凪待ちのレビュー・感想・評価
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死んだ魚の目…香取慎吾
単純に言うと、面白かった。
西田尚美が殺されるあたりは、サスペンスなんだろうけど、犯人の予想はついたよね。そして、犯人探しの要素は、全くないので、サスペンス感が感じられない。それより、そのせいで落ちていく香取慎吾の姿は、ヒューマンドラマ。香取慎吾は、ギャンブル依存症だし、西田尚美の娘が引きこもりになったのは、放射能が移るから近寄るなって言われたとかだし…。割と、いろいろな要素が詰め込まれてた気がする。
香取慎吾の演技は良かったと思う。あんな死んだ魚みたいな目が出来るんだね。芸能人オーラゼロだった。でも、あのギャンブル依存症ぶりは、イライラしました。あんた、バカなの?って、心の中で思ってました。最も、バカだから、依存症という病気なんでしょうけどね。そして、西田尚美のお父さん、いい人っていうか…、この人もバカなの?香取慎吾が、ギャンブルを卒業できるわけないって、分かってたよね?男のロマンを追い求める気持ちが理解できるからなの?私だったら、速攻、縁を切るわって思いました。
でもね…イライラするってことは、香取慎吾の演技が良かったからなんだろうな…と思ったんですよね。もっと、ドラマとか映画とかすればいいのにな…。残念です。
白石監督へ
3.11最大の死者数3500人超の被害を記録した「石巻」。人生再生の舞台に分かりやすく適している「石巻」。ロケ地に選んで下さって有難うございました。
でもイチ宮城県民として辛かった点がありました。
1.「石巻」の描写がクズすぎて…(-.-;)
よそ者をいぶかしがり排除するとか、町中みな顔見知りとか、会話の内容が下品とか、やたらゴロツキが多いとか…ゲスい田舎町という描写でしたが…なんかドキュメンタリー風にも受け取れる映画なので、石巻ってあんなところだと認識されているのが辛かった(石巻の名前を使わなければ構わないのですが…)
2.福島原発の除染作業への蔑視
溜まったツケを支払うため「福島へ行かされる」。放射能防護服を着用しての除染作業は高収入だが命懸けの危険な作業、ヤクザにそれを強要される、同じ震災で共に辛い思いをしている「石巻」のヤクザが「福島除染」を蔑視し利用する…。3.11復興に尽力下さっている方からはちょっと出ない発想と言わざるを得ないのが辛かったです。
…再生をテーマにした映画の舞台に「石巻」を選んで下さったのは大変有難い事で、石巻の皆さんからはクレーム等出る由も無いと思います。でも、映画鑑賞後に読んだインタビュー記事で監督が「震災を正面から描くものではない」と話したのを読み、いくら正面からじゃないからって震災を軽く扱って(利用して)良いわけじゃないですよと監督にモヤモヤしたので、こちらに書かせて頂きましたm(__)m 。
とはいえ人生再生と家族の愛というテーマ、俳優さん達の芝居は引き込まれるものがあり、映画自体はとても良かったです。映画を観た沢山の方々が「石巻」に来て下さいますように。
傑作でした。
初鑑賞から数日経った今もまだずっと余韻を引きずってます。
郁男をはじめ美波や勝美たちが今も石巻の地で生活していると思うくらいに、演者たちはみんな凪待ちの世界の中でその地の人として生きていました。
自分にとって凪待ちは、すぐそばにいる親しき「誰か」の物語になった気がしました。
だからこそどんどん堕ちていく郁男を見てる最中はずっと心がヒリヒリ見終わった後、そこにいる、いた彼らの今、過去、未来にいろんな思いを馳せてしまうんだと思います。
ここからネタバレ有り
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亜弓の殺害現場での絶望した郁男の表情、泣き叫ぶ美波、勝美の「郁男!」と呼ぶ声、迎えにきた勝美と美波に連れられ子供のように泣きじゃくる郁男の姿が脳裏から離れない。
最後は穏やかな気持ちに
白石監督の今までのイメージとは違う、心に沁みるヒューマンドラマ。
慎吾くん演じる主人公郁男。
最初はそのダメダメぶりに「ホンマ、ろくでもないなぁ」と思ったけど、根は真面目で正義感もあるし、優しいし愛もあるし、恋人へのちょっと甘えた声とか母性本能くすぐられるし、
ダメな奴だけど見捨てられない亜弓の気持ち、彼に懐いている美波の気持ちが解る。
これは、慎吾くんが演じることで郁男のキャラクターが色付けされてるところが大きいと思う。
「人の優しさが痛い」
慎吾くんがインタビューで語っていたこと、すごく解る。
周りの人たちが手を差し伸べてくれる優しさ、郁男は自分の弱さ愚かさにどうしようもないやり切れなさを感じてるから
人の優しさが痛くて逃げちゃう。その感情、表情にすごく出てた。観てて苦しくなった。
とにかく、勝美さんがいい!
