女王陛下のお気に入りのレビュー・感想・評価
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エンターテイメント派には・・・
オリヴィア・コールマンとイギリスものが気になるので、見に行ってみた。
女同士のドロドロが苦手な上に、映画にエンターテインメントを求めるライト派の私には、少し合わない映画だった。誰も幸せにならないし。
メインの女子は、3人とも癖がありすぎて、賢くて、したたかで、愚かしい。それなのに、なんとなく彼女たちそれぞれに寄り添うような気持ちになってしまう。それぞれを愛おしいとさえ思えてくる。
こういう風にみてる側に思わせる力を、演技力と言うのかな。
音楽もとても印象的で、すごく不安になったり気持ちを揺さぶられる。そういうのもちょっと苦手な感じだった。
おごれる者は久しからず
現代の悲劇詩人
美しさと醜さが堂々と同居する歪んだ空間
ランティモス監督の前作『聖なる鹿殺し』が私は本当に生理的にダメだったので、ちょっと警戒しながら観てみたら、今回はかなり良くて勝手に安心した次第で…
じゃあ何が良かったのかと考えてみると、あくまで個人の意見だけれど、
監督の持つ技法やセンス="終始画面からはち切れそうな不穏な雰囲気を醸し出す感じ"
が、女同士の静かな闘い(しかも思ったよりドロッドロで下世話)や時代背景と融合していたからだと思う。
例えば、(撮影技法に明るくないので間違っているかもしれないが)魚眼レンズや広角レンズで捉えられた世界は、
「宮廷」というとても閉鎖的な空間を覗き見しているような客観性と背徳感を同時に感じるように思われたし、
彼女たちのいる世界の全ては、様々な意味でとても狭くて窮屈なのだと感覚的に訴えてくる効果を感じた。
画面そのものの大半はパッと見ると、時代こそ少しズレるがレンブラントの絵画のような、劇的なショットが散りばめられていてとても綺麗。
室内の調度品や衣装美粧に関しては本当に息を呑むほどの美しさ。
バロック音楽の響きもいい。不穏な雰囲気マックスになると、ずーっと同一の音をチェロかな?弦楽器が奏でていて美しくて不気味という素晴らしさ。
ゴブラン織か何かで沢山覆われた壁や、宮殿の整えられた庭や、女たちのドレスやアクセサリーのきらびやかな質感…
乗馬や狩りの際のスタイルも格好良かったし、個人的にサラさんの眼帯スタイル…めちゃくちゃ綺麗でした。目の保養。ありがとうございました。
さて、物語の中心は感情的で人生にも女王の立場にも疲れ切っているアン女王の寵愛の行く末である。
足の具合が悪いことや肥満も原因のようだけど、車椅子に乗っている女王はもはや自己の制御が利かなくなっていて、
車椅子を押す者=最初はサラ・最後はアビゲイル
によって実質支配されている哀しさや醜さを視覚的に見せている。
サラとアビゲイルのやりとりの様子は、相手には直接的というよりは遠回しな表現とか行動で表していくので、陰湿といえば陰湿。
2人が狩りをするシーンが特にもういやらしさ満点で好きだった…サラがアビゲイルをけん制するようなことを言えば、アビゲイルが撃った鳥の血がサラにかかったりとか…
あとは、最後は勝った?かのように思われたアビゲイルには、常に物理的に「落下」のイメージが付きまとっていて、どこまでもわかりやすく不穏な描写でよかったなあと。
まず登場シーンか馬車で落下だし、ハーリーに脅される所も屋外で蹴落とされるし、途中所々上り詰めていくに連れて階段を「上がったり」するんだけど、お部屋から下がるシーンが多いので必然的に降りていくシーンが多い。
きわめつけは、ラストシーンではないだろうか。立っているアン女王と、しゃがんで足を揉むアビゲイル。
足を揉む=途中からプラス女王への慰めサービス付きと解釈できると思うのだが、そう考えたらこのラストもめちゃくちゃ不穏だしスッキリしない。
アビゲイルは上り詰めたように思われるけれど、女王には立場はもちろん、物理的にも"下"に居て、下のお世話もするしかない。下世話だけれども。
かつて「梅毒持ちの兵士に体を売るくらいなら…」なんて言ってたけど、
結局前にいた売春宿とやっていることはほぼ変わらないのではないかと思うと、
