劇場公開日 2018年11月30日

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「前半ホラー、後半コメディ。新鮮だけど惜しい作品。」ヘレディタリー 継承 kanさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0前半ホラー、後半コメディ。新鮮だけど惜しい作品。

2018年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

【良かった点】
主人公一家が置かれた状況をミニチュアで比喩的に表していたのは新鮮ですし、とても効果的だったと思います。
舞台となる家がミニチュアに見えるようなカットがあったり、セットの電気を消すように昼夜がパッと切り替わるカットがあったり。
主人公はミニチュア作家ですが、ある者にとって彼らはミニチュアの人形のようなもので、俯瞰から眺めコマを動かすように支配しているという入れ子構造はベタですが映画的でよかったです。

【悪かった点】
ホラーとコメディは紙一重と言いますが、これは紙突き破ってコメディになってました。後半が残念。笑いこらえてる観客チラホラ。
前半の演出は秀逸でしたが、後半はその撮り方したらコントになるよってカット多数。(写真の切り抜きを裏から磁石で動かしてるの?w)

予告にもある舌を鳴らすアレも前半はかなり怖くてアイデアとしても新鮮でしたが、後半になると乱発で慣れてきてあーまたやってるわー程度に。

ホラーのお決まりを避けるあえてのはずし演出も上手く機能してませんでした。見せた方が怖いのにってところは隠して(ボールかい)、怖くならないor説明過剰だから見せなくていいよってところはじっくり見せられストレスフル(うんさっき燃えてたからね)。

娘の顔面が古いビスクドールのようでとにかく怖く、彼女が出てくるだけでドキドキしましたがわりと前半で退場してしまい映画のホラー性も6割減。
母がなんとか娘の穴を埋めるように顔芸等がんばってましたがやりすぎてもはやコメディに。(プリーズどんだけ言うの)
娘役は発掘したとき監督ガッツポーズだったろうなーと想像できるほどの100年に1人系人材だったのに本当にもったいない。
最後まで(不必要に大きなおっぱいでさえ)あの手この手で使いこなせば「エクソシスト」のキリストとファックしてろガールを超えたかもしれない。

プロデューサーの意向でどんどん別物に変えられて監督途中で投げやりになったような仕上がりでした。ミニチュアでさえ最後は逆効果に。
アレをガチで信じてる集団が身近にいるアメリカの人達はむしろどんどん怖くなるんでしょうね。そのへんのカルチャーギャップも再認識です。まぁそんなことの再認識は別に要らないんですが。

前半が良かっただけに、あのシーンもっと怖くできたよねー惜しいよねーと鑑賞後提案談義で盛り上がれる、語れる映画ではあります。映画は語ってこそ!

kan