この作品に深みを持たせてくれているのは父親の勝美役の吉澤健さん。
はっきりと描かれていないけど、彼の人生にすごく惹かれる。前科って、組長の命を助けたって、過去が気になる!
そして、気難しそうな勝美さんが愛情深くて泣ける。
慎吾くんのイメージを壊して、闇の部分を引き出した白石監督の手腕と脇を固める俳優陣がすごい。
いろんな人へエール
途中まで平凡?な日常のような画面でしたが、ずーっと引き込まれて見てしまいました。暴力シーンが苦手なのでそれになった時は少し集中切れました。
ちょっとストーリーを勘違いしていて主人公が恋人?を殺した犯人を追い詰めると思ったら違いました。犯人は殺人前にわかってしまうかも。意外な衝撃はエンドロールです(あくまでも私的感想)。
○○カメラマンとあったので本物でしょうとが映像リアルでした。結末はそうならなきゃと思って見ていてもここまて見て来て感情移入もあり涙が出ました。映画の中ながら家族には幸せになってもらいたいと思いました。周りはもちろん演技派の俳優さんですが香取さんうまいですね。ドキュメンタリーを見ているようでした。ギャンブル依存はこれでもかと落とされないと、落とされてもやめられないんですね。リアルでした。
見終わった人から「よかったね~」とネタバレです。感想人それぞれなので、気持ちが沈んでがんばれない人にもオススメです。☆4.7です。機会があったらまた見たいです。
香取慎吾の映画作品の中で1番☆
凪待ち観了。TOHOシネマズ梅田満員。2度3度生きろととある人が言ってから言葉が刺さって抜けなかった。まず監督に謝りたい。凄い先入観を持っていた自分にちょうどいい暴力感だったと。観終わった後の爽快感。主人公が1番素直な行動をしているのでは。それが慎吾でよかった。最後の水中映像が印象的。
ほんとに香取慎吾?
孤狼の血がおもしろかったから、凶悪も印象的だったし、白石監督が香取慎吾という元SMAPをどう仕上げてくるかが楽しみで見に行った。
そりゃね役所広司にはかなわないけど、香取慎吾も中々あれよ色気と落ちぶれていく様とギャンブル依存症の感じもリアルで、見ごたえあった、へーって思ったのは・・・
特にあたしが印象的だったのは主人公・郁男の内縁の彼女である亜弓の娘・美波がタバコ吸ってると母に誤解されて怒られて、
金髪の男の友達(漁師目指している良い子)と連絡せずにショッピングモールかなんかで帰らないシーンで、郁男が美波を見つけて母親に連絡しろってスマホ渡して、誤解を解こうと男の友達が違うんだって感じで突っかかっていくところで
郁男がその男の子を乱暴に突き放しあしらう感じがすごくリアルな芝居で郁男のイライラ具合と心配してた感じとがよく出ていて良かったと思った、初めて見る香取慎吾だと思った
郁男が基本良い人で純粋が故の弱さや自分自身へのいら立ちがあり、ノミ屋で競輪をしている姿も、スイッチが入ったときに脳が支配されていく感じもギャップが良かったし依存症って怖いと思った。
ほかの登場人物も主張しすぎないのに物語に溶け込んでいて、殺される亜弓の父親の吉澤さんはほんと心に残る芝居するのよ、誰に殺されたかわかったときの、初めて肩を落として泣く姿に胸が苦しくなった。
西田さんも娘役の恒松さんも麿さんももちろんリリーさんもみんながうまい具合にはまってて良い作品になるときって絶妙のバランスで成り立つんだなって