果たして彼女は"上り詰めた"と言えるのか?と思ってしまう。
また、このシーンではうさぎと女王とアビゲイルのショットが重ねられるのも特筆すべき点で、
冒頭の方では女王が足の具合を悪くした晩の、女王とアビゲイルとサラの3人の様子が重ねられていたが、
ラストではうさぎに変わっている。
うさぎはアン女王の子供たちの代わりであるだけでなく、多産と繁栄の象徴としても昔から捉えられていることも踏まえると、
アン女王とアビゲイルの行く末を暗示するにはあまりにも皮肉すぎて滑稽。
この辺りは監督のセンスなんだろうな…
それを考えると、一度は売春宿に拾われてアビゲイルと逆転したり、最終的に宮廷から追い出されたりしても、いつもサラからは気品を感じるのは何故だろう…
女王に対してのサディスティックな一面や、公務において容赦なく人を切り捨て強引に意のままに操る面は「悪女」なのかもしれないけれど、アビゲイルと比べるとちょっと違う印象だった。
おそらく彼女の多才ぶりや、国家や女王のために働いているような面が感じられたからだと私は思う。
ラストで窓の外を見遣る視線のキリッとした美しさ、私はかなり強く焼きついたシーンだった。
後から調べたら、史実でもその後も資産運用したり、政治界を裏から支えたり、バリバリ活躍してたようなので流石生まれ持った資質が違うお方なのかも…
最後に個人的な感想を。
・カツラ姿の男性陣の見分けが割と途中までついてませんでした…ハーリーもマシャムもみんな頭もこもこやん…
というわけで、もしかしたら話を盛大に勘違いしてたら怖いな…
なんとなく議会のシーンでホイッグ党=黒髪、トーリー党=白髪のひとが多め?と思ったけど合ってます?
・章分けしてたのは意味があったのか…?タイトルも台詞をそのまま持ってきた感じだし…
章で区切りがちな監督というと、私はラース・フォン・トリアー監督のイメージが強くて、めっちゃ長丁場だしタイトルも意味深な感じだなあと思ってるので、それに比べるとなんなんだ?と思ってしまった。
・某サイトでアビゲイル=サークラ女子と書かれていて、めちゃくちゃ腑に落ちた。
この映画、英国王室という巨大国家レベルサークルをクラッシュする女の話だったんや…これあながち間違ってないと思う。
アビゲイルちゃん、「国がどうなろうとわたしには関係ない」ってはっきり言い放ってたもんなあと…
面白さがわからない(少しだけネタバレ)
なぜかあまり面白くなかった。気持ちが高ぶらないというか。どっちかというと観ていて疲れが…というのが正直なところだ。
なのでこれはレビューではなく感想文でしかない。
確かに主演、助演の三女優の演技は素晴らしいと思う。誰が主演で、誰が助演かわからない位、伯仲していた。
一ヶ所だけ引き込まれたシーンがある。
それは、アビゲイルにアン王女を寝とられた(?)事を知ったサラが動揺しながら廊下をさ迷う場面だ。ここは、もっとアップでサラの表情が観たかった。
この映画を楽しめなかった原因は、たぶん自分にこの映画の舞台背景や時代背景、又この手のジャンルの映画についての素養が備わっていないからに違いない。
そこを少しでもなんとかするために、これからこの映画を楽しめた方々の絶賛レビューをゆっくり拝見していきたいと思っている。
女優3人の演技がすごい
キャスト、衣装、セット、全てが豪華でした
ストーリーはドロドロ、それがまた面白かったです
孤独感を抱えるアン女王、その女王を操るサラ、野心だけのアビゲイルの3人の女性
最初は不運なアビゲイルを応援しながら観てましたが、途中からあまりの野心家に応援する気持ちも失せてきました
女王を操り自分の思うままに政治を動かそうとするサラの方に女王への愛情があったのではないかと思います
現実世界でも自分の耳に心地良い言葉ばかりを言う人よりたまには厳しい事を言ってくれる友達の方が信用できますもんね
とにかくアン女王の抱える孤独感が悲しすぎました
皆さんのレビューにあるよう女優3人の演技が素晴らしいですが、ホッとさせてくれるニコラス・ホルトがとっても良かったです
豪華な衣装や宮殿には眼を見張り、圧巻のオリヴィア・コールマンをはじ...
