アメリカン・アニマルズのレビュー・感想・評価
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不思議な再現ドラマ
ケイパーものであり青春ものでありドキュメンタリーでもあるジャンルに囚われない映画でした。
自分が何のために生きているのか分からず生きている主人公。
大学の図書館で12億の本を見つけてふと思う。
「あれを手に入れたら⋯⋯」
価値のあるものを手に入れたら、自分も価値のある人間になるんじゃないかという幻想は普遍的な気がします。
この映画はドラマパートも凄いですが、ドキュメンタリーパートも凄い。
それぞれ証言が食い違っていたり、話の展開とともに口を開かなくなったりとしていて、自分が刑事になって取り調べをしているような感覚になりました。
最後はユージュアルサスペクツのようなサスペンスでゾワッとなりました。
とてもよかった
現実の事件が、劇映画とは違った重さで描かれ非常に重い。これで人が死んだりしてなくて本当によかった。時折、本人が登場してコメントするのだが、それが役の人と重ならなくて「誰のこと?」と困惑した。『オーシャンズ11』の音楽に乗って華麗に強奪する場面が楽しかった。まさに若気の至りであるのだが、その後の人生に暗い影を落としていて、つらそうだった。
犯罪の準備の場面はけっこう退屈で時計をなんども確認したが、実行してからは完全に目が覚めて引き込まれた。犯罪行為は何か一つほころびが出たら中止しないとダメだよな~、プロなら絶対中止だと実行犯気分で思う。
日本でも早稲田や慶応の学生が時折犯罪で実名で報道されることがある。彼らはその後どうしているのだろう。
散文
劇中の登場人物がやろうとしてるのは「レザボアドッグス」で、作劇は「グッドフェローズ」とか「アイトーニャ」、なんなら「アクトオブキリング」。
実際に事件を起こしたヤツらがちょいちょい顔を出して、ドキュメンタリー的な事をやってくる。
その度にこっちは主観から客観に、そして相対的にこの映画を理解することになる。
そこで「知らんわ( ᷇࿀ ᷆ )」ってなったら多分ノれないんじゃないかなぁ。
自分は主人公の語る、「芸術家を目指すなら最高の人生で絵が上手いだけじゃだめだ」的な事に中学生時代の自分を見たので、すげぇ感情移入しちゃいました。
普通の、何かになりたい糞モラトリアム期間のガキ共の話なので、多かれ少なかれ響くとこはあると思うんですけどね。
そんなガキ共が楽しそうに犯罪計画を練っている間は青春映画的に楽しめたし、自分はニューヨークのシーンなんかほんと楽しそうで、多分二回目観たらその後に起こる事を思って泣きそうになると思います。
ほんで、そのガキ共が自分の中に「アニマル」を見て以降の痛々しくて絶望的な犯罪のシークエンス、その先の青春の終わりまでの一気に落ちていく感じがよかった。
その中で登場人物の一人が見るサブリミナルが痛々しくていいんですよね…。
最終的な着地も、監督の実際の人物達に送る視線も、ジャーナリズム的な視点を含めて何か「万引き家族」っぽいとこもあるかなとか思ったり。
情けなくなる!
しっかり計画しないと!
感情と思いつきだけでは
ダメですよ。
学生さんは、怖くなると
すぐゲロ吐いて
かわいそうなのは、図書館の書士の
おばちゃん
怖くてお漏らししてたよ。
大学生やめて7年もブタ箱に
そのあとを映してましたが
幸せになってほしいなあ!
