、人類として二度と戦争の惨禍を起こしてはならないという決意がある。
日本国憲法で最も大事なのは前文で、平和主義と国民主権、福利の享受者が国民であること、それに基本的人権を明記している。アメリカの憲法に倣っているのかもしれないが、非常に格調の高い文章であり、日本が世界に誇れる素晴らしい憲法前文である。
多くの人々が多くの人々に「愛している」と言う。「愛している」という言葉が同じであることを問題にする人はいない。誰が誰に向かって言うのか、どのような覚悟でそれを言ったのか、言われた人がどのように受け止めるのかが言葉の本質である。憲法の字面を挙げて押し付けという人は、憲法の本質を知らないのだ。
渡辺美佐子さん演じる「憲法くん」によれば、日本国憲法が制定されたことを、日本国民はとても喜んだそうである。戦争が終わって、これまでは専制と隷従の世の中だったのが自分たちが主権者であるとなった訳だから、喜ぶのは当然だ。戦争は違法行為であり、戦争をする人は犯罪者なのだ。戦争は断固として拒否しなければならない。戦争の惨禍を知る人々にとって、どれほどこの憲法が有難かったかがわかる。
これからは自由の恩恵を受け、国のためではなく自分のために生きていくことができる。自分の自由のために他人の自由、他国の自由を尊重し、協力して平和な世界をつくる。そのように決意したという言葉を、戦争の被害を受けた日本国民は厳粛に、そして大いなる喜びを持って受け止めたのだ。当時の国民にとって憲法は、天から授かった宝物のようであったに違いない。
映画を鑑賞したその夜、日本維新の会の衆議院議員丸山穂高が、北方領土について「戦争で島を取り戻す」と発言したニュースがあった。戦争を知らない35歳の東大出の官僚あがりの議員である。憲法前文を読んだことはないのだろうか。戦争の惨禍がどれほど恐ろしいものであったのか、憲法前文に世界中のどれほどの反省が込められているのかを知っていれば、もしかしたらこのような発言はしなかったかもしれないが、そこは本人以外にはわからない。
ポレポレ東中野は年配の人たちで一杯だった。若い人たちは、こういう映画に関心がないのだろう。残念に思いながら、渡辺美佐子さんが朗々と読み上げる憲法の前文を聞いているうちに、自然と涙が流れた。憲法を日本語として作成した人々は、敗戦の忸怩たる思いを捨て、日本人という変なプライドも捨て、その他あらゆるこだわりも捨てて、心を穏やかに澄みわたらせてから作成したに違いない。憲法の精神を理解する人が多いほど、この国が戦争を起こす危険は小さくなると思う。
渡辺美佐子さんは、原爆の朗読会を続けながら訪れた広島で、敗戦の前の同級生水永龍男くんの集団墓碑に花を手向ける。老いたその姿は、かつて戦争によって断ち切られた淡い恋に、心密かにときめいていた少女が蘇ったようだ。その美しい嘆きに誰もがもらい泣きするだろう。日本中に観てほしい、素晴らしい映画だった。
憲法前文の朗読がこんなに心地よいなんて・・・
まずは映画配給会社・太秦(うずまさ)が凄いと思う。これほど良質作品、また問題作まで世に送り出している会社に敬意を表したい。
映画は日本国憲法を擬人化した「憲法くん」の一人語り。芸人松元ヒロが20年以上演じ続けてきている舞台だ。これを俳優の渡辺美佐子が演じているのだが、80代の彼女のトーンは年齢を感じさせない、透き通るような美しさのため、うっとりするくらい心に響いてくるのです。ただ、この12分の一人芝居だけでは映画が成り立たないので、女優仲間たちと続けている原爆朗読劇とそのインタビューにより構成されている。
この憲法くんが語る中にも「アメリカから押し付けられたんじゃない?」とか、「70年も経ったのなら古くなったんじゃない?」などの疑問にも丁寧に答えてくれます。
ただ、思うのは自民党の憲法改正草案を見る限りでは、時代に逆行して古めかしい日本国を作ろうとしか思えない内容だ。元号が令和に変わった今、平成天皇も仰っていた「象徴天皇であること」を今上天皇も引き継いでいましたが、自民党の草案では「天皇を元首とする」とハッキリ書いてある。平和主義のお考えであられる天皇がこれを利用して軍国国家にするとは到底思えないのですが、これを利用する政治家は必ず現れる。そして最大の争点である第9条自民党内でもまとまってないのでさておき、現行憲法の基本は「国民主権、戦争の放棄、基本的人権の尊重」の3本柱であるが、自民党の草案を読めば、これらがことごとく破壊され戦前もしくは大日本帝国憲法へと逆行しようとしていることは否めない。憲法は古いから時代に流れに乗った形でと主張しつつ、むしろもっと古臭いものにしようとしてるのだ。
アベちゃんも2020年には新憲法を施行したいとか豪語してますけど、「議論は十分なされた」などと嘘ばっかし言って誤魔化すのはやめましょうよ。そもそも悪い政治家を監視する役割を果たすのが憲法なんだから、アベちゃん自身が改憲の最右翼になること自体が憲法違反。9条変える前にアメリカ大統領の三選禁止みたいに総理大臣の三選も禁止という項目入れてくれたら納得がいくと思うよ。
今の世の中がおかしいのは、護憲だとか反戦だとかを唱えると、ネトウヨの方から「サヨク」だの「パヨク」だのと攻撃されることが挙げられよう。中立でありながらも非難されると、意見を述べる人も委縮してしまい、本音を言えなくなるいやーな世界でもあります。面白いもので、「南京事件」を持ち出せば必ず反論として「通州事件」を切り出してくるし、ネトウヨたちの反論もワンパターンで可哀そうになってくるほどです。そうした歴史修正主義者の中には「日本人は戦争で人を殺したことがない!」などと力説してくる人も実際にいたりします。
ちょっと話が逸れましたが、後半には原爆朗読会と彼女たちのインタビュー。原爆投下直後の悲惨な様子が被害者目線で語られ、女優たちの口調が何とも言えない響きをもって胸に熱く突き刺さります。そんな中でも、大橋芳枝さんの父親が語ったという「戦争で死ぬくらいなら、戦争に反対して死ね」という言葉がぐさりと心にナイフを突き立てられ、俺もこの言葉いただき~てなくらいに記憶に留めておきたい言葉となりました。
「戦争は二度と起こしてはならない」という言葉に誰も反論できないのと同じで、70年以上戦争をしなかった日本に対して誰も悪くは言わないことでしょう。そんな心の拠り所になるのが日本国憲法なんだと感じました。美しい日本語で語られた憲法前文に思わず涙してしまった。
憲法記念日
憲法記念日だからではないが、折角、横浜で上映してくれるというので出かけてみました。なかなか良かったです、特に日本国憲法の前文なんて意識して見返したこともなかったので噛み締めるように渡辺美佐子さんが朗読している姿は心に染みました。
全8件を表示