来るのレビュー・感想・評価
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「ぼぎわん」は来なかった
原作「ぼぎわんが、来る」は既読。
傑作とまではいかないが、普通に楽しめたので
映画化されると聞いて楽しみにしていた。
しかも監督は中島哲也氏。映画「告白」を原作未読のまま劇場で鑑賞し、度肝を抜かれた体験をした身としては
否が応でも期待値は高まった。
そしていざ鑑賞してみたが…
これは原作を読んでいたからなのか、
はたまた期待し過ぎていたからなのか―。
観終わった後、残念というか失望というか怒りというか、
とんでもない感情を抱く結果となった。そしてタイトルから
「ぼぎわん」が葬られた理由もわかった気がした。
恐らく中島監督は原作を読んで興味を持ったのは
小説で描かれた「家族」になりきれない大人たちや
過去に傷を持った人たちだったのだろう。
「ぼぎわん」は自分にも扱えないか、
もしくは関心が持てなかったのではないだろうか。
だからこそ前半での葬式や津田(青木)との飲み会、
後半でちょろっと比嘉姉(松)に語らせた程度に収めたとすれば
納得がいく。でも、そこは重要視してくれよ…。
あと、冒頭で田原の旦那をすぐ嘘つきとばらすのはダメだと思う。
原作通りにする必要はもちろんないのだが、これだけ改悪する形に
なってしまうのであれば、担当してほしくなかった。
原作者はどう思っているのだろうか。本音が聞きたい。
ちなみに、配役はまあ悪くはなかった。
原作既読組としては松たか子は合っていなかったが、
映画だけで見れば中島監督の要望を反映していたと思うので
悪くは言えない。
また、さすがに映像はポイントポイントで惹かれたので、
非常に勿体なかった…。
映画の鑑賞平ネタバレあり
たまたま、目にかかった映画なんだけど
この冬にホラーって珍しいなと思った!
ホラーは夏に観る映画じゃん?
でも、この間テレビのスッキリで岡田と松たか子が映画の宣伝してた時少し気になってた
俺様リング2からホラーは観てない〜
まじ、今も貞子の歌歌うと出てきそうで、怖い!
でも、この映画はそれを連想させてくれたから、ちょっとだけ怖かった最後の鑑賞では
何故か海外のホラーってグロイじゃん?
東洋のホラーは呪いとかお化け系じゃん?
東洋のホラーは精神的にやられるから、いままで否定してたな
でも、西洋のホラーはサウンドと画質に魅了され色々観たんだ
しかし来るはリング以来超ご無沙汰くらいなんだけど
観ながらグロイさも画質も音響にびっくり
妻夫木の死はちょっと可哀想だった
そして、小松もあんな死に方は可哀想
俺はこの映画を観ながら続編が出ると予想した!
何故って言うと謎だらけなんだ!
何故昆虫?何故?チサ?どっちが浮気?
見せしめ?謎だらけ!だから次は来るの解釈編出るんじゃ無い?
後、海外映画のホラールが混じった気もした!
エクソシックス悪魔に取り憑かれる映画があるんだけど
それを退治する側が映画の後半から登場する謎の女が正にその役!
その女も謎だらけ!
ズバ抜いた霊能力者なんだけど!最後何?謎!
そして、何であんなに強いの?それも謎!
結構映画は見応えがあるんだけど!
だけど?謎が多過ぎて〜次早く作って欲しい!
私の鑑賞は以上です。
観ても損はしない映画だと自分は思います。
日本のホラー系の新しいジャンルの開幕でしょう!
緻密な余計な一言
その一言が人を傷つける。その何気ない考え無さが誤解と憤懣を生む。緻密に人間の裏表を描く中島節は健在で、前半のドラマは引きこまれた。しかし、いかんせんホラーとしての面白さや怖さに欠ける。
●原作は不気味な「ぼぎわん」が迫っている事が恐ろしかった。「ぼぎわん」という固有名詞を与えた事で、モンスター性が高まった気がする。映画はあまりそこを取り上げない。タイトルが「来る」なのだから。だから不気味さや危険性を感じない。
●お化けの出し方も怖くない。固有の形が無く、それでいて影だの音だの騒がしい。ある種、子供の肝試しのような脅かし方だ。原作はまるで違う。戸の向こうにぼんやりと立って「ごめんください」と言う。人か?人にしてはおかしい…。訪ねてくるのが人でなかったらって恐怖は誰でも想像したことがあるんじゃないかな?
