フォルトゥナの瞳のレビュー・感想・評価
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深さを感じる特殊能力系ファンタジック・ラブストーリー
今作で一番魅力的だったのは「GARAGE ENDO」の社長遠藤哲也を演じる時任三郎さん。
「出て行け」の場面は迫力があった。
二番目に魅力的だったのは遠藤の妻を演じた斉藤由貴さん。
立場をわかっている大人の女性なのだが深みのある演技だと思った。
今作は、運命は変えられないのではなく、行動次第で(選択によって)運命(運ばれる命の行き先)を変えることができるのは良いが限度があって残念。
描写的にややこしいが木山慎一郎(神木隆之介)の視点だと透けて見える。
終盤に明らかになる「私はあなたと同じ瞳を持っていた...」に驚いた。
その事実を木山慎一郎に知らせないところも深い。
お互いに相手に生きていて欲しくて、それぞれ行動を起こしたところが良い。
デート中の挿入歌とエンディングの主題歌は同じONE OK ROCKの『In the Stars(feat.Kiiara)』。美しい声と爽やかなメロディで好きだから何回でも聴ける。
さすがは演技派の2人
演技力に定評のある神木隆之介と有村架純の共演というので、期待して見たが…。
さすがその期待は裏切らない。
明るく優しい女性を見事に演じた有村架純に拍手。
そして、悲し気な青年を神木隆之介が好演。
ただ、物語の序盤から、最後は悲しく終わる事が容易に想像できてしまうのが残念。明るい場面でも、「束の間」感が半端ない。
なので、映画全体が常に重く暗い感じ。
ただ、2人の携帯ショップでの出会いのシーンや、告白のシーン ふたりで幸せそうな場面は本当に理想的なカップルといった雰囲気で、何度も見返してしまう。
ラストがアンハッピーエンドだと分かっていても、何度も見られるのは、神木隆之介演じる「しんちゃん」の優しさしかないようなキャラクターと、悲しい物語の中でも明るく、健康的な有村架純の笑顔の力だと思う。
自己犠牲の純愛の美学
神木隆之介扮する車両整備業木山慎一郎は、子供の頃に飛行機事故で生き残って以来、死を目前にした人が透けて見えると言うフォルトゥナの瞳になってしまった。仕事では2号店の店長を薦められていた。そんな折、有村架純扮する修理代をロハにしてくれた携帯ショップ店員桐生葵と知り合った。
日常、電車の中などで人が透けて見え始めたらかなわんだろうね。気になって思わず後をつけたくなるのも分かるな。死神みたいって言われてさ。でも桐生葵みたいに気になっている女性が透けて見えたら困るね。言うに言えないだろうがどうすべきかな。でも人を救う度に発作で倒れるのも また困るね。それらを乗り越えていい方向へ行ければ好ましいけどね。幸せになるために生き残ったと言われれば救われるね。自己犠牲の純愛の美学かな。
【”人生は、選択の連続。そして、愛する人を救うための代償。”色彩の無い人生を送って来た男が、人生に色彩を与えてくれた女性の為に行った尊崇な行為を描いた作品。三木孝浩監督の恋愛映画に外れはない。】
ー 今作のフライヤーが手元にあるのだが、何故私はこの映画を映画館で観なかったのか。理由は敢えて記さないが、この映画の内容からではない。-
■幼少期に飛行機事故で両親を失った慎一郎(神木隆之介)は、事故の際の”あるトラウマ”により、友人も恋人も作らずに”色彩のない世界”で生きてきた。だが、彼を引き取った車両整備工場の心優しき社長夫婦(時任三郎&斉藤由貴)の下で、真面目に働いていた。
ある日彼は、死を目前にした人間が透けて見える能力“フォルトゥナ(運命の女神)の瞳”を持っていることに気づく。
自分の力に驚く慎一郎は、携帯ショップで働く親切な店員、葵(有村架純)に出会い、彼女の指が透けて見える事に気付く・・。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・神木隆之介さんと、有村架純さんの相手を気遣う繊細な姿が、印象的な作品である。