後半の犯人が捕まるときの郁男に向かって言うセリフ「パナマ諸島の・・・」のところの犯人の目が怖い、そこに向けてのそこまでの押さえた感じがリリーさんさすがっすでした
まぁ配役で誰が犯人なのかはおおよそ予測がついたけど、けど、・・・ですよ、あんな底のない目されたら怖いわ・・・
最後震災後の海の中の様子が映し出されていて、たくさんのメッセージ性があるように思う映画だけどバラバラになっていなくて意外とシンプルにやっぱり喪失と再生でポスターにあるような誰がとかなぜ殺されたかとかそこが大事なのではないから
ミステリーと思って行ったらビックリだわな
そこ誤解のないように宣伝したほうが良かったような
まぁ殺すという言葉、文字面はキャッチーだけどさ
いつもの白石監督の暴力描写もちゃんとあるし、気持ち悪いシーンもあり、ちょっと笑っちゃったけど、メリハリも効いてた
トータル男くさい映画ですが、あまり香取慎吾の芝居が得意でないあたしとしては(なんかモゴモゴ話してるような感じがあって・・・すいません)、作品がすごい面白かったから思ってたよりおもしろかった
よかった
香取慎吾が最後の賭けで何倍取ったのか、配当がいくらだったのか気になって仕方がなかった。呑屋が逃げ出すくらいだから、50万の何倍なのか、20倍くらいは取ったのだろうと思っていたら最終的に300万届けてもらっていて、6倍かとがっかりした。300万なら、その前に200万貸して返してもらっていたので、逃げ出したり踏み倒す必要あったのかとモヤモヤした。
また、競輪好きが「ギャンブルですった」など非常に大枠で話していて、もっと選手の名前とかレースの名前で会話するのではないか、オレは競馬はのめりこんだけど競輪はやってないから違うかもしれないけど本気で取り組んでない人の会話にしか聞こえない。
彼女が死んでその真相を本気で探ろうとしていないのもモヤモヤした。別の憶測があるとかでもなく、全然気にしていないようだった。
そんなモヤモヤしたところはあったのだけど、香取慎吾が汚い中年にしか見えず、汚い椎名桔平みたいだった。漁師になれよとずっと思って見ていたので、最後はよかった。
期待ハズレ
褒める所思い出せねー
賞レース常連監督らしいのでもっと凄いのかと期待したが残念
話はまあ、普通。見出しの殺人は本筋ではない。
カット割りも構図も白石ってこんなものか?
鏡越しの娘の泣き顔をクリアに丸々映し込ましてるのには驚いた。(ほぼ全体映すなら鏡の意味あるのか?)長えし。
画面の揺らしも微妙で首を傾げる事数回。
あの画面傾かせを変わりなく繰り返して来た時は吹き出しそうになった。
ゲロは気分悪いだけで必要性も攻めも感じない。
あと母ちゃんももう少し綺麗に撮ってやれよw
リリー☆4 爺さん☆3 香取☆1.5
「ここの画が印象に残った」は無し。
動機がわからない(*・ε・*)
犯人が何故殺人に至ったのか?
警察が捜査過程で主人公を疑いつつも監視する事はなく、周囲から疑われる事もなく、監視カメラの映像とDNAで片付いた。
荒涼とした殺人現場に監視カメラなんてあるのか?
色々謎でしたが、演者の皆さんの演技は良かった!
早く立ち直れ
せっかく回りは協力的なのに、何故立ち直れないかな。ギャンブル依存の怖さですね。最後は家族を作って何とか幸せになって欲しい。香取慎吾は良い役にあたりましたね。あの体格を活かした強い男を演じても良いのでは?
