万引き家族のレビュー・感想・評価
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負の連鎖、唯一の救いはそこから抜け出せるかもしれない子供、若者
この映画にメッセージがあるとすればこれだと思う。私はそう受け取った。
複雑な現代社会の中で身を寄せ合って生きる擬似家族、その絆が素晴らしいとかそんなことではない。子供の時に教育を受けられなかったり、愛を与えられなかったりするなどの事情があり、彼らなりのやり方で生きてゆくしかない不器用な大人たち。正直、見ていて辛くなるし、後味も悪く、見なければよかったとさえ思った。しかしこういうことは現実にあるのだ。
幼い時に、十分に愛されないということは、決定的に大きなハンディキャップである。それを自分の努力で埋めることはとてつもなく難しい。治は正統な努力の仕方がわからなかった。もう変わることは難しいオジサンだ。オジサンは難しい。信代は母になることで変われるかも、と思っていたのかもしれない。でも、「ウチらには無理だった」と言う。亜紀はまだ若い。似た境遇の青年と出会ったことは彼女にとって良いことかどうか?必要な経験だろうか。希望の星は祥太。賢く、学ぶ力もあり、自ら別の環境に行くことができた。りんはひと夏の想い出を胸に、ここではないどこかへ行きたいと思いながら育つのだろうか。
信代が、りんのおねしょを臭い、というところからの下りが一番キツく、胸が痛んだ。幼少期に虐待を受け、過去に正当防衛で人を殺しそれを悪いと思っていないということで彼女が少し解った気がした。常に生きるか死ぬか、やらなければやられる、という環境で生きてきて、他人への思いやりや愛の表し方を知らない。しかし彼女には生きる力があり、全ての罪を自分がかぶるという選択をした。彼女にもまだ前途があると信じたい。
カンヌへの思いが見え隠れ
全体的な感想は、構想も俳優も良いのに演出が残念だった。
日本人には敢えて説明不要なシーンがちょこちょこ入ってくるので、その都度シラけたし、外国人が分かりやすいように演出されているのが見て取れた。
俳優さんの演技が素晴らしいのに、撮影と演出の影響なのか、その良さを最大限に活かせてないのが残念。影響が少なかったのか、それともそれを上回る演技力だったのか、松岡茉優さんと城桧吏くんの演技には際立つものがあった。
樹木希林さん演じるお婆さんと城桧吏くん演じる祥太、それぞれ別のシーンだけど、口の動きで気持ちを伝えるシーンは敢えて表情のみで伝える方がよりインパクトが残ったのになと思う。
祥太をパチンコ店にあった車内から連れ去ったことを夫婦が告白するシーンでは、その背景にある社会問題を説明しないと外国人の観客には、それがどうして夫婦が祥太を救ったことになるのか意味が分からなかったと思う。強いて言うなら、それはラムネのビー玉のシーンを冗長するよりはもっと大事なことだったように思う。
観客はこの監督が思っているよりも洞察力があるので、説明しすぎず、観客の想像力に任せることも必要かなと思う。パチンコ店で祥太を連れ去った話のくだりはもう少し掘り下げた方が良かったように思う。説明が必要な部分はモノローグではなく、流れの中で自然に伝えられているところは素晴らしいと思った。
誰に感情移入するかで見え方が変わる作品
いままで是枝裕和監督の作品は広瀬すず主演の『海街diary』しか観た事がありませんでした。観る側のレベルが問われる系の作風なのかなという印象があり、無意識のうち避けていたのかもしれません。
本作においては、ストーリーとしては理解できるが、監督からのメッセージをどこまで理解できたのか、自信がありません。この物語は、登場人物ごとにストーリーがあり、それぞれにエンディングがあり、それぞれが異なる感情を抱いて幕を閉じるものであると認識しました。ゆえに、誰に感情移入するかによって鑑賞後に抱く感情が異なるような気がします。
わたしの場合は松岡茉優役の亜紀に感情移入しました。彼女の視点で物語を追うと、最も寂しい想いをしたのは彼女ではないかと感じ切なくなりました。真実がどうであれ、彼女が警察から突き付けられた言葉はあまりに酷なものでした。ラストのシーン、かつて住んだ家の前に佇む彼女の姿は戸惑いと哀しみ、あの時間が真実であってほしいという僅かな希望、願望が消化し切れていない姿として見えました。彼女が人を信じる心を取り戻すのには多くの時間を要するのではないかなと感じました。
作品を通してのベストカットは、やはり樹木希林さんの海辺のシーンはだと思いました。血のつながりがあったとしても、皆があの感情に到達できるというわけではないので「家族」という概念を改めて考えさせられました。
