「白組万歳」アルキメデスの大戦 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
白組万歳
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冒頭、勇壮で巨大たる大和が沈む。
降り注ぐ砲弾や機銃の嵐、乗組員の阿鼻叫喚、大和に群がる戦闘機。
「ああ、日本が負けを覚悟した時だ」
冒頭、俺はそう思った。
物語の中で設計者が語った結末を、寸分の狂いなく感じた。
見応えしかなかった。
これ程見事な大どんでん返しを見た事がない。
冒頭から語られるのは「大和を造らす訳にはいかない」一点張りだ。
そこには勿論、金が絡み崇高な精神論とはかけ離れた軍部の思惑が語られる。
そこに立ち向かうのは、日本の行く末を憂う1人の天才だ。
巨大な組織相手の真っ向勝負。
彼はその戦いに勝利した。
そこに至るまでの熱量は作品中に余す事なく語られ、その努力が報われて終わりなのだと思っていた。
だが、そこからもう1つ。
ようやく大荒れに荒れてた海原が凪いで静かになったと思えたのが、実は、大津波の前兆のような引き潮であったかのようだった。
海軍は、大和を人柱にして日本という国の存続を選んだ。
深淵を感じさせる名優たちの演技もそうだが、その途方もない深慮を感じさせてくれた。
天晴れだった。
そして何より、白組の仕事に唸る。
この映画の象徴だる「大和」に説得力がなければこうものめり込まなかったのではないかと思う。心から感謝する。
冒頭の衝撃的な大和沈没にスケールを感じなければこうはならない。
役者陣の芝居に呼応するかのように、その背後を堅固に支えてたのが冒頭のシーンだったように思う。
音楽との相性も俺には良くて見やすかった。
総合芸術の代名詞とも思える作品だった。
一瞬もブレる事なく、命題に突き進んだ傑作だと思える。
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