「何者にもなれないわたしたちに告げる」アメリカン・アニマルズ せじあさんの映画レビュー(感想・評価)
何者にもなれないわたしたちに告げる
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彼らに覆いかぶさる息苦しさが、学生時代に感じた閉塞感に似ていて、共感してしまった。(すごくやだけど)
両親はすごくいい人で環境にはこんなにも恵まれているのに自分はなにもなし得ていない、なのに周りは着実に進んでいるという焦り、自分がいるのはクソ田舎ででも場所のせいだけじゃなくてわたし自身がなにも価値がないからなにもできない世界も変えられない、みたいな…。
もしかして一歩踏み外したらわたしもこうなっていたの?という恐怖が1番緊張した。
この映画の中では人は死なないけど完全に犯罪と暴力の話だし、絶対に許されてはいけない。
でも、映画の中で彼らがやったはほんとうにほんとうに最悪だけど、暴力へ対する忌避感みたいのが丁寧に描かれていてよかった。この頃抵抗も呆気もなく人が殺される映画ばっかり見てたから信頼できると思った。
ほんと、計画が杜撰だし、アクシデントはばんばん起きるし、犯行もまったくスマートじゃなくて見ててほんとうに苦しかった。でも暴力を苦しいと思えて、耐えられないと思えてよかったよ、本当に。
あと素直に本人へのインタビューと虚構が入り混じる演出がめちゃくちゃおもしろかった!本人たちの記憶が曖昧で細部が変わっていく点も。
ラスト、みんな人生を歩み続けていて本当によかった。きっと一生後悔し続けると思うけど、それでも生きていっていて泣きそうになった。
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