THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
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音と会話だけの緊迫の88分間。
警察官のアスガーが受けた緊急司令室の電話は、
拉致されて誘拐された女性からのものでした。
よく聞いて行くと通報した女性イーベンは、夫に拉致されて何処かに
連れ去られようとしている。
パトカーは追跡を要請するアスガー。
画面は車の位置を大まかに知らせるだけのモニターで、詳しい位置は
分からない。
『SEACHサーチ』のようにモニターに映像が映る訳では無いのです。
本当に「声だけ」が勝負です。
とてもシンプルだけど緊迫感があります。
イーベンの6歳の娘と話して分かる事実。
犯人(らしい?)男との会話。
イーベンの精神の変調?!
アスガーの必死の説得。
(アスガーもまた境界を越えてのめり込んでいきます)
ラストには警官アスガーのある秘密が明かされるのです。
題名は『ギルティ=』罪』
炙り出されるアスガーの罪。
緊急司令室で電話を受けたことにより、
電話だけでこんな過去や現在が明らかになる。
とんでもない結末へと誘われて、
私は立ち尽くしました。
予告は観るべからず
緊急通報してきた女性イーベンと対応オペレーター、アスガーとの会話劇を主に物語が展開されていく。
イーベンは前科ありの元夫の車で拉致され、イーベンの家には子供が残されているのだが…
残念なのは、イーベンの娘との通話内容と、予め観てしまった予告の示唆で事件の真相が少し読めてしまった…
そのせいかアスガーの独断捜査や、勝手に元夫とコンタクトし糾弾する姿が独り善がりにみえてイライラしてしまった。
現場へ向かって助けに行けないもどかしさはわかるけど…!
実際に真相を知ったアスガーは、通報室に左遷された原因でもある、容疑者を故意に射殺した自分なりの正義が、ただの独善であったことをまざまざと突きつけられる。
今まで一見些末な通報に対して、自業自得とおざなりに対応してきたアスガーに、元夫の「今まで誰に助けを求めても無駄だった」という台詞が刺さる。
でもラスト、罪を自覚、自責したアスガーがイーベンの命を引き留める姿は懸命で素晴らしかった。
犯人は音の中に潜んでいる!
斬新なアイデアに脱帽と言える映画でした!見事としか言いようがありません。今までに数えきれないほどの映画を鑑賞してきましたが、まだこんな新感覚な体験が出来るとは思いもよらなかったです。
誘拐事件を解決するためには音のみです。電話の声、背後の環境音で推理をして会話のみで最後までいきます。観ている側は音しかヒントを貰えていないのですが、徐々に想像が膨らんでいき、頭の中で状況をイメージしていくのです。この映画では、"沈黙"という音ですら見事に使いこなしています。
映画の場所はオペレーター室のみ。しかしながら、鑑賞が終わった後は自分の想像という世界でいろんな場所と色々なシーンを体験してしっかりイメージが残っているという、すごい世界観を味わった気がします。
本作が、斬新なアイデアだけでなくさらに見事と思えた点としては、この誘拐事件にはどんでん返しがあります。正直、完全に冒頭では想像できないような展開でした。サスペンス映画として王道であろうどんでん返しという点までを、音だけで描き切っているのです。
そして感情を揺さぶられるシーンまでしっかり織り込まれているから驚きなのです。1つの事件を追う中で、アスガー自身も最後では人生観が変わったといえるでしょう。ものすごく深いドラマを観たような感覚にも陥いりました。
予備知識は完全シャットアウトが必要な映画と思います。視覚的に盛り上がるシーンは全くありません。ただ、観始めたら最後、想像という新感覚な世界から抜け出せなくなる、見事な映画でした。
耳と頭で観る映画
こんな映画初めて!
