この道のレビュー・感想・評価
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日本の言語感覚と大衆歌謡に影響与えた白秋を再認識
雨の音を「ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ」と表現する。その独創性。小学校で教わるか、親から聴かされるか、いずれにしろ様々な語彙に触れ吸収する幼少期に「あめふり」などの北原白秋作詞の童謡を歌うのだから、彼の言語センスに私たちが大いに影響されているのは間違いない。すでに確立した表現として当たり前のように慣れ親しんできたが、白秋が日本語詞の開拓者であることに改めて気づかされた。
山田耕筰と共作した「からたちの花」のエピソードも示唆に富む。ドイツ留学で学んだクラシックの楽典にのっとったメロディーを、白秋は「子供が歌うには難しい」と指摘する。そうした才人同士のぶつかり合いがあって、「この道」のような歌いやすく心に染みる童謡が生まれ、のちの大衆歌謡にも影響を及ぼしていったのだろう。
映画は白秋の人間的魅力と耕筰との交流を中心に描くが、白秋の功績を再認識させてくれる点も見逃せない。
AKIRAのスキンヘッドはちょっとびっくり
映画館では2019年1月28日ユナイテッドシネマ宮城大河原にて鑑賞
それ以来2度目の鑑賞
北原白秋は当時から高名な詩人歌人でありながら近所の人妻に手を出して姦通罪で逮捕されるようなダメな人
鈴木三重吉の仲介によって北原白秋と山田耕作の運命的な出会い
与謝野夫妻石川啄木高村光太郎萩原朔太郎室生犀星大手拓次菊池寛が登場
彼らの名前を見ると自分が国語を学んだ10代だった頃を思い出す
北原白秋三度目の妻菊子を演じた貫地谷しほりの芝居が良かった
北原と山田が初対面で喧嘩になったときに睨みつけた場面が良かった
仕事が無くなっていく白秋に対して母として息子娘のために抗議する場面も良かった
関東大震災があった
大東亜戦争があった
童謡を作っていた2人が時代に流され軍歌も作るようになった
北原白秋といえば『独逸青少年歓迎の歌』
山田耕作といえば『なんだ空襲』
家族を養うため仕方がなくかもしれないし本人ノリノリだったかもしれない
サヨクはとてもちっぽけなことでしつこく彼らを批判するだろうが今の感覚で裁くなんてあまりにもナンセンス
エンディングテーマはEXILE繋がりでATSUSHIが歌う『この道』
癒された
唱歌を万人の心の歌にまで深めた先人の物語
童謡の父と言えば「兎と亀」・「花咲爺」・「金太郎」などで有名な唱歌を作った石原和三郎とされているが唱歌を万人の心の歌にまで昇華させたのは間違いなく北原白秋、山田耕筰のご両人。
映画では慎吾ちゃんですので軽く見えてしまいますがそもそも二人を結びつけたのは赤い鳥運動の鈴木三重吉、その優れたプロデュース力の賜物でもあるでしょう。
「からたちの花」がラジオ放送の開局の歌、そして白秋でなく耕筰の方の少年時代の思い出が基になっていたとは知りませんでした。
稀代の天才、二人が紡ぎ出した名曲、童謡が主題だから二人の生き様も抒情的、メルヘンチックに脚色されていますね、映画の白秋は耕筰の思い出話のように語られますから白秋の全てではないのでしょう。
男女の仲はおよそ他人には理解し難いものですが、俊子が白秋を捨てたように描かれているのはどうなのでしょう、柳川の実家が事業に失敗し白秋の元に身を寄せたが姑も俊子にも辛く当たったようだし俊子も結核を病んでいた。詩人では生活力も乏しく収入も不安定、一時、漁師にまで身を落とし、苦労の挙句の離婚とされている。二番目の妻の章子も白秋が弟の事業再建に肩入れしたこともあり着物まで質入れさせ、苦労の末、俊子同様胸を病み、挙句に不倫を疑われ離婚されている。そんな不実もあり菊子には尽くしたようだが白秋を支えてきた妻たちがあったればこその無垢な詩集なのでしょう・・。
