凪待ちのレビュー・感想・評価
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温厚なイメージを一気にぶっ壊してくれた監督が凄い。
『凪待ち』鑑賞。
*主演*
香取慎吾
*感想*
これはまたとんでもない映画を観てしまったな…
香取慎吾って、温厚なイメージがあるんですが、この作品を見てからそのイメージが一気にぶち壊してくれた。流石だな~。演じてくれた香取慎吾も凄いですが、それを上手く描写してくれた白石監督も凄かった。
前半は、まるでザ・ノンフィクションを見ているような感覚で、まぁ~主人公の香取慎吾が最低のクズですね。血が繋がってない娘と妻、そしてじっちゃん。このじっちゃんが良かった。もしかしたら郁男を変えてくれたのは、もしかしたらじっちゃんなんじゃない?
まさに負の連鎖…
ギャンブル依存症という怖さ、、あんな大切なお金を一気にぶち込むなんて…ガチで信じられない。途中から怒りを通り越して逆に呆れちゃいましたよ。どうしようもない最低最悪なクズ野郎だな…バカヤロウ!
でも、、彼にはどこか優しさがあるような気がした。なんでだ…?(^^;
久々に香取慎吾の演技を見させて頂きましたが、とにかく素晴らしかった。見応え十分だし、非常にシリアスなヒューマンドラマでした!
ある部分に関しては、やや疑問が残る所もありますが、素晴らしい作品でしたよ。
こんな胸糞悪いというか…毒々しいというか…見てて胸が痛くなりましたw
でも、見応え抜群の映画でした!\(^^)/
香取慎吾すごい
何処からか集まりたまったヘドロが溢れてさらに下に垂れる。粘性の強...
何処からか集まりたまったヘドロが溢れてさらに下に垂れる。粘性の強い臭気に満ちた拭いようのない澱の中でもがき、あがき、流されながら手を伸ばす主人公のどうしようもなさを香取慎吾が演じる。耐えがたさの中に更に色分けがあり濃度にも違いがあり物語を追ううちに自らの倫理に上下が付けられる。
役者・香取慎吾のキャリアの中でも間違いなく今後しばらく筆頭に挙がる作品でありそれをたくさんの人に映画館で確かめてもらいたい。リリー・フランキーを始めとする周りを固めるキャストの在りようもそれぞれ素晴らしく、それでも生きていくというシンプルな境地を痛いほど噛みしめた。
白石作品常連キャストが脇を固め加藤正人脚本の逃げ場のない展開と描写を丸ごと引き受けて圧倒的なメジャー感を全く感じさせずトリッキーなキャラクターでもなく、ただただギャンブルと酒に溺れる弱い中年男を演じきった。暗がりの中足元は見えなくて正しい方向は解っていても進めない。何度も何度も救いを求め何度も何度も救ってもらえるのにそれでもまた見失う。
映画を観るうえでその中に自らを置くとき、登場人物に対して感じる感情が暗く重たく救いがたい人物であるのにそれでもどこか助かってほしい救われてほしいこのままでいてほしくない、と思えるときがくるのはそこに自らの中にある同じく何かから救われたいという感覚が掘り起こされるからではないか。それは映画の中の人物の状況とは違っていてしかし同調を誘うものである。
香取慎吾は決して観客に同情をさせる演技や在り方でそこにいる訳ではない。観客もまた彼が演じるキャラクターに委ねたい訳ではない。どこまでもいつまでも見ているしか出来ない、というこの感覚は凪を待つという感じに近いのではないか。
映画を映画でしか味わえない感情と感覚の旅だと捉える向きには是非とも劇場で体感して受け止めてほしい作品。
白石監督作品の真骨頂
人は何かしら後悔をすることがある。
あの時ああしていれば、こうしていれば、と。
それが周りの死に関わる事だと余計に。二時間があっという間に進んだが、そんな中でたまに映る石巻の凪いだ綺麗な海が、更にストーリーを引き立てていて、観ているこちらを落ち着かせてくれた。
