アルキメデスの大戦のレビュー・感想・評価
全534件中、401~420件目を表示
サスペンスドラマの一級品
「これは、数学で戦争を止めようとした男の物語 天才数学者VS戦艦大和」という、深刻で大仰なキャッチコピーからは、壮大な戦争大河ロマンを想像してしまい、戦争を止めようと粉骨した男の、その反戦のための虚々実々のドラマという先入観を抱いてしまいます。
冒頭の「大和」沈没の、臨場感に満ちた迫力ある凄惨なVFX映像の長回しによって、観衆は一層その念を強めて本編に導かれます。
しかし本作は、帝国日本海軍に於ける、軍備方針の異同に基づく予算計画を巡る内部党争劇であり、本質的には戦争映画ではなく、二つの派による組織内抗争を、両派の理論面の天才技術者同士の対峙をクライマックスの頂点として描いたサスペンスドラマにして、一方の天才を主人公に据え、その視点で終始した舞台劇ともいえます。
従って、ドラマは会議室や執務室といった室内での会話や作業が主体で展開し、アクションもロマンスもなく視覚的なヤマ場が皆無で、原作の漫画ならともかく、映画館の大画面で見せるための映像化には、本来非常に高難度なストーリーです。
これを2時間10分に亘って、観衆を殆ど飽きさせることなくスクリーンに惹きつけ続けたのは、偏に山崎貴監督、及びスタッフ、特にカメラマンと編集者の力量と技量に依ります。
冒頭のVFXによって、いきなり観客の度肝を抜きハートを鷲掴みにしたこと、
単調になりがちな室内シーンは当然寄せが多くなりますが、人物を上手か下手かに置いて微妙に中央からずらした構図にして、観客を何となく居心地の悪い落ち着かない感覚にしたこと、
人物のショットはやや仰角気味が多く、画面に緊張感をみなぎらせていたこと、
カットを細かく小刻みに割っていくことで、テンポの良い小気味いい展開にしたこと、
平板な話に緊迫感を漂わせ、観客に手に汗握る感を強めさせるために、(常套手段ではあるが・・・)主人公の活動に厳しいタイムリミットを設けたこと、
これらの技法は実に見事です。
主人公である天才数学者・櫂 直(かい ただし)が無我夢中で取り組む白熱した作業プロセスは、使命感や義侠心というよりも、恰も数学の難題を解くことに陶酔する、いわば狂気に偏執した一人の人間ドラマとしての崇高さと、相手を見事に出し抜く痛快さに溢れており、観客はこれに魅了されるのだと思います。
クライマックスである方針決定会議での、両派による、時にエモーショナルに、時にロジカルに進める権謀術数の駆引きは、将にスリルに満ちたマキャヴェリズム同士の全面対決であり、愈々訪れる両派の技術者間の対峙は、天才マイスターの情熱と天才エンジニアの矜持が相争う最高の興奮を齎し、その後のカタルシスによってエクスタシーが最高潮に達します。
ただ、此処に至って、本作の真の主役は菅田将暉扮する櫂ではなく、彼に相対する田中泯扮する平山中将であり、平山中将の思惑と野望こそが本作に伏流する重く凄絶なテーマであることに気付かされます。
終始ワクワクドキドキさせつつ、最後に沈思熟考させる、上質の娯楽作品にして、上質の倫理的問題提起作品といえると思います。
いい意味で裏切られた
原作未読・事前情報ほぼ無しで視聴
戦争物ということもあり、悲惨さを訴える作品かと思いましたがそんな単純なものではなかった。
本作は空母を作りたい保守派と大和を作りたい過激派との善悪の対比という形を取っている。その悪に対し菅田君が数学を用い言及するのだが本作の本軸だが、その対比がラスト30分でいかに虚無だったかを思い知らされる。
ここに戦争の行き止まり感、言いようのない無常感を強く感じますし如何に正義という言葉が空っぽか知ら締められる。前半の菅田君の奮闘具合といい対比になってましたね
話のテンポも問題なく退屈せず見続けられました。
後、美波は可愛い‼舘ひろしオメエは絶対許さない!!
大和はヨリシロ
数学で大和建造を阻止?
