「こっちも世界なんだよ」半世界 くりさんの映画レビュー(感想・評価)
こっちも世界なんだよ
地方都市の郊外。
炭職人の幼なじみや家族との
暮らしのなかに流れる
人の思いや幸せを静かに味わう。
妻の初乃が持たせてくれる
弁当の文字。
夫婦のメールということで
微笑ましいです。
日常の接し方は、
あんまりベタベタはしないですが
時折みせる絡みや別れの言動で
二人の信頼感がうかがえます。
なので、
同窓会行きの話しからの急展開には
まさかの連続で
予想できませんでした。
結果的に残った
留守録には
さすがにまいりました。
煙草は、ばれてます~
すこし、
はにかんだ声がなんとも…
普通に続くと思っていた
静かな時間が、
突然、
雪崩のようになにもかも
押し流していく。
作中の空気感は、
観客との境界を溶かすような
一体感がありました。
知らず知らず、
スクリーンの中にいてました。
昔の友人達との交友も
遠慮や押し付けがましいのが
なく、
飾らない直球の会話が、
垣根を無くしていました。
いじめられている
紘の息子の明と
酒を飲んだり、
ケンカを教えたりで
えいすけが交流するシーンは、
物凄く、いいですね。
地域に人生の先輩がいて
子供の成長を補佐する環境が
あたりまえに
描かれているのが素敵でした。
明や、紘 自信が
友人の影響で
ゆっくりかわっていく時間を
みるのが心地よくて。
この作品ですごいと
思ったのは、
田舎はどこか隔離された
遠い場所ではない。
今暮らしている環境の延長線上
にあるし、
遠く離れたかけがえのない人との
精神的なつながりを
表現していたところかな。
人はみな、
ずっと一緒にいるわけでは
ないし、
海外や地域の暮らし方以外は
しらなくても、
仲間を思うこころは同じなんだよ。
って。
どこにいても、そこは世界のひとつ。
人が経験した世間が、
たくさん集まって、
世界を形成している。
人は、半分も人生をすぎると
沢山の経験をする。
いいこともそうでないことも。
忘れられない記憶も背負う。
友人のえいすけが
戦闘能力を
爆発させる場面は、
普通の田舎の人間をかえてしまう
30年の人生の長さを感じました。
淡い画面調から、
溢れる自然の光と、
紘、えいすけ、清彦の
3人のカラーの違いが放つ
行動の説得力に、
とても惹かれました。
そして、
続く人生には、
たくさん
受け止めないといけない事が
あるんだよ、という
メッセージに。
静かに胸にしみました。
おすすめ
くり様
ご無沙汰してます。
いまだに、半世界の意味がよく分からず、モヤモヤしています。
なんか、戦場カメラマンの同じタイトルの写真展を見た監督が半世界という映画を撮ったらしいです。
それが人びとの普通の暮らしの写真なんですって。
戦場の反対側では
普通の暮らしがある。ということでしょうか。
また、観なきゃ理解できないかもしれないです、私。