半世界のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
☆☆☆★★
ノベライズ版読了済み。簡単に。
ノベライズ版を読んだ時に、全く面白くは感じなかった。読んでいても全然頭には入って来ず、「一体何を描きたいのだろう?」とゆう感想しか思い浮かばなかったのが正直なところ。
監督が私にとっては苦手な…と言うか。これまで観た中で、『魂萌え』以外は「面白い!」と思える作品の無い阪本順治監督なのも有り、観るかどうかも躊躇う程だった…のだが。
毎度の様に、通勤時の手持ちぶたさからノベライズ版を読んだ事から鑑賞を決める。
尤も、お気に入りの脇役俳優、渋川清彦が出演者に居たから…ってのも大きい。お気に入り…とは少し違うけれど。池脇千鶴が出演しているならば、演技的にも満足させてくれるかもしれない…ってところも大きかった。
二等辺三角形の仲良し3人組。その中の1人である長谷川博巳が帰って来た事から始まる話。
彼は元自衛隊員で【コンバットストレス】を患い、半ば引きこもる人物として帰って来るのだが。その姿は、主人公にあたる稲垣吾郎の息子との対比する形で描かれ。稲垣吾郎と息子との間にある確執を氷解する役目を果たし。やがて、この親子の継承を後押しする事となる。
その様に地味な内容ながら。ノベライズ版では浮かんで来なかった人間ドラマだったが、しっかりと肉付けされた人物像によって描かれた秀作だった。他人はどう受け止めるのか…は分からないけれど。あくまでも個人的には、今まで観た阪本作品の中では1番かもしれない。ひょっとすると、今年の年間ベスト10に食い込んで来るかもしれないのではないか?と真剣に思う程の秀作だと感じた。
SMAP解散後、本格的に俳優業へと転身した稲垣吾郎。これまでも度々、出演した作品で光る演技を披露して来たが。主演となると、これまでとはいささか違いが生じて来るが。同じ元SMAPの木村拓哉が、華の有る作品でこそ活きる…とすれば。稲垣吾郎は、この様な地味な作品でもしっかりとした演技の出来る俳優として、今後活躍して行きそうな予感を感じさせる。
長谷川博己は、突如豹変する謎の有る元自衛隊員。少し意外と言える役柄だったが、堅実にこなしていた印象。
渋川清彦は相変わらず、一見するとちゃらんぽらんな男に見えて。その実、1番周りが見えている男。何よりもその言動等から友人想いの男。
いつもの様に唯一無二の存在感を発揮している。
そして何よりも池脇千鶴。
登場時間から言うと、助演クラスにあたるのだろうが。中年に入りかけた女性が醸し出す疲れた雰囲気を、絶妙に演じていて。ひょっとすると、彼女の代表作になるかもしれない…とすら感じさせてくれる。
最後に一言。この作品から得られた教訓は…。
晩御飯が秋刀魚の時に、夫婦喧嘩をしてはいけない。
余韻
こっちも世界なんだよ
地方都市の郊外。
炭職人の幼なじみや家族との
暮らしのなかに流れる
人の思いや幸せを静かに味わう。
妻の初乃が持たせてくれる
弁当の文字。
夫婦のメールということで
微笑ましいです。
日常の接し方は、
あんまりベタベタはしないですが
時折みせる絡みや別れの言動で
二人の信頼感がうかがえます。
なので、
同窓会行きの話しからの急展開には
まさかの連続で
予想できませんでした。
結果的に残った
留守録には
さすがにまいりました。
煙草は、ばれてます~
すこし、
はにかんだ声がなんとも…
普通に続くと思っていた
静かな時間が、
突然、
雪崩のようになにもかも
押し流していく。
作中の空気感は、
観客との境界を溶かすような
一体感がありました。
知らず知らず、
スクリーンの中にいてました。
昔の友人達との交友も
遠慮や押し付けがましいのが
なく、
飾らない直球の会話が、
垣根を無くしていました。
いじめられている
紘の息子の明と
酒を飲んだり、
ケンカを教えたりで
えいすけが交流するシーンは、
物凄く、いいですね。
地域に人生の先輩がいて
子供の成長を補佐する環境が
あたりまえに
描かれているのが素敵でした。
明や、紘 自信が
友人の影響で
ゆっくりかわっていく時間を
みるのが心地よくて。
この作品ですごいと
思ったのは、
田舎はどこか隔離された
遠い場所ではない。
今暮らしている環境の延長線上
にあるし、
遠く離れたかけがえのない人との
精神的なつながりを
