「何度も見たい映画です。圧巻でした。」アルキメデスの大戦 Nちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
何度も見たい映画です。圧巻でした。
山崎監督の「永遠の0」を定期的に見るほど山崎監督の作品には惹かれるものがあるので、「アルキメデスの大戦」もずっと見たいと思っていたところ、念願叶ってやっと本日DVDレンタルをして鑑賞しました。
感想はタイトル通り圧巻でした。CGの技術、音楽の入るタイミングや壮大さ、俳優さんたちの名演技、物語の構成に無駄がないことなど、全てにおいて素晴らしく、最初から最後まで没頭したまま鑑賞していました。
菅田将暉さん演じる櫂直が、最初はだらしがなく偏見を持っていて癖のある人物に見えるのですが、その描写があったおかげで戦艦大和にかかる資金を暴くために努力している様子により胸を打たれたのだと思います。完全に柄本さん演じる田中と同じ気持ちでした。
それからは、主人公が報われるように願いながら最後まで見ていたため、戦艦大和に必要な資金を安く見積もっていたことが故意的なものだと知った時の絶望がすごかったです。でも最終的に欠陥を暴き、今までの努力が無駄ではなかったと分かった時に安堵しました。感情が特に揺さぶられたシーンの一つです。
もう一つの感情が揺さぶられたシーンは、菅田将暉さん演じる櫂直と田中さん演じる平山が、戦艦大和の1/20の模型を前に繰り広げる戦争への考えを話すシーンです。
戦艦大和に託された使命があまりにも酷で、でもそれは日本国民を最も納得させた上で守るための術でもあって。平山はこれから何が起こるのかをわかった(予想した)上で設計を進めていたと思うと、それもあまりにも酷でとてもやり切れない気持ちになりました。
個人的な見解ですが、最後の「戦艦大和が完成して櫂直がそれを見て涙を流すシーン」も、これから何が起こるのかを想像して、でもどうすることもできなくて流した涙だったのかなと思います。
また、恥ずかしながら他の方のレビューを見て気付いたのですが、私たち視聴者は最初に結末を見せられてからそれまでの過程を見ていたと知り、映画を見終えてすぐにもう一度最初から見始めました。
初めて見た時点で既にあのシーンは残酷で苦しかったのですが、映画を全て見て戦艦大和が作られた背景を知ってから見る最初のシーンは、櫂直や平山の想いが頭をよぎってより苦しくなりました。
山崎監督が作る映画作品は何度も見たくなります。「永遠の0」も岡田さん演じる主人公の最後のシーンの表情を読み解きたくて何度も何度も冒頭から見直してしまいます。今回見た「アルキメデスの大戦」も全てを見て過程を知った上でまた冒頭のシーンが見たくなり、そのまま最後までもう一度見たくなる映画だと思います。
映画が作られた時点で終戦からまだ約70年しか経っていないのに、戦争がどういうものだったのかを具体的に想像出来ない若い人はたくさんいると思います。私自身もまだ若いですが、「永遠の0」や「アルキメデスの大戦」のような戦争を題材としている作品を見るたびに、祖母が既に産まれていた時代にこんなことが本当に起きていたのかと思い、苦しくなります。
ですがもう二度とこういうことを起こさないために、戦争の残酷さやむごさを、このような作品を通して知り、覚えておくことが大切だと思います。
この作品に出会えて良かったです。
そしてもっと多くの方にも見ていただけますように。