来るのレビュー・感想・評価
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何が「来る」のか、わかんなかったっす。(毛虫かな?)
映画前半の田原家の(というか、秀樹と香奈の)結婚と出産と育児が、どの家庭で起きてもおかしくないリアルな地獄で実に恐ろしい。田原家の法事に参列し、閉ざされた姻戚関係の中に放り込まれた香奈の寄る辺なさは、誰でも経験した/させた/させることになる現実だ。
秀樹が「平和で幸せな」家庭生活を見せびらかす媒体が「ブログ」というのは時代的にどうかな? FacebookやInstagram的なものであるべき……ま、枝葉末節だけど。
知紗が生まれて秀樹の幸せアピールが度を越していく一方で、香奈にかかる負担が夫婦間で分散されない描写は極端にみえるかもしれないが、自分にも身に覚えがあり戦慄した。外側から見たら同じことやってた(幸せアピールはしてないが)。家族の心の平和を保証してくれるはずの家庭でパソコン打ってばかりで、会社にいる方が楽しそうな秀樹。これ何十年か前の自分じゃんと…。
そんなこんなで怪異が起こるわけ(全然説明になっていない…)だが、何かが襲ってくるエピソードはかなり怖い。特に電話を使った何物かの翻弄は恐ろしかった。
この映画の特異なのは、フォーカスする人物がどんどんドリフトしていくことで…つまり死んでいく。で結局なんだ主人公は除霊師姉妹の比嘉真琴と比嘉琴子だったのかよ、となる。あと、悪の依り代となる娘の知紗。
琴子の呼びかけで全国からあらゆる宗派の「霊能者(仮)」が集まり、大調伏大会となるのだが…。
問題は彼らが対決する邪悪なものが何なのか結局よくわからないこと。秀樹の少年期の体験にその原因があるともとれる表現はある。だが、それがあの惨劇につながるほどのこととも思えない。「悪は実体のないもので理由があって悪事をはたらくわけではなく、ただ人を惑わし傷つけるもの」なのだろう。理由がわからない凶事ほど人を不安にさせるものはないし。だからといって、悪の起源か正体をあまりに不明確にしたままというのも、映画的には納まりが悪い。なので、なにか終わった感じがしないし、オムライスの歌でお茶を濁された感が拭いきれない。
最後に、せっかく作中でBONNIE PINKの曲『Evil and Flower』のコーラス版を使ったのだから、エンドクレジットでBONNIE PINK(piano version)版を流せばテンション爆上がりだったのに!
なかなか難しい作品
主人公が変わってしまう妙な作品。
基本的にはホラーだが、強いメッセージ性を主張している点はスティーブンキング監督のようだ。
途中まで主人公だった妻夫木くん演じるヒデキが死に、主人公は黒木さん演じるカナだったのかなと思わせておきながら彼女も死ぬというのは、物語においては禁じ手だ。
この作品のテーマは「親」 親という存在は子供にとっての最大の守り主であるということ。万が一の時には、命を懸けて子供を守る覚悟はありますか? という問いかけだ。
チサちゃんの両親が死んだことでこの「親」という存在意義の問いかけが薄れてしまっているのが残念な点だ。
ライターの野崎には元カノの妊娠と人工中絶という過去があるが、それは持たないことで失う恐怖から逃れたいという彼の考え方があるからだ。
一方マコトは、チサちゃんの心を見て、自分と同じ満たされない感覚を見つけたのだろう。絶対的な姉の言葉に抵抗するほどチサちゃんの中に過去の自分自身を見つけたのだ。
そして同時に野崎は、過去の清算と何が正しいのかを自分自身で考えて行動に移した。
野崎の最後の言動のどこに共感を持てるのか考えていたが、親として命を懸けて子供を守ることこそ彼がすべきことなのだと思った。
それは確かに「他人の子」だ。姉のセリフにもその言葉が登場し、子供を異形の世界に引き渡せと何度も言う。「この子のためにいったい何人が犠牲になった?」 この手の除霊の常套手段なのだろう。
この姉の言葉から野崎の言動までを活かすために大きな伏線が仕込んであった。
それはヒデキが姉から携帯で除霊対策の指示をもらっていると、電話からも姉の指示がきて、どっちを信じたらいいのかわからなくなったシーンだ。
そして柴田理恵さん演じる霊媒師が、野崎に対しこちらの世界では痛みを感じるから痛みを信じろと話したシーンだ。
