ヘレディタリー 継承のレビュー・感想・評価
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前半ホラー、後半コメディ。新鮮だけど惜しい作品。
【良かった点】
主人公一家が置かれた状況をミニチュアで比喩的に表していたのは新鮮ですし、とても効果的だったと思います。
舞台となる家がミニチュアに見えるようなカットがあったり、セットの電気を消すように昼夜がパッと切り替わるカットがあったり。
主人公はミニチュア作家ですが、ある者にとって彼らはミニチュアの人形のようなもので、俯瞰から眺めコマを動かすように支配しているという入れ子構造はベタですが映画的でよかったです。
【悪かった点】
ホラーとコメディは紙一重と言いますが、これは紙突き破ってコメディになってました。後半が残念。笑いこらえてる観客チラホラ。
前半の演出は秀逸でしたが、後半はその撮り方したらコントになるよってカット多数。(写真の切り抜きを裏から磁石で動かしてるの?w)
予告にもある舌を鳴らすアレも前半はかなり怖くてアイデアとしても新鮮でしたが、後半になると乱発で慣れてきてあーまたやってるわー程度に。
ホラーのお決まりを避けるあえてのはずし演出も上手く機能してませんでした。見せた方が怖いのにってところは隠して(ボールかい)、怖くならないor説明過剰だから見せなくていいよってところはじっくり見せられストレスフル(うんさっき燃えてたからね)。
娘の顔面が古いビスクドールのようでとにかく怖く、彼女が出てくるだけでドキドキしましたがわりと前半で退場してしまい映画のホラー性も6割減。
母がなんとか娘の穴を埋めるように顔芸等がんばってましたがやりすぎてもはやコメディに。(プリーズどんだけ言うの)
娘役は発掘したとき監督ガッツポーズだったろうなーと想像できるほどの100年に1人系人材だったのに本当にもったいない。
最後まで(不必要に大きなおっぱいでさえ)あの手この手で使いこなせば「エクソシスト」のキリストとファックしてろガールを超えたかもしれない。
プロデューサーの意向でどんどん別物に変えられて監督途中で投げやりになったような仕上がりでした。ミニチュアでさえ最後は逆効果に。
アレをガチで信じてる集団が身近にいるアメリカの人達はむしろどんどん怖くなるんでしょうね。そのへんのカルチャーギャップも再認識です。まぁそんなことの再認識は別に要らないんですが。
前半が良かっただけに、あのシーンもっと怖くできたよねー惜しいよねーと鑑賞後提案談義で盛り上がれる、語れる映画ではあります。映画は語ってこそ!
静かに襲い来る恐怖。後味の悪いB級定番ホラー。
【賛否両論チェック】
賛:奇妙な雰囲気の漂う一家に、徐々に忍び寄ってくる恐怖とその正体に、驚かされハラハラさせられる。
否:特に前半は、ただただ不気味なままにストーリーが進むだけで、意外と退屈。ラストも消化不良感が半端ない。
何というか・・・、最近よくありがちな感じのホラーです(笑)。祖母が亡くなるも、どこか違和感のある一家。そんな彼らに少しずつ、不気味な【何か】が忍び寄ってくる様が、静かな中にも恐怖を感じさせます。
ただホラーにしてはかなり淡々と進む方なので、特に前半は気をつけないと眠くなってしまいそうです。結構グロいシーンも多いので、その辺りも好き嫌いは分かれそうなところです。
ラストもかなり強引というか、
「あ、そういう感じになっちゃいますか・・・」
といった印象が否めませんが(笑)、気になった方は是非チェックしてみて下さい。
疲れたー
縁遠い世界の話、なのか?