●最後の対決は原作にはない盛り上がり方で、工夫が見られた。が、やはり怪物の出し方がつまらない。いや、そもそも原作の口が襲ってくる怪物もそのまま映像化したらマヌケに見えるかもだが。でも観客としては怪物の姿がどのような物か期待していると思う。最後まで「来る」が何なのかわからず消化不良、といったところか。
ホラーとしては不満だが、裏表のある人間ドラマとしては楽しめた。
来る とは?
観終わった後、ふーん(゜д゜)ってなった。
なんとも言えない感情。良くも悪くもない感じ。
ハマる人にはハマると思うし
ハマらない人にはハマらないだろうなぁ。
私はどちらかと言うと後者ですが、友達は大絶賛でした。
でも観たかったので観れて良かった!
来たのかなぁ…?
中島哲也監督の作品は好きだ。
『下妻物語』から『告白』まで、どれも甲乙付け難い。
世間的には酷評された『渇き。』も、邦画にしてはなかなかのバイオレンス・ハードボイルドで、嫌いじゃない。
その『渇き。』から4年振りとなる待望の新作は、監督初のホラー。
鬼才がどんなホラーを魅せてくれるのか、年末のラインナップでも特に期待し、楽しみにしていた。
もう一度。中島監督の作品は好きだ。
だから、はっきり言ってしまおう。
今回は、来なかった、と。
クソつまんねぇ!…と、バッサリ切り棄てるほどではない。
それなりには面白い。
が、賛否両論レビューも頷ける。
あらすじからオカルト系(と言うか、和独特の心霊系)と思うが、そうでもあり、そうでもないような…。
かなり癖のある怪作であり、ハマる人はハマるし、ハマれない人はハマれない。
そもそも、この鬼才監督がドストレートなホラー映画を作る訳がない。
事実、描かれていたのは、人の心の闇。
結婚生活の失敗、家庭の不和、偽り、見栄、育児や家事のストレス、虐待…。
それらは、人の弱くて脆い心に取り憑き、蝕み、惑わせ、苦しめる、悪しき何かの仕業のように解釈も出来るし、それを具現化した描き方もユニーク。
ブラック・コメディでもあり、シビアで風刺的な人間模様ドラマでもある。
途中までは良かった。が…
クライマックス、遂に“あれ”と対峙。
スペクタクルなお祓いシーンは何だか笑えてくる。
それはまだいいにしても、いざ対峙が始まると、大量の血糊や大袈裟な演出や音響、VFXなどで誤魔化してるようで、こけ脅し感半端ない。
で、結局“あれ”は来たのか…?
来たんだろうけど、よく分からなかった。
“あれ”も何だったのか…?
はっきりとした正体や謎も明かされないまま、観客に丸投げ放り投げ。
何だか、頭がクラクラ疲れただけ。
豪華キャストたちは怪演を披露。
妻夫木のイクメンやってます&幸せアピールは見てて本当にウザイし居る居ると思わせるし、新妻・黒木華の心身衰弱していく様はさすがの名演で、まだ独身の筈なのにリアル。
パンクな小松菜奈はイメチェン、そしてキャストで誰よりも異様さと存在感を放つは、松たか子。
日本最強の霊媒師で、日本のお偉い機関さえ頭を下げる。常に無表情、無感情。この姉さんが一番怖い気がする…。
周りが個性あり過ぎて、一応主役の岡田クンは影が薄かった。
演出も作風も映像も選曲も、中島センスの異色のエンターテイメント。
でも、ラストの岡田クンの台詞が、本作の率直な感想を表していた。
かと言って、これで中島監督の作品が嫌いになった訳じゃない。
中島監督にはまだまだ“来る”事を期待している。
中島監督という時点で悪い予感はしていた
原作を読んでからの観賞。
納得できないのは、一切「ぼぎわん」を映像化していないという点。あの灰色の身体で口の大きな化け物は?
最後まで「ぼぎわん」という
恐怖の対象物は姿を現さないのである。
そもそも、ホラー映画は恐れる対象物からの逃避に限る。ジェイソンもジョーズも貞子も、恐れる対象からの逃避があるからこそ、リアリティと恐怖感が生まれる。恐怖の対象がないからオカルトになってしまうのではないか。個人的にはそう感じる。
原作を見ていない人には、何から逃げているのか
余計に分からなかったんじゃないかな?
