ジュディ 虹の彼方にのレビュー・感想・評価
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ラストの歌唱場面は「定番シーン」でも伏線が効いて感動的でした。
映画配給会社の広告キャッチフレーズは「誇張」や「自画自賛」の常套句が多いのですが、本作の「感動のラスト!」はその通りで、涙が止まりませんでした。
かつて有名だった歌手の伝記映画の場合、そのラストは「最大の持ち歌を舞台で熱唱する場面で終わる」というのが定番です。本作のラストもそうなのですが、最大のヒット曲『虹の彼方に』を歌う場面を、より感動させる伏線として2人のミュージシャンと1組のファンカップルとのエピソードを絡めていることが一味違う効果を生み出していました。
主演のレニー•ゼルウゥガーは今年のアカデミー主演女優賞。私は1997年の『ザ•エージェント』以降彼女の出演作は10本ほど観て来ましたが、期待した以上の面白さでした。彼女がなぜかピンキーとキラーズの今陽子そっくりに見えました。
心に染み入る「虹の彼方に」が色褪せない作品です。
予告編を観てから興味が湧き、あの名曲「オーバー・ザ・レインボー(虹の彼方に)」が頭の中で響き渡り、スクリーンで聴きたくなって鑑賞しました。
で、感想はと言うと、面白い。
面白いけど、ラストはちょっと好みが分かれる感じで細かい所で気になる所もあるかな。
「ボヘミアン・ラプソディー」を彷彿させる様な、ジュディの歌への愛と葛藤、そして終焉に向かう魂の燃焼を切なくも愛おしく描いています。
とにかく伝説の女優、ジュディ・ガーランドをレネー・ゼルウィガー(※正式にはレニーではなくレネーだそうです。)が情念深く熱演。
「ブリジット・ジョーンズの日記」でキュートな役を演じたレネー・ゼルウィガーがベテラン感のある晩年のジュディを演じているのにはちょっとビックリな感じがしますが、役のジュディとはほぼ同年代。あのブリジット・ジョーンズのレネーがこんな役をやるなんて、なんか思えば遠くへ来たもんだな感じでw、違和感が無いのかも知れませんが、苦労の末か、晩年のジュディがちょっと老けて見えます。
一昔前のスターって、何処か刹那に生きて、一瞬の栄光の為に全てを投げ打つ、悲壮感と輝きがありますが、ジュディは子供達との平穏な生活も夢見る。その何処か矛盾めいた葛藤を見事に演じてます。
また、一世紀近く前のアメリカのショービジネスのブラックな待遇とハラスメントで人間形成が歪んだ様に感じる程、「オズの魔法使」での子役時代がネックになり、その後も自業自得的ではあるけど、転がる様に堕ちていくジュディが切ない。
ロンドンでは大スターとして迎い入れられてますが、睡眠不足と情緒不安定でいろんなトラブルも多発。
トラウマの様に回想シーンで差し込まれる、1930年代のハリウッドの裏側とタレントへの労働管理は無茶苦茶に映ります。
ある意味、ジュディは黎明期から過渡期にあるハリウッドの犠牲になったとも言えます。
ジュディ役のレネー・ゼルウィガーが主役ではありますが、個人的にお気に入りはロンドンのマネジメントを担当するロザリン役のジェシー・バックリーとジュディの青年期を演じていたダーシー・ショウ。ジュディの娘のローナ役のベラ・ラムジー。
5度目の再婚相手のミッキー役のフィン・ウィットロック。
ロザリンは健気にジュディをバックアップする有能なマネージャーですがキュートで可愛い。
ジュディの青年期を演じたダーシー・ショウも可愛らしい。古きハリウッドのキュートさを醸し出している。
娘のローナ役のベラ・ラムジーもキュート♪
おぉ!キュートばっかりやw
ミッキー役のフィン・ウィットロックはオールドスタイルな感じの正統派な男前。
実際にジュディ・ガーランドはLGBTQ問題にも理解があった事と自身も関わっていたらしいんですが、それもあってか劇中でもそれを取り上げています。この辺りが「ボヘミアン・ラプソディー」と少し似通る感じです。
また、熱烈なファンによってジュディは助けられ、LGBTQ問題に悩むファンもジュディに助けられる。
二人の男性ファンとファンの家で卵料理を楽しそうに作る描写はほっこりして、ジュディの束の間の心の安らぎを得られて感じで良い♪
芸能の世界の憧れと非情さを描きながら、こういった描写がなんかホッとします。
個人的に気になるのはラストの件り。