ー 有村架純さん出演の恋愛映画は、ほぼ、外れはない。-
・両親を失った慎一郎を、親身になって育てる車両整備工場の心優しき社長夫婦を演じた時任三郎さんと、斉藤由貴さんも良い。厳しいが、慎一郎を信頼している社長を演じた時任三郎のいぶし銀の演技と、いつも明るい慎一郎のお母さんのような斉藤由貴さんの存在感。
・慎一郎と葵が惹かれ会い、恋人になる姿も、最初は”ちょっと”出来過ぎじゃない。”と思ったが、二人の幼き時の関係性が明らかになった再後半を見て、”成程、運命の二人だったんだね。”と納得する。
・慎一郎が、一度、葵を助けた後に、胸に疼痛が走るシーン。そして医者(北村有起哉)の診察を受けた後に、彼が慎一郎に言った言葉。
”他人の運命を変えるな。代償が来るぞ。”
医者も、“フォルトゥナの瞳”の持ち主だったのだ。
・そして、慎一郎は、再び葵の姿が透けて見え始め、公園の園児たちが皆、透けて見える。
共通点は、7:30の芦谷行き急行と分かった際に、慎一郎が取った行動。葵には沖縄に明日行こうと言い、幼稚園には”遠足の日を伸ばしてくれ”と懇願するが・・。
葵は、旅行当日の朝”人手が足りなくなった・・。”と慎一郎にラインしてくる。
ー この葵の行動の真意が分かるシーンは、沁みる。葵自身が抱えていた”秘密”と、慎一郎が抱えていた飛行機事故の際のトラウマ <女の子を助けられなかったと思い込んでいた事。>-
<ラスト、慎一郎が葵や幼稚園児たちや多くの命を助けようと、発火灯を高く掲げ、急ブレーキを掛けながらも迫って来る列車から逃げる事無く、線路の上に決然と立つ姿。
その後ろでは、線路わきのビル工事をしていたクレーンが、線路に崩れ落ちてくる。
ギリギリで止まった列車。
葵が、列車のドアをこじ開け、慎一郎の元に駆け付けるが、彼は”多くの命を救ったが故に”事切れていた・・。
その後に、葵も“フォルトゥナの瞳”の持ち主であり、飛行機事故の慎一郎が”助けられなかった”と思っていた女の子だったことが明かになるシーンも、琴線に響いた作品である。>
神に試された男・・・かな?
百田尚樹の原作だったんですね
永遠のゼロとか海賊とよばれた男とか歴史資料から起こした小説だけかと思ったら、こんなのも書くんだ
多才な人だ
未来を変えてしまうと、自分の命を削る事になる
だから、フォルトゥナの瞳を持つ者は傍観者でいる事になる
神なんて信じないから、どうでもいい話なんだけど
もし、神がいるなら
この瞳を持つ人は試されているのかもしれない
傍観するだけの人物より、自己犠牲の出来る人を神は求めているのかもしれない
神の候補として
なんせ、神は人界には不干渉を決めこむのが通常の宗教だから
まあ、神なんかいない言い訳なんだけどね
ロケが神戸中心に行われていたんですね
言われてみれば見慣れた場所があったな
でも、設定は神戸じゃない
前にも書いたけど、軒先を貸しただけ
聖地巡礼なんて、よほど大ヒットしないと大して経済効果はない
大人数の滞在費とか
どこから金が出ているのか
役所から補助が出てるんじゃないかななんて思ってしまう
運命と愛を真摯に描いた恋物語
観終わって、やはり百田尚樹原作作品は違うと思った。ラブストーリー色が強い作品だと予想していたが、運命と愛の双方に真摯に向きあった作品だった。本作は、死んでいく人が透けて見えるという特殊能力を持つ主人公の物語ではあるが、人を想うこと、運命、とは何かという普遍的なテーマについて考えさせられる作品である。
主人公の木山慎一郎(神木隆之介)は、幼い時に飛行機事故で家族を失い、大人になっても、多くを語らず仕事に没頭する日々を過ごしていた。彼は、偶然、死んでいく人が分かる、人の運命が分かるフォルトゥナの瞳を持っていることを知る。そして、彼は、恋人・桐生葵(有村架純)との愛を育みながら、運命に立向おうとするが、そこには大きな障壁が待ち受けていた・・・。
