劇場公開日 2018年7月6日

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「ドタバタの果ての大惨事を救った者は」セラヴィ! モーパッサンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドタバタの果ての大惨事を救った者は

2020年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

結婚式を舞台にした群像喜劇だ。ベテランのウェディングプランナー、マックスは、17世紀の古城を借り切っての豪華な結婚式を依頼される。招待客の規模も大きいが、一般的に使われるホテルと異なり、古城には、エレベータが1台しかない、電源容量が小さいなど、さまざまな懸念材料がある。ここぞとばかり、プロ意識の高いマックスは完璧な結婚式にしようと張り切るが、不安なのはスタッフだ。案の定、チーフのアデルはバンドのリーダーと喧嘩しているし、バンドのリーダーは結婚式を自分たちのライブの機会としか考えていないし、臨時スタッフのサミーはシャンパン用のフルートグラスと言われて楽器のフルートを探しに行くし、義理の弟という縁故で雇ってやっているスタッフのジュリアンは新婦となにやら訳ありだし、カメラマンのギイは仕事よりつまみ食いに忙しい。果たして、スタッフのへまが原因で次から次へとトラブルが起こる。マックスの機転と采配でなんとかそれらを乗り越えたかに見えたが、結婚式のクライマックスで、ついに致命的なトラブルが起り、客は大混乱となる。スタッフに対するマックスの怒りが爆発する。しゅんとなるスタッフたち。このまま損害賠償沙汰の大失敗として語り継がれることになるのか。
 マックスの有能さ、プロ意識の高さに比べ、スタッフたちのボンクラぶり、甘さ、真剣さの欠如は目に余る。他人事だから笑っていられるが、自分がマックスの立場だったらたまったものではない。だから、マックスが怒りを爆発させるシーンでは、マックスに同情したくなる。しかし、その後、誰が役に立つかということは環境次第だということをこの映画は教える。結婚式をぶち壊したのはマックスではないが、救ったのもまたマックスではないのだ。そう言えば、教員をしていて、そういう経験を何度もしたことを思い出す。たとえば、東日本大震災のとき。春休み中とは言え、課題活動などでけっこうな数の学生が学内にいた。公共交通がストップし、学生はおろか、多くの教職員も帰宅できなくなった。すると、学校から家の近い学生が、自宅に電話し、帰れなくなった学生を自宅に泊められるように相談し始めた。普段は手取り足取り指示しなければ動けない子どもだと思っていた学生が、誰からも指示されないのに、そんな算段に動いてくれたことが頼もしかった。
 仕事をしていて、「この役立たず」と周囲をつい罵りたくなることが少なくない私のような人間は、この映画を見ると謙虚になり、優しくなれる。マックスがそうなったように。
 なお、邦題の「セラヴィ」はフランス語の「C'est la vie.」、「これが人生さ」だが、不思議なことに、原題は異なる。原題は「Le sens de la fete」(ルスァーンスドゥラフェテ)という。訳すと「祝祭の行方」とでもなろうか。

モーパッサン
kossyさんのコメント
2020年7月1日

お初でございます。
日本の場合で恐縮ですが、日本の結婚式場は土日に集中しています。少数の専門スタッフと、大多数を占める臨時スタッフで成り立ってるかと思うのですが、やっぱりそうなるとバイトで慣れないスタッフが多くなってきます(ホテルでの結婚式はある意味安心)。
これだけ趣向の凝った内容の結婚式では、失敗も多くなることもわかるし、実際には多いんでしょうね。マニュアルに沿ったオーソドックスな内容がやはり安全ですね~非正規労働が多くなってるのは日仏でも同じなのかもしれませんね。

kossy