半端ない臨場感と人間の想像力で作り上げられた映画。
ワンシチュエーションにも程がある。
映像的には電話してるおじさんをずっと映しているだけ。
なのに惹き込まれる。
電話だけで誘拐事件を解決に導いていくんだけど、犯人の顔とか誘拐現場の映像とかの差し込みは一切ない。
本当におじさんオンリー。
事件は解決できるのか。
犯人の目的とは。
「THE GUILTY」の意味とは。
頭の中で観た後、語り合いましょう。
好きやわー、こんな展開!w
シチュエーションスリラーというのか、今までにもいくつもあった本作ですが一味違う。
主人公アスガーがなんともオペレーターがヤル気なしでやっつけ感がスゴい。
鼻で笑いながら電話応対したり、、。
個人的には仕事にきちんと向き合わないタイプの人が好きじゃないので見ていてイライラw
正義感やきちんとした技術はありそれなりに対応していぐ突然緊迫感のある電話がって所からスタート。
ありきたりなのだが、また好き勝手に進めていくアスガーにまたイライラw
誘拐犯との駆け引きとかもなく違和感はあったが最後の所までは見抜けず、、、。
出てくるキャストも少な目な分、圧倒的な緊張感や緊迫感でハラハラと楽しめた。
また色々なテンポや間も良くも悪くもっと言った感じ。
絶対にオススメできる作品ではないが、ふと見るとなかなかに良いじゃん。と感じられる作品でした。
一人芝居と電話だけで進行していく事件の後にさわやかな後味
こういうアイデアの映画は初めて見た。舞台なら一人芝居に近く、一歩間違えればアイデア倒れのどうしようもない作品になったところだ。
しかし本作では、主演ヤコブ・セーダーグレンの勤勉だが職務上問題を起こした人間の弱みや暗さ、熱意や優しさという人柄の幅を見せる演技力、緊急電話センターの通報者の名前や住所、所在地がただちにわかるシステムの面白さに惹きつけられてしまった。
そうこうするうちに電話の向こうでは、誘拐事件が発生し、幼児虐待や殺人も疑われ…と電話だけで事件が進展し、その様相が変化していくので、最後まで飽きさせることがない。
最後には職務上、殺人を犯したのを嘘で誤魔化そうとしていた主人公の心変わり、自分を有罪と認めることまで暗示して、さわやかな後味を残したのもいい。
低予算苦肉の策
低予算苦肉の策って感じかな。
流石に全てを部屋から一歩も出ずに話を進めるのは単調過ぎるのではないかと。
以前見たTEH CALLというやはり911オペレーターが電話だけで誘拐された少女と緊迫したやり取りで話を進めていく映画があったが、そっちはメインが司令室だが外でのシーンもあって単調にならないようにしていた。
このギルティは全てをこの部屋の中で進めるとするならばもっと、トリックや意外な展開を取り込むべきだろう。単に夫が誘拐犯かと思わせつつ2転3転するくらいのアイデアが必要じゃないかと思う。
ただ低予算映画がアイデアで勝負するのは嫌いではないので、こういったジャンルは評価したいと思うが、この内容であれば30分でまとめてドラマにすれば良かったのではないと思った。
ネタバレあり
よかった。
主人公は訳あって警察の緊急ダイヤルのオペレーターをしてる。そこに誘拐されてるという女性から電話がくる。
感想
最初の方で主人公の電話対応を見てマニュアル通りではないのではないかと心配になった。
ルールを逸脱する人って感じた。彼の抱えている問題と繋がってる。
途中、弟の部屋で一緒にいるようにと言うところは悪い予感がしていた。
真相は終盤まで気づけなかったから楽しめた。
最後救いがあり、余韻はそんなに嫌な感じではない。
彼の行動で傷つけた人もいたが助けた人もいた。
見ていて、ハラハラは少しで
もっとうまくやれないのかとイライラした。
これは彼女を助けたいと思って真剣にみてたから。
見てしばらくしてから思ったこと
罪って善行で上書きすることも拭うこともできないんじゃないか。当たり前のことだけど。
主人公の罪はずっと残って、傷ついたものは傷ついたまま。
罪と向き合おうと思ったら気づいてつらい。
良いことをしてもなにも変わらないけど、自分が少し救われるかも。
自分はダメでした
それなりにレビューは高い作品なので、おそらく一般的にはおもしろいと思われるような作品なのでしょうが、当方には合わなかったです。
ずっと電話のみで、シーンがほぼ変わらないため、飽きてきてしまいました、、、
でもそれが本作の醍醐味であるようなので、ハマる人には恐らくハマるのだと思います。
徐々に明かされていくタイトルの意味
これは本当にすごい。
主人公と一緒で途中まで本当に罪を犯してしまった人を間違えていました。
(というよりも全く考えもしていなかった)
実は誘拐犯と思われた男性は犯人ではなく、純粋に元奥さんを救いたいと思っている人でした。
そして、オリバーを殺害した本当の犯人は…。
終始主人公しか目に入らないので主人公と同じ感覚というか心理というか
誘拐犯と誘拐された被害者という先入観が一気に崩された感じだった。
確かに考えてみれば、娘との電話に代わると言ったり、警察からの電話に対応したりしていたのは犯人像とは異なるよなぁと。
(外国だとそんなもんなのかなぁとも思った)
最後は主人公が自分の罪に向き合うように仕事場を去るんだけど…
なんだか背中が寂しそうに見えたのは私だけかなぁ…。
ほんとにBGMがない!
