万引き家族のレビュー・感想・評価
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「家族」って、なんなのかね?
第71回カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール(最優秀賞)受賞作品。
なるほど。そう来るわけですか。なんか、朴訥としたリリー・フランキーの演技が光りますね。普段は何となく弱々しい印象を与えつつも、ある局面で冷徹さを見せられると、“ゾクッ”とした怖さを感じずにはいられません。
そこに、安藤サクラの見事な演技。演技をしているはずなのですが、あまりにも自然で、演技をしていると言う事を感じさせません。お見事。
こういう二人を相手にすると、若手では演技派だと思うのですが、松岡茉優の演技も色あせて見えてしまいますね。
その他にも、樹木希林、柄本明、池脇千鶴・・・。こういう人たちが脇を固めての城桧吏なんじゃ無いですかね?城がフィーチャーされていますが、そんな印象を受けました。
って言うか、私的には、城よりも佐々木みゆでは無いのか?とも思いましたが、違うのかな?
“家族”と言う言葉が一つのキーワードだったので、途中まで“家族”なんだな、と思っていたんですが、終盤にその認識が一変させられます。そういう持って行き方、そして、作品の終わり方が、他のパルムドール作品とも共通する感じで、本作品がパルムドールを受けたのもわかる感じがします。
役者の演技が素晴らしい
話題になっていた映画なので鑑賞してみましたが…
素晴らしい映画だった。映画ってド派手なアクションとサプライズだけじゃないな、やっぱり人の演技を観るものだなと思った。役者の演技の力とはこんなに人の心揺さぶるのだという衝撃を受けました。
安藤サクラに、リリーフランキー、樹木希林、など日本の実力派の人達の演技がすごかった。
話の見せ方も上手。一見家族にみえる6人の人達、一緒にご飯食べたり寝たりお風呂に入ったり仲睦まじい6人ですが実はいろんな複雑な事情がだんだん見えて来る…といった過程がとても良かった。
日本の問題の凝縮版
話題になっているので興味本位で鑑賞。
まず、配役が素晴らしくよかった。
俳優・子役陣のこの演技力なしにはこの作品は光らなかったと言い切れるほどに。
「万引き家族」は、現代日本が抱える社会問題が凝縮された作品だと思った。
それだけに、集団・競争社会の中でどう生きるか、
本物の愛情とはなにか、ということを考えさせられた。
素性もわからない人たちをなぜ信用して、一緒に暮らすことができるのか。
愛を求めた人たちが集まって、そこに芽生えた愛は本物なのか。
考えても答えは出ないけれど、あの家族6人の笑顔は決して偽りではなかった。
「誰も知らない」「海街ダイアリー」「そして父になる」そして本作「万引き家族」。いい意味でも悪い意味でも日本らしさが出ていて、海外でも評価される理由がわかる気がする。
是枝監督の作品ではないが、「八日目の蝉」や「母になる」(テレビドラマ)の内容と通じる部分があるようにも思えた。
映画は観ている人にモヤを残す感で終焉したため、
家族がその後どのような意思でどのような生活もしていくのかが気になった。
もっとも、それを個人の解釈に委ねるのが是枝監督らしさと言えるのだが。
家族を家族たらしめるものは
家族を家族たらしめるものは何か。
本当の家族って、親子って何なのか。
血ではなくて、情だけでもだめで…
うーん、いろいろ考えさせられました。
繋がり とは
家族が血の繋がりだけじゃないのは何回も是枝さんに教わっていたのですが、じゃあ心で繋がってるって何?そんな不確かなものに身を預けられないし、金とか愛とか性器とか秘密とか境遇とか、どれかで繋がってるとしても嘘っぽくなってしまう。
この家族の場合は犯罪で繋がっていたけど、じゃあそこに愛は無かったのか?と言えば嘘にも本当にもなってしまうから私は分からなくなって、ただあの汚くて狭い家に住む6人の一人一人の笑顔を思い出すくらいしかできませんでした。
はっきり言おう
是枝監督の作品は好きじゃないとダメ的な空気があるけど、この度私は好きじゃないとあえて宣言します。
映画の作りは素晴らしいと思う。メイキングを見ていても感心しきりだし、ここまで作品に対して誠実で真摯な監督がどれほどいるのか?とも思う。
演出も絵作りも緻密で、テーマも深いところにあり、いつも観客に問題提起してくる。
だけど、一連の是枝作品から提起されている問題に向き合おうとすると、自分なりに考えた末にとても嫌な気分になり、責められるような、今ある生活を手にするための努力を否定されるような、やるせない気持ちになる。
来年この作品を思い出して自分がプラスのことを考えることはないだろう。
今作は素晴らしいかもしれないけど、私は別の、彼の描く人生賛歌の物語を観たいです。
「海街diary」とつながる作品
