アップグレードのレビュー・感想・評価
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変わり種のSFアクション好きなら見逃せない
あちこちで言われているように、本作はまさに「掘り出し物」だ。監督は「インシディアス」シリーズのリー・ワネル、主演は「プロメテウス」のローガン・マーシャル=グリーンと、どちらも超メジャーというほどでもないせいか認知度はやや低いようだが、AIチップを埋め込まれて超人的な身体能力を獲得した主人公が繰り出すアクションが滅法面白い。全身麻痺になった身体をAIが操るという状況を、ロボットダンスに似たカクカクした動きで表現しているのだが、再生速度の絶妙なコントロールにより、格闘ゲームで操作されるキャラクターの動きを実写で再現したような、ちょっとユーモラスで妙に味わいのある活劇になっているのだ。
SF映画としては、「her 世界でひとつの彼女」「マトリックス」「レポゼッション・メン」などに近いテーマや要素を含む。これらの過去作のダークな部分が好きなSFファンなら、本作もきっと気に入るだろう。
近未来をジャストなアイディアとサイズで具現化した、見逃せない「掘り出し物」
リー・ワネルといえば、ジェームズ・ワンと共に「ソウ」シリーズをぶち上げた切れ者として知られるが、まさか彼が単独監督としてこれほど腕を上げてるとは驚きだ。メイン画像やポスターからは想像できないアッと驚く世界観がここには詰まっている。
体の自由が利かなくなった男が、体内にAIを埋め込むことで未知なる力を発揮する・・・。あらすじだけを見ればありきたりな感じもするのだが、やがて壮絶なバイオレンス・アクションとなり、一方、脳内で音声ナビしてくれるAIとのバディムービーとしての側面も厚みを増し、そこからさらに物語はツイストする。勘のいい人は先読み可能かもしれないものの、重要なのは語り口。矢継ぎ早に繰り出される展開は見ていて痛快。
低予算の帝王、ジェイソン・ブラムの存在もうまく機能した。物語そのものはこじんまりとしながらも、手頃な箱庭サイズで近未来SFとしての旨味を十二分に引き出している点が最高だ。
チップを脳に埋め込むのは近い将来実現できそう
近未来モノだけど、チップを脳に埋め込むのは近い将来実現できそうな気がする。グレイみたいに半身不随の人にチップを埋め込んで、身体を自由に動かせるのは便利そう。今作ではそんな夢のようなAIチップが暴走を起こしてしまう...。
この映画で考えさせられた点は2つある。
1つめは、「AIの弱点がアナログである」こと。
ステムの自動戦闘モードはとにかく強力。一方的にボコボコにするもんだから、やられてる敵が可哀想になってくるほど。殺しを望まないグレイをよそに、残虐に殺す姿はサイコパスのようだった。側から見れば1人で会話してるのだから、敵からしたら恐ろしかっただろう。
ステムが万能かと思いきや、盗聴機や自動車(手動)に負けるシーンがある。「アナログは制御できない」とステムが言うように、AIが管理しているモノでないとコントロールできないのは明確な弱点。もし現実でAIチップが普及しても、アナログには干渉できないようになるのかな。あ、そもそもAI普及してたらアナログ使う人なんて居なくなるか。俺だったらアナログの明確な弱点がない限り、AI機器しか使わなくなるね。グレイの家のように、アレクサの進化版みかいなAI家具に囲まれて暮らしたい。
カーチェイスのシーンのおかげでグレイが活躍できて良かった。このシーンまでステムが出しゃばってたら、グレイの見せ場なくて萎えたかも。
2つめは、「VRの脅威」だ。
この映画ではVRも重要な要素になっている。ハッカーの住処でVR世界から戻れなくなって人たちがいたけど、リアルにありそうで怖かった。
「VRの世界を味わったは現実世界には戻れない」ハッカーが言うようにVR世界はかなりリアルだ。俺はVRで女の子の胸や尻を見たことあるけど、すぐそこに有るかのようだった。ブラジャーを外そうと手を伸ばしたり、腹這いになってスカートの中を覗いたりした。またサメやらゾンビやらに襲われ時は、あまりの怖さに悲鳴をあげたり身体をブルブル震わせたのを思い出す。
「グレイを死んだアシャに会わせて閉じ込めた」最後ステムはVRによって人を倒す。もし今後VRが発展し、自分の理想世界を堪能出来るとしたら、現実世界には戻ってこれない自信がある。