最後のエンディングでやっとシンセの音が流れるまで、効果音はまるでナシ👏
会話も、たまに黙ったりするから、けっこう無音状態が多いです🙌
結局、悪いのは誰だったんだろうか?
(途中、おもいっきり寝てしまった)
感情の起伏が激しすぎる主人公
緊急通報を受けるオペレーターの話しですが、通報してきた側の人は電話口の音声のみで、物語がオペレーターのいる1室でずっと進んでいく感じが個人的には飽きてしまいました😭
また、後々イーベンが息子を殺した精神病患者だとわかるわけですが、それ以前にアスガーも急に怒り狂ったり、なかなかの異常者に見えてしまいました笑
最終的にも何を伝えたいのかよくわからなかった😫
TSUTAYAで先行レンタルしてて気になってた
その後借りられないまま月日が過ぎ、今更見ました。デンマークの映画だそうで、普段見るアメリカ映画より演技がだいぶ自然。これほとんど撮り直ししなかったんじゃないかなと。
勢い良くヘッドセット外そうとして、手が滑って顔にペチンッ!イタッ!て顔するんだけど、そのまま続行。撮り直し無し。こういう方が現実的だし面白い。
アメリカみたいに、最初はカラッとした雰囲気から始まって徐々に…ではなく、最初から仄暗い雰囲気で緊張感がある。とはいえアメリカ映画みたいにずーっと張り詰めてるというよりは、じっとりとイヤーな空気が延々と続く。
北欧のはほとんどノルウェーの作品しか見たことないけど、それに似た雰囲気だと思いました。ノルウェーの映画は、明るい話でもファンタジーでも、どこか仄暗い。
日本人はこういう雰囲気のも結構好きだと個人的には思うんですが、日本はアメリカの映画ばっか輸入しますね。食べ物と同じでアメリカのを輸入するよう圧力でもかけられてるんでしょうか。
日本の映画界は、日本とアメリカでほぼ半々、他の国のは5%くらいしか入れてないとか。で、その5%のうち、ほとんとが韓国。あれだけ韓国韓国言ってる割に、韓国の作品すら5%もなかったんですね。そりゃ北欧の作品なんて全然見かけないわけだ。
ロシアの映画なんかも割と好きですが、こちらも明るい話でも何かちょっと仄暗い。実はあんなにカラッとしてるのってアメリカくらいのもんなのかな。
あらすじ:
主人公のアスガーは警察官だが、今は訳アリで緊急ダイヤル対応係として務めていた。緊急ダイヤルとは名ばかりの、酔っ払いやヤク中らしき奴らからばかり掛かってくる電話番をアスガーは不服に思っていたが、1人の女性イーベンから今まさに誘拐されているという電話が入ったことで、アスガーはイーベンを何とか助けようとこの事件に入れ込んでいく。
主人公以外ほぼ音声だけで進行する作品は他にも見たことありますが、正直こういう作品は、どこかしらでちょっと退屈するのは覚悟しといた方が良いです。映画=映像作品なのに、見た目に動きがほとんどないし、低予算丸出しの作品も多いので。
ても、本作は他より動きはある方でした。アスガー役の俳優が、この主人公に抜擢されるだけはある演技力で、なかなか渋いしモロに「ヒーローです!」って感じじゃないのが現実的で良い。
最初から明らかに訳アリっぽい主人公。態度もあまり良くなく、職場の他の人達とも上手くやってるとは言い難い雰囲気。
まあ、緊急ダイヤルの仕事を明らかにナメてるというか、「俺にこんな下らない仕事をさせやがって」な態度だから、周りの人もそりゃ嫌になるわなといったところ。