山田耕筰とて女性関係はルーズ極まりなく宴席では猥談しかしなかったというから白秋のことをとやかく言えた義理でもないだろう、いや、だからこそ馬が合ったのかもしれませんね。
そんなことを言い出したら世界中の大音楽家や芸術家、演奏家まで似たり寄ったり、美しい詩やメロディを産み出すのに聖人君子である必要はないし、作品と生きざまは混同しないのが鉄則でしょう。生活の為には心ならずも時代に迎合せざるを得ず残した作品の多さからも葛藤、心労の程が伺えます。
時代を経た今でも歌い継がれ、白秋の詩心はサザンの桑田さんや米津玄師にも影響を与えていると聞くと感慨深いものがありますね。
作詞北原白秋、作曲山田耕筰
北原白秋(大森南朋)は与謝野夫妻からも評価される詩人だったが、女性関係がだらしなかった。
ドイツ帰りの作曲家、山田耕筰(AKIRA)とコンビを組み、童謡の名作を生み出していく。
しかし、軍国主義が世間を覆うようになり・・・。
歴史に残る名曲ぞろいだ。
守ろうとすればするほど壊れてゆく・・・
かなり創作が入ってるらしいけど、二人の信念だけは永遠のもの。特に響いてしまったのは、自分の故郷にこだわらず聞いた人がそれぞれの故郷を思い出せばいいと言ったことだろうか。私事になるが、「北原白秋詩集」を高校の図書館から借りて、未だに返せずにいる罪悪感に苛まれてしまいました。あぁ、そうだよ。しかも読んでないよ。この場合の“よ”は終助詞です。ピアニッシモでお願いします。
日本語には英語のようなリズムがないと今まで思っていたのですが、ちょっと考えが変わりました。日本語独特のリズム、特に擬音語、擬態語など、ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷなんてそのままリズムです。いや、もう北原白秋と山田耕筰の友情そのものがリズムを表してます!などと、頭の中にはすでに「この道」のメロディが流れてきます。あぁ、そうだよ。また、この“あ”がすでに裏拍となっていて、ブレスしようとすると咳き込んでしまいそうになります。この天才!山田耕筰。てな感じです。
序盤で有名な小説家、詩人が集まっていたり、与謝野晶子との関係や鈴木三重吉との繋がりにも興味津々。白秋が軍歌に抵抗があるなんてのはやはり晶子との交遊から培われたものなのでしょう。そのくだりも興味深いし、生活のために軍に協力してしまった耕筰の悔しさも伝わってきます。詩集に載っていた歌に抗議するところなんて涙が出てきましたわ。
やはり美しい童謡を聞かされると幼き頃を思い出して涙が出てくるものです。安田姉妹の歌声にも泣けるのですが、ラストのEXILE ATSUSHIの「この道」にも涙。この曲をジャズアレンジした編曲者にも感服です。また、「赤とんぼ」のエピソードも笑えるし、泣ける。
後半は治安維持法成立に嘆く晶子、白秋も耕筰も反戦派だったりするのだが、とにかく戦争が終わるまで生き抜いて、新しい世に永遠に残るような創作活動を再開することを夢見ていたのに、現実はきびしい。今のように糖尿病も生活習慣から改善するなんて考えはなかったのでしょうね。この“ね”は終助詞です。
北原白秋
もちろん詩も歌も知っていたが、人となりがこんなだったとは。不真面目で、純粋で、かわいらしい人。他にも有名な詩人が多く出ていて、親交関係が興味深かった。与謝野晶子の君死にたまうことなかれは有名だが、軍歌も書いていたとは知らなかった。時代に振り回され、従うしかなかった才能ある人たち。戦争はやはり罪深い。後の山田耕筰が初めに出てきたわけだが、アキラと気付くにはじこんがかかった。すごい特殊メイクだけど、気付いた後は違和感たっぷり。もう少し軽めのメイクにするか、他の役者でも良かったかも?