「万引き家族」という題名から、悪いことをしながらも寄り添って明るく暮らしている家族の話だろうくらいに考えていた。実際途中まではそんなつもりで家族のふれあいみたいなものに焦点をあてて見ていたのだが、誰一人として血のつながらない偽家族と分かって驚く。彼らは社会的に見れば犯罪の巣窟だ。(万引き、窃盗、誘拐、死体遺棄、詐欺など)しかし彼らは本当の家族以上に家族らしい。家族は偽でも、人を気づかう優しさは本物だ。それが一番表れているのが終盤の信代だ。罪を一身に背負い刑務所に入り、子供達を想って涙をこらえ、祥太に親の所に戻るよう促す。我々はこの犯罪家族に大いに同情してしまう。
しかしこの物語の決着の仕方にはやや疑問を感じてしまう。一家の破綻の原因が、祥太の「悪いことをしてはいけない」という単純な正義感というのは理解できるが、社会のルールを破ったらこの世では生きていけないという感が強すぎる。ラストのゆりの顔が悲しすぎて、何か救いの要素を入れれなかったかなと思った。
難解、でも後からじわっときて涙、そして感動
見た直後は、俳優さんの演技やカメラワーク、光の扱い方などとても良い映画だなと思ったものの、ラストの意味するところは全く分からず、全体的にも主題的なものが判然とせず、頭をグチャグチャにされた様な気分も感じた。あまりにスッキリとしないので、原則映画で完結させる主義であったが、小説版の方も読んで見て、それでもラストシーンは解釈できずにいた。
一晩たったら何故か、自分なりの全体像がかなりくっきりとイメージでき、遅まきながら涙が溢れ、幸せなな気持ちに浸ることとなった。見た人間の思考をここまで刺激し、更に感動させる。成る程、確かに世界レベルの大傑作かもしれない。
この映画を一言で言えば、6人全員が、血こそ繋がっていないが本物の家族としての経験を通して、成長に至る物語と言えそうか。最後かたちとしての家族こそ無くなってしまったが、家族一人一人の中に愛し愛された経験は生き残り、宝物的記憶や明日の糧となっていくという物語。家族の本来の役割ってこれでしょうと。
おばあちゃんは、脅かして?得たお金を、義娘のため、いやきっと家族皆の将来のため保管していた。海では、今まで言えなかった家族皆への感謝の気持ちを実際に口に出すことが出来た。お母さんは、昔に母親から受けた大きな傷を、娘への本物の愛により癒し乗り越えられた。夫を愛することをも取り戻し、一人で家族の罪を背負い込み、さらに息子を独り立ちさせた。ダメダメ男に見えたお父さんも、最後には、息子を捨てたことに真摯に向き合い、父さんからおじさんになることを受け入れ、大きな消失の痛みと共に息子への本当の愛を経験した。そして、叔母さん亜紀は、十二分に愛されないことからの一人よがりの自己傷害から、他人を主体的に愛することを知り、家族への責任を自覚し、旧家族の家を訪れ、ここでの経験をかなりの痛みとともに自分の糧とする。
長男祥太は、親への懐疑〜反抗を経て、妹を愛し守り、万引き家業を終わらせ、さらに親を能動的に愛するとともに、家族から自らの意思で独り立ちをする。そう、この映画は主人公の少年が家族の中で葛藤し、成長、独り立ちする物語でもある。
そして、妹は?じゅり、ゆり、りんと名前が変わるこの少女は、最初から無垢に他人を愛することはできるが、愛されたことがなく、拒否もできない受理するだけの娘。ゆり(有理?)と名を変え、万引きにもトライし、家族から兄から愛される知恵を身につける。さらに母からの愛を沢山貰い、りんと名を変える。元の母親には相変わらず無償の愛(殴られた傷を労わる)を拒否されるが、もう大丈夫。母の服を買ってあげようか?には、凛として拒否ができ、納得できない御免なさいはもう口にしない。愛する母に教えられた数え歌と兄からのプレゼントのビー玉(宇宙という真理が見える)、そして雪だるまに象徴される家族から愛された記憶が、彼女のこれからをずっと支えるから。そして、耳をすませば、血の繋がりは無い本当のお母さんから確かに愛された、言葉にこそならなかったかもしれないが、確かに触れ合い愛された証拠、即ち生きていく自信が、まざまざと蘇ってくるから。
ラストシーンの意味をこの様に感じ取ったとき、それに伴い熱いものが込み上げてきた。何て力強い、ポジティブなメッセージの映画なのかと。そして、さらにもう一つバックボーン的なセカンドメッセージの存在の可能性に気がついた。
この映画で何度も登場するスイミーとは何か?である。スイミーは、小さな魚の中心となって大きな偽魚を形成し、その眼となる。スイミーは、じゅりか?確かに、じゅりは犯罪で結びついていた家族が互いに愛し愛されるきっかけを作った。ただあの家族自体はバラバラになったし、スイミーの話を熱心にしてたのは、祥太である。とすると、スイミーは、新しい家族をこれから作っていくだろう5人、特に若い3人の今後の道のりを示す象徴ということだろう。
スイミー達の戦いの相手は何か?押しかけて犯罪家族に仕立て上げたマスコミ?、白黒でしかものを見ない警察官?、彼らもそうかもしれないが、市井の庶民に無関心な人々、弱きものを蹂躙するように権力を行使する人間、真実を見ようとしない者達、愛し愛されること、きずな、若しくは家族といったものに関心を示さない人々ということか?