アルコールで2度目の失敗を起こしたジュディがステージ出演契約を解除され、ステージの袖から覗く事でどうしても歌いたい衝動に刈られ、ジュディの代わりに出演しているロニー・ドネガンに禊を済ますかの様に1曲で良いから歌わせてと嘆願し、ロニーがそれを了承するが、自らのトラブルで出演解除になったのに突然すぎるジュディの登場に観客からは前回あれだけのブーイングが飛んだにもかかわらず、今回はブーイングが一切飛ばないのはちょっと不自然。
ステージで歌っているロニーがスペシャルゲストとしてジュディを招き入れるとかの演出があれば、まだ納得も出来るけど、ジュディが起こした失態やロニーに変更されていると言うのは観客側は知ってる筈なのに、それを当たり前の様に受け入れているのはちょっとご都合な感じに映る。
なんだかんだ言ってもファンに愛されたジュディとも言えますが、ちょっと気になります。
ジュディは1曲だけと言っていたのにちゃっかり2曲歌っているしw
ロニー・ドネガン良い奴過ぎw
興行主のマイケル・ガンボン演じるバーナードもジュディの登場を容認と度量が広い。
また、ラストで「オーバー・ザ・レインボー」で熱唱するが、ジュディは歌いきる事が出来なくなり、観客がアカペラで合唱するシーンは感動のシーンではあるんだけど、やっぱりジュディには歌いきって欲しかった。
「ボヘミアン・ラプソディー」から始まった昨今のアーティスト伝記映画の流れを組んでいるし、「ボヘミアン・ラプソディー」の完成度が高いだけにどうしても観る側は見比べる所があると思うんですよね。
「ボヘミアン・ラプソディー」と比べるのは野暮と言うのを踏まえてですが、「ボヘミアン・ラプソディー」のクライマックスのライブエイドでのフレディの魂の熱唱の感動とド迫力のライブシーンに近い物を期待するだけに、最後は観客に助けられながらもオーバー・ザ・レインボーを熱唱して歌いきって欲しかったなぁと。
そこでエンドロールに流れていけばもう最高♪
ベタと言えばベタな感じではあると思いますがちょっと期待してたラストと違っていて残念かな。
と言うのは個人的な見解ですが、如何でしょうか?
いろんなアーティスト伝記映画が今後もラインナップされていく中で、皆が知っている名曲がある時点で思い入れはひとしおになるかと思います。
ジュディ・ガーランドと言う伝説の女優でアーティストの作品に触れられた事が嬉しい。
ハンバーガーやケーキを食べさせてくれない厳しい管理の中、本当の幸せを掴んだかは定かではないけど、ステージで堂々と歌うジュディは輝いていたのは確か。
なんだかんだ書きましたが、彼女の歌う「オーバー・ザ・レインボー」が聴きたくて、鑑賞したのでそれが聴けたのは素直に嬉しい。
あの名曲がいつまでも鳴り止まないんですよね。
それだけでも鑑賞の価値はあるかと思います。
コロナウイルスの影響でいろんな作品の公開が延期になり、この作品も公開直後にも関わらず、劇場は少し寂しい入りな感じですが、感動は色褪せないかと。
いろんな事に心配な御時世ですが、良い作品なので、よろしければ如何でしょうか。
必聴!オーバーザレインボー
ラストの「虹の彼方に」の歌唱で涙が溢れた。
しかし、何かが足りない。
そう、ジュディガーランドの過去の栄光シーンが抜けているのだ。
最後まで「虹の彼方に」を溜めちゃったもんだから、ジュディガーランドのことを知らない人には、なぜこの女性がスターなのかわかりにくいはず。
その頃の邂逅としては、
幼気な少女がロリコン親父に洗脳調教されて働かされたという感じになっていて、その頃のサクセスの一面より不幸の方がメインで描かれているせいで、真っ暗なのだ。
で、ジュディに関わった人間を登場させすぎたせいで、それぞれのドラマが薄くなってしまい、全体的なストーリーもパンチ不足。
役者のパフォーマンスのみ4.0
脚本は2.0
よって総合評価は3.0
オーバーザレインボー
自分はジュディ・ガーランドさんを全く知らないし、オズの魔法使も詳しく知らない。「Over The Rainbow 」と子供の頃にやっていたオズキッズというアニメをなんとなく知っているだけ。
映画を見に行く時は前情報をほぼ入れずいつも映画館でやっている予告とチラシをそれこそチラ見するくらい。
そんな状態で今回見に行ったもんだから内容はなんか薬物に踊らされた悲しい人のお話だな程度でしか見れず、ショーもそれほどグッとは来なかった。
スクリーンであの曲が流れた時は流石に「おおっ!」となっただけ。
だから映画としてはレニーさんの歌唱力と表現力がすごいなぁ、あんまり感情移入できん映画だなぁ。くらいにしか思わなかった。
けど!ジュディ・ガーランドさんの人生を調べたり改めて紹介番組見たり聞いたりしたらマルッと印象が変わりました!