史実としては、作られて沈没してるのに、どうやってドラマにするのだろう⁇
と思って軽い気持ちで、いやむしろ『お手並み拝見』くらいの上から目線で会社帰りに映画館へ。
大変失礼致しました。私は軍部のおバカさん達と、目くそ鼻くそ、五十歩百歩の大馬鹿でした。
映像の迫力もさる事ながら、後半主役級の平山中将に見事に寄り倒されました。
大和は依り代(ヨリシロ)である、という単純だけどなんだか深く心を抉ってくるひと言も印象的でした。
この夏オススメの一本です。
戦争映画じゃなかった
大和に代表されるデカいモノを国外にも国内にもこけおどしとして使わざるを得なかった、ということはわかったし説得力もあった。でも、テレビもなかった時代、大和を見て感動し酔いしれる普通の国民ってどれだけいたんだろうか?いたとしたら、それは新聞や映画館で流される時事ニュースを見て、ではないだろうか。軍部の言いなりだったマスコミの責任を思う。この映画は戦争映画でなく、未だに負け方も争いの落としどころも学習していない、外交下手で言葉を大切にしない今の日本の政治家、マスコミ、私達を痛烈に批判している映画だ。
面白い。けど不満も少々〜
原作は未読ですが、予告編で設定やキャストに惹かれて鑑賞しました!
他の方にも評価されている冒頭のシーンですが、たしかに迫力がありました。さすが。
また、舘ひろしかっこいい。
舘ひろしはかっこよかったです。はい。
残念だった点。
平山案を却下する為に奔走するシーンが長過ぎだと感じました。むしろ会議が終わった後からの、平山中将との会話、主人公の葛藤、その末に使命を負って造られた大和が沈む描写こそ、この映画の最も強調されるべき良いシーンだったのではと思います。
冒頭のシーン…いやよかったんですが。
あれがそのまま最後に繋げられていれば星4つ以上つけたい映画でした!
中盤は退屈、だが観る価値はあり
物語の本篇にあたる中盤の主人公の奮闘は、はっきり言って退屈で、何度も睡魔に襲われ、何度も落ちながら…というか、ほぼほぼ爆睡でしたが、冒頭とラストの大和のシーンは大迫力で、中盤爆睡でもそれだけで観る価値ありです。日本映画もここまでできると、世界と戦える力を見た感じ…。やはり、山崎貴はすごい。
ペラペラ
大和を造りたい人と航空母艦を造りたい人との会議のお話です。
どっちを造っても結局アメリカとは戦争にはなるので。
なんとかしてアメリカとの戦争を回避して日本を護りたいと言うお話ではありません。
ただそれだけなので内容は空っぽです。
空っぽの内容なので全ての演技がペラペラです。特に菅田将暉さんは最悪でした。インテリ系の役はどうにもならないです。
ビックリするのはあの会議の緊迫感の無さ‼️
小学生の学級会のほうがまだましです。
山崎さん、売れてますけどね。
あと、滅茶苦茶こころが痛んだことが。
驚くことに大和沈没シーンは単なる客寄せなのです。
こういう映画を作ると人間の品性を疑われますよ‼
老人を若者がぶちのめす愉快さ
数年の山崎貴監督の作品に比べる、ダントツに楽しめました。
櫂 直(菅田将暉)と田中正二郎(柄本佑)のバディムービーな側面と同時に、國村隼・橋爪功・田中泯らのおじ様方の会議ムービーでもありました。
原作はまとめて読んでおらず、雑誌での拾い読み程度なのだが、戦闘機開発や軍部内の人脈づくりなどのエピソードが丸々カットされ、大型戦艦「大和」建造の有無の争いだけに特化していました。
そこが映画としてのまとまりが出て、わかりやすく楽しめた勝因だったように思います (軍事的なとんでも感も増していたかもしれないけど)。
おかげで櫂は天才じゃなく、変人も超えて、変態になっちゃった(笑)
今まで観た中で一番カッコよく面白い菅田将暉
原作は全く読んでません
ドラゴン桜の作者らしいけど絵が好きじゃないので読む気になれません
日本版韓国版ドラマ両方とも面白かったけど
そもそも漫画はあまり読まないので
連載中で16巻もでている人気漫画ですがそれをよくまとめました
原作はこの続きがあるんでしょうけど続編映画も期待してます
冒頭でいきなり戦艦大和沈没
しかもちょっとグロい
でも子どもでも見れます
昭和史に詳しくないので史実と違っていたとしてもわからないから全く気になりません
歴史の授業は大正デモクラシーあたりで終わりですから
歴史が苦手な人でも楽しめます
一応戦争映画ですが冒頭以外戦闘シーンはありません
この映画を見たからといって高齢者と一緒に反戦デモするアホはいないでしょう
ありふれた反戦映画とは違うので泣けるところはありません
菅田将暉は最後に泣いてしましたが
軍人になった菅田将暉と部下になった柄本祐のやりとりが面白い
柄本兄弟は弟より兄が地味で兄の方はあまり高く評価していなかったが軍人役はよく似合っていた
國村準舘ひろしと橋爪功田中泯が対立する海軍上層部の会議が面白い
賑やかな3人とは対照的に田中泯の静かで重厚な芝居が光るし眼鏡も光る
菅田将暉と対立する青年将校が登場しますが役者の名前はわかりません申し訳ないけど
イケメンだけどなんかキモいです
あまり好きじゃないけど悪役なら有りかな
名前は以前から知っていたけど浜辺美波の演技を初めて見ました
美人だけど個性的じゃないのであまり印象に残りません
演技は苦痛になるほど下手ではないが特にうまくない
でも事務所は東宝芸能
沢口靖子や斉藤由貴の後輩
いい事務所に入った
主人公の武器は計算
だけど自分は理数系がハクション大魔王なみに苦手なのでちょっと頭が痛くなる
深窓の女学生
造船所のお嬢さんというものを見る事ができた!