切ない
家族の在り方を考えさせられる作品です。
最初から最後まで切ない。
文句なしの演技派俳優陣ですが、作品の内容を邪魔するくらいに
少し豪華すぎるかな、とも。ダメな人をやらせたら天下一品のリリーさんという使い方も少々飽きてきた。社会問題を提起する映画も多少のエンターテーメント性が欲しいところ、終わり方の余韻も今回は弱かったように感じます。是枝ファンなので次作に期待しています。
人物描写が好き
本当の家族じゃないのに家族として共同生活する人達。劣悪で、秩序も、道徳も欠如している。個々の登場人物が抱えている悲しみや闇が、細かくセットされていて、何気ない日常会話の中に、上手く散りばめられていて面白い。
家族って何だろうって考える。
とても考えさせられる映画
捉え方はたくさんあるでしょう
でも、そういう映画はいい映画だなと思います。
ラスト20分とかはもう本当に涙が止まらなくて
正解がわからなくて
きっと正解なんてなくて
しばらく椅子から立てなくて
というか立ち上がりたくなくて
言葉が発せなくて
なんていっていいかわからなくて
いろんな意見があるように
自分の中にもいろんな意見があって
受け入れ難いものや肯定してあげたいもの
そんな葛藤と向き合って
自分の中に答えを出すのが難しくて
悲しくなって
これが社会の問題なんだなと思えて泣けてきて。
つまり
肯定的な意見と
反対的な意見が
どちらも出て
社会問題の議論の場になるから
いい映画だったなと思うんです。
理解できない!ありえない!
と、そんな簡単に片付けて
この映画のメッセージを見逃さないで欲しい
メッセージはひとつではないと思うし
もしかしたら、矛盾してるかもしれない。
すべての意見(立場の人)に
寄り添える柔軟な心と行動力を持っていたい
これぞ是枝作品!
虐待や貧困など重いテーマではありますが、これぞ是枝作品という独特な空気感と心理描写に深みがあります。
俳優人・女優人・子役の皆さんの演技の巧さが圧巻で、これも是枝監督の演出技量の高さなんでしょうね。
とてもいい映画でした。
演技に見えない!!!
両親と一緒に映画館で観ました
一言「気まず過ぎーーーー!!!」
結構過激なシーンがあって焦りました(笑)
映画見終わっての感想とかは特にって感じかなあ
賞を獲った映画だったからどんなものか期待して行ったけど、んん〜〜私にはあんまりわからなかったです
ただみなさん演技が凄い!!演技じゃない!!
その人が実際に生きてるような...そんな感じ!!
追悼鑑賞
一切の説明をなくして
リアルだけを見せつける
持って生まれた人の心を
良い悪いではなく…
樹木希林の訃報が飛び込んだ翌朝の「めざましテレビ」で
港南台シネマでまだやってる、と報じていた祝日の朝(敬老の日)
こりゃ満席になるかな?と夫を送り出し早々出かける決断をする
よい追悼鑑賞になりました・・・
安藤サクラはポスト樹木希林になるかな?
この映画は安藤サクラだった、それが本当によかって感動
「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」であたしの目をくぎ付けにした半眼女優
そして「サイタマノラッパー2」で力業を見た、それからは追いかけてるよ!サクラ
徐々に明かされていく。
ふと『理由』とか『きみはいい子』を思い出す。
外側から常識的に見たら、池脇さんたち刑事の目線と同じになるのだろうが…。
家族それぞれの物語も映画1本作れそうな重さをはらんでいるのが垣間見えるが、クドクド説明しないところがいい。
松岡さんが目立たないくらい周りがすごい。
駄菓子屋のおじいちゃん
是枝監督の作品は辛くなるのが分かっているので、覚悟して観にいくようにしています。今回も人間の本性を抉り出しています。そしてエンディングが辛かった。
でも毎回ちょっとした救いがあります。今回は駄菓子屋のおじいちゃんでした。
久しぶりに樹木希林さんの汚いババアを観れて嬉しかった。そして安藤サクラに圧倒されました。虐待を受けている女の子の女優さんが素晴らしいです。
いい。
素晴らしい。
しかし、私はこの映画を見た数日後、
Netflixにて「二重生活」「紀子の食卓」
を見まして。
私の家族観は、もう、
メチャメチャになりました。笑
(普通の家族がやっぱいいよ!涙目)
皆さんも、ぜひ。
ある意味、お勧めします。
(同じ体験を誰かに味合わせたい。。。笑)
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