そこまでいくと、実は、この映画自体もスイミーである様に思えてきた。闘いの相手は、表面や形式だけに拘泥し映画や芸術の本当の価値がわかっていない一群の人々、名もない弱者の幸せを無頓着に踏みにじる者たち、そうこの映画はそういった者達、考え方との熾烈な闘いの核となることを目指した是枝監督の熱き怒りの産物なのかもしれない。そして、そのスイミー達の訓練場所・訓練本部は、戦場ではなく、塾でもなく、血縁では無く能動主体的な愛が結びつける家庭という共同体であると。その闘いの核を創るという強い情熱が、きっと自分をいたく感動させたのだろう。
万引き家族
まず、この作品で思ったのが家族としての絆、愛情、そして人々の優しさにポイントを置いているのではないかと感じた。小さな少女、凛がこの家族に加わるまでこの家族は自分がどう生きていくか、生き延びる為には何をすればいいかなど先のことを考えるのに必死になっていた家族だが、凛が来たことによって家族としての形について徐々に気づいてこれたのではないだろうか。
このタイトルでもある万引き"家族"だが、これは誰も本当の家族ではなくそれぞれ自分の罪を隠す為に協力して生活していて、そんな中で父 柴田治が凛を見かけたことによりこの協力を他の為に使う気持ちが芽生えたのではないだろうか。そしてそれにつられるように母 信代も最初は否定的ではあったが一緒に過ごしていくうちに凛の存在性に気づき受け入れるようになっていくように見えた。息子 祥太も万引きをすることで父との間に絆があると認識していたが、それをある人に見つかってしまうとき、何の為に万引きをしているのか、と自分に疑問をもつようになり内面的な成長ができたように感じた。
やはりこの作品において1番の焦点となるのが祥太なのではないかと感じた。国語力のある祥太は「スイミー」の話を治に話したりする描写がある。おそらく祥太はこのスイミーの兄弟のように怯えながら暮らす家族に自分がその家族を1つにさせようとしているようにしているようで家族とスイミーを祥太は無意識に照らし合わせているのではないだろうか。
最後に、もう一度家族とはなんだろうと考えてみる。勿論、協力できる、信頼し合えるというのは理想としてあるが自分が考えた結論、家族とは戻りたい思えることではないかと考える。とても単純な考えだが、自分に置き換えてみると自分は学校や部活、大会などで様々な失敗、挫折にぶつかっている。しかし、どんな問題に直面してもやはりそれを受け止めてくれるのは家族なのである。家族がいるから、また、自分に明日が来るのである。
ただただ退屈。こんなに評価されてるのに何も響かない、何も残らない感...
ただただ退屈。こんなに評価されてるのに何も響かない、何も残らない感想。。私、映画好きと言っていいのかな、非情なのかなと悩みそうです( TДT)是枝監督のどの映画観ても何も感じない(T_T)合わないのかなと思って母に聞いてみたら両親とも何の感情も湧かなかった感想だったので似たもの家族なんだなと 笑
いい映画とは言えない
心にモヤモヤが残る映画でした。
配役や演技は素晴らしいと思いますが、感動や興奮もなくフェイドアウトした終わり方だったので、ただただ重苦しい気分になり、どんよりした気持ちで映画館を後にしました。
リアル。
貧乏な家の雑多な感じのリアリティがすごい。ストーリーは淡々と進んでいくけど、飽きて退屈だと思うシーンは一つも無かった。最初から最後まで俳優陣の演技に圧倒されていたからだと思う。特に、安藤サクラと樹木希林の存在感はすごいの一言。
ドキュメンタリー風。
見終わった後も頭のなかをぐるぐる。
我が家はどんな○○家族なんだろうか...とか
でもやっぱり血の絆って良くも悪くも強いと思う
昔ながらの三世代同居に戻ればかなりの問題がよくなるのでは。
おばあちゃん、駄菓子屋の店主の死が今の家族の形に警鐘を鳴らしているように感じた。
子どもの成長に余計な肥料でなく、本当に必要な綺麗な水を必要な量だけ与えるようなおばあちゃんおじいちゃん、近所のおじさんの存在。そんな人たちがそばにいなくなってしまう。
そして、治。極端な設定だけど、親世代の特にお父さんに向けての是枝監督からのもっとしっかりしようよというようなメッセージを感じた。
だれもが無条件で居ていいと感じられる居場所を求めてる。
無条件で居られるって子どもの時だけかな...