ホラーは苦手であんまり観たことないんだけど、評判を聞いて勇気を出して鑑賞。
怖さレベルだけで言うと、想像してたほどではなかったかも。
でも映画の情報を私が完全に受け取れてるかと言うと、それも怪しいけど。
母親アニーが主人公と見せかけて、最終的には息子ピーターが主人公になるんだけど、振り返ってみると「何もない所にバックミラーが見える」とか「自分の部屋から一瞬で授業中の学校になる」とか、ピーター主眼の演出が多用される一方、母親は娘の事故現場をミニチュアで再現してたりと明らかな異常さを見せていて、そのことは早い段階から暗示されていたんだなと。
しかし自分の人生と「悪魔」が縁遠すぎて、悪魔って言われても…と最後のオチはあんまりピンとこなかった。
(映画とズレるけど、「自分以外の意思で、自分の命が道具のように扱われる」という理不尽は、昨今のニュースを見てると一部の企業や国の態度と変わらないなーと。ものすごいブラック企業のトップに「悪魔!」とか言うのは比喩でもなんでもなかったんだなー。)
でも観劇後は「悪魔かー」ってなったけど、観てる間はほんとに怖くて面白かった。やっぱり演出が凄いんだと思う。
ミニチュアを眺める視点のカメラワークとか、捉えられてない箇所も多いので、2回め観たい気持ちもちょっとある。
ところで。
アニーの話だと、この家族の悲劇は祖母が亡くなってから始まったんじゃなくて、今までも脈々と続いていたことが分かる。
祖父はどんな経緯で餓死したのか。
生前の祖母はどんな人物だったのか。
晩年の介護はかなり大変なものだったんだろう。
ピーターが生まれた時も、祖母から遠ざけるために壮絶な諍いが起こったはずだ。
映画の前日譚も十分にホラーめいた映画になりそうで、ちょっと観てみたい。
「その背後には悪魔がいる」とか言われると自分とは関係ない話に思えてしまうけど、悲劇や惨劇というものは、一番身近で一番味方であるはずの存在に軋轢が入ることで増殖していくんだなぁ…と感じた。
キリキリ系ホームドラマ
いろんな恐怖、不安がじわじわと蓄積されて行く映画。途中え?って思うようなシーンから想像と違ったいろんな方向へ話が展開していく。と思いきやラストの着地で綺麗に繋がる。
自分が現実的な事、と思っている所謂常識や価値観の違い、また何を正とし何を誤とするか、何を信じて何を信じないか、何を許容し何を許容しないか、それらのせめぎあいが見ていてキリキリしてくる。
咀嚼と補間が必要な作品だとは思うが、そういったせめぎあいや取り返しのつかない出来事、それに翻弄された様な経験が事がある人は誰かに、というより作品に感情移入してキリキリすると思う。
目に見える恐怖というより不安感がずっと持続して行く感覚。
単純なホラー映画ではなくて恐怖家族映画。
よく練られた作品だと思う。
新しいホラーの可能性
この映画は明らかに最初から不穏な空気が横溢しているが、色々な仕込みでむしろホラー映画とは思わせないで物語が進行していく。家長であるお婆ちゃんの死から物語が進行していくのだか、元々上手くいってなさそうな家族のギスギスした感じが観ていて気分が悪い。主人公はドールハウスを作るアーティストで、要所要所でそれが生きている。タイトルの継承は単純なそれではなかった。予告を見て注意深いひとが想像してしまう展開にはならない。ラストは一神教の西洋映画のそれに落ち着くのでヤッパリとかガッカリなんだけど観る価値は大いにあり。現在公開中の日本映画「来る」も色々とテーマが重なっているので観比べると面白い。日本とアメリカの家族への考え方接し方とか神や悪魔の概念がまるで違うことに気付く。
『来る』より来てた!
