「暖かいメッセージ「例え現実は変わらなくても心が変わればその後の人生が全く別物になる」にホロリ」コーヒーが冷めないうちに Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
暖かいメッセージ「例え現実は変わらなくても心が変わればその後の人生が全く別物になる」にホロリ
塚原あゆ子監督による2018年製作(116分/G)日本映画。
配給:東宝、劇場公開日:2018年9月21日。
多分、まずベストセラーとなった川口俊和による原作(元々はワークショップ用の戯曲だとか)が、とても良いのだろう。かなり楽しんで見ることができた。
最初にコーヒーが冷めない時間だけ過去に戻って帰って来たのは、波瑠。彼女と、大事なことを言えずに米国へ行ってしまった彼女の想い人林遣都のケンカ口調も含むやり取りが、なかなかに微笑ましくて、この映画に乗れた。
記憶障害に堕ちってしまった薬師丸ひろ子と、その夫松重豊の在り方にもジーンときたし、東京に出てきてしまった吉田羊と老舗旅館を継いだ妹松本若菜のエピソードも、自分の身近に起きている問題でもあり身につまされた。
長時間無表情で幽霊という石田ゆり子の設定もおかしかったが、彼女が主人公有村架純の母親というのも驚かされた。そして、主人公が過去に行くことで明かされる、幽霊となってしまった理由。過去へ戻れるというSF的設定を借りながらの、恋人になる前の愛、夫婦愛、姉妹愛、更に親子愛を描いていて、とても暖かい気持ちを感じることができた。
有村架純とハンサムな美大生伊藤健太郎の初初しい恋心も良かったし、喫茶店の中が中心で動きの少ない中、飽きさせなかった塚原あゆ子演出(初映画監督)にも好感を覚えた。
そして、何より「現実は変わらなくても心が変われば、その後の人生が全く別物になる。」というメッセージが込められていた。
原作は37言語で翻訳されたとか。海外でも受ける理由は良く分かった気もした。
監督塚原あゆ子、原作川口俊和、脚本奥寺佐渡子、企画プロデュース平野隆、プロデューサー岡田有正 、進藤淳一、共同プロデューサー大脇拓郎、ラインプロデューサー坂本忠久、撮影笠松則通、照明渡邊孝一、録音武進、美術五辻圭、衣装宮本まさ江、編集宮島竜治、音楽
横山克、主題歌YUKI、記録森本順子、VFXスーパーバイザー松野忠雄、俳優担当奥田由美、助監督佐野友秀、制作担当樫崎秀明、時田数有村架純、新谷亮介伊藤健太郎、清川二美子波瑠、賀田多五郎林遣都、時田流深水元基、平井久美松本若菜、高竹佳代薬師丸ひろ子
平井八絵子吉田羊、房木康徳松重豊、夏服の女石田ゆり子。