表現していたところかな。
人はみな、
ずっと一緒にいるわけでは
ないし、
海外や地域の暮らし方以外は
しらなくても、
仲間を思うこころは同じなんだよ。
って。
どこにいても、そこは世界のひとつ。
人が経験した世間が、
たくさん集まって、
世界を形成している。
人は、半分も人生をすぎると
沢山の経験をする。
いいこともそうでないことも。
忘れられない記憶も背負う。
友人のえいすけが
戦闘能力を
爆発させる場面は、
普通の田舎の人間をかえてしまう
30年の人生の長さを感じました。
淡い画面調から、
溢れる自然の光と、
紘、えいすけ、清彦の
3人のカラーの違いが放つ
行動の説得力に、
とても惹かれました。
そして、
続く人生には、
たくさん
受け止めないといけない事が
あるんだよ、という
メッセージに。
静かに胸にしみました。
おすすめ
人生半ば
コスプレ実写化や原作付きばかりが横行する昨今の邦画においてオリジナル脚本作品は貴重であり
役者の顔ぶれもよく東京国際映画祭や各所で評判がいいようなのでかなり期待して鑑賞したものの
けして悪くはないがそこまでの深い感動は得られず佳作の域を出ない印象だった。
それぞれの人生を抱えた幼馴染みの男達の生活や葛藤を描きながらお互いへの理解を模索していく過程は良いのだが全体的には描写が表面的で薄く物足りなく感じてしまった。
話が紘と瑛介の関係に偏っているため2人には何か過去の確執があるのかと思いきや特になにもなく
キーパーソンとなるべきの光彦はあくまでオブザーバーで2人の本質には余り絡まず非常に残念。
物語自体も素直というかベタすぎるほどにフラグの全てがまんまの流れで何一つ裏切る事なくやっぱりそうかという展開へ集約していきラストもありがちな締めくくりなので意外性は薄い。
ただ、作品内に流れる品性や空気感は静謐で朴訥としながら監督自身の真摯な人間像が垣間見え観心地はいいものではあった。
特に三重の海や山々の景色が素晴らしく波風の音、森にそよぐ風の音、備長炭作りの爆ぜる炎の音など自然の息遣いをじっくり丁寧に描いている点にはこの作品に込められた愛情を感じた。
主人公の妻役の池脇千鶴の存在感が母として妻として非常にリアリティに溢れ妙な安心感があり素晴らしかった。
全ての人間が己の為すべきことを見出し達成できているわけではない人生志し半ばをも示唆しているような様々な意味を含む作品タイトルのセンスは秀逸だと思う。
それぞれの人生が半世界
ストーリーとしては、派手なところはなく、普通の40代になる男3人の物語。
ただその物語が誰にでもあることなのに、つい自分の人生に重ねてしまう。
夫婦の関係、親子の葛藤、幼なじみとの微妙なバランス。
こんなはずじゃなかったんじゃないかと思いながら、人生の折り返し地点を迎え、
今の状況を受け入れながらも 少しずつ現実と向き合うことをやめていってしまう。
小さな自分の世界のみに生きて、家族や仲間との微妙な心のズレが生まれていくのに
そこからも目を瞑りたくなる。
伊勢志摩の素朴で美しい景色と黙々と炭を作る主人公の姿が、
違う人生を生きているただの人なのに
観ている人それぞれの感性に訴えかけてくる。
ラストは、思わぬ方向で、改めて、その小さな半世界を考えさせられる。
個人的には、稲垣吾郎さんが、今まで演じたことがない粗野で男っぽい無神経な男の人生を
彼自身のオーラをまったく消して鉱になっていたところも見どころ。
ただ、黙々と木を切り、釜で焼き、炭を作る姿は、
役者として、丁寧に役に向き合い、自分が目立つという演技よりも作品をひとつひとつ大切に作り上げていく
職人のような吾郎さんに通づるような気がした。
見終わった後に心にずっと残り、自分の半世界を俯瞰で見てみたくなる映画。
少し会話の減ってしまった、旦那さんや奥さん、子供と観にいくのもいいかもしれない。
生きる力になる良作、ラスト以外は。。
あちら側の世界から見てみると……
PTSD心的外傷後ストレス障害の原因には、この自衛隊員のように紛争地帯で銃を持つ子どもたちに囲まれる(相手が子どもなので反射的に攻撃できないまま、撃たれる恐怖に直面する)ことの他、震災、津波、犯罪被害者などさまざまなケースがある。そしてDV被害者やレイプ被害者など固有の事情が絡んでくる場合、他人に知られたくない、相談できないという二次的なストレス、酷い場合は被害者にも落ち度があると責められる、といった三次的なストレスにも晒される。