とはいえアスガーの気持ちも分からなくはない。ヤク中が明らかにヤバそうな地域で車放置してたら何か盗まれたとか、酔っ払いがチャリで転んだとか、ウンザリするような電話がしつこくかかってくる。緊急ダイヤルなのに全然緊急じゃない電話ばかりなので、どうせ大した内容じゃないだろ…とやる気が無くなっていくのもわからなくは…ない、もしもの事があった時後悔するのは間違いないんだけど。
ただ、そういうやる気のなさとか、そういう仕事自体を見下してるとか、そういった理由は見てる側にも何となく理解できても、だからといって「本当の」緊急通報がきた時のアスガーの急な入れ込み様も不気味。何かのスイッチが入ったかのようにイーベン救出に精を出し始め、どう見ても理性的じゃないし、人助けしたい気持ちはあるが色んな人に高圧的。そしてアスガーの性格で最も致命的なのが、自分ひとりの思い込みで勝手に物事を進めてしまうところ。
『ミスト』と同じで、主人公が悉く間違った選択をしてしまう。というより、「映画なら」それでヒーローになれる。でもこれは現実だと言わんばかりに、主人公が正しいと思ってやったことが全て裏目に出る。
結局アスガーはヒーローではないし、これはヒーロー映画ではない。だから、主人公がやったことが都合良く全てうまくいって大団円、なんてことは有り得ない。
「これが現実なんだよ」と突きつけてくるような、絶望と小さな希望を残す終わりはトム・ハーディ主演『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』をちょっと思い出しました。
演出の仕方も見事で、最初はアスガーが皆と同じ部屋で仕事しているシーンから始まりますが、この薄暗い部屋から暗い、孤立した部屋に入っていき、そこに閉じこもる。そしてその後、再び薄暗い部屋に戻ってくる。ラストは部屋から出て、明るい廊下の先へと歩いていく。
アスガーの心境を明暗で表しているのかなと思います。とすると、やはりラストは「本当の」幸福への道をアスガーが歩み始めたという表現なのでは。
「ハッピーエンドほぼ確定の作り物」ではなく「現実」として、見ている側に絶望を味わわせる、この表現力が素晴らしい。
とはいえ…やっぱりストーリー上の都合なんだろうけど、「ん?」と思う部分は結構ありまして。一応どんでん返し系のストーリーなんだろうけど、あまり驚きはありませんでした。
暴行罪で逮捕歴のある父親が、赤ん坊のいる部屋でナイフを持って怒鳴り散らし、母親の髪を掴んで引きずって行った…という話を聞いて、当然のように赤ん坊が無事だと思っているのもおかしな話では。普通、赤ん坊が怪我してないか、無事かどうか真っ先に訊かんか?
6歳とはいえ、弟オリバーがバラバラに惨殺されてることを頑なに言わず、というか理解すらしていないかのように「弟のそばにいろ」と言われて平然とバラバラ死体の傍にいるマチルデも変だし。
イーベンが自分の息子を手にかけたことに自ら気付くのも唐突だし、ミケル曰く「相談しても誰も助けてくれなかった」のも謎。ミケルに逮捕歴があるからとも取れるけど、それにしてもイーベンだって精神病院にいた記録があるのに、そこまで誰にも信用されないのもおかしな話。確認ぐらいはせんか?