映画化決定の時から、中島さんが監督というところに悪い予感を感じていた。
餅は餅屋に任せるべきだと思う。
ホラー作品を撮ることに優れた監督はもっとたくさんいるはずだ。
原作は良かったので
出来れば他の監督でリメイクして欲しい。
タイトルなし(ネタバレ)
☆☆☆★★
続『フラレラ』の先に有ったモノ、それは…。
めちゃくちゃでござりまするがな〜(古い)
この監督作品ならば、原作を読んでも意味は無いだろうと思い。原作本を読む気は無かったのだが。
何分にも、通勤時間での手持ちぶたさが何とも…。
結果、原作読了済み。簡単に。
原作の題名は『ぼぎわんが、来る』
しかし、映画版の題名はシンプルに…。
『来る』
確かに、原作未読だと【ぼぎわん】んて何だよ!となってしまう。
ぼぎわん=ブギーマン
キリスト教伝来と共に、海外の悪魔伝承と言うか。人さらいに近い語源が和歌山県の一部地域に根付いている…って話だったのだが。
原作は主に3章から成り立っており。
第1章が夫の秀樹。
第2章が妻の香奈。
第3章が田原家とは部外者の野崎から語られる。
第1章にて描かれるSNSを通した、偽イクメンパパ奮闘記は。この監督が過去に描いた『フラレラ』での傑作短編を思い出さずにはいられない。
イイネ!欲しさからの暴走。その果てに行き着いてしまう炎上の嵐。ネット上で発覚した蜜に群がる魑魅魍魎の魔物達は、この作品では妻の香奈となり示されている。
直ぐ傍にいるからこそ見抜いてしまう、夫の器の小さなところ。
第1章の夫役である妻夫木聡と。第2章で描かれる、子育てに疲れた妻役の黒木華。
この2人の演技は、原作をも上回るくらいのキャラクターになっていて、尚且つかなりの熱演。内容自体も、この監督にしては意外と言うか。原作の主だった筋からははみ出さずに描かれており。ちょっと拍子抜けを感じながらの鑑賞でした。
確かに、幾つかの原作には無い変更箇所は有るには有って。例えば、大量の虫が投入されていたり。やたらと◯ムライ◯が強調されたりと、言ったところは見受けられるのだが。それほどの違和感は感じられなかった。
第3章の最初の方までは!
問題は、最強の霊媒師役の松たか子が本格的に登場してからだった。
やりやがったな!中島哲也〜!
もうめちゃくちゃでござりまするがな〜。このフレーズやっぱり古いけど、2回も言っちゃったわ〜(。-_-。)
おいおい!ひょっとして、大量の血飛沫を使いたかっただけなのか〜!…と、叫びたくなってしまった。
最早、原作はどうでもよくなってしまっている。
いや!別に、原作至上主義では無い(寧ろそれほど良い小説とは思ってはいない)ので、原作通りで無くても構わないのだけれど。
大体《彼奴》は、デカイ口の筈。
それなのに、やって来るのは常に《血だらけの手》なのだ!
そりゃ〜口が襲って来たところで、実写で見たら怖さには繋がらない。との考えたのならば、分からなくは無い。
しかし、妻夫木の同僚役の太賀の傷跡は。原作どころか、映画でも「噛まれた跡」とはっきりと言ってしまっているのに…。
第3章で明らかにされる【ぼぎわん】の秘密。それは、田原家に代々祟られた呪いで有り。古くからの因習を始めとした、日本全国つづ浦々に伝わる伝承だからこその怖さが、その裏には有った筈だったのだけれども。
とは言え、この最後のやり過ぎなスペクタクル。
恐怖と笑いは表裏一体を表すが如く。明らかにコメディーに振った演出もチラホラ。正直なところ、3回程ゲラゲラと笑ってしまったのも事実でした(¬_¬)
…と、此処まで書き込んで、「そうか!」と思った事が!
映画版の題名に何故【ぼぎわん】が無くなっているのか?
まさか?原作者との間に、「やりたい様にやっちゃって良いですか?」とのやり取りが有ったのか?…と。
もしもそうだったならば、題名から【ぼぎわん】が消えた訳も分からなくも無いのだけれど。
まあ、この監督ですからね〜!と言うしか無いですね〜。
2018年12月9日 イオンシネマ市川妙典/スクリーン2
ホラーではなくエンタメ
原作は未読。
物語のテンポがいいし、怖さを演出するシーンもなんかポップで新鮮だった。でも、なんか長い!観終わってから思ったのは、冒頭の親戚の集まりとか結婚式とかもっと短くてもよかったってこと。
妻夫木聡、黒木華と死んだところでもうそろそろ終わりかと思ってたら、そこからのお祓いがメインだったとは!それならばお祓いパートをもっと丁寧に描いてほしかった。これって原作が短編集なのか?
