「2時間近いビジュアル系バンドのPVを観させられた感じ」Diner ダイナー shiipさんの映画レビュー(感想・評価)
2時間近いビジュアル系バンドのPVを観させられた感じ
原作漫画未読でしたが視聴する機会がありました。
漫画だから許されてた設定が映画でブレーキになるのは仕方ない部分ではありますが、とにかく演出や脚本がヤバいです。
2019年にはありえないレベルです。我慢できずにレビューします。
まず登場人物が登場すると同時に画面にデカデカと映るキャラ名紹介で度肝を抜かれました。ギャグでなく実写映画のカッコイイ演出としてやられてるんです。
舞台劇調に語られる主人公の過去や、主人公を無視して行き交う人がカクカク動いている演出は、なんというか風邪薬のCMみたいな印象です。伝わるかな?
次々に登場人物は自分のキャラと気持ちを全部セリフで説明してくれますが、見た目が違うだけで、奇をてらったキャラがまさかの全員かぶっていて個性はほぼ無いです。突然大きな声で騒げば、サイコパスな殺し屋だぞ!みんな怖いぞ!と思っているのでしょう。
見せ場と言われていたアクションですが、ジャンプの後スローでゆっくり見せたり、決めポーズを入れたり演出のセンスがとにかく古いのですが、最も呆れたのがマトリックス演出でした。本当にそのままレベルを下げたマトリックスの銃撃の演出です。1999年の映画の演出ですよ!?恥ずかしくて虫唾が走りました。
一時が万事マトリックスっぽい、レオンっぽい、ジョンウィックっぽい、○○っぽいで、リスペクトも感じません。
そしてアクションよりも最低だと思ったのは食事です。
曲がりなりにもダイナーを舞台とした物語なら、食事のシーンがキッチリしてたら説得力が出るのですが、本当に出てくる食事が、本当にまずそうなんです。黒いパンのハンバーガーにイチゴの赤茶のソース!?その上に乗ってる黄色いイクラみたいなつぶつぶ何!?
もう映像栄えというか、色彩をメインに考え過ぎて味の想像もできない食べものばかりで、うわー食べたい!と観ている人を乗せられない時点で大失敗です。若い子は食べたいと思うのでしょうか。
あと、意図的なのかは判りませんが、食事のシーンで効果音がグチュグチュ、ネチャネチャと大きな飛沫音がしており、そこがさらに食欲を削ぎます。もっとサクッとかジュワッとかあったのでは…。
初めから穿った観方をしてしまっているので私は乗れませんでしたが、窪田くんやティナちゃんが好きな方、蜷川さんの色が好きな方は余計な物がなく、ギュッと詰まった良い映画だと感じました。