巨悪な霊という得体の知れないものの対処方法などわからない。痛みとは何? 腹に刺さったナイフか? おそらく野崎は過去の清算の答えとは「どっちが後悔するか」という言葉に置き換えたのではないだろうか? チサちゃんを異形の世界へ引き渡せば何もかも済むが、そうすればまた同じ後悔をする。だから最後は自分自身の心を信じたのだろう。
そして百戦錬磨の姉コトコには、また別の手があったのだ。
しかし、彼女こそ何者だろうか。世の中には人間では対処しようのない異形世界との接点があるのかもしれない。警察も国も、おそらく天皇家さえも、設定上は彼女に頼っているのだろう。彼女が取り出したのは「八咫鏡」ではないか。すごい設定だ。
「どんな凶悪な霊であっても、神様と同じようにお迎えするのだ」
あの壮大なスケールの祭りごとを行う発想はすごいと思った。このような概念は日本以外は持たないだろう。
エクソシストの悪魔祓いとは概念が違いすぎる。そこがとても素晴らしい。
善と悪という概念は人間しか持たない。この真理を知っていれば、仮に悪魔がいてもその対処方法には歴然とした差があり、結果も全く違うだろう。
深読みして妄想枠を広げないとなかなか理解しにくく難しい作品だったが、面白かった。
カオス
私としてはスピンオフ希望!の大絶賛作品なのに…めっちゃ評価が低いのが残念。
前回の『ラーゲリより愛を込めて』のレビューでは、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
さすがに削除4回目となると、かなり凹みます。
あれね「大好きだ!」を「大キライだ!」に置き換えて読んでくださいね。
好意的なコメントいただいていた方、本当に申し訳ありません。
しっかし.comさま…狭量が狭いなぁ。←こーゆーこと書くから削除されるんやで…
この作品は、とても面白かったから、劇場に二度観に行ったはずなんですが。やっぱりレビュー書いてないんですね。
ボケてきてるんかなぁ…
偉そうな物言いするんですが。私は安易な続編には懐疑的だったり、乗り気しないんですよ。
特にホラー物に関しては。はっきり言って駄作が多いじゃないですか。全く怖くない。
ところが本作に関しては、未だスピンオフ作品ができていないことを、大変不思議だったり残念に思っています。
特筆すべき、松たか子演ずる琴子のキャラクターが、そびえ立ちまくっていたと思うです。
岡田准一の野崎や小松菜奈の真琴も魅力的なキャラだったと思いました。
この三人を主役に据えたスピンオフムービーを是非とも観てみたいです。怪奇現象を扱う探偵事務所物みたいな。
妻夫木聡のウザ男っぷりにマジ頭来てたの。割といがちですよね、あーゆーヤツ。
胴体真っ二つのシーンで「ざまぁw」って思いましたもん。不謹慎にも。
黒木華は好きな女優さんのひとりなんですよ。ミステリアスだったり、幸薄い感がいいです。
私、結構これ言いまくっていますよね。“幸薄い”(笑)。何故か?そういう女性に心惹かれるんです。
「あの子、なんか暗いなぁ」ってな感じの?←お義母さんひどい!そして自分…華さん、ごめんなさい。
気だるげで、いけ好かない女に見えてた真琴の変わりっぷりにも、頬が緩んで心が和みました。
オムライスの子(笑)もいい演技していたし。
勿論、私推しの岡田准一が、かっこよかったです。岡田さんご出演だと何故か妙な安心感を覚えます。後半がお荷物扱いで誠に残念。でも、最後の最後でヒーローっぽい見せ場あったので良しとします。
何かが「来る」映像表現が本当に怖かったです。
中島監督らしい、極彩色に彩られた観念的なトリップイメージだったり、現実として起こってる数々の血まみれ描写が怖さ満点のホラーでした。
ストーリーの組み立て方が、本当に優れていたと思うです。
ごく一見幸せな家庭→裏の顔→何かが「来る」恐怖→本作でのヒーロー・野崎と真琴の登場→それでも太刀打ちできない→真打・琴子の登場→壮大な異能力バトル→オムライスでのハッピーエンド
「オームライスのくーにーにー♪行ってみたーいなー♪おーもちゃも〇〇〇〇も(聞き取れませんでした)ぜーんぶオムライスー♪」
エンドロールの音楽までカッコよかったです。特上のディナーをありがとうございました。ごちそうさまでした。
そして、どうしても加えておきたいのは柴田理恵の存在感!めっちゃかっこよかったです。
あとツボだったのは、日本一スーパーの従業員が似合う伊集院光(笑)「深夜の馬鹿力」大好きです!