設定が面白く、VRやチップなどは現実味を帯びてきているのでSFだけど親近感あって楽しめた。ただAIの完全勝利で終わるので、人間の俺からしたら後味が悪くて救いようのない映画だった。ラスト後はステムが支配する世が訪れるのだろうか。ホラー映画を見た後のような怖い余韻が残っている。
ナイトライダー+ガンカタ
妻を殺した者への復讐に燃える男のSFアクション。大作ではないけれどなかなか見所のある良作だったと思う。
まずはアクションかな。もう最近の人は知らないかもしれないけどクリスチャン・ベイル主演の「リベリオン」の中で行われたガンカタやってたね。ガンカタは敵に対して攻撃と防御で最適な位置取りをするというものだが、見える範囲では超近接のガンアクションなんだよね。銃を手で払って銃口をそらす。それをお互いにやるから格闘技のように見える。それがガンカタ。
そのガンカタにプラスして回転するカメラワークがあり、一定の見応えがある。
次に主人公に埋め込まれるチップとのバディ感。
昔のアメリカドラマで車がしゃべる「ナイトライダー」ってのがあったんだけど、完全にそんな感じなんだよね。話が噛み合ってるようで噛み合ってないところとか、マジメな受け答えが笑えるところとかね。
自分とAIが一体になってるあたりがちょっと近代的で、「ナイトライダー」のアップグレード版といった感じだ。
そして、思いの外凝られてたストーリー。
奥さんの勤める会社でのトラブルで殺されたかのように進みながら実は関係ないってのは良かったね。
結局、内蔵されたチップが黒幕というオチは観ているものを裏切る展開としては良かったんじゃないか。
「ナイトライダー」のようなバディもの感を面白く観ていた私は少々、いやかなり不満なオチではあったけどね。ほどほどにユルいノリのせいで復讐を果たしてハッピーエンディングだと思い込みすぎたのかもしれない。
そんなわけで、どこかで観たことありそうな詰め合わせではあったけれど、それらをうまく組み合わせて新しいもののようにみせた腕は良かったんじゃないか。
観る前の期待よりかなり面白かった。
トランスヒューマニズム
AIやトランスヒューマニズムに、まつわる話ですが、もう近い未来ありえる話。
『マトリックス』とは話が違うけどカンフー使ってるし、忍者って単語が出てくる。
サイバーパンクと東洋って相性いいんですかね。
3.5と4の間、少し甘めの4です。
まあまあ、といえば、まあまあ…
面白い、といえば、面白い…かな?
寄生獣のような作品。大好物です。
あーラストはその展開ねっていうのを一歩先行かれた感じで気持ちよかった。
ひとりぶつぶつもう一人の誰かと会話してる感じはまさに寄生獣で、
マトリックスみたいな肉弾戦、ターミネーターを彷彿させる動き、カーアクションにサスペンス。
大好物な作品だった。
《アップグレードされた男》と《埋め込まれたAI》
2018年(アメリカ)監督:脚本:リー・ワネル
掘り出し物だと思いました。
SF映像も目を見張るし、低予算とは思えないアップグレードされた未来図。
アイデアが素晴らしい。
近未来で妻を正体不明の組織に襲われて殺されたグレイ
(ローガン・マーシャル=グリーン)は、命は助かるものの全身が麻痺
してしまう。
ある企業の宿主オーナーから、人工知能チップ(STEM)を埋め込む
手術を受けると、身体は回復する。
回復するどころか脅威的な身体能力を持ってしまう。
ここで面白いのは宿主グレイと人工知能のSTEMが会話したり反発
しあったりする所。
(ちょっと会話はヴェノムに似ている)
まぁこれがラストへの伏線なのだけれど、新鮮で面白い。
AIを搭載したグレイの脅威的なアクション。
キレがあり最高だ。
内容は妻を殺された男のリベンジ・アクションだけれど、
主演のローガン・マーシャル=グリーンのロボットみたいな振り付けと
トリッキーなカメラワークのにも目が釘づけだ。
AIに乗っ取られる人間の恐怖にも言及していて、考えさせられる。
(ラストは甘めで、個人的には好き)
その後、リー・ワネルが『透明人間』でヒットを飛ばしたのも納得です。
黒幕は
黒幕は私の想像の一歩上を言ってました。
ストーリー的には、妻を殺された相手に復讐するという単純なもの。その手助けをするのがステムと呼ばれるチップで、人間をアップグレードしてくれる代物。
無敵な体を使って犯人を突き止めていく流れはテンポがよくて楽しめました。
B級映画と侮る勿れ
販売元がパルコ?