芸術と戦争
詩を愛し、音楽を愛した2人が「道具としての芸術」を作ることは本当に辛いことだっただろうと思いました。
目が見えなくなってしまった北原白秋に、軍服を見られなくて良かったと告げる山田耕筰。2人で夕焼け空を見上げるシーンでは思わず目が潤みました。
北原白秋・山田耕筰の他にも「弟よ」で有名な与謝野晶子、北原白秋の弟子萩原朔太郎や室生犀星など、戦争で苦しんだ作家たちが多数登場するのも面白かったです。戦争の気運に従った作家、反した作家、反し続けることができずに転向した作家。作家たちのなかにも様々な生き方がありました。
誰にとっても辛かった時代を文学者たちはどう生きたのか。作家同士の絆や思いやりがよく描かれていて、あたたかい気持ちになりました。
重苦しいタッチではありませんでしたが、これも一つの戦争の姿だったのかなと思いました。
切なく温かい気持ちに
元々童謡は好きじゃないのですが、
この映画をみて「あぁ、こういうのもいいかも」って思いました。
大切に歌い継がなければなぁ、と
AKIRAの特殊メイクには驚かされました。
最初は誰かわからなかったです。
この道はいつか来た道、あぁ、そうだよ
が、頭を離れない…。
有名な童謡なんだけど、実はちゃんと聴いたことがなく…。
劇中で、「からたちの花」が子供には難しいということで、出てきた曲だが、こっちも子供が歌うには…と思わなくもないが、今も頭の中で流れている。
平成の世の中の、家庭人としてはどうかと思うけど、昔は、ある意味で、それが当たり前?だったりもしただろうから、なんとも評価がしがたいけど、どうやって、童謡ができたのか、その時代背景がどうだったのか?を知る意味でも良かったと思うし、日本語の秘めたる特性にも触れることができ、良かったと思う。
日本語はリズムが大事を再認識
確かに、白秋の詩は日本語の持つリズムを生かして「音」を付加して親しみやすくなっている。山田耕作がそれに相応しいメロディで口ずさめる「唄」にしている。なるほど、なるほど。
それに、白秋と山田耕作の人生・交わり方がよくわかった。
残念
才能はあるが、酒好き、女好き、挙げ句の果てに姦通罪で逮捕、投獄される、どうしようもない男:北原白秋が、ドイツで音楽を学び、日本初の交響楽団を結成した、音楽家山田耕筰とぶつかり合いながらも、日本人による日本の子供達のための童謡を世に出す話。
何年か前に、柳川の北原白秋生家・記念館に行った事はあるものの、北原白秋の人となりを詳しくは知りませんでしたが、日本人なら誰でも知ってる数多くの素晴らしい作品を残した人が、こんなにも駄目男だったとは。
2人のことはほとんど知らなかったので、まぁ勉強にはなったけど、今一つ盛り上がりに欠けるし、中身が薄っぺらな印象が拭えない。
そしてラスト。
え?これで終わり?
コースの料理が全て出てこないうちに、閉店になった感じで、実に物足りない幕切れ。
そこに被せるようにエンドロールで流れてくる『この道』。
別にATUSHIでなくてもよくね?
AKIRA繋がりか?
EXILE要らないでしょ。
登場する詩人やら歌人やらが、教科書かなにかで見た顔と、なにげに似ていると思えるのと、開始早々スクリーンに映し出された、隣の妖艶な人妻松本若菜が仮面ライダー電王の頃よりも、随分キレイになったことぐらいかな、良かったのは(笑)。
退屈な。
リズムを大事にして詩を紡ぐ才に恵まれた、愛すべき堕落者北原白秋。与謝野夫婦をはじめとした、彼を支援した人々。伝記映画としては、白秋の人となりを知ることができた。が、それを越えたものは特になかった。大森南朋の憎みきれない演技はさすがだが、全体に退屈だった。白秋の詩にリズムがあるのなら、映画のテンポにもリズムで応えてほしかった。
詩に遊んだ白秋の自由な魂
北原白秋のイメージは、一言で言えばお坊ちゃんである。「あめふり」の詞に「きみきみ、この傘さしたまえ」とあるのを見てそう思っていた。こんなふうな言葉遣いをする子供は、ちびまる子ちゃんの花輪くんくらいしか思い浮かばない。少なくとも現実に逢ったことは一度もない。凡百の我々には、聞いたことのない詞を書くのは不可能だ。間違っても「さしたまえ」という詞は書けない。だからこの詞が書けるということは、北原白秋という人物がそういう言葉遣いをするお坊ちゃんに違いないと考えたのだ。
