「百田さん~こんな話も書くんだ」フォルトゥナの瞳 flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
百田さん~こんな話も書くんだ
百田さんあまり好きじゃないので。小説以外のところでやたらしゃしゃり出てきていらんことばかり喋ってるから。
てわけで原作未読で見た。
いやいやなかなかこんなデリケートな話も書くんだ百田さん(笑)
(百田さんはほとんど読んでないんだが笑)
ラストまで見て、一瞬「これやりようによっては何とかなったんじゃ?」と思ったんだけど、よーく考えると詰んでいる。
2人とも生き残る方法は思いつかない。何をやってもどちらかの運命を変えることになってしまってどちらかが死ぬことに。
となると、結局は「相手に生きていて欲しい」と思う気持ちが強い方が勝った(というのもおかしいけど)ということなのか…。
神木隆之介も有村架純も良かった。
ただ、あの医師だけはいるか?と思った。
思ったけど、映画の短い尺で観客に設定を理解させるには仕方ないか。チートっぽくて「説明のために出しました」感がありありであまり好かないけど。
そしてやっぱり泣いたことも付け加えておく(笑)
原作、読んでみようかな。
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というわけで原作、読んでみた。
映画では省略されていた細かな設定がいくつかあることが分かった。例えば原作では「透け方」でおおよその死期が分かることなど。
しかしクライマックスのシークエンスは圧倒的に映画の方が良かった。
原作だと葵は徹底的に傍観者だもの。原作の葵が気に入らないわけではないが、映画の葵の方が圧倒的に良かった。
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映画(DVD)再見。
やはり原作より映画の方が圧倒的に良いな。
ただ、いくつか気になる点が。
まず飛行機事故のくだりは要らない。
そこは出会ってからの2人の話には関係ないし、何より「そこで既に一度葵の運命を変えているのなら、その時のペナルティはなかったの?」という疑問が。
「生死の境を彷徨った者が能力を得る」という設定を厳密にしたかったのだろうけど、蛇足感がハンパない。
次に、クライマックスの警察との追いかけっこも不要。それがなくても十分緊迫感はあるシークエンスなのに、警察の間抜けさを感じてしまって逆効果。
最後に最大の不満だが、「伏線」はもっと伏線らしく見せた方が。
でないとラストの葵の独白に唐突感が生じてしまう。
また、「透けるシーン」の見せ方は、あくまで「能力者の視点」のシーンに限らないとフェアでない。ミステリー的な見方だけど。
慎一郎や葵が「透けた人」を見てるシーンなのに、その慎一郎や葵が画面に入っているシーンがいくつかあった。
それでも原作よりうんと良かったことには変わりないけど。