「たかがカンニング、されどカンニング」バッド・ジーニアス 危険な天才たち mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
たかがカンニング、されどカンニング
ハラハラどきどきしながら見ました。カンニングはいけないことなのに、なぜ、こんなに映画が楽しいんだろう…と、ちょっと罪悪感がありました。笑
主人公の女の子、リン、最初はメガネをかけた、幼い感じのガリ勉ちゃんという感じだったのに、映画の終盤では、成長してめちゃかっこよくなっていてびっくり。ピアノの指の動きで、答えを仲間に送るところは、「なかなか、やるなあ」と思いました。その辺りまでは、ちょっとした「アルバイト感覚」でしたが、それが、あのような国際規模の計画的なビジネスがらみの頭脳戦に発展していくとは。後半もスリルがあって面白かったですが、ラストはちょっと考えさせられました。
不器用で真面目だったバンクは、結局、貧しさに負けてしまったのか。お金に目がくらむという言い方は月並みですが、貧困ゆえの結末という感じで、バンクを責める気持ちにはなれませんでした。リンはといえば、決して裕福ではない家庭で育ってきたものの、カンニングの動機は「お金」だけではなく、友達を窮地から救う、という普通の気持ちからカンニングをしてしまいます。ラストで真実を告白すると、自分だけじゃなく多数の友人の人生をも棒に振ってしまうので、その点については、深く悩んだでしょうが、明るい光の差す方へと進んでいくところでエンディングとなっていました。
本当に個人的な話なのですが、自分の父親が大学の卒業試験でカンニングをしました。正確にいえば、友達に答えを教えて、カンニングさせたのです。ところが、それがバレてしまい、父親はあと一歩というところで卒業ができませんでした。そんなこともあって、「楽しめた」といえども、人ごとには思えない怖い映画でした。たかがカンニングといえども、人の人生を大きく変えてしまう危険な行為であることは間違いありません。
※エンドロールが流れて、もう終わったなと思ったら、タイの学校(クルンテープ・タウィパンヤー校)の校歌が字幕付で流れてきました。3番まできっちりあって、よく読んでみると、皮肉たっぷりでした。見逃した人もいるかも。アベンジャーズシリーズみたいに、最後の最後まで見なくちゃいけません!