何が一番怖いって、トニ・コレットの顔でしょ。と、まず言っておいて、やっぱり終盤までギリギリ怖かったです。さすがに悪魔崇拝ってシロモノは日本人の感覚じゃ受け付けないので、最後の最後で減点して4点にしました。
最後にはすべてが何となくわかったレベルではありますが、継承って意味もラストでわかる仕組みになっていたのですね。その最後の最後、エンドロールではジュディ・コリンズの「青春の光と影」が流れる。何でやねん!いや、これはオムライスよりも謎かもしれない。
それにしても、色んな解釈ができるのですね。単に悪魔ペイモンを継承すると見せかけておいて、解離性同一性障害なんかも娘に継承させてるみたいだし、女性にはそうした精神疾患を受け継がせていたのかもしれない。ペイモンには男の体が必要なんだということで、祖母の夫もその息子も早世しているのは、肉体が耐えられなかったということか・・・。ピーターは鼻を骨折(?)しただけでしたもんね。
映画の構成としても珍しい形ではあったものの、冒頭からミニチュアの部屋からシームレスで人が動き出すところは見事だったし、妹チャーリー(ミリー・シャピロ)の事故死までは普通に怖い流れでオカルトすら感じさせなかった。ガラリと雰囲気が変わったのは母アニー(トニ・コレット)が霊能者ジョーン(アン・ダウド)に話しかけられてからだ。そこからは元々スリープウォーカーだったアニーが徐々に解離性同一性障害を患ってることが明かされるし、降霊術やら何やらで怪しい雲行きになっていった。大麻だか何だかクスリが好きなピーターも、霊を受け入れやすくなってたのもわかる。
アニーは首を切っていったのかとか、土下座してたのは誰?とか、ちょっとわからないシーンもいくつかあったので見直したいとも思ったのですが、オカルトだと判明した時点で興味半減したのも事実です。とくに首のない人!チャーリーにしては大きすぎるし・・・
『来る』と『ヘレディタリー』の両方とも鑑賞した人の評価のバランスが真っ二つに分かれてことも興味深い!
愛されないことは不運であり、愛さないことは不幸だ。
母になる不安と恐怖を抱えたローズマリーであり。
閉ざされた空間でタイプライターに向かうジャックと
恐怖に歪んだ顔のウエンディの娘であり。
抑圧され怒りを爆発させたキャリーであり。
蠢く蟻のダリの死の匂いに、監督の過去が透ける。
早くに亡くなった兄の名前を受け継いで生まれたダリ。
兄の代わりに育てられたダリ。
生きているのに同時に死んでいたダリ。
自分は兄とは違う人間であると奇行を繰り返すダリ。
遺伝的に不運を背負った母。
その不運が子供にいくことの不安、恐怖。
それが母を子供から遠ざける。
そんな母の自己嫌悪が、母自身を追い詰め狂わせる、ダミアンの母となる。
その姿は、亡くなった母と同じ。
母から娘へ、そして孫へ続く負の連鎖。
愛されないことは不運であり、愛さないことは不幸だ。
「きみはいいこ」と同じテーマがある。
これはホラーの皮を被った、児童虐待の連鎖の話だ。
いまいち分からん…
当方がホラーの文法をわきまえていないせいか、いまひとつ何をしたいのか分からんかった…
これ、恐いですか…?
正直、怖いと思ったのは事故のシーンが最高潮でした。
でも、それじゃホラーとしては意図と違うよね、きっと…
最後に『継承』したのがチャーリーなのも??
婆さんが継承したかったんじゃないの…?
煙に巻かれた気分
まず、恐怖演出の味そのものは超絶品だった。最初は物凄く怖い。キャストも良いし、ユタのど田舎感の嫌さも出ているし、何より舞台となる家のセット撮影がもの凄いことになっている。
ところが、そうしたホラー濃度がラストまで最高レベルで維持されているにも関わらず、途中から全く心に響いてこないのだった。原因はストーリー展開に追いついていけなかった、ということに尽きる。前半に起きる事件に余りにも気持ちが引きずられ過ぎた、というか。
テレビシリーズとかにして、もっと間を置きながら語られれば良かったのかもしれない。2時間でスパッと見せ切って欲しかったが、これでは一旦見終わってからの後付け指差し確認、という楽しみ方しかできない。
他人事として観られるが、だから何?という感じ。
最初は日常ありそうな感じだったから、共感しつつ
でも、途中から、所々グロいなと思いつつ、感情移入することもなく、ただただ他人事として観れました。
カルト集団の話で、トニー・コレットが初めからあのペンダントつけている時点で、そういう事ね、と後から理解しました。
ヘル!ペイモン。復活してから、一体どうなるのか?