ましてやオリバーが殺された後なんて、わざわざ言わずにいる理由もない。もう後がないのだから、「いやまじで俺じゃねーから!」くらい言っても良いもんだと思うけど。失うもんねーだろお前。
全員が全員、ちょっとだけいい感じに隠し事したせいで成立してるサスペンス。
色々とツッコミどころはあるものの、(ほぼ)一人芝居系作品の割には飽きさせない作りで良かったと思います。
いやしかし、(ほぼ)一人芝居系の作品の主役に抜擢される人は流石の演技力ですね。上に挙げた『オン・ザ・ハイウェイ~』のトム・ハーディ然り、『チェイサー』のハル・ベリー然り。脚本がイマイチでも最後まで見させる俳優って、やっぱ演技力がハンパないんだろうな。
社会の不条理に何となく不満を持ってる人、ジワジワいや~な雰囲気の映画が好きな人におすすめ。割とスリリングで(ほぼ)一人芝居系作品にしては退屈するシーンも少なめなので、一人芝居系が初めての人にも。
えっ…
お腹にヘビ… えっ…
どんでん返し映画。
画も変わらず、音楽も無く淡々と進むのに臨場感がすごい。電話の声だけでこんなにもストーリー展開出来るなんて驚き。
時間も短めで、最後まで飽きること無く見入ってしまった。
個人的には良い終わり方だったと思う。
飛び降りる寸前のイーベンを説得の末保護出来たし、レンガで殴られた濡れ衣夫も生きているようだし。
主人公の事情が少しずつ明らかになっていく過程も、最終的に罪を認めるかたちになったのも良かった。
素晴らしい映画だった
コストが一ミリもかかっていない本作。映る場面は一つだけ。コールセンターだけである。キーボードを台パンでいくつも壊しながら本作は一つの電話だけで進んでいく。
こういった類似作品は数多くあれど、「想像」させるその無限大の怖さや臨場感が半端なかった。時間も1時間半と見やすく、緊迫し、展開が二転三転していく。そしてその情報の小出し具合も完璧である。
電話番号は絶対覚えろと言われた。(”暴力親父”がそんなこと言うのなんで?)
子供部屋に入っちゃいけないよ。??
水族館ね。ふんふん。
サメが好きなの。ふーん?????
この小出し具合と、意味が隠されたアイテムの散りばめ方、真実へのつなぎ方も小説的で良かったと思う。
「もう嘘は嫌なのよ」「何度も助けてといったのに誰も助けてはくれなかった!!」というセリフがあらゆるところに反響して乱反射している。嘘を明日つくはずの主人公と冒頭の風俗で強盗にあった通報者は”自業自得”だから駆けつけるのは後でいいと言い放つシーンにも反射している。暴力事件を起こしたレンガ職人の親父の「妻のメンタルブレイクで子供が危ない」という言い分は警察や行政は全く聞く耳を持たなかったのだろう。
トルネードような話の巻き上げ方である。
そして最後に「あなた、いい人ね」とその言葉で終わっていく。
昨今は意味のない描写が多い映画が多いけど、久しぶりに爽快な感じを味わった。配属当初からイライラしてる主人公がイライラしているわけや、子供が番号を覚えた理由などが間接的な情報から自分で「わかった!!!!」となる瞬間はゲームにも似た楽しさがあった。
こう考えると、途中で「酔っ払って自転車に乗って怪我をした通報者」や「僕も好きだよ」というセリフにもなにか意味はあったのだろうと深読みしている。あそこでなぜ「好き」といったのだろうか。普通「好き」とは言わないだろう。どこか小説的に感じた。だが、その不思議さもいい!
本作は久しぶりに吹き替えで見たのだけど、違和感ゼロでむしろ良かった気がした。
「想像」の強さと怖さ
デンマークの映画だそうです。
あまり馴染のない国の映画を見る楽しさは、
「パターン」にハマってないところですね。
出演しているのは、1人の俳優と多数の声。だけ。
それがここまで臨場感と緊張感を生み、
そしてここまで想像力を掻き立てられるのか!
