劇場公開日 2019年7月26日

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「日本の実写映画もやればできるじゃないか! 嬉しい喜びです このように真面目な製作態度の戦争映画やSF映画をもっと観たいものです!」アルキメデスの大戦 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本の実写映画もやればできるじゃないか! 嬉しい喜びです このように真面目な製作態度の戦争映画やSF映画をもっと観たいものです!

2022年5月11日
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軍事マニアです
ハッキリ言って本作には期待していませんでした

だって山崎貴監督の戦争映画だからです
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を観たらなら、この人には軍事の素養もないし関心もないということが明らかだからです
そんな人物が同作品を撮ったことに怒りすら感じました

「永遠の0」は、かなりマシになっていました
でも監督を信じてはいませんでした

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズは大好きです
このような映画ならば山崎監督は素晴らしい監督であると思います

しかし、この人には本作のような軍事を真正面から描く作品は無理だと思い込んでいました

いい加減な考証のオンパードになり、自分のような軍事マニアは呆れ返るシーンの連続になるだろうと思っていました

予告編でみた幾つかのVFX シーンも見た目だけだろう、艦船や航空機の挙動の表現は適当だろうと勝手に思い込んでいました

すみませんでした!
深くお詫び致します、自分が間違っていました

じっくりと重箱の隅をつつくように探せば、考証のおかしい箇所は幾つかあるかも知れません
しかし、自分のような軍事マニアが一気に白けてしまうような物は皆無です
安心して鑑賞できました
不満はなく、欲を言えばこう見せて欲しかったという程度のことを少し思っただけです

ついに日本映画も軍事ものでここまでのクォリティーのものを撮れるようになったのか!
むしろその喜びの方が圧倒的にありました

それは単にVFX の映像クォリティーが世界水準に達したというだけでなく、真面目に軍事というリアリティを追求する姿勢と教養も世界水準にようやく到達できたという意味です

艦艇や航空機のVFXは、かっての日本の戦争映画の特撮でのレベルを遙かに超えました
実物大の大和の甲板シーンは、これならトラ・トラ・トラ!で、長門の実物大セットを組み予算超過で解任された黒澤明監督も満足したであろうクォリティーがありました
特撮の神様、円谷英二もさぞ喜ばれたであろうと思います

オブジェクトのスキンの材質表現やウェザリングへの理解、光源と色彩、湿度や空気による遠近感
艦艇や航空機の距離の関係性の理解
それらがやっと世界水準に追いついたと思います

またデジタルエキストラを配置した被弾横転シーンの迫力は特に見事でした

内容も素晴らしいの一言です
無論、原作の良さから来るものでしょうが、今も続く既刊28巻もの物語を、そのエッセンスを凝縮した脚本が見事です
テーマがシンプルで明確でした

配役も、菅田将暉、館ひろしなどどの登場人物もみな大当たりの配役です
特に平山中将役の田中泯の演技は圧巻でした

ロケ地も良いところを選択されていました

日本の実写映画もやればできるじゃないか!
嬉しい喜びです
もうこのような作品はアニメにしか人材は居ないと思い込んでいました

このように真面目な製作態度の戦争映画やSF映画をもっと観たいものです!

あき240