あーB級映画ねーっていう感覚で観たら、恐ろしく完成度の高い映画で衝撃だった(;'∀')
ここ数年で一番面白かったかも?
確実にスパイダーマンよりも面白いです(笑)
最後の伏線回収からの衝撃のラストはゾっとしました。
さすが「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラムが製作しただけのことはありますね。
序盤で殺された奥様はアンミカ?って錯覚するほど似てる。。。
スプラッターなシーンも多くあるので、苦手な人は苦手かも?
おもしろいカメラワークの格闘シーンは必見です!
漫画「寄生獣」のAI版?でもめちゃ面白い!
表題のとおり。漫画「寄生獣」を思い出しました。
AIが「ミギー」みたいな感じで。
ニーチェ的な超人的な可能性にワクワクするのと、
非人間的なトリッキーなアクション、
非人間的な暴力性と冷徹な判断力にドキドキ。
ストーリーにもそう来たか!というものもちゃんとあって
ホント、面白い!!
自分は、自分のものではない感覚。
自我がさまよう。
VRが見せる世界は、
妄想に逃げる人間の弱い心、姿を示唆してるようでもあり。
妄想に気づいて、そこから脱出できるか。
本作の主人公は出られませんでしたが。笑
翻って、果たして、メタバースから、
わたしたちは取り込まれず、
それでいて、ちゃんとこの狂った世界で
正気を保てるでしょうか?
↑何の問い?笑
さて。
マトリックスのネオのように覚醒して、
今目の前にある世界の虚構、
人の弱い心、妄想を喚起させて支配する何者か、
そう言ったものへの警告的なメッセージも感じます。
AIとVR、人間の心や身体性をテーマとして
人のあるべき姿、方向性を検討するのに
思考材料にもなる作品でもあるように感じました。
現代的近未来SF
監督は透明人間(2020)のリー・ワネル。
ソウ、インシディアスシリーズにも製作、脚本、出演と深く関わっている。
いわゆる機械と人間とのバトルアクション物だが、ストーリー展開は今までありそうでなかったもので、どんでん返しに次ぐどんでん返しというサスペンス感とラストの何とも言えないバッドエンド風味は斬新だと思う。
あえて風味と言ったのも、人間側は人格や命を奪われるが、機械側は新しい体を手に入れて生まれ変わるという見方もできるからだ。
作品の規模こそこじんまりとした低予算映画だが、下手なビッグバジェット物よりも圧倒的に面白くてハイクオリティだと思う。
やろうと思えば続編も可能なエンディングだったので、ちょっと期待してみたい。
身体感覚が伝わって楽しめた!!
棘のある主人公で出だしの印象はいまいちでしたが、全般的に楽しめました。良い具合にレトロを感じる事があり、中盤の車の追跡シーンは昔観た日曜洋画劇場の「未来警察」や「ヒドゥン」を思い出しました。終盤は、こじんまりとまとまとまり過ぎた印象はありますが、身体感覚が伝わって来る良い映画だと思います。ラストも好きです。
レーザーラモンHGのネタを思い出した
「これは早すぎてゆっくり見えるんですよ」
この映画を観てレーザーラモンHGが腰を痛めたあとのネタを思い出した。
背筋伸ばして敵をバタバタと倒していく姿はもう、コントにしか見えない。製作費3億円とのことで、俳優のギャラはいくらなのか心配になる。
この作品に高評価をする批評家はよっぽど暇なんだな。
アホくさいと思うのが普通の感覚だな。
程よいスピードと展開
初めの事件で、「あれ、これって最初から黒幕ひとりしかいなくね?」って冷めてしまうものの、最後にちゃんと納得できる結末があった。
実行犯たちにもう少しきちんとした背景をつくってほしい気もしたが、そこはあくまでアクション。
なかなか良作だった。
原作を書いたのは一体誰なんだ?
脚本家のところには監督の名前が書いてあるが原作者の名前が書いてない。
この監督が今まで撮ってきた作品から考えて、原作も監督が書いたというのはちょっと信じられない。
こんなに見事な原作を書いた作家(これはもうシナリオライターと呼ぶレベルではない)の名前が伏せられているというのは何という残念なことだろう。
多分、想像を超える面白さ
どうしてこんなに上映館が少ないのだろう?
こういう映画に出会えるのは本当に嬉しい。
この映画は、AIと人間の闘いです。
この言葉だけだと、ストーリーを何となく想像してしまうかもしれませんが、多分、想像を超える面白さです!
アクションやCG、そして結末。DVD出たら絶対観てね。
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