真相が明らかになる中わかるのは、登場してる人間の黒い部分。怖いのはそっちで、怪物?妖怪?はあんまり怖くない。ホラー映画としては評価は低いかもしれないが、エンタメ映画としては及第点ではないか。
来た‼︎
評価低めでビックリ⁈
最近ピンと来ないのばかりで(私の好みですが)
邦画ホラーでは
久々悪く無いのでは⁇と思ってたのですが...
妻夫木聡や黒木華も
もっとぐちゃぐちゃにして
ラストにかけて
もっと切り株シーン増やしてくれたらな
松たか子のグーパンチ
ワロタ‼︎
似てる個所がある
國村隼が出てた「哭声」を思い出しちゃいました。
オムライスの夢に出てた
トマト可愛かった〜
作家性は爆発しているが
見た瞬間に これは中島哲也の映画だ と見た人みんながわかる作品だった
個人的には中島哲也作品の特徴は人間の一枚皮を剥いだ先にある邪悪さを描き出す時の音楽と色の使い方と編集テンポに溢れる 独特のポップセンス もっと言うと それらが醸し出す 邪悪なカラフルさ にあると思うんだけど、今作もそれが随所に散りばめられている
色々な作品(しかも原作付き)を撮りながらも全作に共通してこの作家性がぶち抜かれているのはいつも見ていて凄いなーと思う
(ティムバートンの映画を見た時の感じに似てる)
ただ、その作家性がこの映画にあっていたかと言われると… 個人的には上手くいっていないように感じる箇所もあったりした。
未読ながら調べたところ、原作からは大きな改変が施されているようなのだが、今回の話だと、あの夫婦は色々あったけど結局この映画で語りたかったのは岡田くんの部分だけでした という風に見えてしまいかねない。
改変によって 中島哲也作品 らしい味わいは増えたけど
話の輪郭が歪んでしまった感は否めなかった
積極的に話の全体像をボヤかしに行っているというのは間違いなく意図としてあるんだろうけど、ぼやかしすぎで 夫婦 と その他の人たち の関係がストリーリー上で有機的に結びついてないように感じてしまったのが個人的には一番引っかかってしまった。
妻夫木聡と黒木華の二人が 中島哲也テイスト にバッチリハマっていただけに残念。
終盤の祈祷バトルシーンはエンターテイメント性の追求という意味では個人的には大いにアリな試みだったと思う。 いっぱい人死んだけど結局なんだったこれ… という雰囲気はあったけど、その部分のぼやかしはこの映画にあってたと思う。
あと個人的にはこのシーンの 松たか子のパンチ すばらしかった。 作中最強キャラとして堂々たる右ストレート。
まぁこれだけ作家性爆発させる以上 多少の歪みは 織り込み済みなのだろう。非の打ち所がない映画を作るのではなく 自分が追求する物を作り上げる というスタンスは素晴らしいし、何よりこれだけスター出まくりの日本映画でここまで我を通す作品を作り上げたというのは本当に凄い。噂でも聞いたことあるがこの監督、相当癖が強そうである。
映画は監督のものである という側面を存分に味わった一作だった。
……なんだそれ(笑)
これは映画のラストシーンのセリフなのだが、この後、暗転してエンドロールが始まった画面を見ながら、同じセリフを吐いてしまった(笑)
まず致命的なことに、まったく怖くないという、ホラー映画としては致命的な欠点を抱えている。
なんせ、極端にホラー表現が苦手で、あの「貞子3D」ですら映画館で悲鳴をあげてうるさかった私の妻が、本作では一声も発しなかったのだ(笑)
私の妻を怖がらせることができなかった時点で、ホラーとしては0点、というか評価対象外、としか言いようが。
登場人物の設定、ぼぎわんの成り立ちなど、原作からいろいろ変えているが、それら全てが空回りしている。
元々原作でも、視点人物が次々と退場し、特に秀樹編と香奈編では、読者が感情移入していた秀樹を香奈の視点から見た際の落差が激しく、読者の感情を揺さぶる作りになっている。
その構造を映画の脚本に中途半端に持ち込んだため、話の前半が単に冗長になってしまっている。
そして、その香奈をああいう設定にするとは、観客はいったい誰に感情移入して見れば良いわけ?(笑)
あ、でもこの香奈役の黒木華は見事だった。この脚本では才能の無駄遣い感は半端なかったけど(笑)