そして俳優について。香取慎吾さんを起用したのは正解だった。ギャンブルに狂うクズ。ただ、キャッチコピーにあるどうしようもないクズだとは思えなかった。影のある人間ではあったが、芯はとても熱い男で、ギャンブルに狂いつつもどこか希望を持たせてくれる男だった。暴力的なシーンでは特に大きな身体が活かされていた。恒松祐里さん、吉澤健さんと三人のシーンでは、思わず涙が溢れた。
観た後の色々な感情が、誰かにも観て欲しいという気持ちが止まらない作品だった。次は細かいシーンに注目しつつ、また観に行きたいと思う。
食わず嫌いを反省
香取慎吾のポスターを見て、鑑賞リストから外していたのに、彼にドタキャンされた同僚に半ば強引に連れていかれた。
1日経ったが、まだ心を持っていかれている。
人生のほとんどを芸能界で過ごし、お金の苦労や薄汚れた人との接点も無いであろう「慎吾ちゃん」がなぜあの空気をまとえたのか…
食べ方座り方、やさぐれた光の無い目。
そこにアイドルの姿は無い。
でも、あの顔は彼が過ごしたであろう想像すら出来ない過酷な人生を類い稀な観察眼と体現力で、全く対極で生きる主人公の人生に投影したものだろう。
映画に映る全ての人が、確かにあの石巻で生きていた。いま会いに行きたいとさえ思う。
美しく悲しい、様々なものが沈む海で生きる人々。
エンドロールがまたいい。
白石監督恐るべし!
瞳に魅せられた
正直、事件についてはっきり解明しきらないところはモヤモヤが残ったが、上手くいかない人生、ダメな自分への葛藤と失望、人の優しさに不馴れな不器用さ。
誰にでも大なり小なり感じたことがあるであろう事柄が、より物語へと引き込んでくれた。
何より主演の香取慎吾の瞳に魅せられる作品であると思う。彼の役で好きだったのはドラマ『沙粧妙子-最後の事件-』での連続殺人犯。人懐っこい笑顔の裏で冷ややかで、良い意味でいっちゃってる瞳をした残忍な役柄がとても記憶に残っている。この作品では、久しぶりに香取慎吾の瞳に魅せられた。
個性豊かで素晴らしい役者人が描く、今の被災地で力強く生きる人々の姿を多くの人に観ていただきたい。
エンドロールの映像は特に必見。いつまでも私たちが忘れてはいけない出来事だから。
優しさが切なく辛い
人が愛しくなる映画
いろんな要素がてんこ盛り
ファン意見なしで。ネタバレあり
予告、内容など一切予習しないで映画を観に行きました。まぁ、奥さん殺される、香取慎吾はヒモでダメ男ってことは何となくわかっていたけど。
いざ、映画が始まると内容はこちらが思った通りの流れと展開。なーんにも、驚かないし、やっぱりなぁって印象。
でも白石監督は、人間の弱さや葛藤。執着、妬みや嫉み、愛情、依存、悪縁、震災後の現実、介護などこの2時間じゃ収まりきれないほどの課題を詰め込まれた作品でした。私が擦れた人間なのもあって泣けたとは言えない。寧ろ、人間への不信感たっぷりの目で物事を、見ちゃうので。この人気持ち悪いとか。なんか怖い流れって思うところが多々ありました。おもしろかったし、もう一回ぐらいみて細かいところを見直したいです。
ろくでなしに惹かれる
香取慎吾さんの演じる「ろくでなし」の郁夫に引き込まれ、ついつい助けてしまう周りの人の気持ちが分かる気がしました。脂にういた肌に不精髭、だらしないシャツをきてギャンブルに溺れ、何かと「大丈夫」で終わらそうとする、、そんな主人公なのにやけに色気があって目が離せない。ストーリー時間を感じさせない展開で、終わった後に感想を言いたくなる映画です。ただ、恋人が殺された理由がはっきりしなかった。それならばキャッチコピー「なぜ殺したのか」は違うと思う。郁夫の生きざまにスポットを当てるコピーで良かったのではないか、、、
人は弱いが温かい
どんなクズ男かと思ったら私にはそうは見えなかった。郁男が踠き苦悩する様は胸が痛い。