しかし当方のそんな浅はかなバイアスは、本作品によって見事に打ち砕かれた。北原白秋という人は浮世離れした人ではなく、頗る即物的であり、地を駆け風を切り水に遊ぶ詩人であった。五感をそのまま表現するかのような言葉のひとつひとつは、実は計算され尽くし選び抜かれている。一度も聞いたことのない言葉さえ、自由に紡ぎ出す。
しかし日本中に盛り上がる軍国主義の波は、白秋の詩から自由を奪い取ってしまう。詩人にとって使う言葉を制限されることは、手足の自由を奪われるに等しい。走ることも飛ぶこともできず、筆の運びさえままならない。美しいものを美しいと書けず、楽しいことを楽しいと書けないで、なんのための詩人か。戦時下の白秋の忸怩たる思いに強く共感する。
たしか中上健次だったか、溢れ出すように文章を書きたいと言った作家がいた。文章を書くのは楽しいと同時に苦しいことでもある。言葉が溢れ出してくれればどれだけ楽しいことか。白秋はまさに、溢れ出すように詩を書いた。それは彼の天性の成せる業(わざ)である。文章ではなく詩だからこそそれができる。詩人は現実的には常に不遇であるが、およそ言葉とのかかわり合いにおいては、作家よりも遥かに恵まれている。
大森南朋は名演であった。熱血漢の山田耕筰を演じたエグザイルのアキラもよかった。明治から昭和にしてはスマートすぎる二人だが、平成に上映するには多少のデフォルメも必要だ。与謝野晶子と鉄幹の夫妻といい、有名な詩人を一同に集めてしまうのが史実に合っているのかどうかは不明だが、朔太郎や犀星、啄木らが如何にも言いそうなセリフを言うところがいい。
陰陽道では人生を四つに分けて、青春、朱夏、白秋、玄冬などというが、白秋は遂に玄冬を迎えることなく生涯を終えた。それが残念だったのか、それともそれでよかったのか、答えはない。詩人は時に夭折し、時に長い孤独に生き延びる。詩に遊んだ白秋の自由な魂が、彼の童謡を歌うたびに永遠に蘇る。
人生…
平成も終わろうとするこのタイミングでの人生回顧録
北原白秋その人の人生をなだらかに描いた作品
見るべきシーンは多々あるのですが、時代には翻弄されててもマイペースに自分本位に人生を謳歌したのは、御本人の才能と子供さ加減が影響していると思う
波乱万丈と言っても差し支えない人生だけど、本人の優しく独特な性格で、なるようにしかなっていかない
映画としても面白かったのですが、ダイナミズムを期待すると肩透かしをくう
そういう意味では映画フィルムにするべきか?という疑問は感じる
終盤、戦争に差し掛かる時系列では、戦争という状況に絡め取られる
これはこの時代に生きた人々の宿命だから、エンタメとしては呪いでしかない
どうしてもここでつっかえる
こればかりは仕方ないのだけど
子供を意識した作品を強く意識した大人が、子供を戦地に送り出すのは確かに何よりも辛かろうと思う
ATSUSHIの歌唱力がすごい!
母が観たいと言って、それほど興味が無く観賞したが、想像していたより、とても素晴らしい映画だと思った。
北原白秋がどんな人物で人生を送ったのが観れて良かった。
その時代背景の流れや影響、ここの動きが観れて興味深かった。
私は、有名な人は勝手に堅苦しい印象をもっていたが、この方は、私の勝手な印象と違い、人間味を感じる人だと思った。
子供たちや、由紀さおりの歌も凄くて、映画館で聴くと感動しました。エンディングで流れるATSUSHIの歌で心臓を鷲掴みにされるような気持ちになりました。歌ってすごいと感じた。
大森南朋は上手いけど…
星🌟🌟🌟 全体的には良い作品だと思うけど… ちょっと奥がないというか…どうせなら北原白秋の亡くなるところもちゃんと描いてほしかったです❗大森南朋は凄く演技良かったので… ちょっと残念です❗
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