悩ましいのは、世界はそこだけではないんだよ、とこの映画のように何の悪意も押し付けがましさも無く伝えることができたとしても前を向くことや簡単にこちら側に戻れない人もたくさんいらっしゃる、ということ。
この映画の長谷川さんが怒鳴ったり白髪オヤジの腕を折ったりしたように、或いはミレニアムシリーズのリスベットのように邪悪な相手を文字通り攻撃することでしか(一時的だとわかっていても)ストレスが発散できないのかもしれません。※リスベットには更に複雑な事情があり、単純な発散とかではないのですが。
この問題が難しいのは、一般的で平和な(イジメなどのことを考えればそう言い切れませんが)日常の世界ではない、残り半分のストレスフルな世界にいる人たちに、こちら側においでよ!というアプローチはできても、そちら側の世界にこちら側のみんなを連れて行くから待っててね!というアプローチはできないということ。
(実際にそれをしようとしているのが、ISや過激な原理主義者たちで、たぶん無差別テロの目的は各国政府の転覆などではなく、報復合戦や疑心暗鬼を喚起し、結果として、平和な日常をオセロゲームのように命の危険のあるストレスに満ちた世界に変えようとしているように見える。)
忘れてはいけないこと……もう半分のストレスフルな世界に生きてる人にとってもその世界が『まだまだ続く』ということだと思います。
タイトルの意味。
みんな自分の世界で生きてる。
あっちの世界は見えなくて当たり前。
でもそれを見ようともせず、自分の世界が全世界だと思ってしまう。
そうじゃない。
時々は、半世界の反対側も見てみよう。
見えなかった何かが見えてくるかも…
稲垣吾郎、良い。
完全にオーラがなくて、あの庶民的な食卓にいても全く違和感がない。
彼にこーいう役をやらそうとした監督、さすがです!
他、長谷川も渋川も池脇も…
安定感、ある。
池脇が夫の報を電話で知らされるシーン。
わざわざ車外にカメラが出て、車窓から崩れるように消えていく…
一気に私の涙腺は解放されました(笑)
誰かに感情移入してたというより、これで正三角形が崩れてしまうのか、全員のバランスが崩れてしまうのか、というキャスト全員に自分が感情移入してしまってたのに気づく。
だから、どのシーンも飽きずに惹き付けられるのだ。
そして、ラストには明るい兆しもある。
今年の邦画は、これを越えなくてはナンバーワンになれないなんて…
今年のハードルが一気に上がりました(笑)
一辺がなくなっても、どんなにいびつでも。
そう、三角形は永遠と続いていくのだ。
世界観が独特でよかったです。
今、余韻に浸っています
妻がSMAPファンであるが稲垣吾郎は特に関心がなかったので本映画の事前の関心は「別に」といった感じで、私も何か地味で冴えない印象で「見たいリスト」からはずれていました。たまたま見た映画のレビュー内容がよかったので見てきました。
見終わった二人の印象は「見てよかった」「今まで見た映画の中でも上位に入るよい映画」と一致しました。登場人物も少ないし、撮影場所も伊勢志摩だけなのに全く退屈するシーンがなく映画に引き込まれていました。稲垣吾郎はじめ各役者の演技が良かったことと、自分自身は登場人物よりもだいぶ年がいっていますが、「等身大の世界」になんとなく共感する部分が多かったからかもしれません。
おいしい料理は後味がいいですが、本映画も後味が良い映画です。今までレビューは書いたことがありませんが是非皆さんに見てもらいたいと思い余韻に浸りながら書いてしまいました。
責任
淡々とした映画だけど・・☆
幼なじみ三人。
長谷川博己演じるもと自衛隊の帰郷を始まりにして、それぞれの
今が描かれていきます。
稲垣吾郎の炭焼き職人は、他の方のコメント通り以外性もあり
良いです。
でも、ここに長谷川博己をもってきたことで、よりいっそう
二人が素晴らしかったのでは・・と思われます。
映像も良く、炭を作るシーンの火花や最後の出棺のシーンなど
とても印象に残りました。
誰でもが、「半世界」。
自分だけが見れる世界に住むしかないのか・・
こういう作品は、DVDやTVではなく やはり映画館で見て良かった
と思います。
後味の旨味成分がすごい
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