劇場公開日 2018年11月2日

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「前半と後半で作りが違う」ヴェノム アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前半と後半で作りが違う

2018年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

2D 字幕版を鑑賞。スパイダーマンの宿敵として有名なマーベル・コミックのキャラクター,エディ・ブロック(ヴェノム)は,2007 年の「スパイダーマン3」で映画に初登場した。この時のヴェノムのキャラクターは,深く掘り下げられない小さな役だったが,本作はそのヴェノムを主人公にしたスピンオフ作品である。

まず,映画の冒頭で地球に帰還する宇宙船が事故を起こして大気圏に突入し,地上に墜落するというシーンがあるのだが,まず常識的に地上に到達することなく大気中で燃え尽きるのではと思ったら,墜落現場にしっかり機体が残っていたのには開いた口が塞がらなかった。そういう程度のリアリティのストーリーなのかと最初に覚悟させられたような気がした。

ストーリーは,前半と後半で大きく作風が異なっており,前半は「アライバル」や「ヒドゥン」といった地球外生物による地球侵略の物語が真面目に展開されるのだが,後半はガラッとコミック的になり,何ヶ所も笑える作品になっていた。ここで,笑えるというのは良い意味で言っており,「トランスフォーマー」のような痛快な展開は非常に楽しめた。これなら,前半もこう言う作りの方が良かったのではと思われてならなかった。

役者は,主人公を演じたトム・ハーディ以外は見たことがない人ばかりだったが,この作品を成立させる上で,トム・ハーディのキャラクターに依存していた部分が多大だと思った。ガタイが立派で強そうなばかりでなく,根底に明るさを持ったいかにも現代のアメリカ人という人物でなければ,この役を演じ切るのは難しかったに違いない。

音楽は聞いたことのない人だったが,そこそこ無難な曲を書いていた。演出は,脚本と同じで前半と後半で大きく異なっているが,断然後半の方が良かったと思う。アメリカ人の日常や現代風の価値観が丁寧に描かれていたのは,世界観に入り込むのに効果を発揮していたと思うし,弱点の見せ方も面白く,楽しく見ることができた。ただ,職務に忠実な警察官にあの仕打ちは酷いのではないかと思った。どうせやるなら,ライフ財団の手下あたりの方が後ろめたさが少なかったように思う。続編を作る気満々のようだが,ストーリー次第ではないかと思う。
(映像5+脚本3+役者4+音楽4+演出5)×4=82 点。

アラカン