で、映画の尺を前半にほぼ取られているおかげで、真打ちが登場してから、つまり原作の第三部が駆け足になってしまってるわけで、さらにそこに原作にはない野崎の過去とか"ぼぎわん"の独自解釈などを突っ込み、とどめに観客から笑いを取ろうとしているとしか思えない"霊能者全員集合"イベントにオムライス(笑)
役者は、今回の黒木華は絶品だったが、岡田准一も小松菜奈も妻夫木聡も松たか子も実力確かな人たちで悪いはずもない。
この俳優陣をもって、観客を怖がらせようとしているのか笑わそうとしているのか分からん、という映画ができてしまうのは、200%脚本のせい。
多分これで自分は、中島哲也の映画は見ない。
「……げんさ、く……と、ちが……つ……り」
あの中島哲也監督の4年ぶりの新作!(公式の予告編では「あの『告白』から8年」と、『渇き。』がなかったことにされていて笑いましたが。)個人的には2006年の『嫌われ松子の一生』が、生涯ベスト5に入るぐらい大好きな作品なので、否が応にも期待は高まります。
さらに、映画の公開に先立って原作小説の『ぼぎわんが、来る』を読んでみたら、これが大傑作! すぐにその圧倒的な面白さに引き込まれ、最後まで一気に読んでしまい、続編の『ずうのめ人形』も文庫版を購入しました。
つまり、映画鑑賞前のテンションとしては“今年ベスト級の特大ホームラン”を期待していたのです。……結果は、“ポテンヒット”程度の当たりでしたが。けっしてどうしようもない作品という訳ではないのですが、期待が大きかっただけに落胆が激しいです。一幕目、二幕目まではむしろ誉めるべき点も多く、評価は☆4.0相当。しかし、三幕目が全くダメで、☆2.5。総合的には、☆3.5の佳作といったところでしょうか。
本レビューでは、本作『来る』を、原作小説と比較しながら批評していきたいと思います。全編ネタバレ全開ですし、かなりの長文になりますが、よろしければ最後までお付き合いください。
1.秀樹の章:人物の二面性を浮かび上がらせる
本作には「ぼぎわん」という完全に超自然的な存在のバケモノが登場します。しかし、本作はバケモノが襲ってくるだけの単純なホラーではありません。その存在は、人間のおぞましい部分や心の闇とも深く結びついています。本作ではそれを、登場人物の二面性を描き出すことで巧みに浮かび上がらせています。
原作小説は三つの章から成り、第一章では秀樹の視点から、第二章では香奈の視点から、第三章では野崎の視点からというように、章ごとに視点人物が入れ換わっていきます。異なる視点から見ることで、主観と客観の大きなギャップが浮き彫りになり、後の章になると、登場人物の印象がガラッと変わるという仕掛けが施されているのです。その変化が一番顕著なのが、第一章の視点人物である秀樹です。第一章では育児に熱心な“イクメンパパ”として語られていたのが、第二章の香奈の視点からは全く違った印象で語られます。
映画では、この視点の切り換わりがよりゆるやかになり、一幕目の時点ですでに不穏な兆候がいくつも見え隠れしています。ふとした時に見える、香奈の困惑したような、疲れたような表情、一見幸せそうに見える結婚式やホームパーティーの場面で聞こえてくる陰口や、悪意のある発言、そして秀樹が綴るブログの内容と現実の家庭の様子とのあまりに大きなギャップ……。これらの描写は不気味な雰囲気を漂わせつつ、同時に(不謹慎ですが)笑いを誘います。
このように一幕目は、一つの場面に幸せな雰囲気と不穏な空気の両方を入れ込むという映画ならではの語り口で、登場人物の二面性を見事に描き出していると思います。
2.香奈の章:子供を手放してしまった者たち
香奈の視点を中心に描かれる二幕目に入ると、いくつかの人物設定などの面で、原作との違いがいよいよ明確になってきます。
まず大きな違いとして、原作では秀樹の死後、野崎と真琴は香奈の元に足繁く通うようになり、知紗とも交流を深めていくのに対し、映画では香奈たちとの交流が約一年間途絶えてしまっていることになっています。その結果、香奈が頼る相手は野崎たちから津田(原作では「唐草」)に変更されているのですが、津田との関係は香奈にとっては“逃避”に近いもので、ここでは香奈のダークな面が浮き彫りになっていきます。知紗との間の親子関係もしだいに崩壊していき、その果てに、香奈は真琴に「じゃあ、(知紗を)あげるよ。あなたに」なんてことまで言い出す始末です。