豪華な衣装や宮殿には眼を見張り、圧巻のオリヴィア・コールマンをはじめとする芸達者な出演者達の演技はとても素晴らしかった。ただストーリーの前半は面白かったのだが単調で最後はこれで終わり?という中途半端な幕切れだった。
女の権力闘争
人類にとって民主主義の歴史は浅い。
共同体の最初は王政だった。文明初期の治水権をはじめとした諸権利を持つ者が共同体の王となり、王政のもとでは当然のごとくヒエラルキーが定められ、共同体は国家となり、国家の価値観がそのまま人々の価値観となった。差別は当然で、そもそも差別という言葉さえなかったに違いない。ヒエラルキーの下層にいる人々は不満しかなかっただろう。中には生に倦み、絶望して死ぬ者もいただろうが、大抵は生への執着を捨てきれず、恐怖と不安と苦しみの毎日を死ぬまで生きたに違いない。
時代が下って人々の連絡手段や交通手段が発達すると、不満を持つ人々の連携が生まれる。連携は連帯となり、やがて革命が起きて共同体は違う権力者によって統治される。初期の革命で成立した政治体制は、まだ十分な民主主義とは言えなかった。そして現代に至っても、民主主義は完成途上である。フランス革命のスローガンであった、自由、平等、友愛が実現されるにはまだまだ困難な道のりが残っている。
革命によって民主主義体制になっても、婦人参政権の実現は遅れた。イギリスでは、映画「Suffragette」(邦題「未来を花束にして」)に登場する20世紀初めのサフラジェットたちの活躍を待たねばならなかった。他にはもっと遅い国もあり、スイスでは婦人参政権が認められたのは1991年のことである。わずか28年前のことだ。
アン女王が統治した18世紀のはじめは、政治家は当然ながら全員男で、女は男に対して失礼があれば服を脱がされ鞭打ちの罰を受ける。女性差別も甚だしい時代だ。女たちはひたすら蹂躙されながら生きていた。唯一政治的な権限がある女は、他ならぬアン女王ただひとりである。従って女王の側近の女たちは国中で数少ない権力を持つチャンスのある女たちだ。もちろん自分自身で権力を持つことはできないが、アン女王を取り込めば権力者同然に振る舞える。
本作品はそんな女同士のエゲツない権力闘争を赤裸々に表現したものだ。脅しすかし、苦言と甘言、場合によっては肉欲にさえ訴えて、アンのお気に入りになろうとする。愚劣極まりないが、こういう権力闘争によって歴史が作られてきたのは事実である。人類の歴史は即ち負の遺産なのだ。
役者陣はみんな演技が達者で、エマ・ストーンももちろんだが、女王役を演じたオリビア・コールマンの演技が秀逸だった。サラを演じたレイチェル・ワイズとともに、スクリーンに広がる圧倒的な存在感で女の情念と女の計算高さ、そして女の肝っ玉を見せる。差別され虐げられてきてもなお、人類の存続の片棒を担ぎ続けてきた女というものの強かさをこれでもかとばかりに見せつけられた気がした。
怖かった~
全てあとの祭り
従順な味方がいつ危険な敵に変わるとも知れないんだから。毒っ気たっぷり。
鑑賞後の虚脱感はピカイチ。
アビゲイルののし上がり劇に興奮したのも束の間、だんだん出てくるやり過ぎ感とツケ払いが痛かった。
レディの立場を取り返したところで何かその先に目的があるわけではなく、絵に描いたような堕落と油断がやるせない。
最初はその野心的な姿勢に「いけいけー!蹴散らせ蹴散らせやっちまえ!」と応援していたものの、描き方が少し変わった途端に「やり過ぎでは?サラが可哀想…」と掌返す我々観客への皮肉が刺さる。
ただ見ているだけで何を偉そうに。申し訳ない。
常に寂しくて自分自身を悲観し人が妬ましくてたまらない女王陛下アン。
歯に衣着せない物言いの友達側近サラとの日々に突如現れた、甘い言葉を囁き全てを包み込み肯定し楽しませてくれるアビゲイルにどんどんハマっていく様が分かりやすい。
