二宮金次郎

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二宮金次郎

解説

かつて多くの小学校の校庭に設置されていた薪を背負いながら本を読む少年の像で知られる二宮金次郎の、あまり知られていない半生を描いた伝記ドラマ。両親を亡くし、兄弟とも離れて暮らす幼少期を送った二宮金次郎。青年になった金次郎は小田原藩真から桜町領(現・栃木県真岡市)の復興を任される。金次郎は自身が思いついた独自のやり方で村の復興にあたるが、保守的な村人たちから大きな反発に遭ってしまう。そんな中、小田原藩から侍・豊田正作が新たに派遣となり、「金次郎が秩序を壊している」と、金次郎の施策にさまざまな妨害をし始める。金次郎役をドラマ「水戸黄門」などで知られる合田雅吏が演じるほか、田中美里、成田浬、犬山ヴィーノ、榎木孝明、柳沢慎吾、田中泯、渡辺いっけい、石丸謙二郎、綿引勝彦らが顔をそろえる。監督は「地雷を踏んだらサヨウナラ」「長州ファイブ」の五十嵐匠。

2019年製作/113分/G/日本
配給:映画二宮金次郎製作委員会
劇場公開日:2019年6月1日

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(C)映画「二宮金次郎」製作委員会

映画レビュー

4.0稲穂のような映画です

2019年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

写真美術館の舞台挨拶回をみました。

とにかくスクリーンからの熱量に圧倒されました。
キャストさんたちの演技はもちろん、風景、照明、音楽、衣装美術
全てが真剣で「良い物を見た」という充足感で満たされます。

頭を垂れる稲穂のように謙虚で誠実で美しい映画だと思いました。

すっかり金次郎さんに感化され「一円感」を自分の暮らしに取り入れようと
努力していますが、人間ができていない私には難しいw

金次郎役の合田雅吏さんは若い頃の戦隊物や格さん等爽やかで
綺麗なイメージが強かったのですが、土にまみれたり、断食修行の場面の
気迫や重厚感が凄かった。それでいて美しさも損なわず大きな画面で見るのに
とても気持ちの良い俳優さんだなと思いました。
もっと色んな役を見てみたいです。
(今後、二宮金次郎と言われて思い浮かべるのは薪を背負った銅像ではなく
合田さんの姿になりそうですw)
妻役の田中美里さんもとっても綺麗な女優さん(それとチェ・ジウの声)という
印象でしたが、人々を大きく包み込むような慈愛あふれる姿に
こういう役もできる方なんだなと驚きました。金次郎と奥さんの
とても印象的なシーンがあるのですが、それは田中さんのアイデアだそうで
女優としての技術も人としての心も素敵でいっきにファンになりました!

他にも田中泯さんや綿引勝彦さん、長谷川稀世さんなど脇を固める方が技巧者揃い。
柳沢慎吾さんや松本実さんなど百姓役の方々の、貧しい者の哀愁と
可笑しみの隣り合わせが素晴らしかったです。
この映画ではじめて知った成田浬さん(わざわざ中剃りをして月代を作ったそうです!)や
犬山ヴィーノさんも巧かった。

心情的な部分での感動はこれでもかーってほど溢れていましたが、
金次郎が当時としてはかなり先進的な思考で仕事をしたという
実務的な部分での描写が少なかったのはもったいないところ。
「こんなことしたんだー!すげー!」という感動ももっと欲しかったかな?
しかし、2時間でそれを描くのは至難の業かと思いますので
ぜひ連続ドラマ化を希望します(できれば映画のキャストで)
お仕事ドラマが支持を得ている昨今ですから、金次郎の思考・仕法の数々は
視聴者ウケすると思います。

客席はほぼ満席でしたが、年配の方と子供連れが多かったです。
題材的に教育映画の臭いがするからかな?
せっかく恵比寿で上映されているのでサラリーマンや学生等
20~40代の人たちに見てもらいたい作品だと思いました。
共感できる部分や生きるヒントをたくさん見つけられると思います。

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共感した! 2件)
エメロン

4.5期待せずに見たのですが

2019年6月5日
iPhoneアプリから投稿

誘われて期待せずに見たがとても素晴らしい映画でした。
貧乏な生い立ちの話より大人になって金次郎が何を成したのかがメインの話です。
アイデアと信念に何度もグッときました。
聡明で気丈な嫁の演技にも泣かされました。
近年、ながら歩きを助長するとの謎の理由で二宮金次郎像が撤去する学校もあるらしいですが、この映画を見ればいかに見当違いの行いかよくわかります笑
小学校や中学校で見てもらいたい。

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共感した! 3件)
どど

4.0主人公の生き方に感動する

2019年6月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

 最近の小学校にはないのかもしれないが、昔の小学校には大抵校庭の隅に薪を背負った二宮金次郎少年の像があった。しかし小学校時代をどんなに思い返しても、その像の人物について説明を受けた記憶はない。二宮金次郎の歌も知らなかった。本作品で金次郎(尊徳)の人となりをはじめて知ることができた。

「できる人」という言葉は日常でもよく使う。大抵の場合は仕事ができる人のことを言う。しかしそれよりもワンランク上の言葉として「できた人」という言葉がある。この言葉はめったに使わない。日常生活でなかなかそういう人に逢わないからだ。そして「できた人」とは二宮金次郎のような人を言うのだと思う。

 合田雅吏という俳優はこれといって記憶になかったが、体格もあるし、とてもいい演技をする。田中美里はテレビドラマでしか見たことがなかったが、本作品の演技は心に残る名演技であった。柳沢慎吾は流石にやさぐれた役がよく似合う。綿引勝彦は押し出しがあって時代劇でも顔役がぴったりはまっていた。
 俳優陣は総じてかなりの迫力で演じていて、映像に鬼気迫るものがあった。それは主役の合田雅吏の並々ならぬ思い入れが伝搬したからだと思う。二宮金次郎という人がどのように生きたか、みんなでそれを伝えようとする気持ちが感じられた。
 主人公があまりに真面目なので、観ているうちに息が詰まってくる。そこにお笑いのカミナリを登場させて和ませるあたりは心憎い演出である。ここで一旦息が入り、再び金次郎の物語に浸ることができる。
 物語の中で金次郎はたくさんの名言を残すが、最も印象に残ったのは、「絶対の善人も絶対の悪人もいない」という言葉だ。成田山新勝寺での断食の行で悟った真理である。親鸞の悪人正機説にも通じる考え方でもあるが、キリスト教の「汝の敵を愛し、迫害する者のために祈れ」という教えにも通じる。実際に金次郎は祈るだけではなく迫害する者のために施しさえする。もはや聖人である。正直で素直な村人たちがそれを悟らないはずはなく、彼らは金次郎の信徒となる。
 人間はかくも優しく寛容になれるものかと、その生き方に感動する主人公であった。おそらく役者陣も同じように感動し、その感動を演技に昇華させたのであろう。とても美しい、立派な作品に仕上がった。演者と製作者に拍手を送りたい。

 初めて訪れた東京都写真美術館だが、施設はとても綺麗でホールの椅子の座り心地もよかった。リニューアルオープンからまだ3年目だそうで、綺麗なのは当たり前かもしれないが、職員は公立の割に横柄ではなく、丁寧に対応してくれた。並んでいる客は殆どが年配の人ばかりだったが、中には子供連れの母親もいて、こういう映画を子供に見せる意識の高い親もいるのだと感心した。本作は必ずや子供にいい影響を与えるだろうし、影響を受けた子供は必ずやいい人間に育つに違いない。

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耶馬英彦