香奈と知紗が駅のトイレで「ぼぎわん」に襲われる時、原作では知紗がさらわれるだけでしたが、映画では香奈の命までもが奪われています。これは香奈が母親として娘の知紗を心の中で“手放してしまった”からなのでしょう。
もう一つ原作と大きく違う点として、野崎の人物設定があります。原作では、野崎は「無精子症」で、そもそも子供を作ることができないのですが、映画では、前に付き合っていた彼女との間にできた子供を中絶し、そのことが彼にとってのトラウマとなっている、という設定に変わっています。つまり、野崎もまた生まれた命を“手放してしまった”経験をもっているのです。
これらの変更点は一概に悪い改変とも言い切れません。むしろ原作小説の終盤で明らかになる、「ぼぎわん」についての“ある秘密”とも結びつくため、物語に一層の深みを与えることもできたはずです。しかし、映画では、この“秘密”を描かなかった。「ぼぎわん」の正体も、なぜ田原家に「来る」のかも最後まで明らかにしていないのです。映画版『来る』の最大の問題点は三幕目にこそあると私は考えています。
※以下の3章では、原作小説でのみ明かされている、「ぼぎわん」の正体と田原家に“来る”理由について言及しています。原作を未読の方はご注意ください。ネタバレを読みたくないという方は、3章を飛ばして4章をお読みください。
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3.「ぼぎわん」の正体と田原家に来る理由
三幕目の中心は、本作のクライマックスにも当たる、「ぼぎわん」との対決の場面ですが、原作ではその前に、野崎と琴子が秀樹の両親の元や、祖父方の実家があるK──地方を訪ね、「ぼぎわん」の正体に迫っていくというパートが存在します。
ここで明らかになる真相は、非常に衝撃的なものです。
➀秀樹の祖父は、過去に子供を虐待死させている。祖母の志津はそのことをずっと怨みに思っており、“魔導符”を用いて田原家に「ぼぎわん」を呼び寄せた。
➁昔の村人たちは、子供を連れ去る「ぼぎわん」を利用し、“口減らし”のために「ぼぎわん」に子供を与えていた。かつて「ぼぎわん」と人は、ある種の“共存関係”にあった。
映画の序盤、居酒屋で秀樹と津田が「ぼぎわん」について話している場面でも、子供を連れ去る妖怪と“子捨て”との関連が示唆されていますが、その実態は“親の言い訳”どころの騒ぎではなかったということなのです。
そして、クライマックスの場面で「ぼぎわん」と直接対峙した琴子は、その姿から「ぼぎわん」の正体を見抜きます。
➂「ぼぎわん」は連れ去った子供を元にして、新たな「ぼぎわん」を作り出す。つまり「ぼぎわん」とは、かつては親に捨てられた子供の成れの果てである。
古来から近現代まで続く“口減らし”のための“子捨て”の風習、そして現代においても深刻な問題となっている虐待やネグレクト──「ぼぎわん」とは、このような「親が子供を捨てること」と密接に結びついたバケモノなのです。
だから、上記の「知紗を手放そうとした香奈」や「中絶を選択した野崎」の姿は、原作以上にこのテーマと深く結びついてくるだろうと期待していたのですが、映画では最後まで「ぼぎわん」の正体を明らかにしていないため、これらの改変が全く活かされていません。実にもったいないと思います。
4.野崎の章:派手な花火大会と地味な自問自答
「ぼぎわん」についての秘密を明らかにする代わりに映画で新たに付け加えられた要素が、全国の有力な霊能者たちを集めて行われる、大掛かりな祓いの儀式なのですが、残念ながらこれがクライマックスでの盛り上がりにそれほど貢献していないように感じます。
「ぼぎわん」が襲ってくる場面では、たしかに派手に物が壊れ、血が流れ、たくさんの人たちが次々に死んでいくのですが、ここでも「ぼぎわん」は実体を現しません。また、これらの破壊の様子から、「ぼぎわん」が“すごく強い”ということぐらいは分かるのですが、具体的にどのような力をもった、どんな大きさ・かたちのバケモノなのかはよく分からないままです。喩えるなら「明確なテーマがなく、何を表現しようとしているのか分からない、派手で大掛かりなだけの花火大会を見せられているような状況」なのです。