突拍子もないことを言い出したりするとはいえ、何を求めているかが分かればその心の内に入り込むのも案外容易な気もする。
大好きな二人が自分を取り合い牽制し合う様子が愉しいのはなんとなく分かるかも。
ただの脆い人と思いきや案外強い部分も見え隠れして、流石女王と言いたくなる。威厳って大事。
友人兼側近として常に女王を支え、参謀として実権力をモノにしていたサラ。
夫の戦績への欲なのか国のことを本気で考えているのか、その過激な金策は良いとは言えず、まんまとそこを利用されてしまう。
独占欲は強いが特に悪いこともしていない彼女の陥落は終盤見ていて少し悲しくなった。
愛に飢え権力に飢え、それぞれに喰われた女たち。
こんなはずではなかった、正しいことを言っていたのは誰だったのか、信頼は得られないと、諸々に気付いたところで全部全部あとの祭り。
共依存的関係が解消されると開放感と消失感が交互に襲ってきて辛いだろうな。
あの後のことを考えてもなかなか絶望的な生殺し状態が続きそうで背筋が震える。
この手の話になると必ず「女は怖い」などと安易に言う声が聞こえてくるけど、スポットの当て方が違うだけで皆同じだと思う。
敢えて言うならこの人たちが怖いだけ。
ハーリーの多方向から攻めてくる政治戦略を中心に置いてもまた面白そう。でもこの人はかなりまともなこと言ってるか。
普通の女は腕力では男に勝てないけど、アビゲイルはマシャム大佐に対して常に手の力で勝ち伏せていたところが好き。
わざとらしいオーケストラの宮殿音楽にどこか現代的な柄の混ざったご婦人たちの衣装、響くアクセサリーの鳴る音が素敵だった。
全体に漂うポップな不穏の空気は流石。とても好き。
舐めてもいいが甘く見ると後悔する
女性同士の駆け引き男はかなわない…❗
後味が悪い。
宮廷内の俗物的な醜さと人間臭さがいい
エマストーンの、成り上がり!
エマ・ストーンまさかの@@!
auマンデー
半世界と迷いましたが、アカデミー賞最多ノミネートって事でコチラをチョイス
日本ならバカ殿を影で操る重鎮と奥女中から側室まで成り上がっるまで愛憎劇のイングランド版
宮中の異様な雰囲気や衣装に、変な人々・・・
それらを誇張するようなBGMが耳に残っる女の嫉妬と執念の物語。
エマ・ストーンのギリギリショットが多いて思ってたら、終盤まさかのサービスショット(#^.^#)
それプラス、エンドロールのデザイン構成で、 元は取れたかなって作品でした。
エマ・ストーン、今年は助演獲っちゃうのか!?と思いつつも、オリビア・コールマンか、レイチェル・ワイズのどちらかはオスカーを手にしそうな予感!?
☆3.8
一筋縄ではいかない豪華絢爛宮廷絵巻
昨年の私を不穏にさせた映画ランキングベスト3に入る「聖なる鹿殺し」を撮ったヨルゴス・ランティモスの宮廷絵巻は、若干マイルド(分かりやすく)なったとはいえやはり一筋縄ではいかないブラックユーモア。
我儘、無知、それでいてどうしようもなく傷付いている女王を争う2人の女。オリヴィア・コールマン演じるアン女王の表情の変化と台詞の陰影に圧倒される。すごく駄目なのにどうしようもなく惹かれる感じを持っている。
エマ・ストーンの絵に描いたような野心家っぷりに男前過ぎるレイチェル・ワイズ、2人の争いは思いの外醜いとか滑稽とかいうより、哀れというか...。
そして最終的には勝った、とみえた者が実はどんどん追い詰められていた、という暗示。争いというのは哀しいものだなあと思ったり。
3名ともオスカーノミネートを果たしたオリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンの演技合戦は本当に観応えたっぷり。男たちの存在感のなさよ...!それが一番滑稽だったかもしれない。
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