ギャンブルは借金までしてやるもんじゃない!
ノミ屋ってまだあるんだ!とビックリする展開。それも復興もまだ中途の石巻でだ。ネット環境があれば、競馬も競輪も投票はPCで出来るのに、暴力団がらみしかないノミ屋というのも昭和を感じてしまう。たしか、ノミ行為も「麻雀放浪記」の原作にあったかと思うが、そこからヒントを得たのだろうか・・・しかし、この作品は東北の震災をもサブテーマとしてるので、やはり現代の話なんだと思い、のめり込んでしまいます。もしかしたらカジノ法案に反対するテーマも隠されてるのかもしれません。
俳優香取慎吾は元SMAPの中では一番演技がまずいと思い込んでいたのですが、一皮も二皮も剥けた気がします。正直に言うと、どうしても『西遊記』とか『忍者ハットリくん』の子供向けイメージしか残っていなかったのです。
石巻に引っ越してからも、ノミ屋で競輪に手を出し、最初は静かに遊んでいただけなのに、徐々に深みにハマってしまう。亜弓が殺されてからも、自分の居場所をはっきり決められないまま、暴力団から借金したり、小野寺から金を貰ったり、亜弓のヘソクリに手を出したり、挙句の果ては亜弓の父勝美が船を売ってまでして作った金をもノミ屋につぎ込んでしまう。どうしようもないギャンブル依存症のクズ男。世間の同情ももはや消えかかってしまった、そんなとき。勝美と自分の子のように可愛がってた美波の愛に再度助けられる。血の繋がりはないけど、一緒に暮らしたことのある家族。『万引き家族』にも繋がる重要なテーマだ。
もう勝美さん(吉澤健)には泣かされっぱなし!最初はつっけんどんでイヤーなタイプの頑固親父の雰囲気がプンプンしていたのに、ここまで愛が溢れていたとは。娘の美波もすごく良かった。勝美さんが船に“第二美波丸”と名付けていたように、むちゃくちゃ可愛がられてたんだろうなぁ。そして、ゲームでの繋がりも見せていたクズ男と美波。FFじゃなくてモンハンだったけど。
久しぶりに胸が熱くなった作品ではありましたが、個人的には終盤の展開は要らないと感じました。「負けた奴は裸になれ!」というのが麻雀放浪記。すべて無くして裸になって、静かに去っていくのがベストだと思うし、麿赤兒親分と勝美さんの関係も出来すぎ!おまけに暴力団が最後に金を持ってくるのもいただけない。
だけど、婚姻届けのシーンでまたもらい泣き。エンドロールの海底に沈んでいる津波被害にあった家財道具、特にピアノでまた泣き、ストーリーと演出のダイナミクスを感じました。どこで泣くかは人それぞれ・・・それこそ“泣き待ち”だ。
「喪失と再生」を見事に表現できた作品
白石監督はこの映画のテーマを「震災」を絡めた「喪失と再生」だと言っていたが、納得のいく映画が出来たのではないか。一緒に見た友人は「自分ひとりでも立ち直れる」と言ったけど、人はそんなに強い生き物ではないから、「人生に目標がある人」意外は「守るべき人、守ってくれる人」がいないと生きる為の情熱を見出し辛い。人生の歯車が回りかけた時に突然「一番大事な人」を失うと尚更だ。
話にリアリティーをもたらしたのは、白石監督の容赦ない演出とそれを演りきった香取慎吾の演技力だ。香取さん程の役者になると、あそこまでさせる事は普通はできないだろう。それを的を得た演技で「堕ちる男」を演じる事で見る者を引き込んでいく。堕ちても尚、純粋さを失わない「郁男」があるきっかけを見出すのだが、それは劇場で確認していただきたい。「再生」の方法は人それぞれだと思うが、「居場所」を作ってあげる事、それが大事なのだとこの映画は訴えているように思う。
本当にヤバい奴は被害者なのでは?