依存症の闇に呑まれる様が、グワーンと気分悪いカメラアングルで、何とも不気味だった。
そんな時の郁男はスイッチ入って眼がイッてしまってて怖い。
また、義理の娘と接する郁男は、優しい表情。
この対極の表情が、憎めなさと、切なさと、怖さを無言で伝えていた。
そして、
郁男の姿と、義父を通して見える石巻の傷。
重なって、涙が出た。
完全な悪人も、完全な善人もいない。皆、弱さを抱えながら支え合って生きる姿は考えさせられる。自己責任、生産性が声高に叫ばれ、失敗を許さないギスギスした今の社会に必要なのはこんな優しさ、支え合いなのかも。
(乱闘シーンの迫力に息を呑んだけど、決して意味の無い暴力では無いので、バイオレンス映画だと敬遠しなくても大丈夫です)
仲間の存在のありがたさと仙台の良さがわかる映画だと思います
郁男はギャンブルばっかりやって、亜弓さんに裏切ったりして最低なロクデナシではあるけど、本当はすごくいい人なだけに手を差し伸べたくなる娘さんやリリーフランキーさんが演じる小野寺さんの気持ちもよく分かるし、不条理なことばっかで「はっ?なんでそうなるの?」て言いたくなるようなできことが郁男さんにもふりかかり、その原因の人を見つけたときの郁男さんの気持ちが本当によく分かりました!
登場人物たちはそれぞれに何かを喪失し再生しようともがいている、サス...
登場人物たちはそれぞれに何かを喪失し再生しようともがいている、サスペンスと言うよりはヒューマンドラマと言うほうがピッタリ来ますね。
白石和彌=アクションバイオレンス。勝手にそんなイメージを持って居たのですが、見事にイメージを覆されるような作品でした。前評判でもいくつか目にしては居たのですが、あんな洞穴みたいな目の香取慎吾は見たことがなくて、フランケンシュタインの悲哀みたいなものを感じました。(身体が大きくて暴れたらみんなが止められない所だけかな。笑)
寄り添うことで痛みや苦しみを分かち合って波立った心がいつか凪ぐ日が来ること願いたいそんな作品でした。
クズ中のクズ
喪失と再生
とても良い映画でした。予想外に何度も泣きました。香取慎吾演じる郁男の悲しみ、後悔、懺悔がひしひしと伝わってきて心が震えました。香取さんの表情や演技が素晴らしかった。子どものように泣きじゃくる場面では観ていて涙が溢れました。
殴って殴られての暴力シーンはありますが、グロくもなく目を背けるようなものではありません。恋人を失い自暴自棄になっていく郁男が切なかったです。
吉澤健さん演じる勝美さんも素晴らしい。本物の石巻の漁師さんのようでした。
恒松祐里さんは大人びた雰囲気の中に少女の幼さ、素直さがあって素敵でした。
ラストは微かな希望が見えて少し救われました。郁男と美波、勝美は血がつながっていなくても「家族」になれた気がします。三人に静かな凪のような穏やかな幸せが訪れてほしいと願います。
いろんなものが凄かった
ストーリー、画、演技、すべてが丁寧に丁寧に綴られているなと思った。伝わってくるものがリアルで辛くて重かったけれど、同じくらい色んな想いや愛情を感じた。サスペンス、というより、ヒューマンドラマです。
俳優陣の力量が本当に素晴らしかった。
娘役の恒松祐里さん、美人すぎて浮くんじゃないかと思ったらとんでもなく良かった。リリーさんは流石。吉澤健さんはもう本当に素晴らしかった。主演の香取慎吾さんについては、今まで見え隠れしていた感のある、俳優としての資質というか凄さが、いかんなく発揮されていた。ただただ凄かった。アイドルの人ではない、作品の主演の人で、凄い人、でした。インタビューで監督が褒めるのはだてじゃなく、本当に凄かったです。
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