凪待ちのレビュー・感想・評価
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かみごたえのある地味さ
圧倒された
俺たち、ギャンブル依存症だろォ?
津波が多くを奪っていった。綺麗な海が残った。
最低で最低な男に津波が押し寄せて洗いざらい持ち去られる様、僅かに残ったものを描いた作品。
内縁状態の恋人とその娘。側から見ればかなり微妙な関係性は自分の家庭状況に若干似ていて(少し違うけど)、娘の美波に自分を重ねるようにして観ていた。
亜弓と郁男の出会いの詳細や二人を繋ぐ絆の描写は少ないけど、自然体の空気感や美波の態度から伝わるものがある。
母親を亡くすのは本当に辛い。この状況なら特に。
もしこれが自分の家族なら、と思って号泣してしまった。嫌だ。絶対に嫌だ。
亜弓の死に対して誰もが何かしらの後悔を抱いてしまうこの状態、やり場の無い喪失感と悔やんでも悔やみきれない念がしんどい。
犯人探しやその動機暴きの要素はかなり少なく、郁男の人となりにスポットが当てられる。
飲む打つキレる、競輪に金を溶かして堕落し続ける彼の姿にはため息しか出ない。
ただ、嫌悪感が少ない。
最悪の人間なのは間違いないけど、その嫌らしさや気持ち悪さよりも彼の哀しさや無様さが強く出ていて、常に「憐れな人」の印象だった。
香取慎吾の見た目や話す口調からそう思えたのかもしれない。
きっと競輪なんてもう楽しくはないんだろう。
やらずにはいられないだけで。
受付の兄ちゃんの呆れたような目線が刺さる。
パナマ諸島の美しい写真の中から出てきたものを抜いたとき、それを受け取ったとき、あまりの惨めさに軽く絶望した。
美波も亜弓も本当なんでこんな人に懐いたんだろう。
頑固ジジイで目もろくに合わせなかった勝美と大切な人を失った者同士、だんだん雪解けしていく様子は地味に嬉しかったけど。
しかし娘目線で観たとき、美波にはあるはずの激情があまり表現されていないことは少し引っかかる。
忘れた頃に突如判明する真相の一部にはびっくりした。いや何でだよ…なんとも言えない後味の悪さ。
この映画の焦点はそこではないとは分かっていても、事の中身を全て知りたい気持ちは収まらず、鑑賞から数日経った今でも考えてしまう。
終盤で見せる断絶の儀式と情けない咽びには胸を締め付けられ打たれた。
ここまで失ってやっと、やっとのこと。それもまた周りに世話になって。
予想できる未来に50万円を賭けたい。
文句なし大傑作!
主人公補正が生々しさの邪魔をする
稲垣・草彅両氏は脱退前からわりと多彩な役柄をこなしていたのに対し、香取君だけは見てて可哀想になってくる変な役柄ばっかりでしたが、本作では20才前後の頃に魅せた確かな演技力を再び見せてくれました。
ギャンブル依存症のクズがさらにロクデナシに堕ちていく様を丹念に描き、見てて辛くなるほどでした。
ずっしりと重い世界観はさすが白石監督というところでしょうか。
ただ、良作だというのは断った上で、話に入り込みにくい点があったのも事実。
まず主人公以上のガチクズが何人も出てくるので、主人公まだマシじゃんという思いがどうしても出てくるところ。
次に、クズな主人公にそれでも手を差し伸べる人が何人か出てくるけど、その根拠が弱いところ。
最後に、いくら主題ではないとはいえ、殺人犯の動機などが全く明かされず何で殺されたのかモヤモヤするところ。
最後以外はつまるところ「主人公だから」以上の理由が見当たらず、せっかくのリアリティの邪魔をしていた印象です。
うーん、香取慎吾が・・
ヒト
時折この手の映画に出くわす。
韓国の作品に多いのかな…。
なんでこおいう物を撮ろうと思うのか理解できなかったのだけど、字幕を追うのと、異国の物語として観るのとはまた違う印象が残った。
物語は悲惨である。
何が悲惨って、主人公が真っ当な人生を歩もうとするたびに邪魔が入る。
思うようにいかない。
真面目に、普通に生きようとする気持ちも努力も踏みにじられていく。
自暴自棄にもなるだろう…。
極端なシチュエーションの羅列ではあるが、実際に起こりうる事の範疇であったりもする。
原発の後始末をするのは国を憂いた人達ばかりではなく、にっちもさっちもいかなくなった連中が送りこまれるのだ。
綺麗事ではない現実がある。
いくら上部を塗り固めても、漏れ出してくる膿はある。
とかくこの世は生きにくい。
それがスタンダードであるかのように。
そんな中でも、救いはある。
自分を傷つけるのも救うのも、結局は人間でしかない。
彼が最後に手にした蜘蛛の糸。
今までとは少しだけ意味合いが違う。
そんな小さなキッカケが、その後の人生に大きな意味を持つかのようであった。
この手の映画をすすんで観ようとは思わないが、この手の映画を撮ろうと思う動機は分かったような気がする。
物事の大小はあれ、自分を観てるかのようにも思える。そんな感想。
何故、評価が高い………???