これだけのクズ男がなぜ愛されるのか全く伝わってこなかった。情はわかるが何年も一緒に辛抱強く愛し続けられる程の男だろうか。
郁男には平凡な、一般人の誰もが持つレベルの優しさこそあるが、人格的にも人間的にも魅力がない。
従って強いて理由付けを行うと元国民的アイドルグループ並みのルックスを持っているからというメタ的な答えしか見つからない。
次に亜弓は絞殺されたとあるが、そこに至るまでの犯人の憎しみが描かれておらず迷宮入りである。ヘアサロンを開店した際に祝い花を持って来ていたが、亜弓はほとんど取り合わずあしらっていた。過去に気を持たせるような事をして金を出させたのではないか。今はもう違うという意思表示だったのではないか。
元夫はDV男と称されていたが新妻には優しく出産時には感動に涙し亜弓サイドで認識されている悪い男という演出は一切なかった。口論時の台詞にもあった通り、亜弓固有の問題があったのではないか。
また亜弓の子供に対する一方的な決めつけや感情的な行動にも問題を感じたのは視聴者の共通認識だろう。
最後に、犯人はパナマのサンブラス諸島について言及するが、この島は亜弓と郁男の色恋の象徴だった。郁男はその島の名前を忘れていたが犯人は「俺はちゃんと覚えている。お前よりももっと深い関係を持っていた」と言わんばかりの態度だった。
この映画のテーマは“喪失と再生”だが、津波で亡くなった人達がそうであるように失ったものは絶対に元に戻らない。
では再生とは何か。この映画から希望が見えるようなポジティブなものは感じ取れただろうか。あれだけ反省と後悔に涙したにも関わらず、結局本質は変わらずに依存症を“再発”するリアリティの方がしっくりくる。
後味の悪い映画だ。
ずっと待ち望んでた香取慎吾
世間ではいわゆるキャラものと言えばの代名詞となってる香取慎吾。
だが、「沙粧妙子」や「蘇える金狼」を見てた私としては「やっと見れた」と思いの方が強かった。
ろくでなしである郁男。でも川崎時代のいじめられてる先輩を助ける姿からも根底にある優しさがにじみ出てるから周りがほっとけない。
そんな周囲の優しさから逃げる、何度も何度も信じられないくらいに。
注目して欲しいのはノミ屋での郁男のギャンブラーの血が騒いだ瞬間の眼。狂気に満ちたあの佇まい。(私がずっと待ち望んでた香取慎吾がそこに)
原作の小説書き下ろしよりバイオレンスが多かった印象だが、それを得意とする白石監督だけあってすんなり観れた。
主演監督のどちらのファンも納得できる作品なので、是非先入観にとらわれずとりあえず観てもらいたい。
ただ、サスペンスを匂わせるがそこは曖昧なのでそれを求めて観ると不完全燃焼になる。
落ちる男
あんなクズな男はなかなかいない。ギャンブルに溺れ、有り金つぎ込み全部取り返そうとするがうまくいかない。あれ?そういう男いるかも。郁男が香取慎吾なことでどこかに落ちずに戻ってくるのを期待したのか。
クズな郁男はほとんどヒモ状態。なぜか恋人の連れ子とウマが合う。根底には素直な男なんだろうがそれを表現しない。クズなのに根底に隠れた郁男の優しさが漂うからかな。そしてクズでヨレヨレな郁男がなぜか色っぽく艶がある。そこと工場でキレて暴れ競輪に頭も心も持っていかれる郁男が表裏一体なことに胸が締め付けられる。恋人の父勝美とのシーンは必見。エンドロールの今の石巻もまた。もう一度見に行こう。郁男たちの凪をみつけたい。
溺れるか抗うか
内縁の妻と高校生のその娘と共に暮らし5年、まともに働かず 競輪大好きなキレやすいおっさんが、車券選手を引退して働き、女川の嫁の実家で共に暮らし始め巻き起こっていく話。
仕事をさせたら結構できるし普段は人にも気を配れる普通のおっさん。酒と競輪がなければねな主人公。
誘惑に負けた心の隙と娘を心配する余りの嫁のヒステリーで揉めたことで一転していくストーリー。
サスペンスとはいうけれど、ことが起こる前から犯人は見え見えだし、犯人探しの様なものは無く、おっさんが崩れて、人に支えられて足掻くヒューマンドラマという感じで、常にイメージは陰だけど優しく温かい話だった。
ただ、再生は父ちゃんによる助けが余りにも強いし、父ちゃんの情は嫁から話を聞かされていたからだろうけど…それにしても父ちゃんが良い人過ぎるし、深くは描かれないけれどこの人は何者だ?
