「コレは見なかったことにして・・・前向きに。」X-MEN:ダーク・フェニックス Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
コレは見なかったことにして・・・前向きに。
どれほどの"X-MEN"ファンでも、この出来には唸ることだろう。
すでに米国で報道されている通り、赤字100億円を超えそうな勢いで、近年のマーベル映画の快進撃に水を差すものになりそうだ。
多くのファンにとって、ジーン・グレイの暴走は、"既視感"しかないはずだ。こんなにもキャストは皆、見事に演じきっているのに、ストーリーの薄っぺらさに情けなくなってくる。こんな作品でジェニファー・ローレンスのミスティークが殉職してしまうなんて・・・。
だいたい「ファンタスティック・フォー」と同じような宇宙キッカケで始まること自体が不吉な映画だ・・・。サイモン・キンバーグ監督は、ずっと製作・脚本にも関わってきたのにどうしちゃったのだろう。
個人的には、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011)と「X-MEN:フューチャー&パスト」(2014)で完結していて、あとはアンコール上映みたいなものなので、どうでもいいのだが。
シリーズを通して、ブライアン・シンガーが埋め込んだ、"差別社会への抵抗"というメッセージの呪縛は、続けるほどに袋小路にハマっていった。そろそろこのテーマからは距離を置くべきだったかもしれない。実際、スピンオフの「ウルヴァリン」や「デッドプール」には別の魅力がある。
今回でシリーズが終わると言っているけれど、オリジナル3部作のときも、同じことを言っていたはず。来年には、「ニュー・ミュータンツ」(2020)も控えているのに、なんで"X-MENが終わる"なんて、平気で嘘つくかなぁ?
背景には、オトナの思惑が渦巻いている。
21世紀フォックスをウォルト・ディズニー・カンパニーが買収したことによって、ついに、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)にX-MENを組み入れようと画策している。
すでにマグニートーの娘、"スカーレット・ウィッチ"(ワンダ)は、アベンジャーズ入りしているけれど、スパイダーマンは、ソニーピクチャーズからの限定レンタル移籍(トニー・スタークとハッピー・ホーガンのセットで交換出演)になっている。それも、同じディズニーグループなら簡単だ。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」でメンバーも減ったことだし。
基本的にヒュー・ジャックマンの降板で、新たに若いキャストによる、"ウルヴァリン"をアベンジャーズ入りさせることが可能になっている。もしくは女の子ウルヴァリンの"ローラ"をアベンジャーズに誘いますか?
本作「ダーク・フェニックス」はなかったことにして、さっさと次に行きましょう。さあ!
(2019/6/20/TOHOシネマズ新宿/シネスコ/字幕:松崎広幸)