劇場公開日 2019年5月17日

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「コミカルとシリアス、フィクションとノンフィクションの斬新な同居」アメリカン・アニマルズ オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5コミカルとシリアス、フィクションとノンフィクションの斬新な同居

2020年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

アメリカ、ケンタッキー州で退屈な大学生活を送る4人の学生は刺激を求め、時価1,200万ドル相当の書物が保管されているという大学の図書館への強盗計画を練ることを決意。
入念に練ったはずの計画の一連の経緯を4人の俳優と4人の当事者が語るフィクションとノンフィクションを混同させた斬新なドキュメンタリー風の作品。

2004年に実際に起きた事件の実行犯たちが出所したのちに語る映像に再現VTRのように俳優陣が各登場人物を演じる形で綴っていく作品。
フィクションの映像をノンフィクションの当事者たちが眺めるような具合の映像などもあり、2つの場面の切り替わりがスムーズで全く違和感のないキレイな編集になっている。

夢見がちなずぶの素人が綿密に練った作戦(「レザボアドッグ」や「オーシャンズ」シリーズを参考の為に皆で鑑賞する等笑)をいざ決行した途端に、想定外の出来事や見落としていた可能性、緊張で動かない体など計画が穴だらけだったと気づく彼らのその様はひどく情けなく、見方を変えれば大いにコミカルに映るはずなのだが(書物が大きすぎてそもそも運べないはちょっと笑った)、彼らの緊張感がヒシヒシと伝わってきて他人事と思えない緊張感に包まれるのが非常に不思議な感覚だった。

役者陣としては「X-MEN」シリーズのクイックシルバー役として大人気のエヴァンピーターがリーダーのウォーレンを演じ、クイックシルバーのようなコミカルな演技を抑えめに、感情むき出しで仲間に怒鳴り散らす情けないリーダーを熱演。
さらには「ダンケルク」で無口な兵士を演じたバリーコーガン、「スウィート17モンスター」で妹の親友と出来ちゃう兄貴を演じたブレイクジェンナーなど若手俳優を主に起用。

出所した現在の4人に交流があるかは不明だが、各人が話を続けていく中でだんだんと話し辛そうに、苦しそうにしているのが印象的だった。
一時の感情で動くべきではないと学んだ笑。

オレ