でもみんな本当の名前では居場所がないなんてやっぱりおかしい。
現代社会の、家族の歪を示してくれた映画だと思う。
是枝監督は演技はとりたくないのだな。
俳優さんを通してでてくるものを撮りたいんだと思う。
やりがいあるだろうからいい俳優さんが集まるよね。
安藤サクラさんの
「捨てた人がいるんじゃないんですか?拾っただけです...」
これサクラさんの自然にでた言葉だったらすごい...
胸に突き刺さりました...
サクラさんの今後の活躍に期待!
エンドロールの細野さんの音楽。
楽しそうな音がしだいに崩れていく感じが映画とリンクしてさすがだなと思った。
俳優は良かったが
カンヌ映画祭受賞作品という情報に飛びつき、予備知識なしで、「そして父になる」と同じような「家族モノ」だろうと予想して観ましたが、裏切られました。良くも悪くも。
女優さん、子役さんの演技は、すばらしく見事なものがありました。特に安藤サクラさんは、冒頭はおっかなく、途中は色っぽく、後半は叙情的で、すごみを感じました。
松岡茉由さんも汚れ役をリアルに演じていてすごいと思いました。
リリーさんはいつもどおりの自然体な感じです。この俳優陣の演技を引き出したのは監督の手腕でしょう。
この辺りは、フランスでも評価されたと思います。
しかし、映画全体の感想は、最初から最後までただただ寂しく、救いがないという感想です。
この映画を社会問題とか、政治問題と捉えてはいけないと思います。
人間って、いい面と悪い面があって、人と人との結びつきも、多種多様なんだ、というくらいの捉え方でちょうど良いかな、と自分は思いました。
私は、映画を見た後に、もう少しほのぼのした気持ちになることを期待していたので、低い評価にさせていただきました。
久しぶりに面白い映画を観ました。
産めば母親になれるのか
じゃああの子達はあなたのことをなんて呼んでいたんだ?
…。
いくら愛を注いでも、母親にはなれないことに気づいた時のあの涙にやられました。
観た方はお気づきだと思いますが。
終盤、バスに乗って振り返る祥太。
音声は入っていないが、「おとうさん」
ととらえられるように口を動かす。
劇中では、
そこで初めて"父"と呼ぶことになる。
本作は見終わった後に
決して「楽しい!」とはならないはず。
何か咀嚼のできないモヤモヤが残り
「どういう意味だったんだろう?」と
本作の意義を考えたくなる。
起承転結がぼやけているので、
わかりやすい「オチ」を求めていると
肩透かしを食らうのでは?
ただ、考えすぎないで思ったことを
観た人と話して自分なりに納得するのも
また醍醐味かもしれない。
現代社会の闇(=現実)を
隠すことなく淡々と語っていく。
一方で、お金や物だけではない幸せ
もテーマの一つ。
様々な背景を持って集まった集団は
よくある「家族もの」と一線を画した
異様な雰囲気が流れている。
劇中にあったように
「(リリーが胸を指して)ここで繋がってるんだよ」や
「(取調べ中の安藤) 子供が生まれたらみんなお母さんになるの?」など、
・夫婦ってなに?家族ってなに?
・他人同士の集団と何が違うの?
という答えのない、ずるい質問に対して
焦点を当てる。
また、キャスト陣の自然な演技も見所。
安藤サクラを筆頭として、
元々そこに存在していたかのように、
さもドキュメンタリーかのように時間が流れる。
是枝さんが関わった、
「エンディングノート」に繋がる部分もあるので是非。
現代人の闇とでも言うのでしょうか
是枝裕和監督らしい是枝節のある本作でした。
本作品、内容が良いと言うよりも、出ている俳優さんの自然な演技が凄いですね。
まるで、昔から一緒に過ごしているかのような家族を上手く演じていて、本作品、ここが評価されたんじゃないのかな・・・
また、子役の男の子の演技力が評価されていますが、私は女の子の方が光って見えたかな、ま、本作品、現在の裏の人間関係を描きたかったのかな、全編通して、常識人では、かなり考えらない生き方に、私的には、ちょっと戸惑いも感じたな・・・・
ま、芸術的観点が分からない私なので、この手の賞をとった映画って、見終わった後「?」しか残らない・・・・
リリー・フランキーさんが、田中邦衛に見えたのは僕だけでしょうか・・・・
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