若気のいたり
何かを変えたければ、自分自身が変われば良い
正直、ガッカリ。ハーフ・ドキュメンタリーの映画にではなく、4人の大学生に。
会社でも若い人が愚痴るわけです。「もっと創造的な仕事がしたい」。じゃ何がやりたいか言ってみろ、と言うと言葉に勢いがなくなる。「自由になりたい」。じゃ自由になれたら何をする?「世界を回って沢山の人と話しをして」。それで?「何かが変わる気がする」。
よくある、「現実逃避を美化変換」する類の話しをする。1200万ドルのお宝が、たった1人の司書が管理する部屋に保管されている。無防備だから奪える。そうすれば何かが変わる。
イヤイヤ、何も変わらないから。変えられないから、そんな事で。考え方も行動も変えずに、自分を変えられるはずは、ない。
強盗計画はズサンそのもの。失敗して当たり前、捕まって当たり前。建国歴史の浅いアメリカにとって貴重初版本は国宝級。お宝に手をだせば、やって来るのはFBI。
もう、人物、動機、やり方、何もかもが共感不可で辛いが、これが大学生だなんて…日本のバイトテロも大概だと思うが、あちらの大学生も劣らず酷いのが居るもんなんだなと。
もう一度言うと、ガッカリな奴らだった。
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5/30追記
若い頃は誰もが「何者か」になりたいと思う。「何かを変えなければ」と考える。それが「自立の工程」ではないのかとさえ思う。
だから人は努力する。もしくは、何かにこだわり、うちこむ。行動が変われば考え方が変わる。考え方が変われば生き方が変わり、自立して行く。
4人は、本の市場価値と強奪のし易さを天秤に掛けて行動を起こす。狡猾な計算高さを「卑劣」と呼ぶ。この4人は卑劣だ。そして稚拙。話題性の高い事件の真相は卑劣。顛末は若者の稚拙な人生哲学。しまらないドキュメントだと思う。映画化を途中でやめられなかったのかと思わずにはいられないんですが、それも皮肉だな、と思いました。
若いとは愚かで切なくて、でも愛おしい
面白いらしい という噂とザックリしたあらすじの部分だけ聞いて鑑賞
気の利いたオーシャンズ11みたいな感じなのかなと思ったけど見てみたら想像と違う方向からパンチされて切なくなってしまった。
まずは、本人達へのインタビューを挟みながら、そのドキュメンタリーな部分とドラマパートが完全に渾然一体となって映画全体で何かを浮かび上がらせるという手法がめっちゃ興味深い。どちらかのパートがどちらかを補っているのではなくて、完全に二つで一つの効果を上げて観客側に映画世界を飛び込ませてくる。
この手法を拝むだけでも間違いなく一見の価値あり!
彼らが犯した罪は言うなれば 若さ という罪といってもいいのでは無いかと思う。
でも、もがき苦しみながら 何か を探す彼らのワクワクもドキドキもイライラもハラハラも、こうしておっさんにさしかかっている自分にも他人事ではなかった。
最後に実際の 彼女 がインタビューで語る内容がものすごく重くて 鋭くて でもどこか少し優しいのは、彼らの葛藤が 生きること つまりは自分自身と繋がっているからだろう。
味わい深い良作であった
ダサいオーシャンズ11
最初の計画はうまくやってるように見えたけど、決行日になった途端に慌てまくりで緊張感があるシーンなのにちょっと笑えてしまった。本人と物語を混ぜたりしてリアルな感じであまり観たことのないタイプで面白かった。
これは美談ではないし決して英雄譚でもない。だが学べることは多い
実際に強盗を行った4人がでてきて回想するシーンなど、とても実験的で新しい映画でした。
彼ら(特にメインの2人)はただ自分をせき止める見えない何かを変えたかった。お金が欲しかったわけじゃない。自分の人生に悲観的になってしまったのが早すぎた。映画の中でも言っていたように自分が特別じゃなくてなんの取り柄もない普通の人間であることに気付いてしまった。だからこそ普通じゃないことに魅力を感じてしまった。その手段が計画強盗をするというだけのことであったんだと思う。この話は教訓として学ばなければいけない映画なのだ。つまらない日常を変えたいからといって犯罪を犯していいわけでないということを。
ただ単にSNSで目立てればいいとか有名人になりたいとか。あるいは普通の生活をし毎日平凡に暮らせればいい、といったような人たちには到底彼らの気持ちは理解できないでしょう。
この映画が、そういった見えない何かで自分を突き動かせないでいる人たちにとって教科書になり、背中を少しでも押してあげられる作品になればいいなと思います
『レザボア・ドッグス』で予習しておくとなおよし
忘れないようにメモメモ。ケンタッキー州トランシルヴァニア大学図書館。John James Audubon “The Birds of America”.