帝大の天才学生が家庭教師に行って、そこのお嬢さんの顔の寸法を
計測する状況が深い!ただものではない!セーラー服のまま、されるがままのなんて、絶対にありえない 女学生に1ポイントで星4です
新造艦の図面も描けるし、芸者遊びにもそつがない
戦艦大和も良いが 信頼される男の物語として僕は見たい。
戦争を背景に据えた半沢直樹
昭和が舞台で軍艦造船がテーマ。数学で戦争止めるってどうゆうこと?と思ってましたが、なるほど。数学がこんな力を発揮するのかと驚きました。
展開・人間関係・社内政治・弁論合戦は、半沢直樹感満載。菅田将暉の演技が素晴らしく、長台詞も聞き取りやすいのでストレス無く観ることが出来ます。
出来れば戦争をしないべき派と、大きな軍艦造って戦争に備えよう派。正義・悪という構図に見えますし、戦争しない派が正しそうに思えますが、ラスト30分でハッとします。そんな次元ではない考え方があり、主人公とはまた違う物の見方をしている人物の想いと悲しい史実が鑑賞後の余韻を誘いました。
…と、ラストは戦争映画っぽい感覚にはなりますが、メインのストーリーは会議までの限られた時間で天才ぶりを遺憾無く発揮し理詰めで敵を圧倒する痛快劇なので、あまり気負わず楽しむことが出来たので良かったです。
深いぞ泯さん
山崎貢監督なので、とりあえずCGが凄いというイメージ。これまで、建築中の東京タワーやら、零戦、石油タンカーなど、現実にあったものをCGで再現してきたのだけど、今回は対象が、かの戦艦大和。第二次大戦の物語や兵器が好きなので、それだけで、たまらないものがある。巨大さ、リアルさなど、映像だけを見ているだけで楽しめる。同監督の宇宙戦艦の方も映像は良かったけど、こちらの方が"実在した深み"みたいなものを感じて、存在の重さがある。私の勝手な観る側の想いだと思うけど。
それら建造物をモチーフに、関わった人間の生き方が主体となって物語が紡がれる。あくまで人間ドラマの映画なのだ。大和を作るべきか否かを巡って、海軍内部の対立と、登場人物それぞれの正義に小突き回されながら、数学を使って正義を貫こうとする天才、櫂直(かいただし)。実直で天才肌の軍人といえば、山崎豊子の名作「不毛地帯」の主人公壱岐正(いきただし)にダブるのだけど、モチーフにしたのかな?
さて、豪華な役者陣も盛り上げる。主人公の櫂となる菅田将暉は、実直な若き天才にぴったり。彼を見出した山本五十六役は舘ひろし。豪胆な味を出していて、イメージにあっていた。最初は櫂に反発しながらも、次第に心酔してゆく付き人田中には柄本佑は、真面目コミカルな役で奮闘。櫂を慕う令嬢に、いまをときめく浜辺美波。演技の見せ場は少なかったものの、和美人は画面に映えますね。でも、なんといっても存在感を発揮していたのが、頑固な造船技師の田中泯。静かながら、迫力があり、清々しい。"静謐な演技"というのが良い形容だろうか。彼の存在で全体が締まったように思えた。
物語は何を目的に船を作るのか、そこにある正義とは何かをテーマに話が進む。最初は海軍内部の権力争いに見えるが、やがて日本を守るためにそれぞれが何を考えているのかが見えてきて、最後に深い洞察が展開される。ああ、日本人の悲しさよ。切ないなあ。
色々てんこ盛りで、ツッコミどころもあるけど、充分楽しめた作品でした。
本当の正義とは?
原作を知らないので、先入観無く、
予告で戦争映画との認識で観賞
したが、
よくある爆弾の撃ち合いや戦闘機や
戦艦での戦いの末に
平和や戦争の悲劇を描く
よくある戦争映画ではなかった。
いい意味で裏切られた。
人類の歴史の中で戦争ほど
恥ずべき行為は無いと思うし
勿論戦争なんて大反対だ❗
しかし日本が戦争をして多くの
人々の命が奪われ敗戦した
歴史的事実が日本の正義
だったのか?
そんな事を考えさせられる
強いメッセージのある
素晴らしい映画だと思う。
全534件中、401~420件目を表示