「犬殺しには気をつけろ」アンダー・ザ・シルバーレイク いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
犬殺しには気をつけろ
冒頭から不穏な空気が漂う、ロスの華やかさと影のコントラストの異様さをスクリーンに映し続けながらストーリーは進んでいく。
特徴的な主人公の死んだ目とあまり手を動かさない走り方。特徴的なアメリカの“ヲタク”要素を盛り込みながら、しかしステレオタイプに陥らないギリギリの線で、この謎解きディティクティヴサスペンスが繰広げられていく。
正直、画角に映る全てが何かの暗号やフリの様相を呈していて、鑑賞して大変疲れるのだが、それも又好事家にとっては面白いのだろう。そこの所はアメリカ人だから日本みたいに引っ込み思案ではなく、グイグイ積極的に事件にも女にも切り込んでいく姿は映画とは言え、“らしい”と納得させられる。
陰謀論、妄想癖、強引な辻褄合せ、世界観、そしてこんな筈じゃなかった人生に対しての責任転嫁みたいな、まぁ中二病爆発といったプロットであり、そして、『月刊ムー』張りの、オチはエジプトのファラオ的、地下での死ぬまでの生活が行なわれていたというオチは、頭がどうかしている帰着かもしれないが、しかしその真相を突き止めたときの主人公の顔がオープニングと違い、目が生き生きとしていたのはその成長を表現している、テーマのシッカリした内容であったと思う冒険譚であった。
ソングライターの家に行き、この世のヒット曲を全て創り出した老人の頭を、ニルヴァーナのカート・コバーンのギターで凹ます表現はグロいがしかしそれ程の世界観の逆転を表現するというオーバーリアクションjとしてまた、“ヲタク”の心情としてはベストなのではないかと思う。
多分、今作品、もしかして、続きというか、シリーズ化できることも狙っているのかもしれない。ラスト前で、今までずっと覗いていただけの上半身裸の中年女性を抱くことで、人生の酸いも甘いも体験した男は、その推理力も相俟ってロサンジェルスで探偵を生業にして、非日常的な世界で起こる事件を得意の“ヲタク”力で解決していく、コナン的なプロットで考えられているのでは?という、これもまた妄想癖の一種かw 誰かから◆◆のマークを落書きされそうだなw