夜の浜辺でひとり

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劇場公開日:

夜の浜辺でひとり

解説

「3人のアンヌ」などの名匠ホン・サンス監督のもと、「お嬢さん」のキム・ミニが現代社会に生きる新しいヒロイン像を見事に演じきり、第67回ベルリン国際映画祭で韓国人俳優初となる主演女優賞を獲得したヒューマンドラマ。不倫スキャンダルにより、キャリアを捨ててハンブルクに逃げて来た女優ヨンヒは、会いに来ると言ったまま姿を見せない恋人を待ちながら、自身の気持ちもはっきり分からずに、後悔と欲望を引きずっていた。月日が流れ韓国へ戻ったヨンヒは、旧友たちとの再会をきっかけに女優復帰を考えはじめる。ひとりカンヌンの浜辺を訪れた彼女は、意外な方法で自身の心と向き合うことになり……。共演に「自由が丘で」のソ・ヨンファ、「ラスト・プレゼント」のクォン・ヘヒョ、「殺人の告白」のチョン・ジェヨン。

2017年製作/101分/G/韓国
原題または英題:On the Beach at Night Alone
配給:クレストインターナショナル
劇場公開日:2018年6月16日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第67回 ベルリン国際映画祭(2017年)

受賞

最優秀女優賞(銀熊賞) キム・ミニ
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映画レビュー

4.0現実は虚構で回復する

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

ホン・サンス監督作品。

またしてもホン・サンス監督自身の私生活を反映しているだろう物語。

『クレアのカメラ』では、ショットを連続させることで意味の創造を行っているが、本作では現実/虚構の攪乱を意図しているように思える。

物語世界における現実でヨンヒが被った傷が、夢という虚構での出来事によって回復されるのが面白い。そしてこの現実と虚構を同じ強度で映すことができるのが映画ならではである。だから夢オチであることが明かされるまで、鑑賞者には現実/虚構の区別がし難いのである。

私たちの生きる世界を現実とするならば、映画で映し出せれる物語世界は虚構である。私たちは虚構によって勇気をもらったり、肯定されたり、新たな視座や考え方を得たりする。このように虚構から得たものを現実へ反映させる。そして逆に、〈私〉が考えたことや現実で起こったことをカメラに収める。また現実に生きる人々の制作によって虚構が創造される。
このような現実/虚構の区分しがたい相互作用と虚構のもつ力を描いているようにも思えるのである。

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まぬままおま

4.0波打つ音に耳を澄ませ、幻想と現実の狭間をするりと抜ける歓び

2018年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

幸せ

幻想と現実の狭間をくぐり抜ける飄々とした幻想譚とでもいうべきか。奇才の持ち味を最良の形でアップデートさせた本作は、多くのファンにとって実に嬉しいプレゼントとなった。もはやホン・サンスにとって国境は何ら意味もなさない。いや、むしろそこで巻き起こるギャップこそが表現の糧とでもいうかのように、その一部始終が面白く、微笑ましく、かと思えば公園内で急に地面に膝をついてしまうようなシーンに意表をつかれ、胸を鷲掴みにされたりもする。

ところでホン・サンス作品に時々登場する得体の知れない人は何者だろうか。浜辺でヒロインを抱え上げ、事あるごとに時間を尋ね、バルコニーでは窓拭きに従事している顔の映らない人々。もしや、彼女を見守る天使?様々な予測が巡りながらも、謎を謎のままに、明確な答えを知りたくない自分がいる。そんなことを知らずとも、この何も起こらぬ映画を彩るすべての瞬間は、本当にユーモラスで愛おしいのだ。

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牛津厚信

3.5【ある女優と監督とのメンドクサイ関係性を、様々な男女の会話劇で浮き彫りにしていくホン・サンス監督節、全開作品。そしてホン・サンス監督作品あるあるを記すの巻。】

2025年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■ある出来事で異国に逃げてきた韓国女優・ヨンヒ(キム・ミニ)。彼女は訪ねてくると言ったまま姿を見せない恋人の映画監督サンウォン(ムン・ソングン)を待ちながらも、自らの将来を考えていた。数年後、韓国へ戻ったヨンヒは、旧友との再会を機に女優復帰の道を考え始める。そんな時、サンウォンとその映画スタッフ達と再会する。

◆感想<Caution!内容に余り触れていません!>

■ホン・サンス監督作品を見るたびに感じる事を示す。

1.内容は、殆ど屋内での会話劇である。私が見た限りでは、派手なカーチィエスやアクションシーンは一切ない。

2.登場人物の職業は、今作のように映画監督(ホン・サンスを思わせる。)や、作家、女優など表現者が多い。

3.登場人物達は、随所で左右対称に座り、会話し、多くの場面では食事をし、酒を飲む。そして、徐々に酔って行く中で、本音が露出したり、今作のヨンヒのように相手に自分の気持ちを激しく伝えたりする。
 だが、そこから深刻にはならない。
 登場人物の多くが、理性的で優しい人物だからである。今作の場合、故にヨンヒの感情の爆発が印象に残るのである。
 そして、カメラは固定ショットで、登場人物達の会話を撮り続けるのである。

4.物語のストーリーはあるが、エンタメ要素は少ないので、劇場で観るとかなりの割合で鼾を立てて寝ているオジサンが居る。

5.海岸のシーンも多い。画面の切り替えピッチも早い。

6.起用される役者は、今作のヨンヒを演じたキム・ミニを代表として、今作でも出演しているクォン・ヘヒョなどが、良く起用される。常連さんである。
 珍しい所では、イザベル・ユペールも良く起用される。

<ホン・サンス監督は、大変に多作な方である。観ても観ても、追いつかない。そして、カンヌの常連である。高い評価を得ている。何となく分かる気がする。
 だが、ホン・サンス監督作品は、アカデミー賞には無縁である。そちらは、ポン・ジュノ監督が筆頭である。コレマタ、分かる気がする。
 私は、何故かホン・サンス監督の少しスノッブな香りのする会話劇が好きである。そこから、読み取れる事が多いからだと勝手に思っている。>

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NOBU

3.0よくこのテーマで撮ったな

2024年10月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2024年10月14日
映画 #夜の浜辺でひとり (2017年)鑑賞

既婚男性との不倫が暴かれ逃げるようにハンブルクにやって来た女優ヨンヒ
帰国し、昔なじみと再会して旧交を温め、女優への復帰も考え始めたところ

#キム・ミニ はベルリン映画祭で主演女優賞(銀熊賞)を受賞するなど名演でした

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