外で派手な破壊と殺戮が起こっていても、結局のところ「ぼぎわん」の本体を招き入れるのはマンションの一室です。アパートがマンションに変わっただけで、スケール感はそんなに原作と変わっていません。しかも、「ぼぎわん」との対決の場面では、野崎と琴子の行動に迷いが見られ、アクション的な(あるいは霊能力バトル的な)見せ場はほとんどありません。
原作では、「知紗を助けたい」という真琴の願いがこの対決の核になっていたと思います。いまいち真意の見えづらい琴子でさえ、実の妹である真琴から「知紗ちゃんを助けて」と直々に頼まれたことで、「知紗を取り戻す」という目的は最後まで一貫していました。しかし映画では、二幕目での真琴と知紗の交流の場面が大幅にカットされているため、そもそもの真琴の動機が薄まっており、琴子に知紗の救出を依頼する件りもなくなっています。だから映画での琴子は、あくまで霊媒師として「気の流れを正常に戻すため」に祓いをおこなっているに過ぎず、野崎に対して平然と「この子(知紗)は異界に戻します」と言い放ちます。
そして野崎は、堕胎についての設定が付け加わっているためか、知紗を助けるか否かでいつまでも踏ん切りがつかず、ぐじぐじと悩み続けます。過去にまつわるイメージや目の前の琴子と向き合いながら、自問自答のようなやりとりを延々とくり返すのです。肝心の「ぼぎわん」との対決は端に寄せられ、野崎の内面での葛藤がこの場面の中心になっています。
結果的に映画の三幕目は、大掛かりな祓いの舞台を用意したにもかかわらず、原作以上に盛り上がりに欠けるクライマックスになってしまったように感じます。
本作の一番の問題点は、そのタイトルに端的に表れていると思います。つまり、「ぼぎわん」を消してしまったということです。登場すれば大いに盛り上がったであろうクライマックスにさえ実体を現さず、その正体も明らかにされなかった「ぼぎわん」……。
本レビューでは、その無念を晴らすため、あえて“あれ”とか「●●●●」などと表記せず、「ぼぎわん」とはっきり表記しています。あしからず。
小説を読んだ人には向かない
小説を読んでいたので、映像化に興味があり前売りまで購入して楽しみにしていました。
しかし全く別の物語だったので、ガッカリです。
それでも面白ければ物語にのめりこめたのですが、登場人物には共感も出来ず、自分が常に傍観してる立場なので、怖く感じられない為ハラハラドキドキなどせず。
また、映像化での一番の興味が、ぼぎわんをどう表現するがだったので、その失望もあります。
小説を読んだ人は、期待して観にいってはダメです。
ホラーと思って観に行くと肩透かし
リング系のジャパニーズホラーだと思って観に行った私は肩透かし喰らい、怖さは全くなし。「エンターテイメント」って宣伝されてたので看板に偽りなし。
話の展開は意外だったりするし、いろんな宗教・霊媒師がごちゃ混ぜで出てきたりで面白い要素は入ってますが、何も残らない感は他の方が書いてられるとおりかと。でも「エンタメ」ってそういうモンですよね。
批判の多いラストも、女の子が普通のかわいい子なんだと思わせてくれることと、バタバタ人が死んでく中で最後に明るさ出してくれることで、私は好きです。
なぜホラーというジャンルだったのか・・・
ここでチケット予約する際、レビュー評価がエライ低くて『大丈夫かな?』って思ったんですが、観終わった後『あぁ、なるほどw』と思いました。
中島哲也監督作品にありがちな物語の構成の仕方や伝えたい(?)テーマを描くにあたって《ホラー》というジャンルを選んだこと、色々と裏目に捉えられてしまったのもあるかなー。
ターゲットは恐らく《いいパパ、いいママであろうとする幼児虐待予備軍》だと思うんですが、その辺りに無自覚に恐怖心を植え付けようとするならホラーというジャンルは選ばない方がよかったのかも・・・ 。
人は民間伝承だとか《いい伝え》を無意識に避けたりしますが、そういう意味合いで民間伝承とホラーを結びつけたのかもしれないですが、ホラーの時点で観る気がしなくなってしまうような気がします。
だからCMはザキヤマさん起用でホラー感を抑えたのかな??
