写真美術館の舞台挨拶回をみました。
とにかくスクリーンからの熱量に圧倒されました。
キャストさんたちの演技はもちろん、風景、照明、音楽、衣装美術
全てが真剣で「良い物を見た」という充足感で満たされます。
頭を垂れる稲穂のように謙虚で誠実で美しい映画だと思いました。
すっかり金次郎さんに感化され「一円感」を自分の暮らしに取り入れようと
努力していますが、人間ができていない私には難しいw
金次郎役の合田雅吏さんは若い頃の戦隊物や格さん等爽やかで
綺麗なイメージが強かったのですが、土にまみれたり、断食修行の場面の
気迫や重厚感が凄かった。それでいて美しさも損なわず大きな画面で見るのに
とても気持ちの良い俳優さんだなと思いました。
もっと色んな役を見てみたいです。
(今後、二宮金次郎と言われて思い浮かべるのは薪を背負った銅像ではなく
合田さんの姿になりそうですw)
妻役の田中美里さんもとっても綺麗な女優さん(それとチェ・ジウの声)という
印象でしたが、人々を大きく包み込むような慈愛あふれる姿に
こういう役もできる方なんだなと驚きました。金次郎と奥さんの
とても印象的なシーンがあるのですが、それは田中さんのアイデアだそうで
女優としての技術も人としての心も素敵でいっきにファンになりました!
他にも田中泯さんや綿引勝彦さん、長谷川稀世さんなど脇を固める方が技巧者揃い。
柳沢慎吾さんや松本実さんなど百姓役の方々の、貧しい者の哀愁と
可笑しみの隣り合わせが素晴らしかったです。
この映画ではじめて知った成田浬さん(わざわざ中剃りをして月代を作ったそうです!)や
犬山ヴィーノさんも巧かった。
心情的な部分での感動はこれでもかーってほど溢れていましたが、
金次郎が当時としてはかなり先進的な思考で仕事をしたという
実務的な部分での描写が少なかったのはもったいないところ。
「こんなことしたんだー!すげー!」という感動ももっと欲しかったかな?
しかし、2時間でそれを描くのは至難の業かと思いますので
ぜひ連続ドラマ化を希望します(できれば映画のキャストで)
お仕事ドラマが支持を得ている昨今ですから、金次郎の思考・仕法の数々は
視聴者ウケすると思います。
客席はほぼ満席でしたが、年配の方と子供連れが多かったです。
題材的に教育映画の臭いがするからかな?
せっかく恵比寿で上映されているのでサラリーマンや学生等
20~40代の人たちに見てもらいたい作品だと思いました。
共感できる部分や生きるヒントをたくさん見つけられると思います。