こんな悲しくて恐ろしい人生、、、
感情移入が映画を見終わった後にしたから星3にしてるけど、きっと前情報を入れたら評価はもう少し高くなったかもしれない。
だから次見たらラストシーンはグッときすぎて花粉が流れるほどに涙腺崩壊してるんじゃないかな笑
OVER THE RAINBOW
すごく良かった!
幼少期に大スターになった事によって大人達に散々振り回され、植え付けられた習慣や概念、気性(性格)や男…
母親に飲まされていたダイエットに効く薬、実は今で言う覚せい剤(アンフェタミン)だったらしい
不眠症にもなるわそりゃ!
それをアルコールで誤魔化し誤魔化し…
その繰り返しで体はボロボロだけど、子供だけは自分がどうにかして守る!と。
子供達の為、生活の為だと思い、引き受けたロンドンでの仕事
離ればなれは苦しい程に悲しく寂しい
またそれをアルコールで誤魔化す悪循環
でも、子供達はどうにかして守る!と。
男に振り回され体も精神もガタガタ
とうとうステージで倒れてしまう
何度も立ち上がろうとして、でも潰れて周りに迷惑をかけて
大切なモノを失ったり奪われたり引き裂かれた時
それはジュディだけじゃなく誰にでも起こり得る人間の弱さが見えて…
終盤、電話ボックスで娘と話すシーン
母「どう?」
娘「友達も出来て楽しい」
母「そうなの?あなた達がイイならずっとそこに居てもイイのよ?」
娘「え、ここに居てイイの!?」
……
このやり取り、手に汗握る
聞きたくなかった娘からの言葉
あ、それ言わないで!
あ、でも仕方ないよね
ママ壊れないでな?
と思いながら…
必ず私(母)じゃなくても大丈夫なんだ〜とわかった瞬間、気持ちが吹っ切れる
そして母はJUDYとして
アーティストとして
次の一歩を踏み出す
OVER THE RAINBOWを歌う
いつもより増して優しく
表情も美しい
ファンはずっとそんな貴方を待っていたんだ
アカデミー賞2020🏆
レニーゼルウィガー💐
主演女優賞受賞おめでとうございます🎉🍾🎊🎈
虹の彼方に、しか知らなかった
脳裏から離れないジュディ
7クローゼットの中の夢
見るか見ないか
迷われている方は参考までにどうぞ👇🏻
見た後口ずさまずにはいられない!
さぁ〜むうぇ〜ぃおーばざれいんぼー🌈🌈
早速ですがアカデミー賞主演女優賞を受賞した
レネー・ゼルウィガーについてお話を🕵️♀️
彼女の代表作と言えば「シカゴ」
「ブリジット・ジョーンズの日記」など
個性的な演技を披露したものばかり。
彼女の顎をすくめて口をすぼめ、
目をきょろっとさせる仕草は
どの役にも当てはまるというか…
その仕草だけで
彼女自身がその役にぴったり当てはまることを
象徴しているように感じます。
(↑ニホンゴムズカシイ)
どの役にも違和感なく演じ分けることが出来る才能を持ちながら、、、そういった彼女だけの味を出すことができる、、、素晴らしい女優さんです。
(↑🤷♂️??ニホンゴホントにムズカシイネ)
\是非見てみてください/
彼女の素晴らしい演技は映画好きだけに
とどまらすきっと、
初めて彼女を見た人の心を惹きつける!