わたしたちが、そこにいた
秀作です。
「だめなんだよ、おれは。死んだ方がいいんだよ。」という叫びは、心に刺さりました。
最先端の国の中で、そういう思いを感じながら、それでも捨てきれない今を生きている主人公。
最後は、別の終わらせ方もあったと思います。
だけど、この終わらせ方を選んだ白石監督に感謝します。
主人公に投げかけられた言葉の優しさが、非常に印象に残りました。
香取さんも熱演でした。
正しく生きたいと願いながら、それができなくて苦しむ主人公が、確かにそこにいました。
涙を流したシーンは、感動しました。
現代社会で生きる、たくさんの苦しんでいる人に、凪が訪れますように。
ただ受け入れるしかないのかも…
賭ケグルイ
「忍者ハットリくん」や「こち亀」をやっていた香取くんがこんな役をやるなんて…と感慨深いものがある。映画では木村拓哉の方が出演作が多いし、刑事役から時代劇まで幅広いが、こんな生活感がある役はやらないだろうな。まあ、ジャニーズ事務所を抜けたからこそできたとも言える。
ギャンブルへの執着に抑制が効かないし、ぶち切れ方もちょっと尋常じゃなくて、共感しづらい主人公だが、それでもどうにか心を寄せようとして見ていると、やがて訪れるラストの家族像にしみじみする。
水中カメラがなめていく津波にさらわれて海底に沈んだ街の残骸には、ずしんと不意打ちを喰らった。
レビュー評価ほどでは無かった
余韻
ポスターを見て興味を持ち、鑑賞。終わる頃まで飲み物を飲む事を忘れていた。
息をこらして、抑えても溜息がでそうになる展開。
目をそらしたくなるが、離せない。何やってんだと髪の毛をぐしゃぐしゃにしてその後撫でてやりたくなった。ひとりじゃないからと。
終わって歩き出すのがやっとで、帰りの車も色んな感情が湧いてきた。
そして無性に、動かねば、何はなくとも微かで良いから動いてそこから生まれる波を受けたいと思った。香取さんの目と背中。やはり並大抵の事を経験してきてないから醸し出せるのではないか。許されるならばもう少し長く、周りの方の感情の動きも見てみたかったし、主人公の心のひだもまだまだ現せられるだろうと思った映画だった。とても良かった。
白石和彌は容赦ない
白石和彌監督作品は容赦ない。
こんなに駄目で、救いようのないどうしようもない人たちが遺されて、ただ一人しっかりしていた亜弓がいなくなり、駄目で駄目で優しい人達だけが遺されて、まだ打ちのめされて、それでも微かな希望に縋って、肩を寄せ合って生きてゆかなくてはならないのかと、その容赦無さに慄然とする。
だけど、エンドロールでも分かるとおり、その容赦の無さは震災を現しているんだよね。だから、どんなに理不尽な酷い目にあっても、僅かな希望を灯して生きてゆかなくてはならないと言っているんだよね。容赦無い…
でもだからこそ、最後にストーリー的な解決を(しかもふたつも)着けてしまったのは納得いかない。そういう安易なことじゃないだろう…
亜弓さんとの愛が感じられない。
自分の理解力が足りないのかもしれません。
でももう少しお二人の愛が見えるシーンがあれば、きっと全てが落ち着くところに落ち着くと思いました。
駄目男なのに、彼女もいて、彼女の娘、彼女の親からも愛されるって、無理がありますし。
どんだけ良い男なのかの描写でもよかった。
その二者どちらもないことが、腑に落ちない原因だと自分は確証しています。
ラストの海底シーンまでちゃんと観て帰る人が少なかったのもそのせいかも。
映画で「きちがい」久々に聞いた
競輪にのめり込んでいるろくでなしの博打打ちの物語である
だれが殺したのか?なぜ殺したのか?
観る前は内縁の妻を殺した真犯人を主人公が探す話かと思ったがその予想は見事に外れた
今はあちこちに防犯カメラはあるしDNA鑑定の正確性もずいぶん高まったから警察に任せればいいわけで素人探偵は必要ないのである
主人公がなぜ元夫を殴ったのかそのほかにも主人公の行動は理解できないがろくでなしだからで片付くのかもしれない
片付けられないのは「なぜ殺したのか?」がわからないまま終わってしまったことだ
だれが殺したのか?それはわかった!意外だったよ!でも動機が全くわからない
そいつもろくでなしだからで片付くことなのか?
エンドクレジットが終わったあと犯人が動機を話すかと思ったがそのまま終了
なんだよあのポスターは!
観客の皆さんの想像に任せます?丸投げかよ!
川崎時代の友人役を演じた役者さんの演技はお見事
絵に描いたような底辺
見事なダメ人間
健康診断で耳は正常だったからこっちの問題ではないと思うが末期癌を患っているおじいさん役の役者の滑舌が悪くセリフが聴き辛かった
本来なら3点だが地元石巻ということで4点
よく知っている地元がロケで使われるってとても嬉しいことです
駅から少し離れたところにある歓楽街寿町通りに国道45号線などなど
イオンシネマ石巻では香取くんとリリー・フランキーさんと西田尚美さんが実際に使用された衣装が展示されていました
大好きな西田さんの衣装の香りを嗅いでみましたが残念ながら無臭でした
わりと思ったよりも西田さんは細身
抱きしめたくなりました
人はみな弱い
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