X-MEN:ダーク・フェニックス : 映画評論・批評

X-MEN:ダーク・フェニックス

劇場公開日 2019年6月21日
2019年6月18日更新 2019年6月21日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

現体制最後のX-MENは、旧シリーズの一大事件を踏襲し、テーマの原点へと帰着する

現行体制では最後となる今回の「X-MEN」は、フェニックスと呼ばれる闇の存在によって、全能ミュータントとしてのパワーを覚醒させたジーン・グレイを主軸とする。原作ファンには周知の彼女の特性だが、映画しか知らない人も、旧シリーズ3作目の「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」(06)で、暴走するジーン(ファムケ・ヤンセン)の脅威を目にしているだろう。X-MENを内側から崩壊させ、ひいては人類滅亡のトリガーとなりかねない。そんな危険度MAXの大ネタを蒸し返すなんて、いかにもフィナーレに向けての舞台を用意してきたなこのヤロー!! と観る側も身構えてしまう。

スペースシャトル乗組員の救出に向かった先で未知のフレアを浴び、ジーン(ソフィー・ターナー)がその恐るべきパワーを発動させてしまう今回。彼女の暴走はプロフェッサーX(ジェームズ・マカボイ)ら仲間内に犠牲者をもたらし、そしてマグニートー(マイケル・ファスベンダー)陣営や人間からも敵視され、ひいてはジーンのパワーを悪用しようとたくらむヴィラン・ヴク(ジェシカ・チャステイン)の暗躍を許してしまう。

画像1

映画はそんなジーンの葛藤に触れると同時に、X-MENそのものが抱える内情をも浮き彫りにしていく。ミュータントの権利獲得への執着が、悪手となって自らを苛む、そんなトートロジーにプロフェッサーは陥るのだ。ジーンのダークサイドへの変転は、こうした問題をも表面化させ、ともすれば忘れがちな「マイノリティの苦境」という起点へと本シリーズを立ち帰らせていく。

このようなプロセスを経ることで、前半はドラマに緩慢な印象を与えるが、時間をかけて慎重に描いていったジーンの苦悩が支燃性となり、後半の爆発的展開を激しくもたらす。そこで繰り広げられるアクション状況、特にマグニートーの戦いっぷりに惚れないヤツはいないだろう。「敵に回すと恐ろしいが、味方になると頼もしい」を体現する無双な姿で、本作の美味しいところを華麗にさらっていく。

やや話が恣意的に逸れたが、ともかく「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(11)以降の新シリーズをダーク・フェニックスのエピソードで閉じるというのは、その構成自体が旧シリーズの韻を踏んでいるだけでなく、「ファイナル ディシジョン」の脚本を手がけたサイモン・キンバーグが監督となるところ、彼の参加に因縁めいた嚆矢回帰を覚える。「ダークナイト」三部作で感傷的にスーパーヒーロー賛歌を謳いあげたハンス・ジマーの音楽も、シリーズ初参入ながら、掉尾を飾る局面にまことよく合うのだ。

尾崎一男

関連コンテンツ

特集

【「アベンジャーズ」ロス!? ならば聞いてくれ、この《涙の本編レビュー》】…
特集

「アベンジャーズ エンドゲーム」公開から約2カ月……ロスから立ち直れず、深刻に悩んでいるマーベルファンは多いハズ。だが、絶望するのはまだ早い。我々には、まだ参加しなければならない「“終わり”」が待っている! アメコミ映画の始祖ともいえ...特集

関連ニュース

関連ニュース

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

映画レビュー

平均評価
3.3 3.3 (全177件)
  • 面白かったが… 若干、設定や展開に?の部分あり。 ...続きを読む

    KF KFさん  2019年7月21日 18:15  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
  • PVと本作とのギャップあり 面白い。そして新たな展開を見せるんだろうなということを感じさせる作品でした。X-MENファンは十分楽しめると思いますが。ただものすごく感じるのはダークフェニックスのダークフェニックス感というか、... ...続きを読む

    LEDミラージュ LEDミラージュさん  2019年7月21日 16:17  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
  • MCUでのリブートに期待 うん、つまんない。 フェニックス・サーガやダークフェニックス・サーガはX-MENの重要エピソードかもしれないけど、お世辞にも面白いとは言えないよなぁ。 最終作にこれもってくる必要はなかったんじゃ... ...続きを読む

    たら印 たら印さん  2019年7月20日 22:52  評価:1.0
    このレビューに共感した/0人
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

特別企画

新作映画評論

  • 天気の子 天気の子 “あえて間違える”という姿勢。フィクションでしか描けない、逆説的な正しさ
  • よこがお よこがお 大胆な構成、巧妙な演出で、ある女性の流転と変容を描く人間探求ミステリー
  • 隣の影 隣の影 隣人トラブルがスプラッタ・ホラーに発展。原因はアイスランドの特殊な事情!?
新作映画評論の一覧を見る
Jobnavi
採用情報