と、驚きが隠せない映画でした。
主役のアスガーは、何かしらの出来事があって
いま、この業務についているらしい。
つまり、緊急電話の応対には不慣れってこと。
慣れない状況で、初めて聞く電話の声だけで
判断しなくてはならない。
これって、このアスガーもそうだが、
見ているこちら側も状況は同じってことだよね。
それがこの映画の臨場感の要因。
否応なしにアスガーと同じ気持ちで聞いている感じ。
なんだよ!そんな電話かけてくんなよ!自業自得だろ!とか、
今別件で忙しいんだから、後にしてくれよ!とかね。
本来警察は(日本の場合は、だが。)事件に対して
丁寧に一つひとつ調べて証拠を積み重ねて、
真相にたどり着くもの。
それを、短時間で、音情報だけを頼りに
判断しなくてはならない。
当然ミスリードも発生する。
そうならないように、指令所ってのが別にあって、
電話交換手は判断せずに、聞いた情報だけを
指令室に送る仕事。
しかし、現場捜査官のアスガーは、黙っていられない。
首を突っ込まずにいられない。
勝手に指示を出さずにはいられない。
そんな暴走する使命感と、
止めようとする自制心が
見ている観客にも同時に働いてしまう。
見事な演出。
もし、そのせいで大事故につながっていたとしたら、
それはアスガーの自業自得。
ほんとうは現場で働きたいのに、
ここで勤務しているのは自業自得。
明日、嘘の証言しようとしているのは・・・。
僕らは世界を知っているのか?
Amazon Prime の無料期間が終了間近とのことで観てみました。(2022 年 10 月 15 日までなので、興味のある方は急いでご覧ください。)
予告編も興味深かったし。
主人公、アスガーは、緊急通報 112 番(日本なら 110 番)を受け付ける指令室に勤務する警察官の男性。新聞沙汰になるような用事が翌日に控えている。指令室に異動する前は、捜査の現場にいたようだ。
指令室から外の世界とは、電話から聞こえる声や音でつながっている。携帯電話から掛かってきた場合は、基地局とその受信範囲が地図に示される。それと、個人情報がたっぷり載ったデータベースにアクセスできる。
彼は、大変有能で、通報者が話したがらないことも、発信位置や声の後ろから聞こえる物音で推理する。
そんな彼がたまたま受け取った通報はある女性からだが、口ぶりがおかしい。アスガーは、持ち前の機転で、彼女が誘拐されていて、犯人がすぐ側にいることを見抜く。彼女を助けるために、彼は指令室のオペレーターの役目を超える働きを始める…
シーンは全て指令室と隣りの宿直室?だけで進行します。アスガーは電話の音だけで情報を得ようとします。電話だけなので、視覚情報はないし、聴覚だって電話越しだし、現場の天気や雰囲気も分かりません。
でも、頭の良い彼は、会話だけで現場の状況を簡単に把握…、できるはずもなく、アスガーも僕も、現場で何が起きているのか分からず、イライラします。これが面白い。
詳しいことはネタバレになるので、ここでは黙っています。事実がちょっとずつ分かっていって、それに伴って事件の認識がどんでん返しし続ける感じを楽しみました。
映画の終盤に向かって、彼の明日の大事な用事が何なのか、明らかになっていきます。そして、独善的だった彼の態度が少しずつ変わっていくのも感じられます。
ここも見所なのですが、僕の心に残ったのはもう一つ。タイトルにもあるように、僕らは世界を知っているのかという話です。
この作品では、アスガーを指令室に置くことで、彼から情報入手手段を奪いました。奪われた故に、彼は、情報不足ゆえの判断ミスを重ねます。ただ、それはアスガーだけの話なのか。
映画の中では、弁護士や行政に言及されます。彼ら彼女ら専門家も、表面的な情報だけで大きな判断をして、致命的なミスをしていないか。
さらに引いて考えれば、僕らが SNS で情報をやりとりして、善悪を判断するのは、指令室のアスガーと変わらないのでは? 否、アスガーには警察用のデータベースがあるけれど、僕らにはそれもない。もっと情報が少ない中にあって、アスガーほどの推理力もありません。
現代社会のヤバさにも気付かせてくれる、そんな作品でした。
少し変わった映画が見たくなった人に
構成が面白い、ドラマCDのようで画面は全く見ないで楽しめる。
作業しながら映画を見るのが好きな人にオススメ。
テンポよく最低限の情報で展開がコロコロ変わるので最後まで楽しめた。
まさかの展開
被害者だと思ってた妻が加害者。
加害者だと思ってた夫が被害者。
妻は精神患者。
誰もが騙される。
騙されてからの展開に期待したが
リアルだからこその展開があまりなかったかもしれない。
緊急ダイヤルだけの絵で魅せたのはお見事。
日本のドラマのボイスの原作的な作品。
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