主人公役の神木隆之介と恋人役の有村架純が、安定した演技をみせている。三月のライオンなど色々な役に挑戦している二人だが、本作の役どころは、二人の原点、本流ともいえる役どころである。そんな二人の自然体の演技が奏功して、特殊設定の作品全体に落ち着きを与えている。
相変わらず有村架純の眼の表情、魅惑的な瞳が素晴らしい。あんな瞳で見つめられたら平常心を保てる男性はいないだろうと思わせるほどだ。慎一郎への包み込むような暖かな眼差しと台詞が印象的である。葵は謎めいた人物だが、慎一郎との会話の中で変化する目の表情で、葵が何者なのかが垣間見える。推察できる。
神木隆之介も、透明感のある演技で、過去を背負いながら、自分の特殊能力に葛藤し苦悩する生真面目な若者を好演している。不器用で一途な葵への強い想いが胸を打つ。
終盤は、そうなるだろうという展開ではあったが、二人のピュアな愛が凝縮されている。本作は、特殊な設定を通して、運命と愛という普遍的なテーマに迫った作品である。神木隆之介、有村架純という演者が紡ぎ出す、人を想うことの大切さが切々と心に沁み渡っていく良作である。
興味深い映画だった。
この映画は色々と考察のしがいがあってとてもおもしろかった。
レビューを見たらこの作品の奥深さを理解してない人が多いようなのでポイントをまとめておきます。(全て個人的な意見になります)
葵があの日電車に乗った理由は劇中でしっかり描かれています。要はフォルトゥナの瞳の能力で慎一郎の死が近づいていることを知った葵。その死因が何かはその時はわからなかったでしょう。直前で急に誘ってきた沖縄旅行が原因かもしれないし、朝の電車かもしれない。まぁ個人的な意見としては葵はあの電車に乗って仕事に行ってた訳ですから車内の人が透けているのことや、慎一郎の焦った様子からおそらく自分は電車で起こる事故で死ぬのだと確信したはずです。しかし自分がここで電車に乗らないという選択をしてしまったら慎一郎が運命を変えたことになり慎一郎が死んでしまうことになる。だから葵は運命に従って自分の死を受け入れて慎一郎を生かそうとしたんです。何で電車の中にいる大勢の人を見殺しにしたのかという意見もあるかもしれませんがそれは以前に葵が言っていた「弱いのは私」というセリフに表れています。フォルトゥナの瞳はその性質上、誰かの死を知ってもその運命を変えてしまうことで自分の死が近づいてしまうという物です。だから恐らく葵は今までも誰かの死を知っても見て見ぬふりをして生きてきたのだろうと思います。それが葵の弱さです。一方で慎一郎は自分の死が近づくにも関わらず他人を死の運命から救うという強さを持っています。だから劇中のラストも葵の弱さと慎一郎の強さが対比されてるのかなと思いました。大勢の人の命を犠牲にしてでも(他人の死を見て見ぬふりをしてでも)愛する人=慎一郎を守ろうとした葵、大勢の人の人の命を自分の命を犠牲にして守った(結果として葵を守ったことにはなりますが)慎一郎、つまり電車に乗ることによって慎一郎の命を助けたら大勢の人は犠牲になっても良いというある意味エゴにも近い葵の弱さ、が表されてる訳です。
余談ですが皮肉な話で葵が電車に乗らなかった(=死の運命を変えてしまった)としても慎一郎は死ぬ運命ですし、葵が電車に乗る選択をしても慎一郎が葵を助け、慎一郎は死ぬ運命だったということです。つまり、葵の死が分かった時点でもう慎一郎の死は確定してしまった訳なんですね。葵の死を見過ごすことなど決して慎一郎にはできなかったでしょうから。葵が慎一郎を守ろうと決断しても慎一郎の死は変えられなかった訳です。これは神の定めた運命を変え続けた慎一郎に対する神の罰のような物だったのではないかと思っています。とても残酷な話ではありますが。
ストーリーは最高だが色々と雑
ストーリーは完璧だが、シーンの変わり方など色々雑すぎるように感じた。
