スターリンの葬送狂騒曲のレビュー・感想・評価
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権力の怖さ
スターリンの事は知っていてもベリアやフルシチョフの事は知らなかったので勉強になった。
スターリンが倒れて側近達が悲しんでも表面だけ。ベッドに運ぶ際の側近達のやり取りや扱い方のザツな様子、国葬までのドタバタぶりなどブラックユーモアたっぷりで面白かった。自身の身を守る事や邪魔者をどう消そうか、考えるのはそこばかり。実際もそうだったんでしょ〜ね。
ベリアが処刑されたのもあんなにスピーディに強引だったのか、事実を知りたくなった。
この映画に限らず時々思うことは、舞台が英語圏ではないはずなのに英語、仕方ないことだけど何か少し違和感を感じてしまう。
オルガ・キュリレンコ演ずるピアニストがソ連史を変えた!
ヒトラーと並ぶ完全な独裁者スターリン。息子のバカっぷりも笑えるのだが、それよりも政権内部のいがみ合い、足の引っ張り合いがブラックながらも笑えてしまう。要はスターリン時代に皆が恐怖政治に慄いてしまい、当時の忖度しまくりの幹部たち。スターリンに粛清名簿を渡していたのもベリヤのようだし、権力の下に集う者の愚かさを教えてくれた。
まだスティーブン・ブシェーミ演ずるフルシチョフは穏健派で国民のことを若干考えているようではあったけど、やっぱりベリヤを処刑に持ち込むということは狡猾なんだろうと印象づけられました。政治経済におけるイデオロギーなんて、この際重要じゃなく、権力を持って周囲の人間を疑心暗鬼に駆り立てられることこそ恐怖だということ。資本主義社会においても同じこと。軍事面や警察力などで絶対権力を与えてしまうと、反体制派は殺されていくものなのだ。
ロシアでは上映禁止ということでも話題になったらしいけど、過去のことなんだから笑って済ませるような寛容の余地さえないのですね。オルガ・キュリレンコもウクライナ出身だから、中央のことは憎んでいるのかもしれませんね・・・
学生時代のコンサートで録音頼んでいた奴がミスって全く録音されてなかったけど、俺は怒っちゃいませんよ・・・ヽ(`Д´)ノプンプン
これは喜劇にするしか
秘密警察を作り、圧政者として恐れられたスターリンが死ぬ。
取り巻き連中はこれまでの恨みと、これからの権力闘争を繰り広げることになる。
とても恐ろしい話なので喜劇にするしかないよね。
ロシアが作れ
ソ連の独裁者、スターリンの急逝による政権争いをコミカルに風刺したという今作。
実際の出来事になぞらえて、政治家の恐ろしさや愚かさを皮肉った作品性なのは理解できますが、それを自国の政界でなく他国の政界でやっては、あまりいい気持ちにはなりません。ロシアからすれば、なおさらそうでしょう。現に公開禁止にもなっていますし。
現代において、こういったブラックユーモアは、自虐的に行なうからこそ、観ている側も、馬鹿だなあ、とか、自分たちもそうだな、と己を顧みることができるのであって、他国の政治を茶化しては、反抗心を招くだけでしょう。下手をすれば、戦争の火種にもなりかねません。
自分にはまったく合わない笑いのセンスでした。
笑うに笑えない喜劇
スターリンの無邪気、ベリヤの残忍、フルシチョフの狡猾、マレンコフの虚栄、ジューコフのマッチョ。
これがかの大国を牛耳っていた政治家であったということは、いかに彼らの人物造形が映画仕様に誇張されたものであるということを差し引いても、やはりぞっとしない。
まるで餓鬼どもの小競り合いと笑いつつ、その小競り合いに巻き込まれてゴミくずのように命を落としていく人々、人生を振り回される人々がいることに、背筋が冷たくなった。
人はなぜ怪物になるのか、史実から学び続けることの大切さを、あらためて痛感した。
「帰ってきたヒトラー」みたいなのかと思って観に行ったけど違かった…...