ホラー好きではないからか、まったくオススメはできない。
精神的ダメージ大
副題や予告から、てっきり能力系ホラーなのかと思ったら違った。
ラストが唐突でちゃちくて笑ったというコメントもあるけれど、私は個人的に、ペイモンが降りるシーンも、重い心の病を患った人の内面が描かれているように感じた。
(もちろん全ての精神疾患が破滅的な最後を迎えるわけではない)
オカルト、スピリチュアルな部分も、アニーまたはピーターの精神の崩壊を描いているようにも見える。
あのイカれた描写、なにこれ?って終わり方も奇妙なサウンドも、心の病の世界を彷彿とさせる。
「継承」という意味も、結局は統合失調症、解離性同一性障害、夢遊病を継承してるのかと。
(遺伝ではなく、宿命)
前半があまりに生々しく、起こった出来事が突拍子もないので非現実的のように感じるが、病、毒親、事故など、凄まじい経験をして狂っていく家庭は実は多いのかと思う。
特にアニーの壊れっぷりが悲惨だった。
夫が赤信号で急ブレーキをかけて、青になった時、突然嗚咽する姿も痛々しかった。
家族が崩壊し、ピーターの孤独と不安定も胸が痛かった。
再度記すが、ペイモン降臨は、毒親、祖母、機能不全家族で育ったピーターの内面崩壊。
私はそう見えた。
本人または家族に重い精神疾患を患ってる方がいる人、家族を亡くしている人、親子感が不安定な人にとっては、精神的ダメージが大きいので、あまり見る事をオススメしない。
新しい恐怖
もともと気になっていた上にレビューでさらに興味を掻き立てられ観に行った映画。レビューでもある通り、ホラー特有の鼓動が速くなるような力任せの脅しが無く、ひたすら頭を使いながら物語を追っていくのが怖い作品。
霊感のある人は、昨日自分が寝た時の姿を第三者のように上から自分を見下ろして思い出す。という話があるように、この映画はミニチュアのドールハウスに迫っていって実際のグラハム家が暮らす家にピントが合いそこから始まる。まずそれで、この物語を他人事のように感じながら機械的な気分であまり感情移入せず観ることになる。それがもう気持ち悪い、すごく。
チャーリーの死から、アニーが取り乱し始めたところでジョーンに出逢う。ジョーンが霊を呼ぶ方法を教えるが、そのシーンで思っていたのと違うとガッカリした。ごく普通の生活の中で超常現象が起きるのかと思ったら、普通に故意に霊呼んでるじゃねえか、普通のホラーじゃねえか、結局オバケ頼りじゃねえかと1人でキリキリ。
が、それ以上のものが待っていて、初めてオバケより悪魔が怖いと思った。そもそもアニーがジョーンに教えられた霊を呼ぶ方法は故意に教えられたもので、全てピーターを手に入れる為の罠だったとわかる。オバケ頼りでもなんでもなかった。謝りたくなった。
これでもかというくらい全てが繋がっていて、これはホラーというより新しいジャンルであると思う。
最後にピーター以外の家族が死没。そして追い詰められたピーターが窓から飛び降り気を失ったところでペイモンが入る。そのあとペイモンが宿ったピーターが立ち上がって歩き始めるが、そのBGMが長調の、穏やかな幸せそうな何かを祝福するようなものでなんだかもうよくわからない気持ちになる。それも本当に全てがミスマッチで気持ちが悪い。
冒頭に記したように、海外のホラーらしい大きな音で脅かしたり、グロテスクな描写を多く含むわけではない。
それでいて常に恐怖を感じながら2時間一家を見続けさせるのが本当に上手くて素晴らしかった。内容をある程度把握してしまったら、ビクビクするような恐怖はあまり感じないと思うが、ストーリー性があったしこの空気感が好きなので伏線を辿りながらもう一度見たいと思う。
アレックスがかっこよすぎて困った。
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