と私は思います😉🍽
ストーリーについては
予習が必要…という声もありますね。
ジュディの苦悩がこの映画全てに詰まっているとは
確かに言えないですね。
ネタバレがない程度の予習であったり
ジュディが実際に歌っている映像もありますので
それを見てから映画館に足を運んでみては?
🌟私はクローゼットの中に入って子供達と遊ぶ
シーンがだいすきです!!
あのシーンにジュディの夢が溢れてる気がして
序盤にも関わらず感動してしまいました。
もし私が彼女に虹の架け橋をかけてあげることが
出来るならば
あのクローゼットに向けて
かけてあげたい…
余談
私はブリジットの大ファン…
ブリジットファンの中では有名な話ですが、
ブリジットとはイギリス人女性の設定
(作品自体がイギリス設定)
しかしレネーはアメリカ人です。
日本人にとって英語はどの国の人が話しても
同じに聞こえますよね?
ただ彼女はアメリカなまり封印し、
この作品の中では
全てイギリスなまりの英語を話しています。
この女優魂たまりませんね…
それに図々しい役柄が多いですが
実際の彼女の話し方はもーう優しい優しい笑笑
人としても女優としても素敵な人ですね
(↑今回私褒めすぎかな)
Singer Movie!!!???
歌手の映画はうーーーん。
現代だと厳しいなって感じてしまいました。
お金がない人間が歌えば、お金のある人間はうまく感じてしまうし。
まあ、そこそこなキャラクター。
でも個人的には好きになれないおばちゃん。(笑)
なんかポリシーがなくて。
一回、一回のステージにおけるチャレンジがなくて。
自らの進退も自ら決めきれない。ダメなおばちゃんの映画。
お金を払う価値があるとは思えない人も多くいるのかどうなのか。
正直、駄作と思ってしまうけれど、歌手の映画は仕方がないのか。
なんか観ていて、イライラする。(笑)
個人的にはだめな映画だし、歌も上手く感じなかった。
女優も美しく感じなかったし。
どうしようもない。(笑)(笑)
まあ、傷の舐めあい映画ですな。(笑)(笑)
Over The Rainbow!!!???
うーーーん。
予告編で思っていたよりもうーーーん。(笑)
子供が二人いて。
離婚したり、再婚したり、問題を抱えたり。
いまいち、舞台においても情熱がなくて。
セルフスターターでなくて。
周りにモチベーションを上げてもらっているので、
だんだん不満になって。
うーーーん。
正直、まあぬるい女優のそこそこ成功物語。(笑)
個人的には、もっと熱く、パッショネイトな感じと。
自らの信念を突き進んで、周りを振り回すくらいな、パワフルな女性像を描いてほしい。(笑)
いまいち、まあわからなくはないけれど。
個人的には低評価。(笑)
まあ、しかたがない。
女優さんも筋が細くて、なんか。(笑)
まあ仕方がない。
あまりおすすめではないかも。(笑)
レニーが圧巻の演技に魂が震えました
全身全霊とはこのことか!!
アカデミー主演女優賞、レニーゼルウィガーさん、さすが!本当にすごい。全身全霊とはこのことか!!
「主演女優賞や男優賞の映画は作品がいまいち」という俺の思い込みは吹き飛ばされた。
いいよ~、これ!!!!!