大画面で見る精微な画像は非常に美しい。
まず図書館側の管理体制を見るに、資料に見合ったセキュリティになっていなかったのが最大の問題だと思った。管理するの担当者が1人だし、防犯カメラもブザーもないし周りからもちょっと死角になっているみたい。あと展示するのはレプリカでもいいんじゃないかと。本物はしまっときなさいな。
映画のつくりだが、たまに見かける本人達登場ってレベルを越えて、本編と並行してがっつりインタビューしてる。しかも本編とシームレスでつなげているようなところもあり、さらにストーリーの一部は「藪の中」になっていて、そういう風に撮っているという手の込みよう。本人達だけでなく、家族にもかなり時間をかけているが、どこにでもいそうな学生だったのがわかるだけにね。
最後の方で実際に被害にあった司書さんにもインタビューしているが特段変わったことを言っているわけではないのに、映画をここまで観てきた状態で聞くとずっしり重みがある。
この映画を簡潔に表現するなら、クライムムービーというか…厨二病に加えて自分探し症候群を併発した症例と後遺症の報告といったところ。
追記:『レザボア・ドッグス』を後日観た。…参考にしたらダメな奴だった。何やってんだか。
共感は出来た
変わりたいとか、変えたいという気持ちはとても共感できる。
が、そこで高価な本を盗むという犯罪に結びつく(しかもすぐ仲間が増えるし)のは、ちょっと理解に苦しんだ。
大きく人を傷つけなかったことは良かった。何度もやめようと思うところとか。
親御さんのコメントは、聞いていてツラかったが、稚拙な計画になぜか笑えるシーンも。
罪を償った当人達が出演するのはリアリティを強めるには、これ以上ない手法かな。
刑期は7年。(これが長いのか短いのかよくわからない。)殺人などの重罪ではないせいか、全体的に若気の至りというか、「やんちゃしちゃった」感もあるような。
スペンサー役の人、顔がアジア系(モンゴルとかにいそうな顔)にも見え(アイリッシュだが)、なんとも言えない不思議な雰囲気がある人で、気になってしまった。
(最近やけにアイルランドが気になって仕方ないのはなぜだ?)
軽はずみで犯罪したら、、、あかんで!
2004年に起きた大学生による強盗事件を題材にした映画
教習所で流れる事故者の悲惨な映像の、「強盗版」みたいな、
「リスク」を痛感させられる教訓的な印象
若者たちが些細な憂いや不満から強盗を計画し実行する様を描く
動機の幼稚さ、計画の杜撰さ、そして事件実行によって生じる周囲への影響の大きさ
スマートでポップな画面作り(=主人公たちの万能感)
とは対照的な現実と意識とのギャップ(=若者が抱える漠然とした将来への不安)が混ざり合っていて、奇妙な没入感にとらわれる
冒頭に以下のような演出がある
this is not based on a true story
この物語は真実に基づく物語ではない
↓
this is a true story
この物語は真実の物語である
犯人たち4人と事件にかかわる何人かがインタビュー形式で出演しており、この本人出演部分がしっかりと映画本編と結びついているのとナレーションがほとんどないのが通常のドキュメンタリーと異なっていて特徴的。
イギリス・アメリカ犯罪映画
THIS IS NOT BASED ON A TRUE STORY
THIS IS A TRUE STORY
5分半を過ぎたところで、“THE REAL SPENCER REINHARD”と字幕が出たので、最初から背景を反転したような映像を流したり、このモキュメンタリーともドキュメンタリーとも、そして役者が出ているので、ただのクライム映画なのかと思わせるような変わった映画作りをしていると思っていると、この実際に犯罪を犯した当人を出演させていることに気づかされる。
"We must suppose that American animals....slowly migrated
by successive generations from outer world into the deeper
and deeper recesses of the Kentucky caves."
この作品は、映画.comの解説では、製作国アメリカとだけ載せているが他のサイトではイギリスもあげられている。多分この映画の監督で長編ものが初めてのバート・レイトンによるものと思われるが、細かいことを言うようでなんだけれども、このサイト映画.comの説明不足は、多々見られる。
評論家からも視聴者からも支持を受けている本作、そんな中、一部のアマゾンレビューからは、あまり受けがよくないということがあるのだが、あまり見られないこととして.......?
監督が動画サイトでコメントをしている。映画製作に臨む前に、実際に犯罪を犯した当人たちのことを映画にするという避けては通れないものの一つとして、彼らからの承諾を得ることがあげられるが、そのほかに、もっと重要なこととして、彼ら、自ら出演をお願いをしたことを語っていた。この映画を観ていただければ、中産階級の家庭で育った、どちらかというと、いたってまじめに見える方々が、映画の中で、真摯に質問に答えているところは、好感が持てるものとなっている。監督もその点について評価をしていた。
個人的には、別にオープニングロールで"真実の物語"とわざわざ載せる必要があったのかとか、いつものバリー・コーガンの演技がどうしても、このスペンサー・ラインハードご本人と比べると、いかにも作ろった演技をしているところが鼻についてしまう。しかもトーク番組のMCが前出のドキュメンタリーとも映画ともとれる、今までにない映画作りをしているとべた褒めなところも考えてしまう。
その中でも映画音楽を担当したアン・ニキティンの演出は、個人的にはこの映画を壊していないし、いい選曲をしていると上から目線で思う。
天邪鬼なものとは違って、日本の一般の視聴者からは、間違いがなく、高い評価を得られるものとなるはずである。
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