劇場公開日 2019年7月20日

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存在のない子供たちのレビュー・感想・評価

全165件中、161~165件目を表示

4.0映画を観る→現実逃避だったけれど、これは現実の方がマシと思ってしまう映画でした。

2019年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

毎日仕事で忙しくて、何のために生きているんだろうと激務の時に思っていた。いっそ全部投げ出してどこか行きたいなんてことも。そんな時、この作品に出合いました。

つらさは人それぞれで、比べる物ではないのですが、この作品を観て、いかに自分が恵まれているのかを実感しました。いつもは現実逃避で映画を観ていますが、これにいたっては、この現実に生きていて良かったと思う程。

身分証。誰もが一つはもっているはず。保険証、免許証、パスポートなど。持ち歩くの面倒だなあなんて思っていたけれど、この作品の主人公ゼインは、それすらできない。貧困を理由に両親から出生届が出されていないため、社会的には存在していないのだ。存在していないので、学校にも病院にもいけない。働くしかないゼインと兄弟たち。

どん底かと思ったらまだ底があるような次々に辛いことが襲い掛かる。

育てられないなら産むなという言葉が胸につきささります。

と、ここまで書くと重い映画かと思われますが、主人公をはじめ登場人物のどのような環境であっても生きようとする強さや、ユーモアあふれる描写、そしてラストの展開など決して重いだけの作品ではありません。

観て本当に良かったと思っています。

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城山

4.5タイトルなし

2019年6月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

『大人たちに聞いてほしい。
世話できないなら産むな』
これはゼインの心からの訴えです
.
俳優ではない出演者たち
ストリートキャスティング
中東の貧困・移民問題で
映画と同じような境遇におかれた人達
その表情や言葉はリアル
現実に起きていることだということを
知らなくてはいけない
.
ゼインは怒っていた
でも必死に生きていた
生きるために
親と同じことをしてしまっている姿は辛い
でも彼はその術しか知らない…
負の連鎖は断ち切らなければいけない
簡単なことではないが
差しのべる手
救いが必要だということを
考えなくてはいけない
.
.
ゼインの吐き捨てるような言葉が
忘れられません
心が痛い

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lily

5.0子供を悲しまる親なんて糞食らえだ!

2019年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

こんなにも食い入るように映画を観ることになるとは…。

本当にあっという間の125分でした。

カンヌ映画祭で、『万引き家族』と一緒に話題になった作品だからこそ、すごく興味深い作品の一つでした。

家族の問題を取り上げていて、同じようなテーマだと思っていましたが、こちらの方がいろんな意味で深くて重い…。

貧困問題だけでなく、宗教問題、男女差別、環境汚染など、少年を取り巻く生活は、過酷すぎて言葉にならない…。

朝起きてまず思うとこは、今日生きるための食事を確保しなくてはと考えること。

生きる=食べる、という悲惨な現実に打ちのめされました。

学校に行くこともままならず、親は仕事をすることを強制的に進めてくる…。

例え、行かせてくれたとしても、学校で物をもらえるかもしれないという、希望的観測の進めだけ。

子供達の将来のことなど考えもせず、親は次々に子供を産み、ますます生活が苦しくなっていくのです。

親としての責任や、将来の幸せなど全く考えもせず、今ある現実から逃げようとするだけの親たち。

さらに愛する11歳の妹を、ロリコン男の嫁にやろうとする両親。

いくら金がないといえど、やっていい事と悪いことの分別を間違えてはいけない…!

両親のあまりの非情な行為に、12歳のゼインは怒りを爆発させ、立ち向かいますが、全く歯が立たず…。

あまりの悲しみと怒りに、親に愛想をつかしたゼインは、12歳にして家を飛び出す決心をします。

行く当てなんてないと分かっているのに、それでも家族から逃げることを選んだ少年。

その強い決断力が、観る者を圧倒させます。

ゼインの悲しく遠い目から感じる寂しさと、絶望、怒り…。

12歳にして、ここまでドン底の世界を知ってしまったら、私だったら立ち直れる気がしない…。

それくらい彼のとった行動は大人。

こうして、全てを悟った彼は、12歳にして立派な大人へと変貌していました。

優しい言葉なんてかけてもらったこともなく、いつも暴力や罵倒ばかりの生活。

痩せ細り、まるで小学校低学年くらいのガリガリの少年と成り果ててしまった彼が、何故ここまで必死に両親を訴えるのか?

裁判から見えてくる真実に、悲しみの涙をこらえることに必死でした。

特に、少年の悲しそうな表情がずっと脳に焼き付いていて離れません…。

『誰も知らない』という映画の柳楽優弥くんを観ているかのよう…。

あの虚ろで空っぽの目は、親を信用、信頼しなくなった証のように感じました。

あの目は、映画を観終わってもしばらく忘れることができそうにありません。

子供が大人を見限った時、あんな表情になるんだなと感じました。

今年観た洋画の中でも、一番印象に残るであろう作品。

今日試写会で出会えたことに感謝です。

ありがとうございました(^^)

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ガーコ

4.0育てるつもりもなく私を生んだ両親を訴えます

2019年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

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DOGLOVER AKIKO

5.0ずっしり重いレバノン版『万引き家族』

2019年2月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 レバノンの貧民街に暮らすゼインは学校にも行かせてもらえず家族の生計を助けるために色々な仕事をさせられているが兄弟思いの優しい少年。妹のサハールが近所の商店主と強制的に結婚させられたことに耐えられないゼインは家を飛び出し海沿いの町に辿り着き、小さな遊園地のレストランで働くエチオピア移民の女性ラヒールと出会う。ラヒールの息子ヨナスの世話をすることを条件に一緒に暮らし始めたゼインだったが、ある日ラヒールが家に戻らなくなり仕方なくヨナスを連れて町に出るが・・・。

 冒頭にゼインが法廷に立つシーンから始まり、なぜ彼が法廷に立っているのかを紐解いていく構成。貧しい生活の中で身につけたサバイバルスキルと実に子供っぽいヤンチャさで厳しい世界を生き抜くゼインが辿り着いた自分の出生に関する真実、狡猾に振る舞う男達に不当に虐げられる移民達、そしてスクリーンの向こうから饐えた腐臭が漂って来そうな薄汚れた街並み。何もかもが凄惨な世界で、それでもゼインの置かれた現状を知り手を差し伸べる人達によって暗闇に微かな光が差し込む様がしんみりと胸に沁みる静かな感動作。

 リオを舞台にブラジルを代表するフェルナンド・メイレレス、ジョゼ・パジーリャ他国内外の多彩なスタッフ、キャストによる短編10作によるオムニバス映画『リオ、アイラブユー』でハーヴェイ・カイテル主演の”O Milagre”を監督していたナディーン・ラバキーの監督作。”O Milagre”は神様から電話がかかってくると信じて公衆電話の傍から離れようとしない少年を巡るファンタジー、本作とも通底する厳しい現実を真正面から見つめる強さと包み込むような母性が印象的。どちらにも出演されている監督の確固たる理性を携えた凛とした美しさももちろんカッコいいですが、自ら演じる役を通じて主人公に対する自分の思いを滲ませるかのような演技も素晴らしいです。

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よね