亜弓の開業資金はどうやって調達したんだろう?
香取慎吾さんの渾身の演技が出色の出来であることに全く異論はありません。香取さんの演技が素晴らしかったので、木野本郁男の再生物語が、ある種のファンタジーとして描かれていれば、素直にいい映画だったな、と受け止められると思うのですが、印刷工場の配電盤や製氷工場の積み下ろしなどに象徴されるリアルな演出が想像力をフル回転させてしまい、鑑賞後は希望よりも現実的な困難の方が否応なくのしかかってきて先行きに対する不安や重苦しさに包まれてしまいました。
❶亡くなった亜弓について
自主的な判断や選択の余地を与えない決めつけの言動で子どもを躾けようとする親は子どもの心を傷つけることが多い。象徴的なのは、子どもにとって大事な友達を金髪であることひとつをもって付き合うべき友達ではないと決めつけた発言。自分にとって救いともなっている友達を子どもにとって理不尽な理由で否定すれば当然、子どもからの信頼を失う。
生きていたら、毒親になっていたかもしれないが、だからこそ、香取慎吾の、子どもであってもひとりの人格として接してくれる父親振りが美波からの信頼に繋がる、という皮肉。
❷木野本があの街で生きていくことについて
勝美じいさんが生きているうちは、ある程度表面化するのが防げるかもしれないが、心ない一部の人間による口さがない噂や邪推(※)、或いは、この街が小野寺という怪物を生んでしまったことに対する後ろめたさが逆恨みのような情念になって木野本や美波への、お前たちが帰ってきたからこんなことが起きてしまったのだ、もう出ていってくれ、という空気を作ってしまうことが起きるのではないか。
そして、勝美じいさんのいない世界で、もし木野本がまたギャンブルによる借金やトラブルを起こしてしまったら、今度は美波も巻き込まれることになる。
祭りや工場での喧嘩騒ぎやギャンブル依存によるヤクザとの関わりを考えたら、少なくとも、木野本の再生・更生を暖かく見守ろう、という人間よりも厄介者扱いする人間の方が多いのではないか。
※たとえば、亜弓の美容室の開業資金を小野寺が出していたのではないか、その金銭を巡るトラブルが殺人の動機ではないか、みたいなことをあの元夫あたりが発信源となって勝美じいさん、郁男、美波にとって耐えがたいうわさ話が流布されるようなこと
(実際のところ、あの開業資金はどこで調達したのだろう?)
現実世界に存在する人間の弱さやずるさがあれだけリアルに描かれてしまうと(まさにこの監督の凄みの部分)、想像力もリアルに刺激されてしまい、とても辛いことになってしまいました。
ファン意見なしで。ネタバレあり
予告、内容など一切予習しないで映画を観に行きました。まぁ、奥さん殺される、香取慎吾はヒモでダメ男ってことは何となくわかっていたけど。
いざ、映画が始まると内容はこちらが思った通りの流れと展開。なーんにも、驚かないし、やっぱりなぁって印象。
でも白石監督は、人間の弱さや葛藤。執着、妬みや嫉み、愛情、依存、悪縁、震災後の現実、介護などこの2時間じゃ収まりきれないほどの課題を詰め込まれた作品でした。私が擦れた人間なのもあって泣けたとは言えない。寧ろ、人間への不信感たっぷりの目で物事を、見ちゃうので。この人気持ち悪いとか。なんか怖い流れって思うところが多々ありました。おもしろかったし、もう一回ぐらいみて細かいところを見直したいです。
全43件中、21~40件目を表示