呉監督の《きみはいい子》だとか是枝監督の《誰も知らない》とかの方があからさまに嫌悪感は感じるけど、その分ずっしりと心に残りましたが、あぁいうジャンルでも中島監督ならうまく描けたんじゃないかなーと思いました。
ただ中島監督作品好きな僕的にはそれなりに面白く観れました。
真琴と野崎のコンビは子供を失ったからこそ、二度と戻らない《それ》から逃げてはいけないということを知っている。だから優しくなれる。
香奈は気づくのが遅かった・・・ ということかな?
ラストのオチのシニカルな描写は『中島監督らしいなーw』と思いました。
ひとつとても気になった点は物語に決着をつけるためとはいえ、野崎が琴子登場以降、頼りない情けない感じに急激にキャラ変したところ。
除霊中にトイレに行くくだりとか、かつてない異常事態に戸惑うというレベルではないキャラ変具合が違和感ハンパでなかったです。
ほんとうに怖いのは、人間のエゴ
豪華キャスティングのホラー映画ということで公開前から話題。原作は"第22回日本ホラー大賞"に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」。
岡田准一が主演かというと、そうでもない。中島哲也監督のもとに、揃いも揃った黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡それぞれが、きっちりとエピソードを持った役柄を演じているので、見どころたっぷりのオールスター映画である。
ホラー馴れしていないと怖いかもしれないが、ホラー好きには見慣れたシーンを組み合わせただけの、"あるあるホラー"。むしろ笑える。多くの名作ホラーの要素を踏襲し、"悪魔祓い"は、宗教こそ違えど「エクソシスト」(1973)だし、各種スプラッター系のグロテスクさや、滝のように流れる大量の鮮血など、オーソドックスなホラー博物館である。
"B級ホラー"という言葉がある。それは低予算セットやVFXだけではなく、出演者の演技に起因していることもままある。アイドルの初出演するホラーは、"キャーキャー"と悲鳴を上げてれば、ヘタな演技をさせるよりツブシが効く、という理由だったりする。
もちろん本作はB級ではなく、実にソツのない優等生である。そういう"B級"とは一線を画する演技力。一流がホラーをやると、こうなるのね。妻夫木聡は何をやっても上手いね。
顔にキズ跡のある、松たか子のナンバーワン霊媒師。その妹の霊媒師を演じる小松菜奈は、髪をバッサリとショートにしてオレンジ色に染め上げた。
一方で、本作は厳密にはホラー映画ではなく、メッセージ性あるヒューマンドラマだ。この作品でほんとうに怖がらせたいのは、"人間のエゴ"。
自分を守るためにつく嘘。自分を正当化するために否定する、相手の行動。誰もがやっている"本音とタテマエ"。世間体のために取り繕うことを"ぼぎわん"は、襲ってくる。観終わってからじわじわとくる、"怖いのは、人間”。
(2018/12/7/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
ホラー映画なん?
ホラー映画苦手なのですが
予告で気になっていたので観て来た。
そんなに怖くなかった。
いや、黒木華さん怖かったかな。
松たか子さん、柴田理恵さん
なんか いい味出してたと思う。
(笑ってしまった)
オムライスの国のシーン要る?
最後…解決したん?
続編あったら観ないです。
不思議な微妙な映画かな?
楽しめたような気がする。かも?
やっぱ「リング」が怖かったなー
て、改めて思った次第です。
後半に連れて…
最近のホラーが嫌いなのは、ただただおどかせるだけで深みがないからだったから、一線を画すホラーとして楽しみにしていただけに非常に残念。
前半は、人間の汚い部分が良く見えていておどろおどろしく、なるほど、これがひと味違うホラーか。と感心してみていたのに、
後半に行くにつれて除霊だなんだと騒がしく、バタバタと人が死んでいくだけでおどろおどろしくも怖くもない、何だか訳の分からないものになっていた。
これを怖いと言うのはちゃんとホラーを見ていないのでは?
驚かせるだけ。と言っているのは何を見て言っているのだろう。
全く驚くシーンがないし、拍子抜け。これならまだただ怖いホラーの方が良い。
ストーリーの軸ある、妖怪がいてそれを除霊する。というプロットは描けていたが…
結局、なんだったのかよく分からないし、ラストはいきなりつまらないオチ。
せっかくのいい役者の無駄遣い…
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