神木隆之介と有村架純のシリアスなシーンからいきなりベッドの上で事後シーンに切り替わったのは特に酷かった。一緒に観ていた人と半笑いで「え?」と声をだしてしまった。
もっとマシな監督は居なかったのか・・・
思わせぶりな物語
設定がSFみたいで面白いなって思いましたが、あくまで恋愛ものですね。三木孝浩監督の「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(16)はツボでしたが、他はなかなかじれったくなります。ラストのシークエンスも「ぼくあす」に通づるものがあり、ちょっと二番煎じというか、それほど効果的ではなかったような気が個人的にはしました。
悲しすぎてつらい…
(原作未読、ネタバレなしのレビューです)
自分を救うために愛する人が身の投げ出す。
愛する人のために自分が身を投げだす。
一緒に生きたいと互いに望んでいるのに絶対に一緒にはなれない。
こんないつらいストーリーは小松菜奈さん、福士蒼汰さん主演「僕は明日昨日のきみとデートする」以来だです。つらいものを好まない自分は正直見たのを後悔しました。この切なさ堪え切れられないからです。
映画序盤 誰でもわかるようなストーリーで1時間が過ぎました。「期待はずれかな?」と思いましたがここからが本番でした。桐生葵演じる有村架純さんが流す涙、途中悲しそうな顔をしていた理由が分かったときは涙が溢れました。互いに愛するがゆえにおきた悲しい最後でした。映画としての完成度はとても高く、こういうつらい悲しい系統の映画が好きな人にはおすすめだと思います。逆に自分のような根っからのハッピーエンド好きにはおすすめしません。
主演「木山慎一郎」演じる神木隆之介さん、「桐生葵」演じる有村架純さん。この二人の演技は最高でした。涙があふれるシーンもとてもリアルで、木山さんが葵さんのために全力疾走するシーンはとても心に響きました。この二人の最高の演技が映画への没入感を増してくれました。
そして何より「宇津井和幸(GARAGEの常連)」演じるDAIGOさんの演技のうまさです。母方の祖父は元衆議院議員で、第74代内閣総理大臣の竹下登。父方の祖父は実業家の内藤用一郎。父は竹下登の秘書を務め、後にKBS京都の常務社長室長に就いた内藤武宣。姉は漫画家の影木栄貴。妻は女優の北川景子。ロックバンドのボーカルで人の良さに加えた優しさで視聴者のみならず現場スタッフにも好かれるDAIGOさんがまさかのクズ役。正直に合わないと思いましたが眉間にしわを寄せた顔は素晴らしかったです。こっちまで腹立つほどの演技で「さすが」と感心させられました。
自分の系統の人以外にはとてもおすすめです。愛する人がいる方、普段の日常に味を感じない方は是非鑑賞してみてください。
ラストもう少し説得力が欲しかった
ファンタジー系ラブストーリーで、未来が見える能力「フォルトゥナの瞳」という設定が壮大なスケールを予感させる面白さがあり衝撃的ラストもストーリーとしてはとても面白い。
冒頭から飽きさせない展開で、惹きつけられるものがあり素晴らしい脚本だからこそ、ラストの演出が少し残念である。
もう少し盛り上がりのピークらしい壮大なスケールや映像効果、もしくはスケールを変えないのであれば、鑑賞後に「何故そうならなければならなかったのだろう」考えさせる様な余韻が欲しかった。
また、折角のラストなので伏線があると見た後の爽快感も増してなお良いと思う。
全体的には良くできていて楽しめる作品。
未来はわからないから希望が持てる
私たちは、安易に未来がわかるといいなぁと思ったりもするが、未来はわからないから夢も持てるし努力もできる。この映画は、見た人を近いうちに亡くなるとわかる、そんな特殊能力は持ちたくない。自分を犠牲にしても、人を思って走る姿は、感涙しました。
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