面白かったけど一番の見所は・・・
気合いの入ったキャストで、これはただのホラーではないだろうなと感じていたが、予想通りどちらかといえばヒューマンサスペンスで面白かった。
シリアスなはずなのにちょこちょこ笑えるところも良かったね。
ストーリーは語り手を代えていきながら、その人物や回りの人物の表の顔と裏の顔をあぶり出していく。
視点を変えれば違うものが見えてくる、積み重ねればより見えてくるって感じで後半に向けて面白さが加速していくのがいいよね。
クライマックスの対決シーンは、まあ予算がないので少々チープだけど、盛り上がりという意味では良かったと思う。
なんていうか、そんなスケールのそんな感じなんだと驚いた。
悪いところとして、物語がノッてくるまでにちょっと時間がかかりすぎなことと、本作の核であろうヒューマンドラマのパンチが弱くて、出来の悪い「告白」+ぼぎわん程度の味の薄さだろうか。
そもそもテーマが薄いせいで、エンディングの意味はわかるがカタルシスが全くないんだよね。
キャストは誰もがかなり良かった。特に黒木華の絶叫と、徐々に明かになり変化していく様は見物だったね。彼女は穏やかな役が多いから見たことない黒木華を見られた気がした。
一緒にいた知紗役の子がトラウマになるんじゃないかってくらいの迫力だったよね。
見たことないと言えば、小松菜奈もピンクの髪に多数のタトゥーと崩れたメイクで、足から登場してくれなかったら彼女だと気づかなかったかもしれない。
監督はなかなかわかってるよね。小松菜奈の魅力は足にある。って、なんだが一番の見所は真琴が初登場する足のシーンだったんじゃないかって気がしてきた。うん、多分そう。
前半はホラー、後半は幽霊vs幽霊専門オールスター
ホラーではないです。
今作で演技が光っていた人(独自順位)
多角的な視点のストーリー展開が楽しい。
滑稽な行事や決まり事に縛られ、嘘がまかり通る弱くて儚い現代社会。そこに来る謎の存在は怖いのだが、狙われる者に原因があり、まるで自業自得であるかのような演出をしていた。
今作で演技が光っていた人(独自順位)
1位 妻夫木聡さん
(ヘラヘラ、怒鳴る、焦る)
2位 黒木華さん
(イライラ、健気、色気)
3位 岡田准一さん
(ニヒル、無関心、愛情)
4位 小松菜奈さん
(クレイジー、男気、母性)
5位 松たか子さん
(クール、柔和、毅然)
特別賞 柴田理恵さん
(存在感)
順位に入れてないが、オムライスが好きな子供の役を演じた子も良かった。
中島哲也監督作品の演技は安心感がある。
好きなシーンは
病院で妹の体に口から煙を吹きかける場面。煙には浄化作用がある。(副流煙は体に良い)
モニターの録画映像の人と電話する場面。アイデアと演出が秀悦。(不思議さを大事にしてる)
クールな姉がラーメンを食べる場面。下品気味にすすりスープも飲み干す勢い。(親近感がわく)
母親のようになりたくなかったのに化粧して女になって出掛ける場面。(濡れ場も良かった)
そいつとの戦いのシーンが・・・
惹きつけられました!
