映画レビュー
再生の鍵は「誰かを守りたい」という思い
かつてスターだったプロボウラー チョルジョンは、交通事故で足が不自由になり引退
その後、賭けボウリングで細々と生活をするが
ストライクを連発する自閉症の青年ヨンフンと出会い、ヨンフンとペアを組んでボウリングをするようになり
チョルジョンは自分の過去と向き合うようになる…
これは気持ちがほっこりする作品だった
人生落ち目の中年男性と、ボウリングの天才だけど自閉症の青年のバディムービー
人は「誰かを守りたい」と思った時が一番強くなれるし、前を向いて突き進むことができる
この映画の主人公 チョルジョンは「守りたいもの」がないままに日々を送っていたのが
知的障害と自閉症を抱え、さらに、義父からDVを受けていたヨンフンと出会い
「守りたいもの」ができ、再び前を向いて進もうという気持ちが湧いて来る
けれど、人間とは弱いもので、同じ失敗を繰り返してしまうもの
チョルジョンも、心の弱さから交通事故を起こした時と同じ過ちを繰り返そうとしていた
その時に大切なことは、封印していた悲しい思い出とキチンと向き合うこと
「なぜ足が不自由なのか」を考え
気持ちを整理し、輝いていた昔を思い出せば
再び前を向いて歩き出せる
チョルジョンにとってヨンフンとの出会いは、過去を清算するきっかけになった
過去を消し去るのではなく
美しい思い出を取り戻すことが必要だったのだ
天才青年ヨンフンのほのぼのとした一面だけでなく
自閉症児が、家族からDVを受けている側面や
彼を「見世物」にしようとする世間の好奇の目という現実もキチンと描いているところに好感が持てた
きっと、人は誰しも、誰かを守るために生きていて
その思いが人を輝かせるんだと思った作品だった