「帰ってきたヒトラー」みたいなのかと思って観に行ったけど違かった…
ソ連の歴史については全く知らないので、いまいち内容も掴めなかった
とりあえず、ソ連がやばい国だということだけは分かった気がする
シリアスすぎるゆえの笑い
なかなか良かったです。
冒頭のオーケストラシーンが示しているように、全ての言動が、粛清や猜疑心・パワーバランスに関係してしまいます。
その結果、行き過ぎた可笑しみのようなものが、醸し出されてしまう。
シリアスに撮ってしまうと、観ていて辛くなってしまうような話です。
なので、その可笑しみを拡大するような形にしたということでしょう。
いわゆるコメディとは一線を画しています。
軍とNKVDが出てくるあたりは本当にスリリングで、冗談だろ?と言いたくなるような有様でした。
ロシアのことを知らなくても、面白かったです。
裏主役はベリヤだった。
スターリン時代をかろうじて生き延びた指導部たちの実際の口八丁手八丁ぶりを想像しながら、かつて存在した国の政権交代をブラックに楽しめます。それと引き換えに実際には大量の屍を生み出したのですが。
イギリス映画らしいブラックコメディ
あんまり期待しないで観に行きました が意外と面白かったです スターリンがなかなか死なないのでなぜ?と思ってましたが部下との関係を分からせるためだったのですね フルシチョフが鉄道を走らせるところからシリアス路線になりラスト初めて間近で人が殺害されるシーンでは全然コメディ要素は入ってなかったです監督はいろんな人に当時のソ連の事を知って貰いたくてコメディタッチにしたのかも?でもみんな演技うまかったのでシリアス路線でも良かった気がします
皮肉な怖い映画
スターリンを悪者として描くことは、ナチス同様すでに世界中で許されたんだなと感じてはいたが、本作品では、スターリンを継いだフルシチョフについても、狡い悪人として描く。
ソ連崩壊によりそれもOKという風潮になったのか、それともさすがは英国の映画魂ということなのか。
巨星スターリンが堕ち(死に)、合議制に移行するに当たり、そのリーダーシップを争う、国家政治保安部(GPU)を率いるベリヤと、共産党を率いるフルシチョフの間で、死活をかけた勢力争いが、数日間繰り広げられる。
GPUをよく思わない軍部と組んだフルシチョフが、ベリヤを追い落とし、ベリヤの傀儡として立った書記長マレンコフも短期間で追い落とされるという、いわゆる 権力闘争 の話。
その中身は双方とも権謀詐術、つまり「狡い」「強引」のかたまりだし、二人以外の側近は、どちらについたら生き残れるか だけを考えている、つまり「保身」「妥協」にまみれた姿。
映画は、全編通してコメディタッチがベースで進むのだが、笑えないシーンばかり。このテーマでコメディタッチは、監督が外しちゃったんじゃないの?というのが、観ている間の正直な感想でした。
しかし、わかってやってるのかもしれない。国家運営の立場ですらこうだ、という醜さが映画の主題だから、観客が「フルシチョフは知を巡らせて巧妙に権力の座についた」という風に捉えることは絶対に避けたい。それが、このちっとも笑えない、モヤモヤするばかりのコメディ映画の理由なのかもしれない。
そういうわけで、この映画の私としての評価は、ドキュメンタリー、記録映画としてつけました。自分に歴史を教えてくれてありがとう。
邦題そのまんまの笑えない喜劇
恐怖から解放された側近たちが繰り広げるマウント・ゲーム。裏切り・殺戮(しかも皆殺し)・内ゲバ・二枚舌・たまにイデオロギー。戦国時代以前の日本や中国の歴史ものを見てる気分。要するに、「共産主義は近代国家に非ず」と、全力で左巻き達を揶揄しているだけの映画。
イギリス人ってなんなんだろう。一方でダンケルク・チャーチルを作りながら、よくぞ今、こんな脚本が通ったものだと感心することしきり。というよりも神経疑うよ。小さい舞台ならいざ知らず、メジャー映画っすよ。ロシアがマルクス・レーニン主義の放棄と否定を、事実上宣言したような出来事があったと記憶しているが、だからこんな映画が撮れるのかとも。
仮にです。日本人が、「毛沢東はいかにして1,000万人を静粛・殺害したのか」なんて映画を作ったら国際問題ですよ、確実に。だって、かの国は当時の体制を引き継ぎ続けていて、今も平時・自国民の虐殺を止めていない非近代国家ですから。
史実として記録に残ったものなどゼロでしょうから、完全なるフィクションと言っても過言ではない映画でしょう。ロシアとしちゃ神経に触るだろうし、上映禁止は当たり前でしょうよ。
非近代国家が核を持つことの恐怖。チャーチルがナチを止めた英雄として、今、描かれる事の無知。
スターリンやその後のソ連の狂い具合などを、今更中途半端に皮肉るよりも、もっと切迫した政治シニカルネタは、あり余るほどあるのになぁ、って思いました。
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