「快作! またこの二人がやってくれた!」イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり CBさんの映画レビュー(感想・評価)
快作! またこの二人がやってくれた!
11 かあ〜、面白かったあ〜!
俺の中での傑作がまたひとつ。
1862年のロンドンで、天気を理解したい科学者が、女性気球乗りの協力のもとで、気球で7000mを超える高さに挑む話。
実在した科学者と、実在した女性気球乗りを組み合わせた「史実に基づく創作」らしい。(事実は、bloodtrail さんのレビューに詳しくあります)
主演の二人は、「博士と彼女のセオリー」の二人。
----観た当時の俺のレビュー----
素直に、いい科学者が、長く生きて、よかった。本当に祝福を送りたい。ストーリーも科学好きの俺には、めちゃくちゃ面白かった。
----ここまで------------------
今見るとずいぶんあっさりしたレビューだが、すごく気にいってたのは事実。
そして今回は、それを上回る爽快で、ドキドキする話ができました。これを作っただけで、俺はAmazonスタジオを尊敬するよ。
「見上げて。空は解放されている」
「傍観者に、世界は変えられない」
ドキドキすると言えば、自分のレビューの中では「ザ・ウォール」がダントツだが、あの映画はホントにそれだけの映画。こっちは、同じような緊張感が、何回もある上に、科学者の性(さが)まで描いてた。
blood trail さんのレビューに詳しいですが、気球乗りが女性という部分は創作とのこと。その創作がまた、現代の今まさに向かっている "男女同権時代" を示しているようで、またシビれる。主なアクションシーンはすべて女性。そしてその操縦技術は、亡き夫に学んだもの、というところまで含めて、いい感じ。(最もそれを感じたシーンは、ネタバレなので、最後に区切って書いときました)
事実に基づくが創作ってものをうまく使った例なのでは。ぜひ、この映画が、「エンタメ部分ももちろんあるけど、気球しかない時代に、1万メートル上空のことが知りたい、と実際に昇った科学者がいたことは、事実なんだよな」と語り継がれる映画になるといいな。
------- ここからネタバレ -------
先ほど、「 "男女同権時代" を示しているようで」と書いたが、自分がそれを最も感じたのは、気球上部の修理を終えた主人公(女性)が、落下して宙吊りになり、必死で気球に戻るあのシーンです。主人公(女性)は、あらん限りの声で主人公(男性)を呼ぶが、彼は気絶していて気づかない。主人公(女性)は、自分だけの力で気球にたどり着く。…主人公(男性)は、事が終わってから気づき、主人公(女性)の手のケガを見て、優しく労わる。
どうですか、このシーン。かって見ていたシーンと男女がすっかり入れ替わってますよね。自分は、女性がこういうことをすべきだと思っているわけではなく、どっちが主になっても、こういうシーンには感動するな、と思ったわけです。今までこういうシーンを観てなかったのは、観る側も作る側も、そういうもんだと知らず知らずのうちに思い込んでいたのだろうなと。
それを気づかせてくれてありがとう、この映画。
この映画では、主人公(男性)が、「科学者」という、特定領域ではすごいけれど、日常生活では勇気や行動力に欠ける、という姿にイメージされがちな職業だったので(自分はそんなイメージは持ってないが思わないけれど)、描きやすかったと思うが、いずれにしろ、こんな風に描写できる映画が出てきたってことに、時代の流れを、いい意味で感じる。素晴らしいことだと思う。
------- ここまで、ネタバレ -------
2020/3/11 追記
・見上げてごらん。空は解放されている。
・傍観者に世界は変えられない。選んで生きる者が変えるのだ。
CBさんへ
ちょっと前に、別の調べ物でネットを漁っていたら英語版Webページに書いてありました。英王立協会は「Coxwellの名誉はどうなるんや!」と、この映画にはオカンムリな様子ですw 「でも、空の冒険に挑んだ女性が居たことを伝えてくれた点は評価する」だそうです。この映画は、幾つかの史実をぶっ込みで一本の物語にしている、と言うことですね!
CBさん
コメントありがとうございます。
気球の上から滑り落ちそうになるシーンで
思わず両足を突っ張ってしまったのは
私だけではないと思いたい… ひぃぃ~ (←心の叫び)
CBさんへ
製作陣と脚本は「ワンダー 君は太陽」のチームなんですよね。差別・偏見をもろともせずに生きる人達の美しさ。助け合う事の尊さ、みたいなもん。この二つが共通してて、この製作陣が伝えたい事なんだろうな、って思います。このチームの次回作も観たいです!ちなみに、引用でも言及でも、何でも好きにやって頂いて無問題ですw