原作は読んでないですが
豪華キャストで描く最恐エンターテインメント!
久々に見ごたえがあるジャパニーズホラーなんじゃないですか!ってのが印象です。(ただ、全然怖くはないです…)
映画は、前半、後半と別れているような展開となります。ちょうど分かれ目としては、主役となる男優が、妻夫木聡→岡田准一に変わるのでわかりやすいです。
まず、妻夫木演じる田原秀樹の章ですが序章的な位置づけ。イクメン気取りで周りから良く見られたい最低なブロガー旦那ですが、かなりひどい有様です。でも、今のご時世こういうタイプの父親て居そうで的を得ています。
振り回される、妻の田原香菜です。秀樹の仕打ちにホント可哀そうだなと序盤は思うのですが、すぐにその気持ちは裏切られ彼女もまた何かオカシイのです…。最終的な、香菜の狂気の沙汰といいますか堕落した人間は凄すぎます。真面目な人間の反動を起こした時の怖さと言いましょうか。演じる黒木華の演技力が、これまた見事に演じ切っているので余計に変化のギャップが怖いです。
そんな中、産まれた子供の知紗は、不幸になる運命なのは必然…。
知紗を救うのは、中盤から後半に登場する、岡田准一演じる野崎と小松菜奈演じる比嘉真琴です。登場した時は二人もまたオカシイ部類なのか!?と思わせられるキャラなのですが、過去や自分の境遇に苦悩しつつも、登場人物の中では至極まっとうな人間でした。
本作の見どころは、ラストの団体祈祷シーンでしょう。かつてここまで大掛かりな祈祷シーンの映画はあったでしょうか?団地周辺お祭りのごとく霊媒師たちが自らの命を懸けます。
何を除霊するか!?それが最後の最後まで正体不明。
ただただ
「来る」
のです。
何が「来る」のかというテーマと共に、人間側の真の悪は誰なのかが見ごたえある、映画でした。
なぜかオリンピックの開会式に見えた
なかなか出かけづらい2020年の夏休み、Twitterで「柴田理恵がすごい作品がアマプラで解禁」と流れてきた。普段は柴田理恵もホラーもそんなに興味がないが、これも何かのセレンディピティと思い鑑賞。
絵に描いたような幸せな新婚生活を送る秀樹はある日、「知紗さんの件で」という来訪者から奇妙な伝言を受け取る。知紗とは、まだ誰にも伝えていない、妻が宿している子どもの名前だった。そこから不可解な出来事が秀樹に次々と襲いかかる。
秀樹の友人で民俗学者の津田が、各地に伝わる妖怪伝説は全て人間が自分たちの行動を正当化するために作り出したものだ、と説明する場面がある。作中、様々な怪奇現象が立て続けに登場するが、そこに巻き込まれた人々は、無力に恐れ慄きながら、過去の自分の過ちやトラウマや嘘や原体験を重ね、不可解な出来事を内面化していく。
特に中島監督らしい演出だったのが「母性」。命を授かることの幸福と苦悩の両面を底糸に、SNSに逃げ込む脆弱なアイデンティティやネグレクト、母娘の呪縛など、現代的な社会問題を編み込んでいく。
前評判通り(?)、柴田理恵が実に良い味を出しているが、他にも軽薄で表層的な屑男を妻夫木聡、結局不幸にまみれる運命の黒木華、過去に強いトラウマを抱える岡田准一、どの場面を見ても美しいギャルの小松菜奈、冷徹な天才霊媒師である松たか子など、豪華なキャストが持ち味を遺憾なく発揮する。
終盤、宗教も宗派も老若男女もごちゃ混ぜになった、独特のリズムとスピード感でお祓いをする場面が、なぜかオリンピックの開会式に見えたのは、こんな夏だからなのと、そのごちゃ混ぜが人種や国境を超えた多様性に見えたから、か。
エンタメ悪霊退治物
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