ファンの男性二人と過ごした一夜、そこからつながるエンディング。いま思い出しても泣ける...もうそこだけで十分という感じ。
ただ、そう思えるのは、全体がよくできているからだろう。幼い頃からスターとして育ち、自由も、眠る時間もろくにない薬漬けの毎日。それが故の不眠症
悩まされながらも、子供たちへの愛情を支えに、必死でその日暮らしを続ける毎日。ままならぬ晩年を必死で生きる姿。
正直に言うと、その生き方に共感する部分は少なかった。だが、別に彼女が選んだ道ではない。彼女に与えられたというか放り込まれた環境であり、彼女はそこを必死に生きてきただけだ、と感じた。現在の彼女と過去を、時間を前後しつつ描写しながら、それを感じさせるのは、うまい作りだなあと感心した。
心はどれだけ愛したかよりも、どれだけ愛されたかだ。
ぜひ劇場でご覧ください。
ここにもJの悲劇
ジュディ・ガーランドに、そんな思い入れは正直ない。
オズの魔法使いくらいしか知らない。
なのでノーマークではあったけれど、主演女優賞獲ったとあれば、
そりゃーもう良い画質、良い音質で見ておきたいでしょw
ということで、悲劇のシンガー、ジュディ・ガーランドもまた、
「Jの悲劇」の一人なのだなぁと思いながら見ました。
レネー・ゼルウィガーがとにかく本人かと何度も見間違うくらいに、
迫力ある熱演と熱唱をするので、
なんでそんなにあんたはメンヘラちゃんなんだよ!!
あの時、太ったおじさんが言った「あの扉」を開けたなら、
今頃フツーのおばさんで、子供や孫に囲まれて幸せだったろうにと思っても、
そこは、この才能を持って生まれた人間のサダメ。
もう、痛いし苦しけど私たちは、見守ることしかできない。
まるで一番近しい友達なのに、なんにもしてあげられなかった虚無感が、
私たちに深く残る作品でした。
レネー本人が希望したのか、それとも偶然か、
劇中出てきたゲイの話は、本当に耳を疑ったし、
この人たちがいたから今があるんだと実感もした。
本当に私たちは、多くの犠牲の上に立っている。
夢をかなえることが決していいことではない。
希望を持つことが、大切なのだ。
47歳で、たったひとりで亡くなったジュディ。
彼女が犠牲にしたものに感謝して、
フツーの幸せを噛み締めます。
主演のゼルウィガーとガーランドの人生が重なり合う。
天才子役としてアカデミー賞まで獲得した伝説的なスター、ジュディ・ガーランドはその後女優としての重圧に苦しみ、酒と薬物に溺れた人生を辿ることになります。本作でガーランドを務めたレネー・ゼルウィガーもまた、『ブリジット・ジョーンズの日記』や『シカゴ』で大女優としての名声を確立しながらも、ハリウッドから距離を置き、数年間の休養に入りました。この二人は、人生のある時期の状況が明らかに重なり合っています。
久しぶりにスクリーンに映し出されたゼルウィガーの容姿は、メイクによる部分も多いとは言え、人生への疲れが刻み込まれており、設定(46、7歳のガーランド)よりもかなり年老いた印象を与えます。もちろん実際のゼルウィガーは、インタビューの写真などから明らかなように、相変わらず美しいのですが。
物語でガーランドは、失意のアメリカから、まだ女優・歌手としての名声が残るロンドンへと活動の場を移します。通常の伝記映画であれば、ここから華々しい復帰劇が始まるところで、本作でもそのような流れになりかけるのですが、現実のガーランドの人生が示すように、その結末は、同じく伝記的な映画である『ボヘミアン・ラプソディー』のような爽快感とは無縁です。
ただ、だからこそ結末の味わい深さは一層増しています。本作ではガーランドの、文化的アイコンとしての要素がいくつもちりばめられています。例えばある二人の人物との逸話は、彼女が性的な多様性を受け容れている当時では数少ない著名人の一人だったことを示しています(LGBTQのシンボルであるレインボーフラッグは、ガーランドの「虹の彼方に」に因んでいるという説もありますが、これに関してはあまり有力な説とは言えないようです)。また実の娘であるライザ・ミネリとの親子関係についてもわずかではありますが言及しています。そしてもちろん、「虹の彼方に」の歌詞が終盤にさしかかるにつれ、大きな意味を持ってきます。
