「大人の恋と運命について」マチネの終わりに しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の恋と運命について
通常スクリーンで鑑賞。
原作は既読。
人生半ばに差し掛かった男女の機微が、東京、パリ、ニューヨークを舞台に展開し、大人の恋と人生における「運命」について、切なくて儚い物語が紡がれておりました。
多くを語り合わずとも、魂の底と云うか、心と心で繋がり合うことが出来る。そんな運命の相手に出会える確率なんてとっても低いけれど、それをどこかで望みながら生きているのが人間と云う生き物なんじゃないかなぁ、と…
そんな相手を夢想しながら、誰かとの出会いと別れを繰り返し、旅を続けているのかも。実際私も、もしかしたらこれは運命ではなかろうか、と思ったことは一度や二度では無く、その恋が上手くいかないことだってありました。
でも、お互いが心の底から理解し合い、何もかもが共鳴出来てしまうなんて、そうそう無いことなのだと否応無く気づかされてしまう。若い頃は追い求めても良いかもしれませんが、年齢を重ねていく内にどこかで妥協しなければならなくなる瞬間が訪れるのかもしれないと思いました。
蒔野聡史(福山雅治)と小峰洋子(石田ゆり子)は、お互いを深く想い合いながらも擦れ違いをきっかけにして、別のパートナーと生きることになりました。でもこれを妥協と捉えてしまうと、今そこにある愛を否定することに繋がりそうだし、すでに子供もいるので、何より子供がかわいそうです。
経験値が少ないので、偉そうなことは申せませんが、恋愛の正解・不正解なんて誰にも分からないし、またそんなことで括れるようなものではないのではないかな、と思いました。
時間も空間も隔てて、誰かを想うことが出来る、愛と云うものの奥深さよ。そして、運命の切なさと儚さよ。
「未来」が「過去」を如何様にも変えていく。誰かへの強い想いが人を生かすのかもしれません。本作で描かれていることが本当に理解出来るような大人になりたいです。
最後に、ましゃファンとして。クラシックギターを習得したことですし、「HELLO」や「家族になろうよ」などの名曲たちを編曲して、インストゥルメンタル・アルバムをつくる、と云うのは如何でしょうか。歌が無くとも、ましゃのギター・テクニック、是非とも聴いてみたいです。ご検討下さい(笑)。
[余談]
原作を読み終わってから観に行こうと決めていました。ましゃが出ているので、完璧な状態にしようと思ったからです。しかし、原作は本作の製作発表が成された時に買ったのにも関わらず、公開日までに読み終われなかったと云う悲しさ。
見通しが甘かったのです。物語の深みを理解したくて読むのに時間が掛かってしまったと云うこともありました。人生経験の少なさからか、自分の知らない感情や機微ばかりで、全て理解出来ているのかと訊かれれば、自信はありません。
[以降の鑑賞記録]
2020/09/21:Blu-ray
※修正(2024/05/20)