本作だけでも十分に感動を味わうことができますが、『オズの魔法使』(1939)を事前に鑑賞することで、彼女が当時の人々にとってどれほど重要であったかがより一層理解できるのでは、と思います。
エンドロールが示すように、本作ではゼルウィガー自身が見事な歌唱を披露しています。彼女の声質は本来、ガーランドとは全く異なっていたとのことで、本作においてどれだけの努力を重ねてきたのかが伺えます。ただ、演技をしながらの歌唱はさすがに無理だったらしく、歌は別撮りだということですが。
なお、幼少時代のガーランドを管理し、精神的に追い詰める映画スタジオの重役はアーサー・フリードといい、目を付けた女優に、役を回す代わりに性的関係を要求する「キャスティング・カウチ 」として悪名高い人物です(未成年のガーランドに対しても!)。彼がガーランドに過剰なダイエットと寝る間もないほどの仕事を課したため、彼女は薬の力を借りないと眠れなくなる薬物中毒となり、早世に繋がりました。『スキャンダル』のロジャー・エイルズと並んで、死後もその悪行を忘れるべきではない人物の一人です。
愛されていると確かめるために歌うジュディ。ジュディの歌を愛している人々。
母娘が共にオスカーとゴールデングローブを獲ってしまうって、凄い事だと思うんです。ライザ・ミネリ(ジュディの二番目の夫であるビンセント・ミネリとの間に授かった娘)は、正直"七光り"感はあるけれど。でもでもでも。キャバレーを観ると、そんな事はどーでも良くなるくらいに素晴らしいです。チャンスは七光りでも、受けた称賛はライザ・ミネリの実力。天才の遺伝子って言うと俗物感はあるけれど、この母娘を見ると、あるよね、って思います。
少女時代のMGM幹部との間の醜聞なんて、みんな知ってるよね。4度も5度も結婚と離婚を繰り返すなんざ、どんだけ?って思うよね。それでも尚、ジュディ・ガーランドが人々に愛され続ける理由はさ、アレですよ。彼女から貰った感動や夢や勇気への感謝。
言葉で言うと、そっけなく聞こえるかも知れないけれど。皆さん、記憶有るでしょ?経験有るでしょ?大好きな「レコード」を擦り切れるほど聞いた思い出。新しく作るプレイリストに、ついつい何度も選んでしまう、お気に入りの曲。そう言うやつ。大好きで大好きでたまらない歌とか歌の一節とか、映画とか映画のワンシーンとか。
ちょっと古すぎて申し訳ない気はするけど、Over the Rainbow とOZ は、そうやって人々に愛されたモノだったんでしょうね。OZは1939年の作品。アメリカはその後、太平洋を越えてアジアへ。大西洋を越えて欧州へ。WW2へ兵士を送り込みます。OZとジュディ・ガーランドの歌声は「最後の平和」を象徴するシンボルだったんかも知れまへんな。
期待値☆3くらいで劇場に出かけたんです。いや、下手すりゃスルーでも良いかなと。アカデミーで客寄せする映画は嫌いだから。スルーしなくて良かったです、マジで。レニー・ゼルウィガーの絶演には、ただただ驚嘆する。これはオスカーに値する。と言うか、まさに彼女は、この映画の全てであるし、映画の全ては彼女のためにあった。間違いなく!
火曜の深夜、ジュディを出待ちしていたゲイのカップルが泣かせ役ですよ。破壊力抜群ですよ。ヤラレマシタよ。完敗ですよ。ハンカチは最低限準備してくらはい。涙もろいあなたはハンドタオルね。俺はたまたまタオル持ってたのでラッキ!どした。
良かった!とーーーーーっても!
壊れたジュディから天才を垣間見る秀作
多くの人の心の中に生き続ける1939年の『オズの魔法使』、そしてドロシーを演じたジュディ・ガーランド。オープニングのオズの撮影セットだけでぐっときた。
亡くなる半年前に行った1968年のロンドン公演の日々をメインに、17歳でスターとなり自由を失った若きジュディを挿入する。
なんか悔しいなあ。ショービジネスが彼女の心を蝕んだ。一度壊れた心は修復が効かなかった。悔しくてたまらなかった。
ボロボロになりながらもステージに立ち観客を魅了するジュディ(レネー・ゼルウィガー )の姿に、歌に感動した。『虹の彼方に』に涙した。
しかし観る人を選ぶ作品なんだろうなあ。『オズの魔法使』を観たことがない方、ジュディの『天才』を知らない方にはキツイかも知れない。
圧巻の演技でした
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